委員会質問がなかなか回ってこないので、主意書による質問が続きます。なお、1972年資料、1981年答弁については、この資料の9ページ目を参照ください。

【質問】
一.  現政権は、1972年10月14日に参議院決算委員会に対し政府から提出された資料「集団的自衛権と憲法との関係」において表明された見解に従っているか。
二.  現政権は、1981年5月29日付の衆議院議員稲葉誠一君提出「憲法、国際法と集団的自衛権」に関する質問に対する答弁書において表明された見解に従っているか。

【解説】
 これは、以前の主意書答弁を踏まえたものです。最近の安倍総理の答弁も受けた問題意識です。

 最近、安倍総理の答弁を聞いていると、こういう感じのことを言います。時によって、少しニュアンスが違うのですが、概ねこういうことでいいのではないかと思っています。

● これまでの集団的自衛権に関する見解は、1972年の政府提出資料によるものだった。これは閣議決定も何もされていない(その後、閣議決定された主意書答弁はあるが、それは1972年の政府提出資料がベースとなっている。)。
● なので、今回、7/1は閣議決定することで集団的自衛権に関する見解をきちんと纏めた。

 ただ、外務省条約課に居た経験からして、これはちょっと違和感のある答弁なのです。私の感覚としては、少なくともこれまでの集団的自衛権に関するスタンダードな見解は1981年の稲葉誠一議員質問主意書に対する答弁書だったはずです。1972年資料の見解の後も、集団的自衛権のついての議論が続き、その集大成としての1981年答弁だというのが普通の安保法制の理解です。この答弁では、ここで集団的自衛権の定義が初めて行われております。

 なので、安倍総理が1981年答弁に言及することなく、1972年資料見解にばかり言及するのにはとても違和感があるのです。多分、昨年7/1閣議決定の肝の一つである「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」というキーワードが出てくるので、そちらを引用したいのでしょうが、それはこれまでの常識観とは食い違いがあります。

 ということで、1972年資料、1981年答弁のどちらも従っていますか、ということを聞いています。しかも、1972年資料の一部だけをつまみ食いもしていないですよね、という意味合いもあります。

 もっと言うと、先の私の主意書・答弁でも聞いたように、そもそも、今の政権は過去の見解、答弁全体に従った上で、7/1閣議決定をしているのかどうかすら、よく分からないのです。7/1閣議決定は、これまでの見解をベースにしているのか、むしろ上書きしたのか、それとも一部だけをつまんでいるのか、与党の方々の発言を聞いていると、その辺りが割れているようにしか聞こえないのです。

 最近、同僚議員から「おまえの主意書は単純なつくりのものが多いが、あれだけだと何が聞きたいのかがよく分からない。」とお叱りを受けることがあります。単なる細部を聞いて、自己満足するだけのような質問はしないようにしているつもりです。どれもそれなりの世界観をベースに聞いています。