ゾエの箱舟
テーマ:外政日本では全然注目されませんが、今、フランスでは「ゾエの箱舟(ARCHE DE ZOE)」というのが非常に問題になっています。これはフランス人を中心とするNGOです。思想的背景等は私にはよく分かりません。ただ、彼らがやったことというのは中部アフリカの国チャドの北東部で、スーダンのダルフールに近い地域で貧しい生活をしている「孤児」を引き取って、フランス等で育ててくれる養父母に引き渡す、まあ、こんな感じのことです。一見良い話に聞こえるかもしれません。
ただ、これは報道を読む限り美談ではありません。そもそも「孤児」ではなく、父母がいる子どもまで連れ出そうとしたことが明らかになっています。また、将来の養父母から結構な額の仲介料を取っていたようです(仲介料とは呼んでいませんが)。どんなに美しい言葉でお化粧しても、私の目にはとどのところ「人身売買」に見えます。たしかにチャド北東部と言えば砂漠のど真ん中、環境は厳しいし、ましてやダルフール情勢の余波を受けて生活は楽ではありません。
案の定、ゾエの箱舟のメンバーは103人の子どもを連れ出そうとしたところ、チャド政府に拘束されてしまいました。当然のごとく、首都のンジャメナでは反フランスの激しいデモが起きていました。8年の強制労働刑が科せられていましたが、フランスのサルコジ大統領が自ら乗り出て、また色々なルートでチャドのデビー大統領に引渡しを求めた結果、先日、解放されフランスに帰国し、今後はフランス国内での裁判になるようです。ちなみにゾエの箱舟のメンバーは悪いことをしたという認識はあまりないようで、拘束中、断食による抗議なんかもやっていたそうです。
私はこういう話を聞くと非常に嫌悪感があります。こういう暴挙が通っていいはずもありません。「悪しき啓蒙主義」とでも言うんですかね。自分達優れたフランス人様が貧しいアフリカの子どもを連れ出して養ってあげても、それは彼らのためである、だから良いのだ、そんな風に見えます。上記にも書いたとおり、私はゾエの箱舟の方々の思想的背景は分かりませんが、何処か欧米優越主義的な面を感じます。私は8年の強制労働刑というチャド国内の判決を聞いた際、「さもありなん」と感じました。本来であれば、刑期をチャド国内で全うしてほしかったです。
もっと一般論で言うと、どうしても欧米の人が考える(広義の)援助というものには「押し付けがましさ」があるような気がしてなりません。特定の思想をバックにしている場合はそれが顕著です(特に欧州の国がやっている教育関係の援助は文化押し付け色があることが多く、私は非常に眉唾なものを感じています。)。チャドという国、ひいてはアフリカが貧しくて、生活が苦しいことを看過していいとは決して言いませんが、その地の文化、伝統を重んじることなしに欧米のスタンダードですべてを動かそうとするのを見ると欺瞞を感じずにはいられません。
さて、我が国を振り返ってみた時、その(広義の)援助政策の中に何処か「ゾエの箱舟」的な要素はないか(ここまで極端なことをする日本人はいないでしょうけど)、日本は先進国になったが故に優越感を振りかざしてはいないか。多分、これは単なる援助の話を超えて、私たち一人一人の人権意識にまで係わる問題であろうと思うわけです。











1 ■いつも楽しく読まさせて頂いております
はじめまして。
発展途上国で活動しております。
この度のブログに賛同するところが多い事を申し上げておきます。
国際的組織のみならず、先進国から途上国に訪れている個人も、現地教育関係機関等に自身の文化的価値観を押しつけている様な節があります。
このような形の「援助」をいずれ発展途上国が制限する力を持つことを心待ちにしております。