某月某日


ろあんの働いている工場は結構広い。いちばん奥のフロアになかなか
若くて可愛い女の子が働いていたが、最近結婚してしまったらしい。
しかも相手はたいしてカッコよくもなんともない男である。
つくづく残念である…。


その子がどうも甘木さんと重なって見える。放つオーラというか雰囲気
がどことなく似ているのだ。顔の作りも似ているような気がする。
20代前半の甘木さんはあんな感じだったろう…という気がする。

そこでろあんの直感が当たっているかどうかを甘木さんをつかまえて聞
いてみる事にする。


「あの…甘木さん、向こうのほうのフロアに甘木さんて子がいてなんか…
雰囲気が…」とここまで口に出して向こうのフロアで働いているのは甘木
さんじゃないだろ。とふと気づく。


「あーまってまってちょっとやり直し」「テイク2ね」


とやり直しを宣言。


「あの…甘木さん、向こうのフロアに○△さんって子がいてなんか甘木
さんに雰囲気とかが似ているんだけど…」


と質問してみる。案の定従姉妹ということらしかった。ろあんの感は
間違ってなかったわけだ。


「今の、ちょっとやり直しはなかなかナイスだった」と甘木さんから
お褒めの言葉を頂く。


この0.5秒ほどの間にあることを思いつく。


「じゃあ…もうひとつやり直し」

「この前ほら飲みに行こうって言ってたけど、駄目になったでしょ?
あれ…もう一度やり直して、今日明日とか今すぐでなくてもいいから
カレンダーみて休み重なりそうならまた誘ってもいいかな?」


「うん。今度は大丈夫だよ。」


と再度ゴーサインを取り付ける。この前駄目になったから、ちょっと
誘いにくいなぁ…どうしようかなぁ…とちょっと思ってたのでこれで
一安心。


一番早くて次の土曜日遅くて2月の中旬くらいになりそうな感じだ。