聖骸布血盟・下

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 うわ、こうオチをつけるのか、と、意外だった『聖骸布血盟・下』(フリア・ナバロ 、白川貴子訳/ランダムハウス講談社文庫)。
 意外だったことは意外だったけど、満足してるかは別の話になります。
 ここいら、『ダ・ヴィンチ・コード』のダン・ブラウンならこう書かないだろうなあ、と、面白く思いました。すごくダン・ブラウンはハリウッド式の物語を作っているんだなあ、と、変なところで納得。
 好みの別れるラストでしょう。


 裏表紙のストーリー紹介で“舌のない男”の焼死体と出てきたので、どんなに惨殺死体なんだと読む前は思っていました。読んでみたら、“舌のない男”が何人も出てきました。男達はある信念の元、自らの舌を切り落とすことを選択した人達なのです。
 このエピソードは非常に重苦しいもので、この物語全体を体言しているようです。
 宗教は人を救うのか、という重苦しい命題がストレートではないにしろ、見え隠れしています。
 ここいら、宗教に関してノンポリの日本人にとっては、本当に理解不能なところでしょう。


 あ、聖骸布の炭素年代測定で中世と出たことへの理由付けは面白かったです。

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聖骸布血盟・上

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 読んでいたのは2月で、まさに渦中の場所だったのに、それには全く気がつかなかったという『聖骸布血盟・上』(フリア・ナバロ 、白川貴子訳/ランダムハウス講談社文庫)。


 トリノが舞台です。
 オリンピック開催地だったのでTVのトリノ特集も多かったはず。(私は見ませんでしたが、「世界不思議発見」で聖骸布の謎をやったって本当?)
 たぶん、TVや雑誌で一度はご覧になった方も多いと思います。トリノの聖骸布。
 キリスト教世界には、山ほどイエス・キリストの聖遺物というのが存在しますが、その中でもトップクラスの知名度でしょう。
 麻布に浮かび上がる男性の姿。その姿はイエスと同じ場所に傷があり、処刑後、イエスの体を包んだとされています。
 1988年に行われたC14炭素測定法による検査で聖骸布は1260年代から1390年代のもの、と測定されましたが、依然、トリノの聖骸布は謎に包まれているのです。


 キリストの聖骸布が保管される、トリノ大聖堂で火災が発生。焼跡から発見されたのは、“舌のない男”の焼死体だった。その2年前同じ聖堂で逮捕された窃盗犯にもやはり舌がなく、指紋もすべて焼かれていた。
 美術品特捜部部長マルコは、二つの事件の関連を疑い捜査に乗りだす。
 だがこれは、やがて世界を震撼させる恐ろしい陰謀劇の序章にすぎなかった……。
 聖骸布をめぐる謎と歴史のうねりが織りなす、歴史ミステリ巨篇。


 この物語は、聖骸布をめぐり、過去と現代が交錯する物語です。
 過去との交錯というと私の大好きなゴダードがよく使うのですが、ゴダードの幽玄さに比べたら、もっと輪郭がくっきりした感じ。過去の方が鮮やかに感じるくらいです。
 現在編との違いを考えると、過去話の登場人物はイエスの教えに殉じてる人であることが大きいような。


 作者はスペイン人で(ということは、たぶんカトリックだと思われる)、英米とはまた違ったキリスト教観になるんじゃないかと思うので、後編も楽しみ。

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天使と悪魔・下

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 そういえば、これもずいぶん前に読了して感想を書いていなかったのでした。『天使と悪魔・下』(ダン ブラウン、越前敏弥訳/角川書店)。


 結論からいうと、面白かったです。
 実は私、前から法王の出てくる話を書いてみたくて「へへん、宗教にルーズな日本に生まれてよかった!」などと思っていたわけです。
 でも、ダン・ブラウンに見事にしてやられました。
 なんなのかしら、この自由さは(笑)。
「え!? いいの?」
という、オチにびっくりしました。
 オチの意外性というより、「え、こんな展開にしちゃって、バチカン怒らないの?」的なびっくり。
(「熱心なカトリック、刺客差し向けてこない?」というびっくり)


 うきうきするような冒険活劇というなら、この作品はオススメです。
 永遠の都ローマを縦横無尽に駆け抜けるスピード感にうきうきしました。
 また、ローマに行くことがあるなら、この本(その頃には文庫が出てるだろう)を持って行きたいです。


 絵的な派手さが存分にあるこの作品、もしかしたらもうすぐ公開される『ダ・ヴィンチ・コード』より、映画向きかもしれません。

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