Hard Boiled Shanguri-la

「この世は天国か地獄か」と聞かれたら、私はとりあえず天国だと答える事にしています。この世に天国を求められない人間はロクな死に方をしないだろうと思うからです。肯定というのは難しく、長く険しい道程です。せめて明日は晴れだと祈りたいものです。


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 周りの鼾などが少しは気にはなったが、他に特に問題はなくまた次の日の朝がやって来た。洗濯物は昨日近くのコインランドリーで洗ってしまったが、そろそろ荷物をある程度小分けにしないと、面倒な事になる。行った名所のパンフが増えて行き、食いきれなかった飲食物などもある。持って来た大きなバッグだけでは足りなくなって来た。ふと見ると、誰かの私物だろうか、それとも捨てられずにそのにまだ置いてあっただけだろうか、「アルテック」と書いてある。ここら辺のチェーンの酒屋の袋のようだった。周りに誰もいなかったので、ありがたくその袋を頂戴して宿を予約出る事にした。ゲストハウスはチェックインの時に、宿帳書いて先払いで済ましてしまっているので、チェックアウトの時はそのまま何も言わずにその場を去るという事が多い。客が去りたい時にその場に宿主やらスタッフがいるとは限らないからだ。逃げるようにその場を後にした。

 さて朝飯だ。モール街を開南の方に進んで行くと、JEFというハンバーガーショップがあった。ゴーヤーバーガーやらヌーヤルバーガー等、他で見た事もない不思議なバーガーがメニューにある。その時はゴーヤーバーガーを頼んだ。バーガーの中にゴーヤーの卵とじが入っていて、不思議な食感だった。
 今日はひめゆりの塔に行ってみようと思った。本島の南部に位置し、バスに乗ればすぐに着きそうである。ところが途中までしか行かない。ここから先はまた別のバスに乗り換えねばならないそうだ。面倒なので歩く事にする。糸満の辺りをうろついていると、「いとまん美々ビーチ→」という看板を見つける。そういえばまだ沖縄のビーチには一度も行っていない。ひめゆりの前にちと行って見る事にした。電信柱には選挙ポスターが所狭しと貼ってある。「あ、またあの顔だ」と、沖縄の候補者ばかりに詳しくなってしまった。そういえばこの年の7月は参議院選挙だった。散々色々な場所を廻った末に美々ビーチにたどり着いた。思ったよりも小さな海岸で、長方形に海の中が囲われている。「ここから先は遊泳禁止」のラインなのだろう。本土の方でもよく見かける。こちらの方にはハブ貝やらハブクラゲ、更にはウミヘビなどもいるので、こう言った区切りは必要になって来る。自己責任で自由に泳ぎまわりたいのなら籬島の方に行けばいい。そちらの方が海も断然綺麗なのだから。
  浜辺にはシャワー室やらトイレやらがある。トイレで海パンに着替え、早速泳ぎに行く。驚いたのは水がとても透き通っていて、底まで見透せる事である。それだけ水が澄んでいるという事だろう。あと舐めてみてもそれ程塩辛くない。そのままコップにすくって飲んでみても、あまり苦にならなそうだった。そして浜辺に立って気づいた事がある。砂が足にひっつかない。浜辺に上がって脚を叩くくらいで全部落ちてしまうのだ。それもそのはず地面にあるのは湘南とかと違って砂ではなかったからだ。何か小さくて色々な形をした陶器のようなものが海面から浜辺の方にかけて、びっしりと敷きつめられている。なんじゃこりゃ?  へっぽこな陶芸家か何かが失敗した陶器を捨てて行ったのか?  いやいや、数が半端なく多過ぎる。それらは珊瑚の死骸だったのだ。肉眼で珊瑚というものを見た事が(水族館ではあったかもしれないけど)なかったので、しかも海水に浸かっていないところだったのでびっくりした。
 しばらく泳いだ後、ここを後にする。近くの大きなスーパーにて菓子パンテビチなるものの煮つけを購入する。豚足というもの自体は食った事があるが、ここまで生々しく切株の輪切りにされているのを見るのは初めてだ。甘い味つけがしてあって、どろっとしたコラーゲンのようなものがあり、中々美味だった。

 さてさてその後どこをどう動いたのか、時間がいつの間にか経っていたのを覚えている。三日もフル装備でこの熱気の中を移動し続けのは流石にきつい。皮膚もかなり日焼けし始めてしまった。休み休み地図を確認する。喜屋武の辺りに着いた。確かガイドブックにはここら辺にあると書いてあったのだが・・・・見つけた。芸能人達にも有名なペンションだそうだ。17:30頃、まだ暗くなる前にたどり着けたのは幸いだった。入り口にはよく見た顔が沢山並んでいる。洒落た個室にてまずはベッドにちょこっと倒れこむ。シャワーを浴び、水分をとった後、また倒れこむ・・・・寝てしまった。起きたのは23時頃だった。
 「もう夕食はやってないよ。」
 げえ・・・・外には特にこの時間にやっていそうな店もなく、開けた場所でもないのでコンビニもない。今日は晩飯抜きである。まあいいだろう。一日抜くのもたまにはいいものである。先程と同じようにまた朝まで寝ればいいのだから・・・・と、今度は眠れない。5時間以上寝た上に飯を食っていないので、そうは眠れないのである。
 仕方がないので持って来た本を読みつつ明日の計画を練る事にした。岡本太郎の「沖縄文化論」、50年代終わりまだ日本に返還されていない頃の沖縄に岡本太郎が訪れた時の記録である。今では泡盛やらチャンプルーやら、メイドイン沖縄として胸を張って島んちゅは外から来たお客さんに出せるが、当時は自分らの文化に引け目を感じるようにしていたそうである。何が自信であるか、状況と関係性で微妙に変わってくる事があるのだろう。昔は地方から東京に来た若者の訛りが治らない事をバカにされたそうだが、最近では方言を話せる子は重宝され、クラスの人気者になれるそうである。日本全国が均質化され、ローカリティが喪失したので、希少価値になったからだ。そう考えると、私が沖縄に何度も来たくなるのもわからなくもない。沖縄にはローカリティ的なものが沢山残っているからだ。最近では色々な業者が入って来て、観光ビジネスが盛んになり、そうでもなくなって来はしたが・・・・そんな事を考えている内に眠ってしまった。明日に行く場所はひめゆりと、その近くの平和記念公園に決まっているので、殊更考える必要もなかった・・・・むにゃむにゃ・・・・
 次の日の朝になった。華麗な朝飯を食し、ひめゆりまでのバスを教えてもらう。
「沖縄のバス路線は色々と入り組んでて、新しい路線ができたり消えたり、こっちの人でも分かりにくいから、ちゃんと運転手さんに聞きなさいね。」
沖縄では電車がない分バスが発達していて、外から来る人でレンタカーを借りない人が旅行をするのにバスは必ず利用せねばならないものだった(あくまで当時の考えである。別の回に来た時、ゲストハウスにて自転車を借りればいい事に気づいた。一日500円で那覇周辺ならば大抵のところは行ける。ただし、晴れている時に限るが)。前にも記した通り、道がクネクネ曲がっているので、真っ直ぐ進んでいるつもりでもいつの間にか違うところに向かっていたりする。知らないところに行くのに運転手にちゃんと聞く事は必要だった。
 「ありがとうございます。」
 「あ、岬の方にハーリーが来てるよ。行く前に立ち寄っておいたらいいさあ。」
 ハーリーポッター?  ダーティーハーリー?  前知識が全くないものを音だけで聞く程シュールな事はない。今日は特に急いでもいないので、岬にハーリー見物に行く事にした。
本島の最南端喜屋武、ここら辺は畑がずっと続いているばかりで、店など特に見当たらない。水分は自販機で購入する事にする。普段あまり自販機を使う事がない私ではあるが、この時ばかりは仕方がない。脱水症状になれば命に関わる。ここでアクエリアスを購入し、気づいた事がある。沖縄の自販機のそばには缶やペットボトルを捨てるためのゴミ箱が都市部以外ほぼない。缶は自分で、ゴミの捨てられるところまで持って行くしかないのだ。自分なんぞはビールやら何やら外で飲み歩きながら、その缶を捨てる場所を自販機のそばに期待していたタチなので、それがないのはちょっとびっくりする。
 ーリーの会場に着いた。集団ボートレースの事だったんだとこの時初めて気づいた。龍の形をしたボートを皆一生懸命漕いでいる。


爬竜(ハーリー)とは、毎年旧暦の5月4日に沖縄県各地の漁港で行われる爬竜船(はりゅうせん)競漕とその祭り。爬竜船(はりゅうせん)を漕ぎ競い合うことで航海の安全や豊漁を祈願する。「ハーレー」「ハーリー」と地域によって呼び名が違う。

基本的には「航海の安全」や「豊漁」を祈願する御願(ウガン)を主旨とした海の神事であるため、伝統に則り旧暦の5月4日に行うが、近年ではハーリーシーズンの日曜日や祝祭日・ゴールデンウィークなどにずらして催し、観光化する地域もある。(wikipediaより)

 

 ペンションの前まで戻って来て、目の前の道路でバスに乗る。すぐにひめゆりの塔に着いた。写真の通り献花をする石碑があり、そこに花を添えて来る。生き残った人達の証言の記録を見る。「自分が生き残ったのは単に運が良かっただけだ」「もしあの時手榴弾を持っていたら、それを使って自害していただろう」等、本当に追い詰められた人達の生々しい話を聞く。大日本帝国に捨て石とされた歴史としての沖縄をあまり私は知らない。そしてそれは今も尚基地の問題も含めて続いている。近くの食堂にてカレーすばを食す。好きなものをたらふく食べられるのは平和なお陰である。平和が空気のように当たり前に存在していて感謝もできない事自体が平和な証拠なのだ。一日晩飯を抜いたくらいでひーこら文句を垂れられる事自体が平和だったのだと、その時初めて気づいた。

外でバスを待っているとタクシーの運ちゃんが声をかけて来た。
 「もうバス行っちゃったよ。」
 はて?  まだ到着の時刻ではないはずだが・・・・沖縄のバスは遅れる事はあってもはやめに着くことは滅多にない。予定表を確認するとやはりまだだった。
 「残念、ちょっと前だったね。兄ちゃんどこ行くの?」
 「平和記念公園まで。」
 「じゃあ乗って来なよ。安くしとくからさ。」
 初乗り470円と本土に比べればベラボーに安い。ありがたいと思ったのが運の尽きだ。後で分かったことなのだが、これがこの人の少ない客を捕まえるための手口なのだ。バスが行ってしまったのも本当かどうか分かりやしない。まあ、今となっては確認する手段もないのだが。
 「昨日どこ泊まったの?」
 「南の楽園です。」
 「あすこ人気だよねえ、芸能人がよく集まってるし・・・・」
 とりとめもない話をしている内に平和記念公園に着いた。大きな公園の所々になモニュメントがある。丘の方に登って行くと、それぞれの県ごとに分かれて石碑が建っていた。その中の沖縄県平和祈念資料館にはその時は行かず、次回来た時に行った。
ここでまた面白い立て札を見つけた。「バーベキュー禁止」だって?  ここでやろうと言う奴がいるというのがまず驚きだ。基地は沢山あるものの戦争の陰などはもうほとんど見えなくなってしまっているのが沖縄の哀しいところである。
 「おうい、玉泉洞まで乗って行かないか?  今からならば暗くなるまでに行けるよ。そこで冷たいビールを一杯クイッとひっかけてから帰っても全然那覇まで着けるよ。」
 先程の運ちゃんがひょこひょこと近づいて、また声をかけて来た。
 「別にいいです。」
 別に急いでいるわけでもないので、高い金出してタクシーに乗る必要はなかった。バスをゆっくり待てばいいだけだ。ちなみにこの時玉泉洞がどんな所だか知らなかったので、行こうという気にも特段にはならなかった。実際に行ったのは次回ここに来た時である。
 さて、今日はどこに泊まろうか。荷物全部持ちながら移動するのはさすがにそろそろもうやだなあ。どこか連泊できるいいゲストハウスはないかなあ。。。そんな事を考えている内に時間が少しずつ経って行ってしまった。
 「500円でぐしちゃんまで乗せて行ってやる。いいから乗れ。」
 あの運ちゃんがタクシーごとそばに接近して来た。すげえな、命令形かよ。その勢いに気圧されて乗る事にされてしまった。ちなみに当時の私はぐしちゃん(具志頭)がどこか分かっていなかった。喜屋武(きゃん)にしろ今帰仁(なきじん)にしろ、奇妙な読み方の地名が沖縄には多いものである。定価ならば800円くらいなのでタクシーを利用するという点では得ではあるが、ここからまた那覇に戻るバスに乗るので、合計で1000円以上はしてしまう。これから行くゲストハウスでチャリンコを借りれば一日たった500円だ。どれだけ損をしているかわからない。旅先でタクシーを使うのはこの時を機会にやめにする事にした(実際は天草に行った時、日曜のため終バスがなくて使ったのだが)。
 開南に戻って来た。そこからモール街に入って行き、先日使ったコインランドリーにて洗濯をする。真夏と同じなので、私の持って来た着替えの分量では2.3日に一回洗濯しないと着るものがなくなってしまう計算になる。この前行ったのとは別のゲストハウスが近くにあり、そこに行く。ちょっとしたビルの二階から上がほとんどそのゲストハウスになっている。今回は1500円だ。多分あすこよりはマシだろう。中に入ると綺麗とは言えないものの、広々としたゆんたく場に沢山のお客さんがいる。これくらいで安ければちょうどいい。宿のシステムの説明を受け、ベッドで一休みしていると、スタッフがシュガーナッツのでかい空き缶をカンカンカンとけたたましく鳴らしている。
「飯いかがっすか〜。」
何事だろうか?  運がいい事にスタッフが夕食を作ってくれるシステムがあり、280円で食す事ができる。スタッフ達の賄い飯を作る時に一緒にお客さんの分も飯を作ってしまおうというもので、食材費だけ貰おうという仕組みだ。これ以上高くすると飲食店の許可を申請しなくてはならないらしく、色々と面倒なのだそうだ。今日の夕飯はマグロ丼だった。給食のように余ったのものは好きなだけ食える。19:30を越えて帰ってくる客は、電話一本で取り置きができるので安心して帰って来れる。それに何てこった、ここで洗濯機を使わせて貰えば、タダで洗濯できたではないか。
 22時から屋上でバーが開く。屋上に掘っ建て小屋が建ててあり、ちょっとした雨風などは凌げるようになっている。そこにスタッフが日替わりでマスターとなり、色々と話ができるのだ。客室は3階までで、そこから1階挟んで屋上があり、早く寝たい人と夜中まで騒ぎたい人が完全に分断される。とてもいい立地条件だった。泡盛の水割りが100円、各種ジュース割りが150円、オリオン発泡酒・雑酒系が200円、オリオンビールが250円と、とても安く飲める。ツマミは各自か、たまにマスターが小さい霰か何かの小袋をくれたりする。マスターの気分が続くまでここは開いているので、6,7月のこの時期は大体午前2時くらいまでになるだろうか。(続) 
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