治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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 共謀罪法案については、私も一度委員会質疑に立ちました(ココ)。「テロリズムの定義」の部分について、その定義がおかしな事になっている事は、このブログで2度指摘しました()。

 

 上記で引用したブログの内容を簡単に要約すると、法案にテロを押し込もうと無理をしたため、結局「主義主張」の部分を無効化しないといけなくなったのです。テロ犯罪集団が持っている主義主張は、すべてテロの定義における特定の主義主張になるわけですから、結果としては無効化されてしまいます。世界の様々なテロの定義を私も学びましたが、主義主張の所が欠落している定義はありません。そういう意味で、今回、日本は恐らく世界の何処にも存在しない極めて広範なテロの定義を採用したことになります。

 

 しかも、他法令においても、横並びで意味合いをそろえなくてはならないので、特定秘密保護法等の他法令においても、主義主張の部分を無効化する事をやらざるを得なくなりました。今回の共謀罪法案に無理をしてテロを押し込んだ事は色々な歪みを生じていると思います。

 

 では、国際組織犯罪防止条約とテロとの関係は本当の所どうなのか、という根源的な問いが出て来ます。私の質疑ではその部分も勿論、聞いています。

 

 まず、大前提として「国際組織犯罪条約とテロリズム犯罪との間に強い関連性(link)がある」という事を私は否定していません。ただ、「関連性がある」というのは双方は別概念であることを示唆しており、国連事務総長も「区別されるけど、その違いは不明確である。」と言っています。であれば、「テロ犯罪を含む国際組織犯罪」という言い方は誤解を招きます。何処まで行っても「テロ犯罪の一部を含む国際組織犯罪」でないとおかしいのです。

 

 また、国際組織犯罪防止条約の前文にはテロリズムと言う言葉は一度も出てきていません。前文に無いという事は「テロ防止」を目的とはしていないという事です(これは国際約束や安保理決議の常識です。)。更には、国際組織犯罪防止条約には、通常のテロリズム関連条約に含まれる、テロの対象となる人々の心理に関連する文言(例えば「intimidate」)が出て来ません。つまり、条約の作り全体がテロ防止を目的とはしていないという事です。

 

 しかし、繰り返しますが、「国際組織犯罪とテロリスト犯罪との間には強い連関性がある」事は事実です。ここから読み取れるのは何かというと、国際組織犯罪防止条約はテロ防止を「目的」としたものではなく、「結果」としてテロ防止に資する部分がある、こういう事だと思います。この「目的」でなく、「結果」であるという部分が重要なのです。

 

 これ、あえて簡単に言ってしまうと、「豆腐を作ろうと思って作ったら、おからが出来た。」というのを、「実はおからを作るのも目的だった。」と言い換えているわけです(実はこれはTPPの著作権章でも同じ議論をしました。)。「国際組織犯罪防止を行おうと思ったら、(部分的に)テロも防止できる事が判明した。」という事を、大転換して「実はテロ防止も元々の目的だった。」と言い換えているわけです。

 

 結果で引っ掛かるものを目的に転換していいのであれば、その呼び方はもう何でも可能です。究極、「殺人等準備罪」でも何でもよくなってしまいます。

 

 なかなか気付かない所ですが、上記のような理由から私は「テロ等準備罪」という呼称には無理があると確信しています。しかも、それを前面に立ててしまったので、冒頭書いたように「主義主張」を無効化する必要があり、結果として、世界の何処にも存在しない広範なテロの定義を作ってしまったのです。

 何故、そんな事をしたのか。簡単です、「テロと言っておけば、国民は反対しないだろ。」という思惑があるからです。それを私は質疑の冒頭で「hard cases make bad laws」と形容しています。今回の法律の評価はここではしませんが、手法として「hard case」を挙げておけば国民へのアカウンタビリティーが軽減されるという思いを政権幹部が持つのだとしたら、それはとてもとても危険な事だと思うのです。今回は法律が通ってしまいましたが、将来的にこういう手法が横行しないようにする必要があります。

 「真正保守」の方は、普通、こういう手法には激しく抵抗するはずなのですが。

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