横浜発 驢馬人の美食な日々

横浜在住の“ろば~と”が行くグラン・メゾンからラーメン屋さんまでのグルメなデータベース


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「小笠原伯爵邸」(☆☆☆)
http://www.ogasawaratei.com/
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 ここはモダンスパニッシュの殿堂。まさに夢の館。
 長く放置されていたという小笠原伯爵の本邸を1年半かけて全面改修し、レストランとしてよみがえらせたのは民間の力。

 まず料理は素晴らしいが、その建物の造りから管理するかたがたの遊び心も、出迎えてくれる接客もきっと心に深く残ります。
 
住所:新宿区西河田長10-10
電話:03-3359-5830
定休:年中無休
営業:11時半~15時/18時~23時
 
 立地が恐ろしい。まさに若松河田駅の上に近い場所に緑深い敷地。黒い鉄格子の門からはいると樹木から降り注ぐ陽光と風のざわめきに包まれた西洋の建物そのものが建っています。
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 曾根中条建築事務所による1926年の設計。建築が竣工したのは昭和2年。スパニッシュ様式の館で、設計者の銘が庭側の壁にタイル張りで入れられていました。
 掻き落とし仕上げと呼ばれるクリーム色の外壁にエメラルドグリーンのスペイン瓦。鮮烈な色合いではなく、すでに風雪で色褪せていますが、日本に無いこの色がとても素敵に見えます。
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 入り口は装飾された石作りの門。その上にはすりガラスを張り込み、模様が入った鉄製のひさしが。玄関前の植え込みは左右形の違う鳥形ですね♪ こんなところに遊び心が潜んでいたのに気がついたのは帰るときでした。随所に鳥が隠れていますので、それを探すのも面白いかも。


 絨毯敷きの入り口から鳥籠の欄間のあるガラスの扉へ。両側には豪華な燭台。
 スタッフは車を降りる時点でお客を丁寧に出迎えており、扉を開けてロビーに案内してくれる。天井にはステンドグラスが美しい丸窓。レセプションがここにはあります。
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 両親が着くまでの間、グランドサロン(旧食堂)で待つ。ズンと中央に構える重厚なテーブルはその当時のもので、脚にメロンレッグと呼ばれる装飾が施され真ん中から1.5倍に伸びる機能がついています。
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 その横はラウンジ。応接間だったみたいですね。アンティークなソファにスタインウェイのクラッシックなグランドピアノ。

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 その右手にメインのダイニングが。居間と書斎だった場所で、昨今のメインダイニングからすると天井が低い分見栄えはしないかも。ただ、ぼくらはここでいただかなかったのでお部屋の雰囲気はわかりません。

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 ぼくらは全員揃ったところで、建物の中心に位置する中庭のパティオを見ながらぐるりと回り個室へ。

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 サイトにはこの建物の詳細が細かに書かれているのですが、この個室は不思議と記載されていませんね。6畳ほどの小部屋で、縦に長い窓がふたつ。
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 装飾のされた鉄格子の向うに緑とパティオが見えます。
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 白いテーブルクロスのテーブルの上には渦巻きを模したような柄の四角く大きな皿。見せ皿だと思っていましたが、最後までこの皿の上にすべての料理がのせられます。椅子は藤を編み、クッションを添えた席を娘のために用意してくれたようです。大人は革張りの重厚な椅子で。
 
Dinner Menu 10500円
 このお店の料理はヌオーバ・コシーナ(新しいスペインの家庭料理)とのこと。レストランはコースしかなありません。カフェの方はアラカルトでいただけます。
 昼ですが、夜のメニューが食べたいと我がまま言いまして、夜のメニューをいただいております。
 料理の内容はエル・ブジスタイルのモダンスパニッシュ。ネットの情報によると料理長はエル・ブジで7年修行された日本人。
 食器はCIM社の高級白磁ola(波)シリーズでこれもエル・ブジと同じだそうですね。
 
アペリティーヴォ Aperitivos
 食前酒の意味らしいですが、ここではスプーンによる一口前菜のことを言うのでしょうか。
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 白く平たい陶器のスプーンに、レモンとトマトのジュレ、薄切りのカラスミ、ムース状に泡立てたエキストラバージンオイルのソースです。トマトの甘い酸味とレモンの爽やかな酸味にカラスミの塩気、オイルのまったりした口当たりが一口で食べることで混ざり合って楽しませてくれます。
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 もうひとつはピンチョ(串)です。串の先端にはヤギのチーズを粉にして焼いたせんべいのようですが、ドライトマトの粉をふり、刻んだ生ハムを加えることでピザ風の味にしています。

 
鯵のコンフィ アールグレイティー風味、ドライチェリートマトのプチサラダ Petit ensalada de jurel confitado al té Earl-grey y tomate cherry seco
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 右に小さな魚の切り身、これは鯵を低温の油により熱を加えたコンフィ。生に近く、しっとりした身で、表面にはアールグレイの茶葉の粉末が巻かれており、食べているとふんわりと紅茶の香りがします。
 左に葉物野菜、マスタードを使ったピリ辛のドレッシング。その脇に水分を飛ばしたチェリートマトも添えられています。
 
まて貝、文旦、パッションフルーツ、金柑のジュレ、イベリコベジョータハムのだしのアイレ Navaja, buntan, maracujá, geleé de kumquat, aire de dashi de jamón ibérico bellota
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 イベリコ豚の脂身と牛乳を混ぜた泡でマテ貝の切り身を被っています。牛乳の風味が甘くクリーミーで、塩気もついていますね。上には色とりどりのエディブルフラワー。
 面白いのは3つのマテ貝それぞれにフレーバーとして別々のものが添えられています。右からイベリコ豚の生ハム、中央は酸味の効いたパッションフルーツ、左は文旦のジュレが入っています。泡がうまくフレーバーを丸め込んでくれます。
 
カラメル味のチュッパチャプス Codorníz al punto de caramelo
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 チュッパチャップスというと棒の先端についたキャンディのことですが、これはそれをイメージした鶉の腿肉です。そのまま骨をつまんでいただきます。ソースはその肉汁にカラメルを混ぜ合わせた甘いソースに紅玉のジュレが下にしかれています。それらをすべてつけて食べる。木目細かでやわらかな鶉の肉はすぐいなくなっちゃう!
 
赤座海老、うに、黒トリュフのグラティナーダ、アーティチョークの温かいクレマ Cigala y erizo de mar gratinada,trufa negra, crema tibia de alcachofa
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 大きなお皿にほんのちょっぴりに見えますが、これが濃縮された美味しさの一皿。赤座海老の剥いた身の上に生雲丹をのせて、黒トリュフ入りの自家製マヨネーズソースをのせて焼いています。濃い赤座海老の旨味はほんのちょっとでも満足できる味わいです。添えられているのはムース状のアーティチョークに刻んだ小葱。軽い苦味のある軽やかなアーティチョークはクレマと称されるのに納得。

 
桜の香りをつけた春キャベツのコンソメ、フォアグラ、ペドロヒメネスのレデュクシオン Caldo de col de primavera, foie-gras,Pedro Ximenes
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 最初に出てくるのは白いお皿にぷっくりとしたフレッシュフォアグラのソテー。表面は薄くパリッとキャラメリゼしたように焼かれ、塩が振ってあります。香りをまずいただくと、フォアグラらしいなんとも言われぬ香気♪
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 ここに桜の葉の香りをつけた春キャベツのコンソメスープが注がれます。これはまた別の香りですね。黒褐色のスープを見ると、説明にはありませんでしたが最高のシェリー酒と評されるペドロヒメネスの色と香りのようです。
 まずはフォアグラを。切ると流れ出る黄金色の油。トロトロの極上品がこんなにたっぷり…とうっとりとします。ほぼ生じゃないの~という火の入れ方がまた良い。スープをかけることでフォアグラの香りが失せてしまったのは残念だけど、口に入れるとまた香りますね~。
 そして、溶け出した油が加わったスープもすくって飲む。桜の香りにペドロヒメネスの香りの複雑な香と味の共演は未体験ゾーンです。
 
大分豊後水道産ホウボウのコンフィ、テクスチャーをつけたジンライム、野菜のサンファイナ、ずんだ豆のピューレ Rubio cofitado al Gin-lime texturizado Sanfaina de hortalizas puré de alubia verde
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 これもまた低温調理のホウボウ。桜色で生に近いようなトロリとした仕上がりのホウボウはポワレも刺身とも違う独特の火の入り方。上にのっている泡のソースはパセリの緑色をつけられたバナナトニック。ホウボウの下にはジンライムのソースです。手が込んでいますね。
 横にはアスパラのソテーとずんだ豆のピューレ。ずんだ豆自体も柔らかく火を通され、周辺を彩っています。
 添えてある刻んだ野菜は煮込まずにさっぱりとソースにしてもいただけるカポナータ様のサンファイナ。お皿に撒かれた赤い粒はドライトマトを削ったものです。飾りではなく、混ぜることで味に直結しています。

 
3つのコクシオンで調理したどんぐりの木炭で燻したイベリコ豚の頬肉、その骨髄のスープで炊いたカピポタ、スペイン産アーモンドをカラメリゼしたプラリネTres cocciones de galta ibérica carbonizada, cap i pota de caldo de jamón ibérico,praliné de almendra caramelizada
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 どんぐりの木炭でいぶし、煮込み、最後に焼いて出すイベリコ豚の頬肉。ゴロッとした塊は箸で裂けるほどに柔らかく、脂身の無い赤身ですが、やはり香りが特徴的で素晴らしい味わい。塩がさらに振られているところがうれしい。下にはひよこ豆の煮込み。砕いたスペイン産アーモンドの香ばしいソースと肉汁を使ったソースの2種類のソース。
 
甲いかと豚足のアロス、明太子とセルフィーユのアリオリ Arroz negro de sepia y pie de cerdo, allioli de mentaiko y perifollo
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 これまた凄い一皿。基本はコクのあるイカ墨のリゾットです。この上に薄切りにしたゼラチン様の豚足を重ね、プリプリした半生の甲イカも絶妙。ここに明太子とチャービルを使ったマヨネーズ的緑のアリオリソース。豚足はやはりそれなりの臭みを感じますが、それを押しても特徴的な素材ですね。
 
モヒート Mojito
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 プラスチックのカップに。モヒートというカクテルをイメージした軽いデザート。
 ミントヨーグルトのアイス、文旦の葛寄せの上に発泡性のラム酒の冷たい泡をかけたものです。冷たくさっぱりと気持ちよいデザートでした。
 
バナナ風味のカルボナーラ、ブルーチーズとマンサ ニージャのブラウニー、文旦とシャルトリューズのアイス Carbonara de plátano, brownie de queso azul y manzanilla de Sanlúcar de Barrameda, helado de buntan y chartreuse
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 バナナリキュールを混ぜ込んだ寒天のカルボナーラに、ブルーチーズを練りこんだチョコレートケーキ。その上に文旦とシャルドネを混ぜ合わせたアイスをのせて、パリパリの超薄切りドライパイナップルを飾っています。アイスの縞模様はビンテージもののバルサミコのようでした。

 

プティフール Petit-fours
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 食後はコーヒーでしめました。プティフールはダージリンの香りをつけたチョコレートとほろりと崩れる落雁のようなキューブ。

 パンは2種類いただきました。

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 細長いバゲットとそば粉を使ったチャパタ。オリーブオイルは丁寧に小さなお皿に注いでくれます。

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 チャパタは娘にも出していただきましたが、むっちりしていて好みです。
 飲み物は当然ノンアルコールドリンク。ジンジャーエールなどもありますが、家内はピンクレモネードを注文。LORINAの瓶とともにレモンを添えたグラスに。
 
 ところで、途中で娘が飽きるので、外にいろいろ出ていました。まずは中庭から石の階段を上がって登る屋上。

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 テントを張ったお茶のスペースもありますが、一角は芝生に野生の苺が植えられた花畑もあって気持ちよい庭園になっています。間近に見えるスペイン瓦と壁に自然の緑がとても美しい。

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 2階はもともと屋根裏部屋的な色合いが濃く、使用人の生活スペースだったそうですが、そちらも扉を空けて中に入ってみました。現在はVIPルームのようになっています。結婚式などのときに活用されるそうです。
 

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 トイレウォッチャーですので、当然トイレも観察。白い陶器の手洗いに金色のクラッシックな蛇口。ここに生の花びらが撒かれているところが素敵。こんなところまで配慮しているとは。
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 トイレに行く手前にはサロン・ギャラリーという大きな会食の場所。鶏の絵が一杯飾られていますが、従業員の方の絵だそうですね。
 

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 シガールームはイスラム風喫煙室。漆喰彫刻に彩色を施した壁面に大理石の柱や大理石モザイクタイルの床。外壁には生命の賛歌をモチーフにしたといわれる小森忍の装飾タイルが復元されています。こちらの外壁は食事後にお庭を案内していただいてみることができます。
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 庭園には噴水と花畑。白い天蓋のガーデンチャペルのテントが張られていて、その奥には物凄いリムジンが白と黒で2台もありました。

 
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 こちらはメインの入り口の右脇にある入り口。

 カフェの入り口です。ここからパティオに通されてアラカルトの食事などがいただけるそう。

 

 で、ここまで触れてきませんでしたが、店に入るときから最後まで、接客の素晴らしさは記憶に残るくらいだと思います。子連れだったためもありますが、きちんとすべて見ていて、お客のニーズに合わせて接してくださいます。とくにサービスを担当してくださった百瀬さんには深く感謝しております。

 届くことのない御礼でしょうが、送っていただいた後もまた言いたくなります。

 ありがとうございました。

 

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