Eurosportでギリシャーオーストラリアのテストマッチを生放送でやっていた。テレビをつけたらハーフタイムだったので前半の動きはダイジェストでしか見ていないが、後半を見る限りオーストラリアは既にしっかりとワールドカップモードに入っている。去年のコンフェデ杯のドイツ戦、アルゼンチン戦をスタンドから見ていたが、今日の試合でオーストラリアの強さがよりはっきりと見えてきた。攻撃パターンは非常にシンプル。サイドでワンツーをつないでセンタリングをあげるか、ワントップのビドゥカにボールを当ててMFがミドルシュートを狙うのが主戦法。しかしそれぞれが非常に鋭敏。ボールを奪うと後ろからどんどんオーバーラップを仕掛けて前線にボールを運ぶ。浮き玉のあいまいなパスを極力省き、しっかりと足元でボールを回してゆく。かこまれても周りのサポートが必ずあるから落ち着いてキープできる。個々の技術レベルもさすがに高い。スタメン選手のほとんどは欧州のクラブチームでレギュラーを獲得している。

キープレーヤーはやはりエースのビドゥカ。恵まれた体で圧倒的なキープ力と空中戦を武器とする。オーストラリアはこのビドゥカの足元に以下にボールを収めるかがかぎになるだろう。中澤がマークに付くと思うが、ミリメートル単位でスペースを与えないように気を配らなければならないだろう。気になるのは怪我で戦列を離れているキューエルが帰ってきたら。スピードとセンタリングに長けたキューエルはこのビドゥカの周りを衛星的に動き、機を見て空いたスペースへと飛び込んでは危険なボールをビドゥカに送り続けるだろう。日本代表は3バックで行くようだから、坪井がスピード争いで負けないことが重要か。
前線からのプレッシャーはなかなか強力で粘り強い。サイドにボールを展開されても専守防衛のサイドバックがドリブル突破を許さない。センターの守りはそれぞれ185Cm以上の大型DFと、その前に網を張る二人の守備的MFが徹底的にスペースを消していた。時折ギリシャがチャンスをつかみかけるが、シュート前にはつぶされていた。欧州王者のギリシャも2004年時のキレとダイナミックさが影を潜め、単調なロングボールばかりが目立っていた。パスを出した後足を止めて成り行きを見ているザゴラキスやカラグニス。これではチャンスは生まれない。終了間際にはいらいらしだしたギリシャが自分で試合を壊していくようにも見えた。
全体としてしっかりとチームとしてのまとまりを示した試合になっていた。どんな相手からでもゴールを取れるパワーとどんな相手にもくらい付いていける粘り強さを感じた。


そんなオーストラリアと初戦で当たる日本。どうやって戦えばいいのだろうか。勝てるんだろうか。まず大事なのは自信を持って挑むということ。必要以上に恐れることはない。確かにオーストラリアは強いチームだ。しかし日本も充分に強いチームなのだ。ビドゥカとキューエルをどう抑えるか。確かにこれは最重要かも下ろう。しかし忘れてはいけない。1998年ワールドカップで日本代表守備陣はアルゼンチンのバティストゥータとクラウディオ・ロペス、クロアチアのシュケルとブラオビッチ相手に、しっかりと戦って見せたということを。秋田と中西の両マーカーは世界的なFW相手に喰らいつき、チームに安定をもたらしてくれた。

現代表の中澤、坪井は彼らに引けを取らないすばらしいDFだ。足技の技術や世界での経験を考えたら、上回っているといえるだろう。ビドゥカ、キューエルが何だという。宮元の身体能力を疑問視する声も上がっているようだが、彼の闘志はチームに欠かすことが出来ない大事なものだ。

サッカーとはテレビゲームのようにパラメーターの高い選手を集めればいいサッカーができるわけではない。彼ら選手はそれぞれ人間なんだ。予選を勝ち抜き、メンバー選考を勝ち抜いて培かわれた彼らの経験と絆の深さは半端なでかさではない。日本の中盤は世界屈指のコンビネーションを秘めている。まだ解放されきれてはいない。しかし一度解き放たれれば、強豪国に一歩も引けを引かないすばらしい試合を作り出すことが出来るだろう。自分達から積極的にゲームを作っていく。そうすることが出来る能力を日本は秘めていることを信じなければならない。思い通りにワールドカップが進むわけがない。ワールドカップ予選3試合のどこかで必ず訪れるターニングポイント。引くことが出来ず、前に出るしかなくなるその瞬間。その時を楽しみにしている。出来れば最初から飛ばして欲しいとも思うが、監督の心中からすれば入りは慎重に行きたいところだろう。3バックもやむなし。それで勝てればオッケー。うん。


相手のここが強い。相手のここが怖い。負けるんじゃないか。そんなことばかりいっていても仕様がない。ブラジルだって負けることはある。どんなチーム相手にでも勝てるチャンスがある。ワールドカップは一発勝負じゃない。オーストラリア戦は勝たなくてはいけない試合だろう。それなら、勝てることをかんがえるべきだ。どうすれば勝てるのか。それを追いかけるべきだ。

代表選手、スタッフ、サッカー協会だけではなく、日本のメディア、ファン、サポーター、全ての人々が勝つために必要なことを論じていこう。向こうの方が背が高い。パワーがある。じゃぁどうすればいいのかを考えていこう。ワールドカップは国を挙げての戦いだ。選手の力をどれだけ呼び起こせるか、全力で戦える下地を整えて挙げられるかはとても大事。日本には過去2大会のワールドカップでの経験がある。そしてそうした裏方の人々の経験値というのは、すごいのだ。食事の準備からホテルでの生活サポート、フィジカルを試合当日に100%に仕上げることが可能なのだ。ワールドカップでの経験はクロアチアも3回目、オーストラリアは32年ぶりだ。現スタッフの全てがワールドカップの何たるかを知っているとは思えない。あらゆるスタッフが100%の仕事をしてのけるとは思えない。この裏方争いでは日本はすばらしい成績を残せると思う。10年以上一緒にやってきているスタッフがいるというのは何者にも代え難い財産だろう。ヒディングがどうした。こっちにはジーコがいる。ビドゥカが何だ。中澤が抑えきる。きっと勝てる。勝って見せる。まずはそれを信じて、それを達成するために何をすべきかを突き詰めていく。日本代表は俺達が思っている以上にタフなんだ。

頑張れ、日本。