治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

前衆議院議員おがた林太郎が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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【注1:これは1年半くらいに書いたものです。長くて読みにくい上に、ちょっと現代とはズレがありますがそのまま載せます。】

【注2:この記事はパキスタン、イラン、中央アジア、東南アジアの地図があった方が分かりやすいです。というか、地図なしで分かる方は相当に通です。】


 パキスタンにグワダルという街があります。最南西にある都市でイランとの国境からすぐのところです。周囲にはバルチスターン砂漠があるだけで産業といった産業もありません。


 しかし、この都市を地図で見てみると、ペルシャ湾からホルムズ海峡を抜け、細い海路からインド洋に抜けるあたりのとこです。いわゆる「シーレーン」最前線です。しかも、この街の港は良い感じで入り組んでいて天然の良港になっています(Google Earthで確認できます)。いざ有事の際はここを押さえておけば、ペルシャ湾から出てくる石油タンカーを止めることが出来ます。こういう戦略的な地点、誰でも目をつけるはずです。かつて米軍が借り受けようとした際、パキスタンは断ったと聞いたことがあります。そんな中、数年前から中国海軍がこのグワダルに港湾開発をやっています。対価として何をパキスタンに提供したのかは知りませんが、今となってはこのグワダルは中国海軍にとって欠くべからざる拠点になっているわけです。


 もうちょっとマクロに目を向けてみます。グワダルからグーンと北上するとトルクメニスタンという国があります。ここは天然ガスが取れることで有名です。しかし、この国が現在天然ガスを出すルートはロシア経由くらいしかありません。将来的にウズベキスタンやキルギス、カザフスタン経由で中国の新疆に出す計画もあるものの、ちょっと先の話でしょう。カスピ海にパイプラインを引いて、その後、アゼルバイジャンのバクーからトルコのジェイハンまでパイプラインを引くバクー・ジェイハンラインもあるのですが、あまりトルクメニスタンは乗り気ではなさそうに見えます。


 このトルクメニスタンの天然ガスをインド洋に出すルートが確立できれば、これに越したことはありません。かつて海を求めて南下し英領インドとぶつかったロシアには皮肉な結果ですが、このルートは資源支配に風穴を開けることができることになります。そのためのルートとしては、イランのマシュハドからバンダル・アッバースまで出すという可能性が一番有望だと思うのですが、米・イラン関係が現在のままではさすがにこれに手を出す国はないでしょう。となると、誰もが目をつけるのはアフガニスタンのヘラート経由でインド洋に出すという可能性です。その時、積出港となるのは多分グワダルでしょう。しかも、このルートのメリットはホルムズ海峡を通らずに済むため、湾岸有事に強いということです。実はこのシナリオに一時期米国が惹かれたことがありました。アメリカの石油会社UNOCALは、1996年頃、タリバーンが勢力を伸ばしていた時期に「ヘラートなどアフガニスタン西部の治安を安定させてくれる」勢力としてタリバーンに相当期待していました。具体的にタリバーンと接触していた節があります。当時はヘラートはイスマイル・カーンという軍属が支配する安定しない地域でした。治安安定勢力としてのタリバーンに、米国政府も少なくとも中立的な立場で臨もうとしたことがあったのです(オルブライト国務長官が非常に慎重に「治安回復を期待する」的なコメントを出していた記憶があります。)。結局、この試みは上手く行きませんでしたが、中国がグワダルに目をつけているのは将来的な中央アジアの資源をインド洋に出すための橋頭堡とするためと考えていても驚きではありません。


 中国海軍がグワダルという港を押さえていることは、日本にとっても重大な意味を持つと思うのですね。日本は一時期「シーレーン、シーレーン」と言っていたのですが、こういう動きをもうちょっとフォローしたほうがいいと思いますね。私なんかは、こういう時こそODAを活用してみて、グワダルを中心とするバルチスターン地域の開発に援助を出して、それをきっかけに上手く日本のプレゼンスをグワダルに確保して監視するという発想があってもいいと思うのですが。採算性は合わないはずなので、非常に政治優先の援助になりますけどね(中国はカラチからグワダルへの道路に支援をした。)。


 このグワダルだけでなく中国はシーレーンの要路にどんどん駒を置きつつあります。南沙諸島をめぐるフィリピン、ベトナム、マレーシアあたりとのゴタゴタは有名です。ただ、あまり知られていないものの一つにミャンマーの大ココ島に中国海軍がレーダーを置いて進出していることがあります。これはインドのアンダマン・ニコバル諸島のすぐ北にあるミャンマー領で、Google Earthで見てみると既に飛行場らしきものも整備されています。ここなどはマラッカ海峡に入っていく際の関所みたいなもので、ここを押さえることができれば中東から東アジアへのシーレーンの監視は更に強化されます。


 中国はミャンマーとの関係を強めています。最近、坊さんのデモに端を発した暴動がありましたが、軍政はアウン・サン・スーチー軟禁など気にもかけていません(ただ、私はアウン・サン・スーチーは解放されてもあの国を統治していくことはできないと見ています。)。中国とインドがミャンマーを非難してない限りにおいて、カッコ付の「国際社会」によるミャンマー包囲網は底が抜けているのです。それはともかくとして、欧米が辛く当たるのでミャンマーのタンシュエ政権は中国(とインド)との関係強化に進んでいます。かつて第二次世界大戦中、援蒋ルートといわれたヤンゴン(ラングーン)から雲南省へのルートがまた見直されています。たしかに山がちで、かつて諸葛孔明が南蛮制圧の対象とした雲南省にモノを入れるためには中国の国内経由よりもミャンマー経由の方が良いこともあるでしょう。大ココ島、小ココ島を押さえた上でシーレーンへの一定の影響力を得つつ、更に、ヤンゴンから雲南省に物資を運ぶルートをどんどん整備しているわけです。ともかく世界中から物資、資源を集め、中国の広大な領土にきちんと配分して確保しようとする姿勢を感じます。


 さて、中国海軍の戦略的な動きは着々と進んでいるように思います。私が中国海軍の幹部なら、次に目をつけるのは恐らくモルジブです。どちらかというとインドネシアでの津波で大被害を蒙ったところとか、南国リゾートの印象が強いでしょう。実はイスラームの国で、しかもガユーム大統領によるかなりの独裁です。小さな国なのですが、島の数は結構多いんですね。1000くらいの島があって、200くらいは人がすんでいたような気がします。ここの幾つかを租借できれば、シーレーン管理にかなり効果があります。インドの影響力が強いので、おいそれとは行きませんが、小さな国ですので中国が札束で動けば島の一つや二つ、中国海軍に差し出すかもしれません。グワダル→モルジブ→大ココ島が中国海軍の影響下に入れば、いざという時には完全に中国にシーレーンを握られてしまいます。インドと協力して、モルジブに中国海軍が入ってこないように圧力を掛けるというのはやってもいいように思うんですけどね。


 超オタクネタでした。上記の話はもう6~7年前から語られてきていて、実際にはあまりニュース・ヴァリューはありません。しかし、あまり注目している人はいません。日本への石油供給に直結する話ですから、もうちょっと注目を浴びてもいいように思います。観念的な自衛論を語るのも結構、しかし、現場で何が起こっているのかをマクロで見る姿勢が必要です。「踊る大捜査線」ではないですが、「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ。」、まあそういうことです。

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