治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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 何となく盛り上がっているようで、あまり盛り上がっていない日EU経済連携協定ですが、先日党内で聞き取りをしました。その中で幾つか気になっている事を質疑しました。

 

 その中でも、大きいだろうなと思うのは「英国の扱い」です。今回の交渉では英国を含む形で交渉を行っているとの事でした。しかし、いずれBREXITでEUから離れていくわけですから、どういう結論であろうとも少なくとも現在の関税同盟からは外れます。となると、そもそも現在EUの単一権限で交渉している範疇から外れます。

 

 なので、日EU経済連携交渉が纏まったとしても、英国が抜けた段階で再交渉が必要となります。特に農林水産品で関税割当を設定しているものについては、英国分については関税割当の枠を小さくする事になるでしょう(でなければ、英国分について過剰な割当枠を提供している事になりますので。)。国会承認との関係でも、日EU経済連携協定、(数年後に)再交渉分と2回掛かって来る事が現時点で既に確実なものとなっています。始めから再交渉が確実な協定というのも若干奇妙な感じはします。

 

 それ以外にもEUにおける金融機関のシングル・パスポートの扱いがどうなるのか、という事も気になります。これは、EUに加盟するいずれかの国で免許を取得した金融機関は、他のEU加盟国においても金融商品の販売や支店設立などの業務が認められる制度でして、日本の金融機関は英国を入り口としてEUに入っていっているケースが多いので、ここがおかしくなると日本には影響大です。ここは日英間でも議論しているそうです。

 

 その他、「和牛」、「日本茶」、「日本酒」といった地理的表示、商標、名称を保護する事は出来ないのかなという思いがあります。日本の仕組みではこれらの名称は保護されていません。例えば、現在国内法では「球磨焼酎」、「八女茶」といったものを地理的表示として保護していますが、多分、そういう名称を保護してもEU市場ではあまり意味がないと思うのです。むしろ、「Japanese Shotchu」、「Japanese Green Tea」という事で変なものが出回らないようにすれば、少なくとも当面はそれで十分のはずです。

 

 「和牛」についてはかなり一般名称化しており、世界に日本産でない「wagyu」が既に相当に広まっていますので(例:Australian Wagyu)、今更地理的表示で保護する事は難しいようです(カマンベールという名称をフランスで保護しようとしたら既に一般名詞化しているのでカマンベールは保護されないというのと同じだと思います。)。ただ、「スコッチ・ウィスキー」が地理的表示で保護されているのであれば、日本茶、日本酒くらいは何とかならないかなという話です。

 

 現在の交渉でEUからはかなり大量の地理的表示を保護しろ、と言ってきているはずです。特にフランス、イタリアあたりはうるさいです。逆に先日、デンマーク政府関係者と話したら、あまり思いがありませんでした(逆に豚肉には強い思いがありました。)。いずれにせよ、この件では向こう側の取り分が大きいのですから、我が方も少しくらい無理を言って良いのではないかと思います。

 

 あと、日本はEUとの交渉開始時点で「前払い(down-payment)」をしています(公正性を期すため、これは民主党政権時にやった事を明記しておきます。)。主なものとして、①先進安全自動車技術指針の見直し、②情報を一元的に英語で提供する政府調達の運用改善、③建築用木材の基準強度に関し欧州規格との同等性、④医療機器の品質管理基準を国際基準に整合させる、といった話です。交渉入りの条件として、日本はこれらを約束しています。

 

 最近、日EUのEPA交渉について色々な人と話した際、この「前払い」の話をしたのですが、与野党含め、誰も本件を覚えていないようで一様に驚いていました(笑)。TPPの時は「前払い不可」でかなり盛り上がったのにな、といつもその格差に驚きます。交渉入り前にこの譲歩をしたことは、当然、交渉結果全体のバランスの中で勘案されなくてはなりません。そこは役所側に釘を刺しておきました。

 

 TPPが大変な交渉であるのと同じくらい、EUとの交渉も大変です。それにも関わらず、国内の関心が格段に違う事にとても違和感があります。国会で鋭意議論していきたいと思います。

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