PC内を掃除していて、ブログにアップせずにほったらかしになっていた感想を発掘しました。

 私にしては、割と刊行されて時間をおかず(←あくまで当社比)読んでいたのに。

 今さら感もありますが、シリーズもののコージーミステリは遅れて参戦する人もたくさんいると思うので、アップしておきます。(自分の覚書のためにも!)

 お菓子探偵ハンナ第5弾。『ファッジ・カップケーキは怒っている』(ジョアン フルーク、上条 ひろみ訳/ヴィレッジブックス)。

 このシリーズの面白いところは、アメリカの架空の地方都市・レイクエデンが舞台となっているところでしょう。
 アメリカだと映画やドラマの舞台になるのは、NYやロスがほとんどです。

 私もアメリカはハワイとNYにしか行ったことがありません。
 アメリカ人にいわすと、ハワイはもちろん、NYは別の国みたいなもので、アメリカではあるけれどアメリカではないそうな。

 これ、重要です。
 多くのアメリカ人はNYやロス以外のところに住んで、コスモポリタンでもジェットセットでもない生活をしています。ご近所とつきあい、ご近所の噂話をし、町の小さな行事に参加して、地に足のついた楽しい暮らしをしているのです。
 そんなアメリカの地方都市の暮らしを体験できるのが、このシリーズ。

 アメリカの田舎には、最近日本では絶滅の危機の、濃い近所付き合いが残っているようです。
 シリーズに長くつきあってくると、自分までご近所の一員になった気がするんですね。
 アルツハイマーの父を持つ働き者のリサの婚約に「支えてくれる人が出来てよかったねえ」と近所のおばさんのように喜んだり、ハンナの口やかましいお母さん(未亡人)のロマンスに「まあ、つれあいを亡くしてから大分たつしねえ」と、近所のご隠居のように思ったりします。

 今回は、出勤できずにもんもんと頼まれもしない家事をしてしまうフレッドと、それに気が狂いそうなアレクが面白かったです。
 熟年離婚の原因って、案外、こんな感じかもしれません。
 日頃あまり家庭にいない旦那さんがべっとり家にいて、不合理に見えながらも一定のルールで管理してるものにイチイチ口をだされたら、主婦はイライラすること違いなし。
 現にアレクは心からご主人を愛してても、ハンナに
「気が狂いそうなの! 今すぐ来て」
 と、たびたび助けをもとめています。
 妊婦さんの精神衛生のためにも早く事件が解決するように、私も祈りました(笑)。
 小さなドラマが色々と発生している、ご近所ホームミステリみたいな感がありますが、それをだれずに見せているあたり、やっぱり面白いシリーズだなあ、と、思います。続刊ももちろん楽しみです。

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ロックオペラ「TOMMY」

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070321.jpg 昼はお友達の舞台。そして夜TOMMYと、はじめて1日に舞台2本見るという経験をしました。
 4時間越えの舞台とか見てて、トータル時間はそれより少ないのに、なんだか疲れました。

 でも、昼がセリフ劇でTOMMYがほぼセリフのない音楽劇だったので、いいバランスだったかも。
 
 TOMMY、なかなかに絢爛豪華なステージでした。
 主役の中川晃教くんの歌唱力はさすがなので、安心して見れますが、ローリーさんもナイス!
 ホント、変わらない。きっと20年後もあのままの気がする……と、友達と言ってました。まあ、私より確実に足が細いよ!(笑)
 右近さんの変態おじさんは、素敵でした。こんなにいきいきと楽しく変態おじさんが演じられる役者さんは稀有なんじゃないでしょうか。三重苦の少年が親戚の変態にいたずらされる……って、見てる方はなかなかにしんどいシチュエーションなわけですが、右近さんが演ってるせいで、ツラくない。娯楽作品だったら、これくらいおバカで私はオッケーだ。


 一番よかったと思うのが、ソムン・タクのアシッド・クイーンでした。
 太陽みたいな声。
 一曲だけなのが、心底もったいない。
 とりあえず、CD買ってみよう。


 楽曲は、よかったです。The Whoに「よかった」は、不遜な言葉かもしれないけど(笑)。
 さすがに世代は違うワケですが、あの時代のロックのアルバムもYesはじめ何枚も持ってるので、違和感ない……というより、楽しい。
 音楽的には、たぶん、いつもの新感線より自分に近いなあ、と、思わせられました。(岡崎司さんの音楽が悪いというわけでなく、嗜好の問題)


 あとは、もうちょっとチケット代が安ければなあ。
 いつも思うのだけど、せめて8,000円くらいなら、なんとか日頃舞台を見ない友達なんかも誘えるのに。

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 昔、私はモンブランを「おそばのケーキ」と呼んでいました。
 あの搾り出したマロンクリームがおそばに似ていたから。
 ……ふと思いましたが、モンブランの前に蕎麦ありき、だったんでしょうね。幼児の私。
 どんだけ江戸っ子だ(笑)。


 さて、モンブランの有名店といえばここでしょう。サロン・ド・テ・アンジェリーナ。
 1903年、ルネ・ランペルマイエがパリに開いたサロン・ド・テで、顧客にはココ・シャネルなど著名人もいっぱい。
 日本の支店は、銀座プランタンにあります。
 開店以来、プランタンの1Fにガラス張りのパリの雰囲気のある店として営業していて、その立地や形態から「気合入れてオシャレしないと茶もしばけない」と、私にはある意味敷居の高い店でした。(現在は、2Fに移動)
 お友達がケーキが食べたいというので、たぶん、店舗には初めて入店。(お土産したことはあった)


 やっぱりここではモンブランを食べなきゃ!
 ……ということで、私はモンブランを注文しました。


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 ちなみに季節の紅茶を出してくれてまして、今は桜でした。
 季節限定に弱いので、飲み物はこちらをオーダー。


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 桜の塩漬けが入っています。

 もしかして、桜の塩漬けを買えば、おうちでも桜ティーは楽しめるのか!?



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 友達は、これまた季節限定モンブランの「桜モンブラン」をオーダーしてました。粉砂糖がピンクです。


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 これは別のお友達が頼んだケーキ。刺さっているオレンジ色はにんじんぽいですが、チョコだそう。


 ここのモンブランは、ずっしり詰まった感じなので、食べた感がものすごくあります。

 でも、家に帰って、その日お泊りの友人達と、また別のケーキを食べたという。

 別腹……というより、もしかして、満腹中枢がおかしかったのかも(笑)。


 甘くて美味しい一日でした。

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おくやみ

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 全然別件で検索をしていて、翻訳家の浅羽莢子さんが昨年9月に亡くなられていたことを知りました。


 色々なジャンルの翻訳をされていたので、一度くらいはこの方のお仕事の本を手にされた方も多いでしょう。
 私の好きなアン・マキャフリィ作品も多数、手がけていらっしゃいました。


 海外翻訳が好きな方なら、
「このシリーズは、この人の訳出じゃないとイヤ」
と、いう経験が一度くらいあるかと思います。
 翻訳家のお名前にあまり詳しくない私も、そういうことを思ってしまったりする、浅羽さんは、そういう翻訳家でした。


 もう、卓越した言語センスの、あの翻訳が新しく出版されることはないのだなあ、と、思うと寂寥感があります。
 たしか、まだ50代だったはず。
 最近、50代の方の訃報が相次いでますね。まだまだ、活躍できたご年齢なのに……と、思うと、とても残念でなりません。


 浅羽莢子さんのご冥福をお祈りします。

 これもずいぶん前に読了していたもの。(多いな、こういうの)
 『ロマンス作家「殺人」事件』(エリザベス・ピーターズ、本間有訳/扶桑社ミステリー)


 分類するとユーモア小説の中に入りますが、ちょっとそれだけではもったいないので、自分のためのメモ書きの意味も含めて感想書いておきます。


 ニューヨークで開催中の、歴史ロマンス作家大会にもぐりこんだジャクリーン。そのパーティの真っ只中、参加者のスキャンダルを追っていた女性コラムニストが変死を遂げる。自然死か、それとも殺人か。容疑のかかる作家や出版関係者は、いずれおとらぬクセモノぞろい。奇人変人の群れをかいくぐって、素人探偵がたどりついた事件の意外な真相とは? 

 『ベストセラー「殺人」事件』に先立つジャクリーンの大活躍。

 MWA賞受賞作家による大好評ユーモア本格ミステリー第三弾。


 作者について調べてみたら、バーバラ・マイクルズの別のペンネームでした。
 バーバラ・マイクルズといえば、『不思議な遺言』ですよ。これ、女性が主人公だし、素材がアンティーク・ジュエリーだしでコージーミステリと思われたかもしれないけど、面白かったのに。
 オススメしたいところなんですが、絶版なので、もし興味あれば古本屋で探してみてください。


 で、本作ですが、ジャクリーン・カービーが主人公のミステリの3作目……ではなく、たしか5作目。翻訳小説だと、一番人気のものから訳出されたりするのがクセものです。
 ジャクリーンは、初登場の時は大学の司書(リチャード三世「殺人」事件 )。次に登場した時は売れっ子の作家になっていて(ベストセラー「殺人」事件)、あまりの変わりぶりにびっくりしました。
 ジャクリーンが作家に転身したきっかけとなった事件が、この作品では語られます。


 舞台は、アメリカのロマンス業界。
 ……。
 ……ちょっと待って!
 ロマンス業界って、ちょっとバカに出来ない規模の産業(?)なんですよ。某ロマンス作家は、1文字タイプするごとに2ドルになるという逸話があります。日本語と英語だから少し違いますが、400字詰め原稿用紙1枚の値段でも暗算してみてください。ちょっと、びっくりする金額です。
 お金が動くところというのは、人々の思惑も様々にからみついていたります。
 そんな色々な、ねっとりした思いが渦巻くところを描いたのが、この作品。


 なんといっても、燃えるような赤毛の主人公、ジャクリーンが小気味いい。
 もう成人した子供がいるのでそれなりの年のはずなのに年齢不詳。恋人はいるけど、その恋人によっかかることもしない、そしてかなり毒舌。
 これくらいのキャラクターじゃないと、魑魅魍魎跋扈する、毒とお花畑が共存するロマンス業界とは渡り合えないのかもしれません。

 あと、作中では、イタいファンを登場させています。この描写がイタくて気持ち悪い。それでいて、そんなイタさも、きちんとフォローしているので、後味もそれほど悪くならないのがよかったです。


 少し前ですが、日本のロマンス業界の裏話を聞く機会がありました。(なかなかにドロドロでこわいお話でしたよ)
 お金が動くところの人間模様って、アメリカも日本もそれほど変わらないのもしれません。
 

 ミステリとしての面白さという点では、正直いってそれほどでないのですが、それ以外の部分が面白くてするすると読んでしまった一冊『アンティーク鑑定士は見やぶる』(エミール・ジェンキンス、田辺千幸/ランダムハウス講談社)。

 古今東西色々な探偵がいます。スケルトン探偵、建築探偵、お菓子探偵……。
 この本の場合は、アンティーク探偵でしょうか。


 主人公のスターリング・グラスは、新聞にコラムも持っている鑑定士。
 ある日、NYからかかってきた鑑定依頼の電話は、スターリングを思ってもみない混乱の日々に巻き込んでいきます。


 作者は現役の鑑定士だそうです。現場の人ならではのアンティークへの知識が、そこここに散りばめられています。
 章の頭には、アンテイークに関する新聞コラムが載っていて、スターリングの原稿という体裁を取りながら、章のお話とも連動しているのが心にくい。
 鑑定団は良く見てるはずなのに、この本で初めて知ったこともたくさんありました。
 パートナーズ・ビューローや、セクレタリー・ブックケース……。


 私がアンティークの知識以上に面白かったのが、人間模様です。
 たぶん、作者は鑑定士として、アンティークとそれを巡るドラマを見てきたのでしょう。かなり色々なタイプの登場人物が出てくるのに、どの人も顔が見えるように感じるほどです。
 特に、鑑定を通して知り合うソロモンや、クレイトン夫妻のようなシニアがいい味。切ない味わいがしみじみとせまりました。


 次回作が出れば、たぶん読む。
 そんなコージーな一冊。

デブラ・ウィンガーを探して

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 あんまりドキュメンタリーって好きじゃない。お金を払うなら、日頃の生活と全く違う時間を味わいたいから。

 そんな私がこの映画を見たのは、タイトルに惹かれて。
 タイトル選手権があれば、私は審査員特別賞を上げたいです。今では誰か知っているが、見る前はデブラ・ウィンガーをよく知りませんでした。
 それでも、このタイトルには、むちゃくちゃ引きがある。
 デブラ・ウィンガーって誰?
 どうして彼女を探すの?


 そんなわけで見てみたら、割と……予想しないくらい面白かったです。
 40代になって、仕事と家庭の両立について困難を感じている、ロザンナ・アークェットが、色々な女優にインタビューするという内容です。
 女優たちはそれぞれの悩みを持って、語る……のだが、そこはさすが女優。どいつもこいつも自己主張が強い。明らかに本筋でない話をしだしたり、と、その演技しない存在さえ「女優」という生き物なのだなあ、と、思い知りました。

 「女優」というのは普通の人間にはムリだ。

 あれは、ごく一部の「女優」の素質のある人にだけ、出来る職業だ。少なくとも、ハリウッドではそう。
 素質というのは、何も誉めてるわけじゃなくて、その中には、一般社会でいれば壊れた人と言われる脆さや危うさだって含んでいるものだと思います。
 演じることというのは、たぶん、そういう危険を持った出来事なんでしょうね。


 ただ一人、男性のインタビュー(ロジャー・エバート)が入っていて、ハリウッドの現実をあっさり語っていました。
 いい意味でも隙間家具の集合みたいなこの映画で、そこだけきっちり身のあるインタビューなあたりが皮肉で面白かったです。
 今、若者の嗜好が昔と変わっている、と、彼は語るのですね。
 今の17歳が求めるのは、セクシーな女じゃなくて強い女だ、と。
 なかなか面白い皮肉で、笑ってしまいました。


 女優達が、映画の中で嘆く男性社会の映画業界。その男性社会は「強い女に庇護されたいと思う男」に世代交代していくみたいですよ?


『デブラ・ウィンガーを探して』
Searching for Debra Winger(2002/米)


監督:ロザンナ・アークエット
製作:ロザンナ・アークエット、デヴィッド・コディコウ、ハッピー・ウォルターズ、マット・ウィーヴァー
製作総指揮:マーク・キューバン、トッド・ワグナー
撮影:ジャン・マルク・バール、オリヴィエ・ブークルー、コート・フェイ、ジョーイ・フォーサイト、ネイサン・ホープ、マイケル・G・ウォシェシャウスキー
出演:パトリシア・アークェット、ロザンナ・アークェット、エマニュエル・ベアール、カトリン・カートリッジ、ローラ・ダーン、ロジャー・エバート、ジェーン・フォンダ、テリー・ガー、ウーピー・ゴールドバーグ、メラニー・グリフィス、ダリル・ハンナ、サルマ・ハエック、ホリー・ハンター、アンジェリカ・ヒューストン、ダイアン・レイン、ケリー・リンチ、ジュリアナ・マーグリーズ、キアラ・マストロヤンニ、サマンサ・マシス、フランシス・マクドーマンド、キャサリン・オハラ、ジュリア・オーモンド、グウィネス・パルトロウ、マーサ・プリンプトン、シャーロット・ランプリング、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、テレサ・ラッセル、メグ・ライアン、アリー・シーディ、エイドリアン・シェリー、ヒラリー・シェパード、シャロン・ストーン、トレイシー・ウルマン、ジョベス・ウィリアムズ、デブラ・ウィンガー、アルフレ・ウッダード、ロビン・ライト・ペン