治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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 外国人の地方参政権について、一時期議論が盛んでしたが最近は下火です。私は心情的にとても賛成派です。何故かと聞かれるとちょっと困るのですが、多分、高校卒業まで在日の方が周囲にいる環境が当たり前だったことがあるのだろうと思います。勿論、国政レベルの選挙への参政権はダメですが、地方自治体の投票権までなら認めるべきではないかというのが私の見解です。ただ、地方自治体の議員になれるかについては少し躊躇いがあります。

 理屈としては、まずは定住していること、納税等の住民としての義務の履行などがあるでしょう。自分に最も影響のある地方自治体の政策に、その地方にきちんと根付いている人が関与しようとするのはある意味当然なのではないかと感じます。あまり朝鮮半島出身の方の事情ばかりを強調すると反対派の人から攻撃されてしまうのですが、やはり、戦前から日本に居住しており、その居住自体がその太宗において意に反して行われたものであることは考慮せざるを得ないでしょう。

 ただ、時折聞く「少数民族権」とか「戦後処理の清算の一環」といった理由で外国人の地方参政権を考えるのは「ちょっと違うんでないかね」という思いがあります。「少数民族だから」「戦後処理が終わってないから」という理屈と「参政権」は決して結びつきません。また、そういう議論が日本国内で反響を得られることはきっとないでしょう。

 私が有効だと思う根拠は、① 長く居住している、②本国に戻る(戻れる)可能性が殆どない、③市民としての義務を相当程度の期間履行している、④(朝鮮半島の方に関しては)祖先が意に反して日本に居住することになった経緯がある、この4点以上でも以下でもないと思います。それ以上の話は、若干人々の感情に訴えるような内容であり、時にリリシズムに陥りがちなので厳に排すべきだろうと思うわけです。

 ただ、このテーマについては憲法問題があることは否定できません。憲法第十五条で公務員選定は「国民固有の権利」と明確に述べています。反対派の人はこれを根拠に外国人参政権については、地方自治体であっても絶対に認められないとしています。他方で、憲法第九十三条第二項では「その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する」となっています。これを根拠に地方自治体の長や議員の選挙に外国人参政権を認めることは許容されていて、後は立法政策の問題であるということを言う人もいます。普通、憲法を学ぶときに勉強する芦部元東大教授の理論は許容説です。

(参考条文)
第十五条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
第九十三条
2 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。


 最高裁は「許容説」を採用しているようです(ココ)。ただ、最高裁の論理は分かりにくいです。この判決をよく読んでも「?」となること確実です。簡単に言うと「憲法は外国人参政権を認めているわけではない。ただ、立法政策として地方自治体の長等の選挙に外国人参政権を認めることを排除しているわけでもない。」という言い方です。現状を是認しつつ、あとは国会で考えてね、それが最高裁のメッセージです。全く現状に影響を与えない、上手いモノの言い方だなと感心します(そういう最高裁がいいのかどうかという問題はありますが)。

 虚心坦懐に憲法を読めば、「憲法改正が必要かな」という気になります。フランスの例を挙げます。欧州連合を作るきっかけとなったマーストリヒト条約では「自国民でないEU市民に地方参政権(被選挙権も)を与える」ことが定められています。しかし、改正前のフランス憲法では「フランス国民が選挙人である」という規定があったため、最終的に憲法院でマーストリヒト条約と憲法の間に抵触関係があると判断されてしまいました。したがって、フランスは憲法改正をしています。しかも、フランスでは上院は地方自治体の長や議員による選挙(間接選挙)のため、単に参政権を認めてしまうと、究極的には非フランス国民が間接的にであっても上院の構成に影響を及ぼす可能性があります。したがって、改正憲法では投票権、被選挙権共にEU市民に与えるけど、市長、助役になれないし、議員であっても上院議員選には参加できないと明確に書いてあります。厳格にやろうとするとここまでやらなくてはならないという良い例です。

 私は厳格に考える傾向があるため、どうしても憲法の中に地方参政権が許容されているということについてはっきりとした確証がないので、憲法改正の流れの中でやったほうが良いのかなと思わなくもありません。やっぱり選挙という行為は国政であれ、地方自治体の長、議員であれ、軽んじてはならないと感じます。ただ、折角最高裁が「偏に立法政策の問題なのだ。憲法上否定されているわけではない。」と言い切ってくれているので、まあ、法律改正でやれるのならそれはそれで良い事だと思っています。

 まあ、もう少し思索をめぐらせると、憲法に「国民」と書いてあるから、「日本国籍を有する者」と解することが常に適当かという問題点もあるように思います。例えば、憲法第30条には「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。」とありますが、外国人でも納税の義務は負うわけです。基本的人権も(一部を除いては)外国人にはきちんと保障されるわけです。結局、「国民」の射程とするところを一義的に決めていくことはあまり意味がないような気もします。そう考えると、一言一句に拘って考えるよりももう少し機能的に憲法を解釈していくことが適当であるという結論もあるでしょう。そうすると許容説みたいなものが有力になる素地があるわけです。

 あと、よくある反論に「地方自治体といえども、国政に深く関連し、大きく影響する事務は多々ある。」というものがあります。この論点は都道府県警の存在とか、国民保護法上の地方自治体の義務とか、まあ、色々考えうるものです。今後、地方分権が進めば更に国の政策に影響するものが出てくるでしょう。例えば、東京都知事が誰になりどういう政策を行うかというのは国政に大きく影響していますし、米軍基地での沖縄県知事、岩国市長等、原発設置での福島県知事等というのを想起するだけでも色々気になる点があります。この点についてはよく考えなくてはならないと思います。ただ、「地方自治体の事務にも国政に関連する部分は多いので関与させない」みたいなことを言っていたら、論理的には、外国人を地域社会から排除するような方向にすら働くものであり、何処か排外的なものを感じます。

 色々書きましたが、私の思いの根底にはどうしても在日の方のことがあります。在日の方の中には「祖国に帰りたくても帰れない」方もたくさんいます。韓国人、北朝鮮人としての市民権を完全に享受することはできない状況です。今、在日の方が日本にいる原因を考えると、「何故隣人として受け入れられないのか?」という思いがでてきます。論者によっては「いやいや、そんなに参政権が欲しければ帰化すればいい。帰化の要件を緩めることには反対ではない。」という人もいます。私はそういうやり方が嫌いです。帰化すればもっと楽に生きれた人達に、「日本で十全に認めてほしければこっちに来い」というのは人のプライドを踏みつける行為です。絶対にやってはならないと思いますし、多分、そんな措置を講じても帰化する人は増えないでしょう。

 そんなことをある人と話していたら「けどな、緒方。外国人参政権を認めて対馬に韓国人が退去して住むようになったらどうする。沖縄に中国人が大挙して来たらどうする。そして、対馬の韓国編入運動を起こしたらどうする。沖縄の中国編入運動を起こしたらどうする。」ということを言われました。想像だにしていなかった論点で驚きました。ただ、楽観的なのかもしれませんが「そんなことになるかねぇ」という気もします。最後は国がきちんと決める話ですし。ただ、そういう懸念があることにはきちんと応えなくてはなりません。

 そこで私なりに考えた案は「外国人参政権は永住権を取得してから●●年後から取得可能になる」というものです。通常、永住権を取得するには10年かかります(いろいろな分野で日本に貢献した人は5年以上)。しかも、品行方正で独立して生きていけること、更にはその人の永住が日本の利益に合致することが要件になっています。永住権取得のための運用をきちんと行いつつ、その永住権をとってから●●年後から参政権を取得可能になるとすれば相当な期間日本に定住しなくてはなりません。そこまで行けば、地方参政権を与えてもいいのではないかと思うわけです。●●には色々な数字が考えられますが、まあ、10、15、20くらいの数が頭にはあります。ここは議論可能です。あと、永住者というカテゴリーでは「平和条約国籍離脱者」というものがあります。いわゆる「在日」の方です。平成3年に特例法ができて、重大な犯罪者でない限りは特別永住者とすることが決められています(子孫は出生後申請すれば事実上自動的に永住権を得る。)。したがって、私の案であっても、在日の方の子孫は20歳で地方参政権を得ることができるようになります。

 私はこの件は単に参政権の話を超えて、日本に住む外国人の地位という視点から考え、仮に外国人参政権を導入することになる場合には、それに応じて種々の制度を変えていく必要があると思っています。例えば、日本にある外国人学校でもきちんと日本に関する教育を施すようにさせるとか、まあ色々なことが考えられますが、将来「有権者」になりうる人に最低限の素養、待遇を確保、保障するための措置が必要になると思います。この点は本当は重要なのですが、ちょっと私の能力を超えます。

 長くなりましたが、単に「国民主権だ」、「投票したけりゃ帰化しろ」とだけ言うのはあまりに単純です。そういう議論を聞いていると、やはり「自分以外はみんなバカ」の世相を感じます。もう少し、今の日本の歩んできた道に思いをはせて考えたいものです。

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