政党支部、どれくらいあると思いますか。例えば、我が党で言いますと、私の選挙区にはまず福岡9区総支部がありまして、ここの代表は私です。そして、行政区毎に八幡西支部、八幡東支部、戸畑支部があります。政党助成法上も、政治資金規正法上も、これらすべてが「支部」に当たっています。


 政党助成法上、政党助成金の交付対象となり得る政党支部の数を調べてみました。平成21年1月1日現在、自民党7706、民主党566、公明党439、社民党272となっています。他方、政治資金規正法上、企業・団体献金を受けることができる政党支部についても調べてみました。対外的に発表されている数字は、政党別にはなくて、平成19年分で総数で8980でした。なお、共産党については政党助成金を貰っていないので、政党助成法上の政党支部を調べることができません。「赤旗」では、同党は22000の支部があると言っていますが、この内、政治資金規正法で届け出されているものはあまりないはずです。


 ちょっと複雑で申し訳ないのですが、この「(政党助成法上の)政党」と「(政治資金規正法上の)政党」というのは、若干要件が違います。若干のずれがあるでしょう。ただ、上記の数字を見比べる限り、恐らく相当程度近似的であるはずです。以下、そういう前提で話を進めます。


 ・・・と、ここまで来たところで、気づかれることがあると思います。自民党がムチャクチャ多いのです。何故、7706も支部があるのかということです。これは簡単なことでして、これら7706支部すべてが企業・団体献金の受け皿になっているということなのですね。現行法令上、政治家個人及びその政治団体が企業・団体献金を受けることができない中、今は政党のみが企業・団体献金を受けることができるようになっています。ここで言う政党には勿論、「支部」が含まれます。その結果、都道府県の議員、政令指定都市の議員くらいまでは、すべて支部を与えているのではないかと、私は推察しています(ここは根拠がありませんので、間違っていたらお詫びいたします)。


 以前も書いたことですが、政党のみが企業・団体献金を受けることができるというのは、とどのところ、政党本部から支部に亘り樹形図になるかたちで、その気になれば、一つの政党に対する企業・団体献金をすべて把握できるというメリットが想定されていたでしょう。しかし、それも政党支部の数が穏当なところに収まることが条件です。7706もの支部があれば、ちょっとそれは無理ですね。


 7706の支部を持つこと、これは違法ではありません。法律上は完全に合法です。だから、法令に沿って責め立てることはできません。ただし、常識的に見て「透明性に欠ける」というか、以下の政治資金規正法の趣旨に沿わないような気がしています。


【政治資金規正法第一条(目的)】

 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。


 多分、企業・団体献金がすべて禁止になれば、7706の政党支部はかなり意義を失い、終息・収束するでしょう。その時、この膨大な数の政党支部がどういう役割を持っていたかが明らかになると思っています。