60代の女性。「体調はまずまず良いのですが、ときどき結婚

前の何かにつけて不安な頃の事をフラッシュバックして落ち

こみます、どうしたら良いでしょうかね?」とおっしゃいます。


一般的に、不安に対してどうすれば良いか、は医療における

一つの重要なテーマであると言えます。


例えば、不安神経症などと診断されて、抗不安薬を処方され

たからといって解決するわけではありません。方便として対

症療法として使うことがあっても、根本的な治療にはならな

いと思います。


問題は、不安に対してどう向き合うのか、どう受け止め対処

するのかであって、そのノウハウがポイントになります。


六角田中医院では、先ずその第一のノウハウは''観自在''

にあると説きます。物事を自在に観じる、観方を自在にする

、ということです。


ご存知のように、観自在は般若心経の冒頭にある言葉で、

一切の苦から解放される般若心経のキーワードです。


そして、そのシンボルとしているのが下図1から7までの、

貴婦人と老婆表裏一体の絵であり、聖観音と馬頭(罵倒)

観音は互いに分身であり、お地蔵さんと閻魔さんは互い

に分身であり、大日如来とお不動さんは互いに分身である

という絵です。


あるいは一般化して、「陰陽は表裏一体」という下図8の

天人相応太極円通図です。

簡単に言えば、「ピンチはチャンス」、「失敗は成功の元」

、「苦難は幸福の門」、「艱難(かんなん)汝を玉にす」で、

陰陽は表裏一体だということです。


このことを何か不安を感じた時に、絶えず自分に言い聞

かせる習慣をつけることが大切です。


次に、第二のノウハウとしては''因果の法則''、正確には

"因縁果の法則"の理解です。


「蒔いた種は刈り取らねばならないし、刈り取れば必ず

その分だけ消える」、「現在(present)とは、前もって(pre)

自分が送った(sent)もの」であり、「周囲は自分の鏡」で

あり、「福徳一致(徳を積めば福となって返り、不徳を積

めば不福となって返る)」であり、「善因善果、悪因悪果」

であるということです。


そう思って、眼前の状況から逃げないで向き合うことで

す。たとえ逃げても因果の法則によって違う形で必ず

現れるからです。


今が絶頂であれどん底であれ、すべて現前に現れた

ものは必ず消えるのだから執着しないことです。


そのように受け止めながら、真心を込めてベストを尽くし

、良い種を蒔くべく少しでも徳を積みながら今を生きて

行けば良いのです。努力は必ず報われるようになって

いるのですから。


この因果の法則で大切なのは、因果にとらわれないと

いうことです。善果だからといって調子に乗らない、悪果

だからといって落ち込まない。「不昧因果(ふまいいんが

: 因果を昧[くら]まさず)」、「得意淡然 失意泰然(とくいた

んぜん しついたいぜん)」といった言葉で肝に命じておく

と安心感につながります。


そして、第三のノウハウとして、要するに「すべて物事は

必ずうまく行くようになっている」、「そのままで良いのだ」

、「Let it be」なんだということです。

だから、「何事もすべてありがとうございます」なのであっ

て、何時でも何処でも如何なることでも「ありがとう」、「あ

りがとうございます」と有声でも無声でもいいので呪文と

して唱えることです。

言霊効果で、そして融通念誦効果で、必ず自他共に幸

せに向かうのです。もちろん、心身の健康にも向かうの

です。

しかし、なぜ、「必ずうまく行くようになっている」と言える

のでしょうか。

一つは、それは、天人相応太極円通図の陰陽の回転

は単なる繰り返しなのではなく、ちょうど時計の針が単

に繰り返し回転しているのではなくて、ちゃんと確実に

時を刻んで前に進んでいるのと同じです。

ちょうど断面が天人相応太極円通図のようになる注連

縄(しめなわ)やDNA螺旋のような縄文は、このことを表

してもいるのではないかと勝手に思っています。


もう一つは、「ありがとう」、「ありがとうございます」と唱

え続けて、その呪文の中に入り込んでしまうと、「あー

だこーだ、あーでもないこーでもない」といった自我に発

する分別知は出ようがなくなって消えてしまうからです。


すると、消えた分だけ自我に覆われていた真我が出て

きます。真我は内在する神仏でもあるので、物事がう

まくいかないはずがなくなるというわけです。


呪文は、「ありがとう」だけでなく、南無阿弥陀仏でも南

無妙法蓮華経でも南無大師遍照金剛でもアーメンでも

、私たちのDNAにインプットされている歴史上使われて

きたものなら何でもOKです。自分のDNAに合いそうな

好みのもので良いのです。


私たちの人生を振り返っても、ベストを尽くして生きて

いる限り、振り返ってみれば必ず進歩していることが

わかるはずです。

昨日・今日・明日、昨年・今年・来年、前世・今世・来世

と流転輪廻(るてんりんね)するなかで、遅速はあるにし

ても長い目で観れば、必ず良い方向に進んで行くこと

を肝に命じることが大切です。


「吉凶はあざなえる縄の如し」で、本来は表裏一体の

一つのものです。白隠禪師が説かれた「一に止(とど)ま

る今の心」である正念を持つ工夫とそれを続ける「正念

工夫相続」の意義もここにあると思います。


不安は感情レベル、潜在意識レベルに深くインプットさ

れていることが多いと思いますが、正念工夫相続で必

ず克服できるのです。

最後に、理屈はともかくとして、歌うことで自ずと不安を

含めた悩みが癒される歌をご紹介しておきます。


中島みゆきさんの「時代」、「糸」、ビートルズの「Let it

be」、讃美歌291番「主に任せよ」などです。歌詞や曲は

You Tubeなどで調べてください。



図1 貴婦人と老婆





図2 聖観音



↑↓互いに分身


図3 馬頭観音





図4 お地蔵さん


↑↓互いに分身


図5 閻魔さん








図6 お不動さん



↑↓互いに分身


図7 大日如来





図8 天人相応太極円通図