蠅採

テーマ:
:虫食う花のよう。



前回の記事では、いかに自分が六年を経て不誠実になったかを、頼まれても居ないのに懇々と説明したが、今回は少し外向きの話、ちょっとした近況報告の続きと補足を行いたい。

とは言っても、話としては至極単純な上、これが全く度し難く不愉快な話なので、だからこそそう言う話をするためにこんなブログがあるのだとは言え、正直全然こんなうんこのような話に付き合っていただくことはこれっぽっちもオススメできないので、とりあえず書くだけ書いてさっさと逃げ去りたいと、自分自身そう思っている。



要するに、世の中糞なのである。
糞のように不公平と言うか、自分を筆頭として、世の中にはこんなにも脳の代わりに味噌を詰めたみたいな発酵頭な人が多いのだなあと、もはや感嘆の息さえ禁じ得ない。
かつてのサークルの後輩の、これが従妹に勝るとも劣らない才女なのだが、この女の子が、こんな間抜けの事が気に入ったのだと言う。
今俺が一人なのなら、付き合いたいのだと。

非常に残念でならない。
その人はもっと知性的で、分別があり、そして人をきちんと見る目があるものだとばかり思っていた。
何もよりによって、どうしてまたこんな一番通りそうもない牌を切ってしまったのか、本当にがっかりだ。

既に賢明なかつてのスレ住人は読むことを止めて居るだろうから、途中離脱した彼らの、その次に賢明な、ここまで読んでしまった親切な住人の方々に、一つだけ釈明したい。
客観的に見てこれが所謂、糞以下のしょうもなさの自虐風自慢に見ててしまうことは百も承知なのだ。
これならまだ耳元でうんこと静かにささやく方が笑える。

しかし、勿論、あれから六年間も、あのループとループで知恵の輪を拵えて解けるだの解けないだのの話を延々と繰り返したスレが終わって尚、未だにこの駄文のループに付き合って頂いている物好きの住人の方には解ることだろう。

俺は心底、本気で不愉快なのである。

これはある種の信頼とも、懇願とも取れる。
結局、この六年間で自分が一番正直で誠実だったのは、少なくともあのスレに書き込んだレスの中でだけなのだ。何もしてくれない神に誓って言える。
本当に、本当に残念だ。
哀れとさえ思う。
こんなものを気に掛けてしまう人が未だに居ることに、心の底から恐怖を感じる。

ついでに言えば、言うまでもなく、昔ほど慌てふためいて、やれ釣りだやれ報告会だと騒がずに、別にそれでも構わないし、そうでなくても構わないと、他人事であるかのようにとりあえずOKを出してしまう自分が、この世の中のありとあらゆる全ての醜いものの中で最もおぞましく、そして情け無いと思う。
誠実さを欠いた自分は、現状が思い通りにならなくても、とりあえずは受諾すると言う、どう考えてもどうにもならない選択肢しか取れなくなっている。

せめてその後輩に一片の良心があれば、近い内に前任者と同じ形でここから立ち去ることになるだろう。
その結末が解っているだけに、その途中経過をどうにかしようという気力がまるで湧かない。不愉快な思いをさせることが解っているのに、現状に抗う元気も勇気もなく、ただただ、ぼーっと、連鎖的に続くLINEのやりとりを、眺めることしかできない。

残念だ。
前にその後輩とはバンドを組んだことがあるのだけど、その時に俺が貸したままになっていたCDを返したいと言う話で一度食事に行った。
その後、ちょくちょく誘われたり誘ったりすることがあり、向こうは向こうで少し前に別れた彼氏の愚痴などをこぼし、どちらかというとその彼氏の方に感情移入しながら適当に相槌を打っていただけの俺を、話を良く聞いてくれる人などと思い違いをしてしまったのだろう。
これは、その前の彼氏が余りに唯我独尊型だったのが悪い。その後輩は、ある意味でその彼氏の毒気に当てられてしまったのだ。だから、こんな主体性の無いだけの奴を『優しくて穏やか』などと、さかさに穿った見方をしてしまうのだ。

いかにも運が悪い。
その後輩の傷を癒してくれる人は、他にいくらでも、星の数ほど居るはずなのに。
努力家で、かつ頭も良く、学術的な好奇心が強く、理学にも哲学にも長けたその後輩は、それと同時に非常に女の子らしい立ち振る舞いを自然と身に付けている。
正直、俺から見ても高嶺の花も良いところだ。自己評価が少し低いところを何とかすれば、好きなように先に進めるだろうに。

よりによって、これとは。

世の中糞なのである。
俺の預かり知らぬところでこそ、世の中は上手く回ろうものだ。
きっと、色々と期待しているのだろう。
前の彼氏は同級生の赤貧の下宿生だったから、あまり外では遊ばなかったし、遊びに行くといつもその後輩が財布を出していたと聞く。

元彼の罪は深い。
一体どこまで彼女を傷付けたら、こんなのにホイホイついて来るまで心に闇を飼ってしまうことにならしめられるのやら、皆目見当もつかない。

次はまともな自主性と責任感のある恋人を見つけられるよう、せめて俺が次の反面教師になれたらと夢想する。
おそらくそんなに上手く事は運ばない。知っている。

結局、こんな所まで読んでしまった方にだけ、もう一度言い訳をさせてほしい。
本当に、こんな残念な気持ちになったのは、いつだったか、従妹の一件があったとき以来なのだ。
そうでなければ、こんないよいよ糞そのものと化した文章を衆目にさらしたりはしない。
俺がまともな恥の感覚を持っていれば、今頃とっくに首を括っているし、今も昔も墓穴があったら入りたいとずっと痛切に願っている。

ああ、情け無い。
また年下の異性を泣かせることになるのが、情けなくて情けなくて、消えてしまいたい。本当に。消えてしまいたい。

くれぐれも、友達と恋人はよく選んだ方がいい。
稀にだろうが、こんなはずれも混ざってある。
誰か、彼女に教えてあげてくれ、頼む。
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投獄

テーマ:
:私は戻ってきた。



あれからもう、六年ほどの月日が流れた。
恐ろしい話だ。
こうもあっさりと、六年。
月日は百代の過客にして、と言うが、自分は年々年老いて行くだけで、毎朝の鏡にはしょうもない、くだらない、妙に煤けた同じ顔がうつっているだけであった。

百代の過客。
色々な人が現れては立ち消え、そしてまた戻ってきたりした。
見知った顔もあれば、見知らぬ顔もある。
思うところある人もいれば、特にそうでもない人もいる。
こなした仕事もあれば、投げ出したものも沢山ある。

蓋し、この六年間で自分が得た最も大きな恩寵は、物事の価値判断の時期を今までより遅くすることが出来るようになったことであり、年々この猶予期間は長く取れるようになってきている。
今までは門前払いにしていた有象無象を、とりあえず客間に通して、お茶菓子を用意し、世間話をしたり、世辞の一つぐらいはとばせるようになった。
これは成長と言えるのかも知れない。
或いは、これを老いと呼ぶのかも知れない。

偏に、自分は不誠実になったのだ。
これなら六年前の方が、まだそれでも、少なくとも自分の感性に対しては誠実であった。
嫌なものは嫌だと、吐き気が抑えられないものは抑えられないと、自分自身にはちゃんと自己申告出来ていた。

ところが、これがどうしたことか。
あんなに大騒ぎしていたはずの脳内の議員達はすっかりと静かに隠居し、議会を先延ばし先延ばし、だらだらと、愚鈍に資料を朗読するだけの存在となった。
外界からの刺激に対して、自分は非常に鈍感になった。
精神的には多少なりとも落ち着いたのだろうが、それと引き替えに、自分はついに自分自身に対しての誠実ささえ、失ってしまったのだ。

もう、泣き喚いて嫌だ嫌だとだだをこねることはない。
そもそも、嫌だと思うこと自体を嫌だと思う節さえある。
いや、むしろ、既に嫌だと思うことを嫌だと思うことさえ忘れてしまっているのだろう。

あれこれと極彩色の混乱に乗じて、高速で回転していたかのように思えた世界は、今やぼんやりと曇っていて、なんだかぬるいような、湿ったような、香りが飛んだ出汁のような、ぱっとしないごちゃごちゃしたものになっている。

あれから六年。
何が悪かったのかと言えば、生まれた星が悪かったのだろうが、今はそれもそこまで感慨深いものでもない。
生まれたものは仕方ないのだ。紀元前から、人は生まれるだけで苦しいものだと相場が決まっている。
とにかく、外にも内にも、そこまで致命的に悪かったことなど無い。今自分が五体満足で、一応大きな病気も無いのが何よりの証拠だ。

ただし、それだけである。
本当はこっそりと、このままでは不味いと思っているところもあるのかも知れない。
同時に、まぁ、しかたないかと思えてしまっているのが、その不味いところの本質なのだが、ともあれ、自分は随分と成長し、老い、美しくはならなかった。

抽象的な話ばかりしても仕方ないのだけど、これはつまり、挨拶のようなものだと受け取ってほしい。
恐るべきことに、六年と言う月日を経ても、こんなにも何も変わらないやつがいるのだと、その確認作業のようなものだと、適当に読み流してくれればそれで有り難い。

事実としては、大まかに、以下のようなことがあった。
大学を卒業したあと、一年間ほどふらふらと遊んだり旅行したり妙なバイトをしたりバンドをしたりした。
その後、普通に就職。某通信業者の営業みたいなものになった。
ある程度、まとまったお金が手には入るようになったので、好き勝手に趣味に散財するようになった。主に、レコード買ったり映画見たり本を書ったりライブに行ったり旅行したり、そんなところである。

その少し前、大学を卒業した直後に、大学のゼミで知り合った人と付き合うようになった。
これがつまり、先述した不誠実の最たるもので、結局はその人にその不誠実さを看過され、非常に慎重に選ばれた優しい言葉で別れを告げられたのが、割と最近のことだ。

要は、誰でも良かったし、更に言えば、居ても居なくても良かった、と内々思っていたのが、見事に態度と立ち振る舞いに表出してしまっていたわけである。実に情けない。
一年間以上もその状況に耐え続けた向こうも向こうである。なんと申し訳ない。

でも、申し訳ないと思うのはポーズだけで、実際のところかなりどうでもいいと思えてしまえているのが現状なのである。
『優しくしてくれたのは、喧嘩にならないように、波風立てないようにしたかったからで、別に私を大事にしたかったからじゃなかったんだね』と指摘されるに至っては、二番煎じも良いところだ。まるで成長していない。

いや、そこに至るまでの葛藤や苦悩がすっかり少なくなったと言う点を見て、成長とも、不誠実とも、老いによる鈍化とも取れるわけである。
一人暮らしを始めてから、確実に真人間を演じるモチベーションが下がってしまったのがはっきりと解る。営業と言う仕事もそれに拍車をかけたのかも知れない。

とにかく、一人でくたばる前に、また無関係な善意の第三者を巻き込んでしまったと言う、そう言う結果の話だ。
結局、好きにはなっても執着がほとんど沸かなかったのが、今回の破綻の直接の原因だろう。
彼女は普通に良い人だった。問題や軋轢が全く無いわけでもなかったが、それでも良い人だったし優しかった。

ちょっと前までなら、この破綻に対して『やはり自分の自分自身への評価はまちがっていなかった!』と、それはそれで興奮するようなことだったと思うのだが、今やただただ、ぼーっとしていて、昨日から明日へ日々が延長されているだけだと言うのが、無闇に恐ろしい。
そうとしか感じない、恐ろしい日々が、明日以降も続いているのである。

六年。
或いは、それ以上。
こんな日々が続いていくのだろうか。
彼らは、彼女らは六年間をいかにしてすごしたのだろうか。
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放浪

テーマ:
:あっちでふらふら、こっちでふらふら。



あれ以来テンションの二重底を叩き割り、尚下落する一方の自分の状況にさすがに危機感を覚え、財布と携帯と駅で買った空っぽのリュックを持って、ぼーっとあっちこっちに逃避してきた。
総移動距離で2000kmぐらいだろうか。

十数日間、誰ともメールも会話も皆無だったので、すっかり感覚が麻痺している。
もともと「今誰かと話すと、ちょっとしたことでボロが出そうでヤバい」と判断しての離脱だったのに、結局大家さんと一部の後輩にあらぬ心配を掛けてしまった。申し訳ない。

で、家を空ける前後で特に何も変わったわけでは無いが、秋風に吹かれてもこれ以上自然に状況が悪化することも無さそうなので、とりあえず帰ってくることにした。

相変わらず心中は泥のようだが、それでもここが底だと知れれば占めたものだ。
もう一段割れたら、泥が沈殿するまでまたどこかで静かに潜伏すれば良い。
経験上、まだもういくつか何かありそうな気がするが……

つくづく、知人に対して愚痴ったり相談したりするのが苦手だと思う。
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汚泥

テーマ:
:ヘドロ。



普通、心の奥、腹の底に堆積している、腐った膿と髄と土を混ぜたような汚らわしいそれは、上澄み液の下に隠れていて、あまり表には出て来ない。
だが、何かの折りに、棒状の物で不用意にかき混ぜたりすると、たちどころにその辺一体は、腐敗臭で満たされた汚泥の沼に変わる。

例えばそれは、呑めない酒と一緒に、さっさと外部に遺棄してしまおうとしても、なかなか沼の外まで汲み出すことは出来ない。
難儀なものである。



あれ以来、心身が腐っている気がする。
元々そうなのだが、最後に猫の額ほど残っていた正常、もとい、清浄な所までがドロッと腐ったようだ。

従妹にはそこには触れないで居て欲しかったと、今更ながら大いに悔やんでいる。

人無

テーマ:
:ひととして備えるべき構造、多くは心理的なものを著しく欠いたもの。ひとでなし。



包み隠しても仕方無いので事実をさらっと列挙すると、以下のようなことがあった。


部屋に来ていた従妹が生理的なもの含め、種々の事情でいつになく不安定になり、かなり過剰に甘えてきた。
いつもなら少し撫でたり、仮眠を取らせたりしたらケロッと直るのだが、今回は明らかに雰囲気が違った。
襲われた、などと言えば情け無い上大袈裟だが、徹夜明けでぐったりしていた俺は、まんまと良いようにされつつあった。

しかし、どうにも盛り上がらないと言うか、不吉に冷静な俺が従妹を物理的に突き放そうとすると、すでにすっかり盛り上がっていると言うか、不吉に元気な従妹は次、続きをせがむ。

「今後一切こういうことは無いし、あったとしたら次は叩き出すけど良いのか?」

「それでもいい」



と言うわけで、この間ぴくりともしない俺の産廃は、そのあと手で一通しやっている間も、やはりぴくりともしなかった。

俺が黙って後始末をして、布団を片付けている隙に、従妹は帰った。



およそ今まで見た中でも、諸々含めて最もおぞましい光景だったと言える。
自分の冷め方も、部屋の静寂も、何もかもがおぞましい。
身の毛がよだつ。



そして、なるほど、これが。

これがトラウマか。
トラウマ。
ぴくりともしやしない。
わはは。


はぁ。