政府は19日、宮崎県で猛威をふるう家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)の新たな対策として、川南町など県央部に設定された家畜の移動制限区域(発生地から半径10キロ以内)で、未感染の牛や豚約20万5000頭にワクチンを接種した上で殺処分することを決めた。これにより、区域内の全家畜が殺処分される。その外側の搬出制限区域(同半径10~20キロ)では、家畜をゼロにして感染拡大を防ぐ「緩衝地帯」とするため、早期の出荷を促す。対象農家には経営再開支援金などを交付することも決めた。

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 国内で口蹄疫のワクチンを使う対策は初めて。今回の対策には、少なくとも300億~400億円かかるという。首相官邸で開かれた政府の口蹄疫対策本部で鳩山由紀夫首相は「今まで以上に力強い対策を緊急にとる必要がある」と述べた。

 記者会見した赤松広隆農相によると、ワクチン使用は地元の首長や農協関係者の要望も受けて決めた。20日以降に接種を始める。対象の牛は5万頭、豚は15万5000頭。農家に支払う殺処分奨励金は1頭当たり牛60万円、豚3万5000円程度で調整している。

 宮崎県によると、感染・感染疑い例として殺処分が決まっている家畜は18日現在で約11万8000頭だが、処分済みは約6万7000頭にとどまり、未処分の家畜からウイルスが排出される状態が続いている。ワクチン使用で感染拡大のスピードを抑制し、殺処分頭数増加のペースを落とすことを目指す。

 一方、搬出制限区域の出荷促進策では、出荷適齢期に達しない段階で出荷したことに伴う損害を補償する。区域内で感染例はなく、現在も出荷が行われており、赤松農相は促進策を選んだ理由を「(政府側が肉を)買い上げて捨てるのは、汚染された物という前提になる。変な風評被害を生みかねない」と説明した。対象は牛1万6000頭、豚1万5000頭で、補償額は今後調整する。

 また、県西部のえびの市を中心とした移動・搬出制限区域も設定されているが、今回の対策は実施せず、別の対応を検討する。発生が極めて少なく、殺処分が遅滞なく行われ、ワクチン使用を地元側が求めていないことが理由。

 このほか、殺処分の際に家畜の扱いに慣れた人材が必要なため、県内の畜産農業者を雇い上げることを決定。感染が疑われた家畜に対する手当金交付の迅速化や消毒ポイントの見直しをするほか▽獣医師▽九州各県警の警察官が担う消毒要員▽埋却作業をする自衛隊員--の増員も行う。【佐藤浩、神足俊輔】

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