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アロマの消臭剤をとっても、気に入ってくださった患者さんは、高校生の頃の
病気から、下半身麻痺になっている。
時間が取れたら、脚のアロママッサージをしてあげたいなって思っていた。
先日、夜勤が安静で、早く終わったので、声をかけてみた。
好きな香りを選んでもらって、始める。
「ローズがいいな。」
ローズのオイルがちょうど、なくなってた。
「ローズのオイル、今度持ってきますね。」
「じゃあ、ベルガモットで」
「好きな音楽かけていいですよ。｣
「じゃあ、『風に吹かれて』をかけようかな。」
「いいですね。ボブ・ディラン好きなんですか？」
「浜田省吾がある曲の中で、言ってたから、ダウンロードしてみた。」
「もしかして、省吾お好きなんですか？私も大好きなんですよ
」
ということで、お互い省吾ファンであることが、判明した
縁があるのかなって感じた。
「今度は、省吾流しながら、マッサージしましょうね。」といいながら、
マッサージ始める。
「気持ちいいです・・・
脚の痺れが楽になります・・・」
「小さい頃にね、クララとハイジごっこを結構、真剣にしててね、
私はクララの役ばかりしてたから、ばちがあたったのかななんて
思ってた。」
「そんな、ばちなんてことないですよ。
そうだ、クララなら、また、歩けるようになるはず。
えっ、じゃあ、私はもしかして、ハイジ？！
じゃあ、今から、頑張ってみる？」
「マッサージ、とっても気持ちよくて、なんか、久しぶりにね、
、また、歩いてみたいなって感じた・・・
なんか、目の前が明るくなった感じがする。」
って彼女は言ってくれた。
最後に彼女とハグをした。
思い切り、強く、長く・・・
二人とも泣いてた。
彼女が歩けなくなって、３０年あまりが経ってしまっている。
もう一回歩くことは、難しいと思う。
でも、そのことも彼女はよく、分かっていて、それでも、
また、歩いてみたいって希望を持ってくれた。
それを大切にしてあげたいな、支えてあげたいなって思った。
何かが、変わるかもしれないし、変わらないかもしれない・・・
明日はとっておきのローズとネロリのオイルで彼女の足を
マッサージしたい。