治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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【要約】

・ 牛肉の特別セーフガードが発動された。これは法律で決まっている事。

・ ただ、今の制度には若干の違和感あり。

・ いずれにせよ、アメリカの苦情に対しては「TPPに入っていたらこんな事にはならなかった。」と言い続けることが必要。

 

【本文】

 久しぶりに冷凍牛肉の特別セーフガードが発動されました。

 

 これは何かと言うと、前年度4半期に比べて輸入量が17%以上増えたら、自動的に牛肉の関税が38.5%から50%に上がるというものです。ウルグアイ・ラウンド交渉の際、牛肉の自由化を迫られ、日本は国際的に約束している関税率は50%なのですが、自主的な措置として38.5%まで下げるとしたものです。しかも、国内産業への影響の有無は発動要件ではありません。アカデミックな視点からは、国際的に約束する関税率を38.5%にしたわけではないというところが大きいのですが、そこはあまり触れません。

 

 そして、今年の4-6月の冷凍牛肉の輸入量が昨年同時期に比して17%以上増えたので、自動的に関税が11.5(50-38.5)%だけ上がります。勿論、国内におけるアメリカ産輸入牛肉の価格アップになります。オーストラリア産については、日豪EPAで別途の取り決めをしているので、そもそも輸入量の算定からも、セーフガードの対象からも外れています。EPAが成立していない米国、NZ、カナダの牛肉は対象になります。

 

 何故、そんな事になったのかというと、主として2点あります。豪州の旱魃で豪州産牛肉の品薄感・割高感が出た事、中国が米国産牛肉の輸入再開を決めたため、品薄感が出る前に在庫を積み上げかったという事があります。よく業者さん達がやるのが、「輸入を増やす時はセーフガード発動ギリギリの所で輸入を止めて、次の四半期に回す。」という事なのですが、そんな考慮すら吹き飛ばすくらい上記の事情が重く圧し掛かったのだと思います。

 

 過去にこの牛肉特別セーフガードが発動されたのは2003年。この時はBSEで輸入量が下がっていた所からの回復期で輸入量が増加したためでした。発動した時の輸入量は、BSE発生前の輸入量より少なかったのに発動されてしまった事から、この時は相当にアメリカから苦情を言ってきました。個人的には、そういう特殊事情を全く考慮せず、2003年や今回のように国内産業に影響が無い可能性が高いにもかかわらず、国内消費者に高い牛肉を提供する事になる制度ってどうなのかなと思います。

 

 上記で述べましたが、オーストラリアとの間ではEPAの中で別途のセーフガードの取り決めがあります。これは説明し始めると複雑なので止めておきますが、独自のルールを定めています。今、豪州産牛肉は着実に関税率が下がっていっており、最終的には冷蔵は23.5%(発効から15年後)、冷凍は19.5%(発効から18年後)まで下がる事になっています。そして、独自の発動基準を超えたら38.5%まで戻す事になっています(50%ではない。)。しかも、この発動基準はどんどん量が増加していく事になっているので、将来関税は下がっていくけど、セーフガードは発動しにくくなるという仕組みです。

 

 実はTPPでも似たような仕組みを導入する事になっていたのです。TPPでは、①最終的(発効から16年後)に9%まで下げる、②発動水準は増えていく(日豪と同じ仕組み)、③発動後の関税率も下がっていく(日豪にはない仕組み。発効から16年後ではセーフガードを発動しても関税率は9%→18%にしかならず、更に将来的な廃止も視野。)という事になっています。勿論、WTO協定で決めた牛肉セーフガードとは完全に切り分けられます(が牛肉輸入相手国のほぼすべてがTPP加盟国なので、TPPがアメリカを入れて発効すると、事実上今のWTO牛肉セーフガードの仕組みはTPPに取って代わられます。)。

 

 この件については、麻生大臣の言っている事が正しいです。「そんなに文句があるならTPPに入れば良かったじゃないか。」という事です。実際、TPPが発効していたと仮定するなら、今回の牛肉セーフガードは発動されなかったはずです。

 

 私は、日本政府はこのポジションを絶対に崩すべきではないと思っています。「おたくがそんなに牛肉で豪州との競争関係を気にするのなら、TPPを発効させてイコール・フッティングでやればいい。」と言い続ける胆力を持つのはとても大変です。米国は二国間協議で相当に「TPPと別枠で国内制度を変えろ。」と圧力を掛けてくるはずです。ここは新任の斎藤農相に期待したいと思います。

 

 以前も書きましたが、TPPが発効しなければアメリカの牛肉農家はジリジリし始めます。しかも、牛肉農家が多いのは、トランプ大統領が勝った州ばかりです。早晩、牛肉を巡ってアメリカとの軋轢が出来るのは想像出来たことです(セーフガード絡みだとは思いませんでしたが。)。

 

 本件は「筋を通す」べきポイントです。どうも発動基準の見直し、例えば四半期毎の算定ではなくもっと長期(半年等)での算定、を考えている節があります。現在の制度の発動状況を見ると、それくらいなら仕方ないかなという気もしないわけではないですが、こういうのは蟻の一穴です。一度譲歩するとズルズル行きかねませんので、戦略を立てながらきちんとした対応をしてほしいと願います。

 

 外務省時代の経験から折角こういう事に詳しいのに、畜産が強い地域選出でないのはちょっぴり残念です(笑)。

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