治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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【このエントリーはとてつもなく面白くないです。通商法をディープに専門にしている方くらいしか関心を持たないはずです。なので、無理をして読んでいただく必要はありません。単なる私の備忘録です。】

 

 トランプ政権が検討し、諦めたっぽい「国境税」について考えを巡らせてみました。これは何かと言うと、特定の国から輸入したものに関税とは違う税を掛けるという考え方です。これはGATT第三条の「内国民待遇」の考え方に反します(それ以外にも幾つかWTO協定違反があり得るものですが)。

 

 それとの関係で、「日本がコメ、小麦、大麦、乳製品等に課しているマークアップというのは内国民待遇に反しないのだろうか。」という問が出て来ました。マークアップというのは関税ではありません。国内に入った後、徴収するものです。となると、国産品では徴収しないのに、輸入品で徴収しているというのは内国民待遇に反しないのかな、批判されていた国境税と何が違うのかなと疑問が湧いてきました。

 

【GATT第三条2】

いずれかの締約国の領域の産品で他の締約国の領域に輸入されるものは、同種の国内産品に直接又は間接に課せられるいかなる種類の内国税その他の内国課徴金をこえる内国税その他の内国課徴金も、直接であると間接であるとを問わず、課せられることはない。

 

 という事で、まず、質問主意書を出してみました。

 

【主意書その1】

一 関税及び貿易に関する一般協定(GATT)における次の用語の定義は如何なるものと政府として考えているか。
(一) 関税
(二) 課徴金
(三) 内国税
(四) 内国課徴金
 二 現在、コメ、小麦、大麦等に課されているマークアップは一の(一)から(四)までのいずれに該当するのか。
 三 マークアップとGATT第三条の規定の整合性について答弁ありたい。

 

【答弁書その1】

一について

世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定(以下単に「協定」という。)では、お尋ねの「関税」、「課徴金」、「内国税」及び「内国課徴金」について特段の定義規定は設けられていないが、例えば、協定第一条1では、「関税及び課徴金」とは、輸入若しくは輸出について若しくはそれらに関連して加盟国により課され、又は輸入若しくは輸出のための支払手段の国際的移転について加盟国により課されるものを指すものとして用いられており、また、協定第三条2では、「内国税その他の内国課徴金」とは、国内において輸入産品又は国内産品に直接又は間接に加盟国により課されるものを指すものとして用いられていると考えている。

 

二及び三について

お尋ねの趣旨が明らかではないが、御指摘の「マークアップ」は、協定第十七条4(b)についての注釈に定める輸入差益に当たるものとして、協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)に定める上限の範囲内で我が国政府又はその代行機関が徴収しているものであり、協定に整合的であると考えている。

 

 当初、この答弁書を読んだ時にちょっとムッとしました。ここで答弁しているのは「マークアップは輸入差益です。そして条約に整合的です。」と書いてあるだけです。そうではなくて、「内国民待遇との関係で問題はないのか。」という事を聞きたかったので、あえて、再度主意書を出しました。

 

【質問主意書その2】

「衆議院議員緒方林太郎君提出GATTの諸規定に関する質問に対する答弁書」に以下のような答弁がある。

 

二及び三について

お尋ねの趣旨が明らかではないが、御指摘の「マークアップ」は、協定第十七条4(b)についての注釈に定める輸入差益に当たるものとして、協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)に定める上限の範囲内で我が国政府又はその代行機関が徴収しているものであり、協定に整合的であると考えている。

 

一 マークアップは、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)における「関税」、「課徴金」、「内国税」、「内国課徴金」のいずれにも該当しないという事か。
二 何故、マークアップはその上限が譲許表で定められる必要があるのか。
三 マークアップが徴収されている産品は、GATT第十七条4(b)に規定される「第二条の規定に基く譲許の対象とならない産品」ではないのではないか。

 

【答弁書その2】

一について

お尋ねの趣旨が明らかではないが、先の答弁書(平成二十九年三月三十一日内閣衆質一九三第一四六号)二及び三についてでお答えしたとおり、御指摘の「マークアップ」は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの千九百九十四年の関税及び貿易に関する一般協定(以下単に「協定」という。)第十七条4(b)についての注釈に定める輸入差益に当たるものとして、協定の譲許表第三十八表(日本国の譲許表)(以下単に「譲許表」という。)に定める上限の範囲内で我が国政府又はその代行機関が徴収しているものである。

 

二について

お尋ねの趣旨が明らかではないが、御指摘の「マークアップ」を徴収することについては、ガット・ウルグァイ・ラウンドにおける関係国との交渉の結果を受け、譲許表のその他の条件欄に記載したものである。

 

三について

お尋ねの趣旨が明らかではないが、譲許表には、我が国政府又はその代行機関が御指摘の「マークアップ」を徴収している全ての産品が掲げられているところである。

 

 再度、どうもよく分からない答弁書が来たので、農水省と外務省を呼んで話を聞いてみました。聞いてみてようやく、上記の奥歯にモノが挟まったような答弁書の意味が分かりました。

 

 私なりに要約すると、以下のようなものでした。

 

● マークアップは「輸入差益」であるが、それが「関税」、「内国税」、「課徴金」、「内国課徴金」のどれに該当するかは言えない。

● マークアップは(WTO協定の一部を成す)譲許表に書き込まれているので、GATT整合的である。GATT整合的であるので、内国民待遇に反するか否かという問は成り立たない。

● (GATT第17条を読むと、輸入差益が徴収できるのは譲許の対象とはなっていない産品に限られるようにも読め、日本のマークアップはそれに反するのではないかという問に対し、)いずれにせよ、譲許表に書き込まれており、GATT整合的である。

 

 つまり、「ステータス的にはガリガリ詰めると相当に危ないけど、WTO協定交渉に際して、譲許表でこのマークアップを認めさせてきて、それを各国とも批准しているので条約違反の疑いはない。」、これだけでした。なので、答弁書が苦しかったのです。

 

 コメ、小麦、大麦、乳製品等の輸入に関して、業界関係者の方がよく口にする「マークアップ」。GATT・WTO協定上の根拠は、「譲許表に書いて相手に認めさせたこと」しか存在しません。フラットに見れば、内国民待遇に反しそうな内容のものですらあります。これを取ってきたのは大変だったろうなと、当時の交渉関係者の御苦労が本当に見え隠れするやり取りでした。

 

 今、マークアップについてその運用について色々と問題が生じてきておりますが(昨年のSBS米の騒動)、それが日本の保護ツールとして取れている事自体には喝采を送っていいのだと思います。

 

 書き終わってみて、改めて「本当に面白くない。備忘録以外の何物でもない。」と思いました。

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