マロラクティック醗酵 解説 | ろくでなしチャンのブログ

マロラクティック醗酵 解説

それとなく 7 マロラクティック発酵

Fermentation Malo Lactique(フェルタシオン・マロ・ラクティック)

 

 マロはリンゴ酸りんごの意味で、ラクティックは乳酸の意味と成ります。一般にMLFと略されているようです。アルコール発酵が終了した果汁は搾汁し、搾汁液を発酵槽から樽に移し替えられ、オークとの一体感が増し、口当たりがきめ細かくなるようです。また、暫くすると乳酸菌の働により、リンゴ酸100に対して、乳酸67、炭酸ガス33の割合へと変換し、炭酸ガスは空気中に放出されます。乳酸より、リンゴ゛酸りんごの方が酸度が高く、結果的に減酸効果があることにもなります。

 MLFは、1930年以降にボルドー大学のジャン・リベロ・ガイヨン教授によってプロセスの解明を経て、管理方法が確立したようで、第2次発酵とも呼ばれています。
 

 リンゴ酸は10℃以下で爽やかで美味しく感じますが、鋭角的(尖った酸味)な酸味を有し、タンニンは低い温度では渋いだけと感じてしまう特性があり、タンニンがリンゴ酸の酸味を強調してしまい、リンゴ酸とタンニンの相性は悪と言われています。

 対して乳酸は比較的高い温度で美味しく感じられるためタンニンと相性が良くばいきんまんドキンちゃん、MLFにより穏やかでまろやかなな酸味(甘丸い酸味)に変化します。

 乳酸菌はマストや葡萄液に必ず存在する菌ですが、異臭や混濁の原因となったり、グリセロールや酒石酸を分解して苦み成分や揮発性の酸に変えることもあるようです。そんな訳でアルコール発酵後に、培養乳酸菌を加えて理想的なマロラクティック発酵を促すようです。
 

 赤ワインの色の抽出はMLFによるもので、色の安定には乳酸菌を添加し、低温(10℃から14℃)でゆっくりとしたMLFを行い、色素の抽出を待って15℃以上でMLFを続けるようです。

 また、乳酸菌はリンゴ酸以外の有機酸(クエン酸等)や糖や微量の香気成分等も代謝しているようです。乳酸エチルやジアセチアルも生成されるようで、乳酸エチルはボディを強め、ジアセチルはバターの様な香り(ダイアセチル)を生成するようで様々な香味成分が生成されるようです。
 

 収穫年の翌年の2月末くらいには、ボージョレ・ヌーボー(MLFをしない。)を除いてほぼ100%マロラクティック発酵を終了させている事が多いようですが、仮にMLFが終了していないと瓶内二次発酵を起こし炭酸ガスが発生し発泡することとなります(稀に意図的でない微発泡のワイン~失敗作~がある。)。

 

 要するにMLFによりワインは酸味がやわらぎ、複雑味が生じ、香り成分も増加することとなるようで、殆どの場合樽内MLFが行われているようです。

 

 この様に、MLFの適正な管理によりワインの品質は向上するのですが、ニューワールドでは補酸が必要なほどに酸度が低い(完熟しすぎて糖度が上がり、酸度が低下する。)にもかかわらず、必要量以上の補酸とMLFを行い、バターの様な風味を付けていると言います。又、オーク樽での発酵やオーク・チップによるフレーヴァー添加と併用し、醸造技術を重視した画一的なワインが生産され、テロワールが失われているとの批判もあるようです。ばいちゃん

 

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