治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。


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 25日、地方創生特別委員会で質疑に立ちました。本来は「特区法」の審議でしたが、少しだけ別ネタも入れながら、地元の話を中心にやりました。映像はそれぞれリンクを参照ください。

 

● 公益法人老人施設福祉協議会

 まず、冒頭、公益法人老人施設福祉協議会の問題について聞いています。同協議会が、「会議費」から飲食費を3300万円支出して、理事クラスが高級料亭や高級クラブで飲食していた事が報じられました。現在、内閣府からの報告要求を受けています。これは大問題でして、場合によっては刑事罰の対象にすらなりそうです。今は調査中とのことでした。

 

 報道によると、関係者は「介護サービスの公定価格の報酬改定や課税問題の根回しのために使った」と言っているようです。厚生労働省の職員で饗応を受けた人間が居る事を示唆していますが、厚生労働副大臣からは「法令上問題のある事は差し当たりなかった。」という答弁でした。本当かなという気がします。内閣府の調査は公益認定法との関係で調査するだけですので、厚生労働省独自の調査をしないといけないのではないかと指摘しましたが、厚生労働省は「内閣府の調査を待つ」という内容でした。ちょっと残念でしたが、本件は追いたいと思います。

 

● 農業分野と技能実習生

 今回の特区法で、農業分野に「熟練農業者」を受け入れる事を可能とするものが含まれています。私から見ていると、どう見ても「単純労働者が足らないから特区で穴を空ける」というふうにしか見えません。昨年の法改正で「技能実習生」の実習期間、受け入れ人数を拡大する法改正がなされ、更にこの特区。どうしても泥縄的にしか見えません。

 

 技能実習生が農業分野で単純労働をやっているケースはもう何度も報じられています。本当に本国に帰ってその技術を生かした仕事をしているかと言えば、そうでないケースが多いと思います。今回、「熟練労働者」を入れると言っていますが、どう考えても、そこでの「熟練労働者」と呼んでいるのは技能実習生を終えた人達であり、何処まで行ってもやっている事は同じでしょう。

 

 私は農業分野での人手が足らない事を放置していいとは思っていません。今、やっているのは「単純労働者は入れない」という玄関口だけを綺麗にしておきながら、抜け道をあちこちに用意しているわけで、そういう制度設計が良くないと思っています。むしろ、「単純労働者を受け入れます。」と真正面からやる方が制度が複雑化せずいいはずですが、玄関口の見た目だけを維持するためにこういう特区をやる事には違和感が拭えません。


● PFIのコンセッション方式と指定管理
 PFI法におけるコンセッション方式では、民間事業者が運営権に基づき第三者に使用許可をすることが出来ないとなっています。何かと言うと、例えば港湾の運営を受けているPFI事業者が、外国からの観光客を受け入れるインバウンドのために、港湾でイベント等を行う第三者に使用許可を出す事が出来ず、当該PFI事業者が再度指定管理者にならなくてはならないという二度手間が生じています。

 

 これを提案したのは福岡市ですが、この件がとても負担になっているとの話を聞いています。これに取り組む事自体はとても大切な事ですけど、今回の特区法には「1年掛けて検討する」と書いてあるだけです。福岡市が問題提起したのは、昨年の秋です。法律が上がって来るのは来年の通常国会だとすると、提案してから1年半以上かかるわけです。「二度手間解消にこんなに時間が掛かるのはおかしい。」と指摘して、政府のお尻を叩きました。

 

● 介護ロボット

 本件は私がずっとしつこく追っている案件です。北九州市が国家戦略特区で特養におけるロボット活用による「1対3」要件の緩和を要望しました。簡単に言うと、特養職員1名+ロボットで4人の利用者に対応できるようにしてほしいという提案です。実は現時点で、北九州での介護ロボットの活用については特区で一定程度認められていますが、元々の提案のような経済的なインセンティブが盛り込まれたようなものとはなっていません。

 

 これは私が昨年の通常国会で何度も追った結果、1年前の地方創生特別委員会で当時の厚生労働政務官から以下のような答弁がありました。

 

【答弁】
こうした取り組みに加えまして、将来的には、基準の見直しによる対応も念頭に置いて、現場のニーズも踏まえ、介護ロボットの導入による介護職員の業務負担軽減や業務の効率化などへの効果検証を検討していくこととなってまいります。

 

厚生労働省としては、北九州市はロボット技術が進んでいるということは当然承知しております。そして、介護現場にロボット技術を導入すること、そういったことで、介護士の今の現状、不足している点、そして、ただ、人の命を預かるわけですから、その辺を十分考慮して、前向きに検討してまいりたいと思います。

 

 それを踏まえて、古屋厚生労働副大臣にフォローアップをしました。まず、「二十八年度補正予算に基づいて実証事業を行い、介護施設等で介護ロボットを活用したことによる利用者の生活の質の効果、またさらには介護従事者の業務の効率化や負担軽減の効果について評価を行う」と答弁があり、「この実証結果を踏まえまして、介護ロボットのさらなる導入と活用の促進に向けて、平成三十年度介護報酬改定等での評価を検討することとあわせて、開発と普及の好循環を実現させてまいりたい。」との事でした。来年度の報酬改定で何かをしてもらえそうです。常に丁寧で品があり、かつ芯がしっかりしている古屋副大臣に期待したいと思います。

 

● 工事現場での点検作業におけるロボット、ドローン活用

 私がいつも念頭に置いているのは、「経済的インセンティブ」です。上記の介護ロボットでも、導入したくなるようなインセンティブを折り込まないと意味がありません。時に政府は「やりたければどうぞ。今までの基準は見直しませんけど。」という回答をしてくる事があります。政府の案はそのインセンティブがあるのかどうか、というのはよく見ないと分からないのです。

 

 それとの関係で、北九州市が提案しているのは、ロボットによる橋梁・トンネル等の点検システム(ドローン等を活用した近接目視、打音検査)のルール作りをすることで、点検作業の負担軽減、コスト削減、作業者の安全性向上等を図るのみならず、高齢技術者の雇用機会拡大による人手不足解消を目指す事です。

 

 例えば、「ロボット等によって撮影された画像に基づき、点検技術者が近接目視判断を可能とする、あるいは人による近接目視が必要な箇所のスクリーニングを行う判断を可能とする。」、「ロボット等によって撮影された画像をパターン認識等の人工知能技術によって解析し、近接目視判断の代替とすることを可能とする。」、「ロボット等によって取得した打音音声、センサーデータを解析し、人による打音検査の代替とすることを可能とする。」といった内容です。なかなか面白い提案です。

 

 現時点での国土交通省の答弁は、現時点では技術が追い付いていないけど、試行実験をしている状態で、打音検査等の事前スクリーニングに使っていきたいというものでした。まだ、今の規制を緩和するところまでは行かず、経済的インセンティブが生じるような所までは行っていません。ただ、将来的に本件技術は日進月歩でしょうから、技術に制度が後れを取らないようにしたいと思います。

 

● 戸畑祇園大山笠の祭礼幕新調復元

 その後、スポーツ選手招聘の際の要件明確化・緩和について質問した後、最後、地方創生関係で地元の戸畑祇園大山笠の祭礼幕新調復元について質問しました。

 

 国指定重要無形民俗文化財であり、ユネスコの無形文化遺産にもなっています。現在、山笠の祭礼幕新調・復元をやっており、現在、西、中原の大山笠の事業が終わりました。今年度、来年度で東大山笠、平成31年度、32年度で天籟寺大山笠の新調・復元が予定されています。私が気にしているのは「スケジュール通りに国庫補助がやってもらえるのか。」という事です。時々、予算が少なくなると2年でやる所を3年とかに延長して単年度の予算負担を下げるという事があるのです。

 

 なので、そこを「きちんとやってくださいね。」と念押ししました。文化庁からは「引き続き最大限協力してまいりたい」との答弁がありました。現時点では100点満点でしょう。

 

 地方創生の枠内で、特区全体像の話、地元の話、きちんと取り上げさせていただきました。

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 昨日、法務委員会で質疑に立ちました。「共謀罪」関係です。

 

 私が「テロ等準備罪」という言葉について嫌いな事として「テロ対策という言葉を使っておけば、国民は反対しないだろ?」という思いが見え隠れする事です。こういうやり口は間違っていると思います。

 

 ただ、「そうではない」と言われるので、テロの定義について、閣議決定された政府答弁をベースに質問しました。以下の内容は概ね、この記事でよく説明されています。

 

 まず、私が提出した質問主意書(1本目)に対する答弁は以下のようなものでした。

 

【答弁書】

「テロリズム」とは、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと承知している。

 

 これはこれで違和感がありましたが、あまりそこには踏み込まず、「では、特定の主義主張とは何か」と質問主意書(2本目)を出しました。それへの答弁は以下の通りです。

 

【答弁書】

お尋ねの「特定の主義主張」とは、一般的な意味としてのテロリズムに係る集団が行う殺傷行為等のよりどころとなる主義主張をいい、(以下略)

 

 とすると、単純でして、代入すればいいのです。そうすると1本目の答弁書は次のようになります。

 

【代入後の答弁書】

「テロリズム」とは、一般には、一般的な意味としてのテロリズムに係る集団が行う殺傷行為等のよりどころとなる主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと承知している。

 

 この文章の意味が分かりますか、テロリズムを説明するのに、テロリズムという言葉が出て来ます。こういうのを通常は自家撞着と言います。内閣法制局でどういうチェックをしたのかなと不思議になります。

 

 通常、テロリズムの定義については、特定秘密保護法に出てくるものを参照するのが常です(もう一つ、議員立法であるドローン関係の法律でも出て来ます。)。

 

【特定秘密保護法の定義】

政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動

 

 しかし、これを今回は採用できなかったのです。何故なら、「政治上その他の主義主張」としてしまうと、範囲が絞り込まれ過ぎて、今回のテロ等準備罪をカバーできないからです。なので、テロの範囲を拡大せざるを得なかったのです。政府の事情に定義を合わせたというのが実態でしょう。しかし、無理をして定義を拡大しているため、詰めてみると自家撞着するものしか答えられなかった、そういう事だと思います。

 

 これは「共謀罪」、「テロ等準備罪」の中身以前の問題です。だから、私は言っているのです。「テロを喧伝して、この法律を通そうとするのは適当ではない。将来に禍根を残す。」と。

 

 政府が最初に与党に提示した法案には「テロリズム集団」という言葉は入っていませんでした。法務省、外務省の心ある官僚の方々の矜持の現れだと思います。これが無理筋だという事は分かっているのです。それを世論対策のために、強引に盛り込まされている事には心から同情します。

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【以下はFBに書いたものに加筆、修正したものです。】

 

 フランス大統領選挙については、マクロン元経済相とルペン国民戦線党首の決選投票になります。まずは第一回投票のおさらいからです。


マクロン(独立系中道)24.01%
ルペン(国民戦線)21.30%
フィヨン(共和党)20.01%
メランション(急進左派)19.58%
アモン(社会党)6.36%

 

(時折、何故ルペンは極右と書かれて、メランションは極左ではないのか、と問われるのですけど、これはルペンより右はいないけど、メランションより左の勢力がまだあるという事が、少なくとも私の深層心理的に影響しています。)

 

 陳腐な言い回しですが、これは「激震」です。理由は以下の通りです。いずれもこれまでのフランス政界にはなかった事です。

 

① いわゆる2大政党(社会党、共和党)が決選投票に残らない。
② 既存のフランス政界アウトサイダーの得票が、マイナー候補も加えると7割に迫る。
③ 反EUを謳う候補の得票が、マイナー候補も加えると半数に迫る。

 

 地理的に見てみると、ルペン候補の勝った地域は北部、東部、南東部です。北部はアメリカで言う所の「ラスト・ベルト(錆びたベルト)」に近いです。北部最大の都市リール(私が1年住みました)は、常に社会党の大物が市長をやっており、元々は社会党の金城湯池とでも言える地方でした。しかし、国民戦線支持として典型的なパ・ドゥ・カレ県などルペン候補は、今回、他候補にダブルスコアです。同県のエナン・ボーモンという町(国民戦線が市長)でルペン候補は祝勝会的な事ををやってましたが爆発的な盛り上がりでした。

 

 そういう中、私は第二回投票はマクロン候補60%、ルペン候補40%くらいの数字を軸とした数字になると見ています。いずれにせよ、決選投票ではマクロン候補が勝つ事は動かないと思います。私は先のブログで、第一回投票では「おしおき票」、「隠れルペン票」が出ると踏んでいましたが、事前の世論調査と実際の結果を比較する限り、意外にそれはあまり出なかったようです。直前のシャン・ゼリゼでのテロもルペン候補にプラスに働いていません。そこも踏まえれば、爆発的にルペン候補が過半数超えという事はちょっと想定し難いです。

 

 さて、ここから若干の未来予想になります。マクロン大統領が誕生した時、何がポイントかと言うと「誰を首相にするか?」です。マクロン大統領の支持母体である「En Marche!(前へ)」は議会に足場がありません。フランスの制度は、議会多数派から大統領が首相を任命する仕組みです。なので、首相を誰にするかで、今後のマクロン大統領が「何をバックに政権運営をするのか?」が見えてきます。

 

 普通に考えれば、まず、親和性が高そうに見えるのは左派社会党です。以前、マクロン候補は社会党員だったこともあります(今は違います)。マクロン候補は、オランド大統領時代の大統領府ナンバー2→ヴァルス第二次内閣の経済相でしたので知己は多いでしょう。それに加えて、(最近のフランス政治で寂しそうにしている)中道各派はマクロン大統領に乗って、息を吹き替えそうとするでしょう。右派共和党からも一部乗ってくるかもしれません。

 

 では、社会党内部を見てみると、右派はマクロン大統領に乗るでしょう。実際、党内最右派のヴァルス前首相は第一回投票から自党のアモン候補(党内最左派)を応援せず、マクロン大統領に乗っていました。逆に社会党左派はマクロン大統領には乗らない可能性があります。その意味で、場合によっては、社会党は分裂の危機に面するような気がします。

 

 マクロン大統領側から見ると、既存の政党を割って「En Marche!」を中心とする新政党を作れなければ、多党連立みたいなハイブリッド政権になってしまいます。これでは政権が安定しません。そもそも、首相が、議会多数を占める単一の勢力から支えられていないという状況になってしまうと政権は常に不安定化します。なので、マクロン大統領は既存の政党に手を突っ込んでぶっ潰し、単一の大統領与党を作れるかが最初の課題になります。

 

 なお、今後の日程感ですが、通常、大統領選挙後すぐに首相指名→組閣します。その内閣は、1ケ月後に来る国民議会選挙向けの内閣です。そして、選挙結果を踏まえて、選挙後に内閣改造をします。これまでもずっとそうでした。そういう意味で、最初の内閣は選挙向けの暫定政権、本格的なのは(きっと6月辺りに来る)内閣改造後てす。

 

 では、「首相が誰がいいか」という視点から見ると、個人的には、ヴァルス前首相を首相とした内閣が実務的な継続性が担保されて綺麗なんだけどな、と思います。ヴァルス前首相とは、首相と経済相との関係であり気心も分かっているでしょうし、ヴァルス前首相は社会党の大統領候補党内選考で負けているので、大統領選挙でマクロン候補と戦うことなく、しかも、支持に回っています。しかも、思想的には社会党最右派のため、右派とも理解しあえる素地もあります。首相時代は一生懸命、党内左派に気を使いながら苦労していましたが、もし今回首相再登板になれば好きなように思う存分やれるでしょう。

 

 ただ、それだと手垢感がするかもしれませんね。最近まで社会党政権で首相をやっていた人間を、再度、首相に据えるというのは国民受けしない可能性大です。

 

 大体、私が思うのはこういう所です。フランス政治については、歴史的な経緯等分かりにくいので、テレビを見ていてもピンと来ない方が多いでしょう。何かの参考にしていただければと思います。

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 さて、フランス大統領選挙が近付いてみました。それなりに平素からフランスの報道に接している身として、ちょっと変わった視点から「フランス大統領選挙の見方」を提示したいと思います。

 

1. 全体像

 数字を入れた予想を当初書いたのですが、さすがに止めました。定性的な評価に止めておきます。

 

【第一回投票】

マリーヌ・ル・ペン国民戦線党首(極右) : 若干下げのトレンドに見えるが底堅いはず。

エマニュエル・マクロン元経済相(中道) : 当初の期待感が冷め、若干下げのトレンド。踏みとどまれるか。

ジャン・リュック・メランション元職業教育相(左派中の左派) : 赤丸ついて急上昇中。

フランソワ・フィヨン元首相(右派) : 組織力で猛追。しかし、伸び悩み。

ブノワ・アモン元教育相(左派) : 完全に埋没。メランションに良い所を持っていかれている。

 

【第二回投票】 → 何か書こうかと思いましたが、複雑すぎて止めました。普通に考えれば、マクロン元経済相のはずですが...。

 

2.第一回投票:「おしおき票」の存在

 フランス大統領選挙の第一回投票では「おしおき票」が出ます。第二回投票(決選投票)は最終的大統領を選ぶのだからそれなりに抑制するけど、第一回投票は「おしおき」的意味を込めて投票する人が多いのです。似たような感じになるのが、欧州議会選挙と地方議会選挙です。いずれも「あまり日々の生活に関係していないように見える」からです。

 

 これが如実に働いたのが、2002年フランス大統領選挙。1997年~2002年までは保革共存政権で、右派のシラク大統領、左派のジョスパン首相という布陣でした。そういう中、第一回投票で「おしおき票」が効き過ぎて、1位シラク大統領、2位ル・ペン国民戦線党首(マリーヌの父)、3位ジョスパン首相になってしまいました。この時、5位から9位までは左派系候補が4~6%の票を取っていました。「こういう結果になるのなら、ジョスパンに入れておけばよかった。」、そんな声が左派側から選挙後に出て来ました。これらの候補に対する票の一部は、正に「(現職首相に対する)おしおき票」だったのです。

 

 そういう観点から、既存政党のアウトサイダーであるル・ペン、メランションあたりに票が集まるような気がするのです。皆、「どうせ第二回投票では当選しないのだから。」と思いながら投票するわけです。更にル・ペン候補については、トランプ現象と同じで「世論調査で表に出て来ない隠れル・ペン支持者」が結構出てくるような気がしています。なので、世論調査では少し下げ気味ですが、25%超えが見えてくるような気がします。逆にマクロン候補は真新しさで伸ばしていましたが、ここに来て政策の具体性等で評価に陰りが見えてきています。それを猛追しているのが、これまた、アウトサイダー的な色彩の強いメランション候補です。なお、メランション候補はSNSの活用がかなり効果を見せています。

 

 これらを踏まえれば、直感的には、ル・ペン、マクロン、メランションの順ではないかと見ていますが、2位争いはかなり熾烈だと思います。

 

3.第二回投票:ル・ペン勝利は考えにくい。ただ、それでも驚異的な数字。

 第二回投票は、第一回と異なり、結構本気度が出てくる投票行動になります。もはや「おしおき票」はありません。オランダの総選挙で下馬評ではかなり伸ばしていた極右自由党のウィルダース候補が最後の伸びを欠いたのと同じような感じでしょう。さすがに「ルッテ首相に不満はあるけど、かといってウィルダースじゃないだろう?」という思いが多くのオランダ人の心の中に去来したのだと思います。

 

 最近の各種選挙を見ていると、相手が誰かによっても異なりますが、ル・ペン候補は40%を若干下回る数字を窺ってくるでしょう。2002年の時はル・ペン(父)候補は、第一回から第二回に掛けて殆ど得票を伸ばせませんでしたが、今回は伸ばすでしょう。特にフィヨン候補支持者の一部は間違いなくル・ペン候補に行くでしょうから。

 

 それでも50%を超える事は想像しにくいですが、もう一度頭をフラットにして考えてみれば30~40%を狙える所までの勢力になっている事自体が本来脅威なのです。「極右の陳腐化」という現象を正直に受け止めなくてはなりません。

 

4.既存政党の不人気: 左右二大勢力の時代は終わったか?

 ここで気付くのが、ル・ペン、メランションは政界のアウトサイダー、マクロンも既存政党の枠組みにはない候補です。右派共和党のフィヨン元首相は妻等への不正給与汚職疑惑で伸び悩んでいますし、社会党候補のアモン元教育相はさっぱりです。

 

 本来、フランスにおける選挙の二回投票制というのは「(大まかに)左派・右派の二大勢力による競争を促す」と見られてきました。フランスの政界は、元々は共産党、社会党、中道右派、右派の4勢力で戦う中で、どの選挙でも第一回投票で左派内(共産党、社会党)、右派内(中道右派、右派)でそれぞれ上位だった候補が第二回投票に出てきて、最後は左派連合 vs 右派連合で戦うという構図でした。第五共和制はそれで長らく回ってきました。

 

 しかし、それらの既存政党で取り込めない勢力が伸長してきているのが現状です。もはや、フランス共産党は自力で大統領選挙に候補を立てる事が出来ず、メランション候補を応援する一勢力になっています。本来、国政の最前線に居るはずの共和党、社会党は、今回、いずれも第二回投票に残れない可能性が極めて高いです。マクロン候補は中道色がしていますが、かといって既存の中道政党の枠には全く嵌まらず、何処かアウトサイダー的です。

 

5.エッジの効いた主張 : 「生ぬるい主張など聞きたくない」?

 極右のル・ペン、左派(極左とまでは言わないがかなり左)のメランションは、いずれも主張が極めてエッジが効いています。それだけではありません。共和党のフィヨン候補とてその主張はル・ペンに引っ張られてなのか、右派のかなり右の方です。一方、社会党のアモン候補は社会党最左派であり、その主張はあまりメランション候補と変わりません。共和党の党内候補者選びで中道右派のジュペ候補が負け、社会党の党内候補者選びで社会党最右派のヴァルス前首相が負けたのも併せ示唆的です。

 

 それ以外の候補の中にも極めてエッジの効いた主張をする方がいます(というか得票率5%を下回る候補は大半がそういう方々)。そうすると、第一回投票だけを見てみると、国民の支持の行き先の大半は「実現可能性はともかくとして、聞こえのいいエッジの効いた主張をしている候補」です。昔からフランス大統領選挙ではそういう傾向はあったのですが、今回は特にそれが目立ちます。

 

 では、中道と言われるマクロン候補はと言うと、「雰囲気優先」でこれまた主張がよく分からないのです。終盤に差し掛かってきて、実現可能性があるのかどうかもよく分からない政策が掲げられています。

 

6.結局、すべてモヤモヤの中

 となると、投票に際しての判断基準がよく分からないのではないかな、と私には思えてなりません。「政策そのもの」、「実現可能性」、「ステレオタイプ」、色々な可能性がありますが、今回程、「何を基準に選ぶんだろうか?」という事が分かりにくい選挙はありません。すべては五里霧中な感じがして、誰が当選しようとも先行きが極めて見えにくいというのが正直なところです。2012年のオランド大統領、2007年のサルコジ大統領、2002年のシラク大統領の時はそういう感じはありませんでした。

 

 私はこんな感じで見ています。しつこいですが、あくまでも「一つの見方」として捉えていただければと思います。

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 今日の内閣委員会の最後で、少しだけトランプ政権(というか共和党指導部)がやろうとしている「国境税・国境調整措置」を取り上げました。短時間でしたが映像はココです。

 

 特定の国からの輸入に課税をする「国境税」については、さすがに米共和党も筋悪だと思ったのでしょう。今、共和党指導部が提示しているのは「国境調整措置」です。これはよく見てみると「とてつもなくどうしようもないもの」とまでは言えないような気がしています。国境税の文脈よりも、むしろ税制のあり方として捉えていく必要があります。

 

 アメリカは昔から他国がやっている輸出に際しての付加価値税の還付に不満を持ってきました。日本の消費税は、輸出するものについては消費税を還付します。これは何故かと言うと、「付加価値税は消費される場所で課すのが適当」とする仕向け地主義を世界的に採っているからです。しかし、米国は州毎の付加価値税はありますが、国レベルでの付加価値税がありませんのでそういう還付はしません。

 

 そうすると、例えば、第三国のマーケットで、輸出段階で消費税の還付を受けた日本車と、そうでないアメリカ車では競争力に差が出るという不満になるわけです。勿論、これに対する日本側の対応は「国レベルで付加価値税を設けて、それに仕向け地主義を採用すればいいではないか。」となるわけですが、連邦政府と州との関係を根本から見直さなくてはならず、そう簡単には行きません。

 

 そこで今回、共和党指導部が、トランプ大統領の国境税の議論を引き取る形で、法人税にこの仕向け地主義を導入するアイデアを持ち込んできたという事です。まだ、はっきりとした事は分かっていないのですけども、漏れ聞こえてくる限りにおいては、輸出する際には輸出収入を法人税の課税対象から外す、輸入する際にはその製品は米国外で発生した費用なので損金扱いせずに法人税の課税対象とする、そういう発想です。

 

 ただ、このアイデアについては、輸出についてはWTO補助金協定、輸入についてはGATTが伸し掛かります。武井外務大臣政務官が答弁してくれています(最近、同政務官とのやり取りが増えております。)。

 

【WTO補助金協定】

第三条 禁止
3.1 農業に関する協定に定める場合を除くほか、第一条に規定する補助金のうち次のものについては、禁止する。
(a) 法令上又は事実上、輸出が行われることに基づいて(唯一の条件としてであるか二以上の条件のうち一の条件としてであるかを問わない。)交付される補助金(附属書1に掲げるものを含む。)

(略)


附属書1 輸出補助金の例示表

(略)

(e) 商工業を営む企業が支払う又は支払うべき直接税又は社会保障負担金につき、輸出に関連させてその額の全部又は一部の免除、軽減又は繰延べを認めること。

(略)
(g) 輸出される産品の生産及び流通に関し、同種の産品が国内消費向けに販売される場合にその生産及び流通に関して課される間接税の額を超える額の間接税の免除又は軽減を認めること。

(略)

【引用終了】

 

 つまりですね、直接税の免除は輸出補助金で禁止、間接税については「生産及び流通に関して課される間接税の額を超え」なければ輸出補助金として禁止されないのです。なので、仕向け地主義を間接税でやれば◎、法人税でやれば×という事になるわけです。

 

 また、輸入において仕向け地主義を導入して、輸入品は損金扱いせず法人税課税してしまうと、何故、輸入品だけ課税されるのかという視点からGATT第3条の内国民待遇に反する可能性が高いのです。

 

【GATT】

第三条 内国の課税及び規則に関する内国民待遇

(略)

2. いずれかの締約国の領域の産品で他の締約国の領域に輸入されるものは、同種の国内産品に直接又は間接に課せられるいかなる種類の内国税その他の内国課徴金をこえる内国税その他の内国課徴金も、直接であると間接であるとを問わず、課せられることはない。(略)

 

 こういう条約上のルールがあるので、上記の国境調整措置はそうそう上手くは行きません。しかし、よくよく考えてみると、特に輸出の部分では、何故法人税の仕向け地主義が輸出補助金に当たり、間接税の仕向け地主義が輸出補助金に当たらないのかという、税理論上(条約上ではない)の論理的な説明をする事は簡単ではないように思います。一つ確実に言えるのは、付加価値税では仕向け地主義が世界的にスタンダードになっているという事なのだと思いますけども、そんな事はアメリカには関係のない事でしょう。

 

 最後に三木財務大臣政務官はなかなか面白い答弁をしています。法人税への仕向け地主義を導入する事の意味合いを以下のように言っています。

 

● 企業立地に中立な税制となり得る可能性がある。

● 輸出超過国にとっては税収減。

● 輸入品の値段が上がるので消費者の実質所得減となる。

● 輸入企業の競争力が下がる。

 

 その他にも多くの論点があるので、今日はキックオフという事でやらせてもらいました。まだ、国会議員で関心を持っている人は僅かですが、この件は絶対に今後、日本において大きくなってくるテーマです。

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【要旨】

 本日、医療ビッグデータ法案の審議、採決で質疑立ち。事前の法案修正(+附帯決議)の協議で東奔西走し、我が方の問題意識を取り込む修正を実現。感慨深いものがある。この法案で医療ビッグデータをめぐってどういう情報の流れ、対価(おカネ)の流れが出来るのかはちょっと見えにくいところがあるが、いずれにせよ、今後、医療ビッグデータを活用した最新の医療研究が進むことを希望。

 

【本文】

 今日、内閣官房作成の「医療分野の研究開発に資するための匿名加⼯医療情報に関する法律案」の審議が行われました。私も質疑に立ちましたが、質疑よりもむしろここに至るまでの方が長かったので少し経緯も含めて説明します。

 

 法案は通称「医療ビッグデータ法案」と呼ばれています。概要はこんな感じでして、医療機関等が保有する医療情報を、認定された事業者が匿名加工し、その集合体であるビッグデータを医療研究の用に供するといったものです。基本は2年前に成立した改正個人情報保護法で。同法において、個人情報を加工して誰のものか分からなくする匿名加工情報というカテゴリーが作られた事を医療分野で更に発展させるというものです。

 

 基本的には、我が方も賛成でして、こういうビッグデータを活用する事で色々な医療分野での研究開発が進む事を望むものです。そういった中、党内の会議で概ね以下のような問題提起がありました。我が党に対して色々な意見をお持ちの方がおられると思いますが、本当に党内の会議では良い意見がたくさん出て勉強になりました。特に参議院の先生方の知見には舌を巻きました。

 

(1) 例えば、学校保健安全法(学校における健康診断)、高齢者の医療の確保に関する法律(特定健診)、労働安全衛生法(事業者検診)、妊婦検診及び乳幼児健診(母子保健法)といった法律で行われる健診で得られた情報がどうなるのか。事実上義務的に受けるものもあり、そのデータが自分達の知らない所で使われているのであれば懸念は大きい。その観点から、オプトアウト(自分の医療情報は使われないようにするための申し出)の規定はとても重要。また、オプトアウトは簡便にしないと、高齢者に複雑な手続きを求めても形骸化するだけ。

 

(2) 法案内では、個人に対する不当な差別等に繋がらないようにするための規定は盛り込まれているが、ビッグデータとなった結果として地方自治体、事業所その他の各種団体に対する不当な差別が生じる事があり得る(例:○○市は●●の疾患が多いらしい、という評判)。そこへの配慮はどうなっているのか。

 

(3) 医療機関等→認定事業者(匿名加工をする事業者)→利活用者と情報が渡っていく中で、情報の扱い、対価の金銭面等でおかしな事が起こらないようにすべき。また、利活用者が目的外使用をすることのないようにすべき。

 

 党内で本法の責任者である北神圭朗議員の命を受け、内閣委野党筆頭理事である私がこれらの問題意識を法律に盛り込むための修正協議に臨みました。与党の平井卓也筆頭理事、福田峰之理事(法案担当)とかなりの回数、議論を重ねました。最終的に纏まった修正案(要綱案文新旧対照表)、そして附帯決議はこれだけ読んでもなかなか分かりにくいのですが、上記の問題意識は完全に取り込まれています。小難しいですが、一応解説はします(備忘録ですので、飛ばしていただいて結構です。)。

 

【我々の問題意識と最終的な決着との対比】

・ オプトアウトを一般論として簡潔にすべきとの当方提案:第三十条を修正の上、主務省令で対応。押さえとして附帯決議1.と質疑で主務省令の内容を担保。

・ 特に学校や事業所での健康診断での権利保護の当方提案:附帯決議4.で対応。

・ 個人、団体又は地域への不当な差別が生じないようにすべき:第四条修正+附帯決議2.で対応。

・ 医療情報や匿名加工医療情報の公正かつ適切な提供及び利用:第八条、第十七条の修正+附帯決議3.で対応。

(注:附帯決議5.は昨年成立した官民データ利活用法との関係を盛り込んだものです。)

 

 今回の修正や附帯決議にあるような問題意識は、政府側にも勿論あったのですが、法文上明確でなかったのです。その点を明確にさせ、かつ質疑で更なる明確化をする方向性を作りました。この手の修正協議で満額回答というのはあまり例がありません。自民党の平井筆頭理事、福田理事や内閣官房、衆議院法制局、衆議院委員部、色々な人にお世話になりながら修正協議を無事終える事が出来ました。

 

 ここまでが事前の仕切りでして、この作業を了した上で質疑に臨みました。事前に神山洋介理事、初鹿明博議員、北神圭朗議員が質疑した後でしたので、私が用意した質疑の一部は既に出てしまいましたが、それなりに取捨選択しながら質疑をしました(映像はココ)。

 

 上記に書いた事の確認の部分以外で言えば、この仕組みを導入する事によってお金の流れがどうなっていくのかという事を質問しています。つまり、この医療ビッグデータ法をめぐってどういうマーケットが出来るのかという事が想像できないのです。

 

 情報の流れは医療機関等→認定事業者→利活用者であって、対価の流れはこの逆です。医療機関等から認定事業者には、匿名加工前の生データが行きます。そして、その対価は「コスト」のみという事になっています。ただ、普通に考えるとシステム整備にお金が掛かりますが、政府はそのお金は認定事業者が面倒を見る事を想定しているようでした。かつ、医療機関等からすると、「無いとは思うけど、もし情報が漏洩してしまったら…」というリスク要因を抱えます。そうすると、生データ提供に対するシステム+リスク対応という分がコストになれば、1データ毎の金額は相当に跳ね上がるのではないかという気もします。

 

 そうすると、認定事業者の収入はすべて利活用者からの対価が原資ですから、認定事業者から利活用者への匿名加工されたビッグデータの提供で相当な金額での売買が成立しないと、認定事業者は医療機関等への対価の支払いができないんじゃないかなという気がするのです。利活用者から認定事業者に払われる対価の水準について、政府は「情報収集加工コストを基本に適度のマージンを上乗せ」と言っています。これが何なのかはよく分かりませんでした。

 

 もっと言うと、認定事業者から利活用者にビッグデータを提供(売買)する場合にオークション的な事が起きてしまうのではないかという懸念もあります。「●●製薬さん、幾らで買うって言ってます?うちはその倍出しますから、うちだけに提供してください。」、公益性のある研究開発に資するようにやる仕組みですから、そんなやり取りが起こらないようにしてほしいと思います(法案修正でもその取っ掛かりとなる規定は盛り込んでありますので。)。

 

 まあ、その他質疑では色々とありましたが、質疑終局後に私が上記の修正案の趣旨説明をして、討論があり、採決(わが方は賛成)、最後に附帯決議と流れていきました。近々本会議採決もあるでしょう。自分の手掛けた修正が法律として残っていくというのはそれなりに感慨深いものがあります。備忘録的な意味合いが強いですが、このブログにメモとして残しておきます。

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【要旨】

 本日、決算委員会分科会で質疑。シリア情勢についての基本的な日本の立ち位置、対北朝鮮での抑止の効果検証、経済協力、外務省の研修体制について足早に質問。特にシリア情勢については、政権の本音、苦悩が見え隠れする内容だった。

 

【本文】

 今日、決算委員会第一分科会で質疑に立ちました。内容はシリア情勢、北朝鮮情勢、経済協力等について官房長官、外務副大臣に質問しました。シリア、北朝鮮については、基本的に事実確認的な内容に徹していますが、非常に示唆的な答弁があったと思います。それぞれの映像はリンクを見ていただければと思います。

 

● シリア情勢

 まず、冒頭、シリアにおいて「化学兵器は使用されたのか」、「使用したのはアサド政権か」の2点について聞きました。答弁は、前者については「はい」でしたが、後者については現時点では確定的な答弁がありませんでした。

 

 また、化学兵器の使用はレッドラインを超えたのか、と質問しました。この「レッドライン」という表現は、2013年時点でオバマ大統領が使った表現です。通常、米国大統領が「レッドライン」という言葉を使えば、「やったら武力行使だ。」という事を含意します。しかし、オバマ大統領は化学兵器使用に対してそのオプションを選びませんでした。それがオバマ大統領の権威の低下を招いたわけでして、今回、トランプ大統領がシリアに攻撃をしたのは、その時との対比を強く意識したのではないかなと思っています。なお、答弁は「米国が判断する事」というちょっと「?」な答弁でした。

 

 そして、イラク攻撃の時との対比で誰もが気になる「証拠の提示はあったのか?」という問、これは聞かざるを得ません。答弁は「米国とのやり取りの詳細については控える。」というものでした。まあ、これ以上の答弁は用意されていなさそうでしたので、これはあまり追いませんでした。

 

 更に本件に伴う安倍総理の声明について質問しています。これはメディア各位が間違って報道しているものです。安倍総理が言っているのは、以下のようなものです。

 

① 化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米国政府の決意を支持

② 今回の米国の行動はこれ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解

③ 国際秩序の維持と同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを高く評価

 

 まず、日本が支持したのは①「決意」です。「行動」ではありません。そして、高く評価したのは一般論としての③「平和と安全に対するコミットメント」です。逆に「米国の行動」については、単に「これ以上の事態の深刻化を防ぐための措置と理解」しているに過ぎません。

 

 メディアは「米国の行動を理解」と報じているところも多かったですが、これは間違っています。「理解」という言葉には幾つかの意味があり、「物事のすじみちをさとること。わけを知ること。物事がわかること。」というものと、もう少し踏み込んだ「人の気持や立場がよくわかること、相手の意をくみ取ること。」といったものがあります。「米国の行動を理解」と書くと後者の意味合いになりますが、今回の安倍総理声明の「理解」は後者ではありません。単に「○○と承知している」程度の意味であり、非常に弱い表現です。

 

 「なんだ、言葉遊びか。」と思われた方もいるでしょう。しかし、この表現の違いは外交上とても重いのです。以前書いたブログでも紹介したのですが、1999年コソボ空爆の際、高村外相とオルブライト国務長官との間で本件で緊張感あるやり取りをしています。高村外相は爾後、ある場所で「NATOによるコソボ介入の時に私は外務大臣であったのですが、それに対して私は当時『理解する』と言いました。『支持する』とは言わなかった。オルブライト国務長官から電話がかかってきて、『支持してくれてありがとう』と言いますので、『理解します』と答えたが、これを3回くらい繰り返した。」と語っています。気まずい雰囲気だったことは想像に難くありません。

 

 しかし、安倍総理の声明は上記①や③を述べる事で、出来るだけメディアに「支持」、「評価」という表現が踊るように誘導しています。そこまでやるのなら、単刀直入に「行動を支持」と言うという選択肢はないのかなと思い、「米国の行動は支持しないのか。」という質問をしました。裏の裏まで読んでの質問でしたので官房長官は苦笑いしていましたが、最終的な答弁は「攻撃に対する国際法上の評価が定まっていない。」という答弁でした。

 

 少し技術的ですが、今回の爆撃は2013年国連安保理決議2118パラ21における「国連憲章第七章の下での措置」とは考えているんじゃないかな、とも思いまして、認識を聞きましたが、答弁は「国際法上の評価は定まっていない」のままでした。概ね政府の考え方は明らかになりました。

 

【国連安保理決議2118パラ21】

21.  Decides, in the event of non-compliance with this resolution, including unauthorized transfer of chemical weapons, or any use of chemical weapons by anyone in the Syrian Arab Republic, to impose measures under Chapter VII of the United Nations Charter

 

● 北朝鮮情勢
 3月16日、ティラーソン国務長官は岸田外相との会談での記者会見で「北朝鮮に対して非核化を求めた過去20年間の政策は失敗だった」と述べています。まず、「こういう認識を共有しているか。」と聞いています。あまりはっきりとした答弁はありませんでしたが、言外に「上手くいっていない」というニュアンスが滲んできました。

 

 ここで重要な事は「何が上手く行かなかったのか」という点です。抑止が効かないというのは、大きく分けて2つの可能性があります。① 政策の中身そのものが問題だったのか、② 政策は間違っていなかったが、抑止効果を与えるようなかたちで北朝鮮側に伝わっていなかったということなのかです。どんなに「核兵器を進めたら武力攻撃の対象となる」と言っても、相手がそれを信用しなければたかを括られてしまいます。抑止の理論というのは、メッセージがどういう形で伝わっているのかという部分がポイントです。その検証をすべきとの問題意識から、「何が上手く行かなかったのか」と聞きました。官房長官は意外にも正直でして「どちらにも問題があった。」という事を示唆していました。

 

 ここは「ゲームの理論」的な視点でして、与野党問わず、何が上手く行っていないのかを、事実関係をよく収集してみて、そして理論的に解明していくのが大事だと思います。

 

● 経済協力(JICA専門家のあり方)

 ここからは質問の内容をガラっと変えまして、経済協力について聞いています。私が昔から「これはねぇ...」と思っている事がありまして、それは途上国に派遣されている各省庁からのJICA専門家の存在です。言語能力が怪しい、大して役に立っていない、いつも派遣元の省庁ばかり見ている、本当に看過しがたいケースを昔、何度も見ました。何故、そのような専門家を受けているかというと、受け入れ国側でも「居ても居なくてもいいんだけど、受け入れると機材供与が来る。機材が欲しいから受け入れている。」というケースだってあるわけです。

 

 つまり、事実上、各省庁の人事サイクルの一環として派遣されているだけという事です。平成27年度に派遣されたJICA専門家は980人、その内、省庁出身者は230人とかなり多いのです。

 

 外務副大臣は「ご指摘は当たらない」と言っていましたが、正直「誰だ、そんなブリーフをしたのは!」とムッとしました。ただ、問題意識はきちんと伝えたので厳しくやってほしいと思います。答弁では言えないものの外務省も分かっていると思います。

 

● 経済協力(水産無償)

 かつて、経済協力の無償資金協力の中で「水産無償」という特別枠がありました。私はセネガル在勤時、何度も見ましたが、本当に「良い思い出」が一つもありません。水産庁の既得権というような感じがプンプンしました。既得権化すると、予算消化の発想が出てきて無駄な事業を作ってしまうのです。

 

 外務省が行っている「水産無償」については、2015年度から、そういう特別枠的な「サブ・スキーム」を廃止するという事になっています。そういう方向でいいと思いますが、「如何なる意味においても区分経理、水産無償単独での予算確保はやっていないとの理解でいいか。」と質問しました。「やっていない」との事ですが、予算配分状況を見た上で廃止後の変化があるのかどうかをもう少しよく見ていきたいと思います。

 

 また、外務省分とは別に、水産庁が独自に行っている水産無償は「無駄遣い」で会計検査院からの指摘が2度も入っています(2008年、2014年)。需要のないところに無理をして施設を作っているとの厳しい指摘です。しかも、事業の大半が公益財団海外漁業協力財団に配分されています。大体、水産庁の水産無償の8割くらいは同財団が実施する事になっています。そして、同財団の事業の大口は国費によるものです。

 

 更には、理事長は10数年前に退官した農水OB。典型的な役所の資金で動いている天下り団体にしか見えません。細田農林水産大臣政務官は「特に問題はないと思う。」と答弁していましたが、本件はまだまだ追っていきます。

 

● 外務省の研修体制

 最近、外務省において「新入省員で外交史や国際法の素養が不足している人がいるので研修を強化する。」との報道を見ました。良い事だと思います。

 

 その一方、現在の省員についても語学力の問題がある人がかなりいます。例えば、私はフランス語研修ですが、外務省フランス語研修組の中には「こりゃ、ダメだ」と思いたくなるくらいの能力の人がかなりいます。2年国費でフランスに留学させてもらって、その後30年近く奉職した大使のスピーチを聞いて愕然とすることは稀ではありません。2年フランスで研修させたことそのものが税金の無駄だと思えるくらいのレベルです。答弁は「ちょっと問題意識に欠けるのではないか?」というものでしたが、平場で厳しく指摘させていただきましたので改善を図っていく事を期待したいと思います。

 

 以上、長々と書きましたが、前半はそれなりに面白い答弁だったと思います。

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【要旨】

4/7内閣委員会で質疑立ち。TPPの暫定適用、今後の日米交渉における農林水産品の扱い等、更に一年未満で廃棄される文書へのルールの必要性についてそれぞれ質疑。

 

【本文】

 昨日、内閣委員会で質疑に立ちました。TPPと公文書管理について質問しました。

 

 まずは、TPP(+α)です。先日、TPPについては、既に確定した協定から一部だけを切り出して(米国抜きで)暫定適用する可能性について報じられていました。報道の中で、国際法上の論点がきちんと整理されていたので、「誰かの観測気球兼リーク」なんだろうなと思いました。これは戦後、GATTが成立した時の手法です。元々は関税とか貿易のみならず、幅広い分野を含むハバナ憲章というものがあったのですが、発効のための締約国が揃わなかったので、GATT部分だけを切り出して暫定適用したという事です。

 

 そういう事は石原大臣は考えていないという事でしたが、法的に可能かと聞いたら、武井外務政務官から「そういう事を行うなら、国会承認が再度必要。」との答弁でした。暫定適用とは言え新しい条約になるので当たり前と言えば当たり前なのですが、「考えていないので検討していない。」くらいまで下がった答弁かと思っていたので、法的には可能だという事を示唆していた事は興味深かったです。この部分は日本農業新聞に取り上げられました。

 

 その後、今後の日米関係において、農林水産品についてTPPでの保護水準から更に譲歩する事はないのか、という事を聞きました。これまでも何度も質問されている内容ですので、答弁は真新しいものはありませんでした。細田政務官の答弁は、① しっかり守る、②貿易、生産、流通実態を一つ一つ勘案して、③センシティビティに十分に配慮する、という既存のラインでした。私は少し聞き間違えておりまして、「個別品目のセンシティビティに配慮する」と言ったのだと思っていたら、後で聞き直したら違いました。となると、答弁としては弱いですね。これでは農林水産業関係者は納得しないでしょう。

 

 その後、少しアンチダンピングについて触れた後、日EU経済連携協定とBREXITとの関係について聞いています。日EU経済連携協定については、農林水産業で輸入の関税割当てを設定する交渉をしているはずですが、英国が外れたら、英国分は関税割当の数量から外すべきではないかという問をしました。ここは技術的ではありますが結構重要なポイントでして、英国からの輸入実績が多い品目については外していかないと、他のEU諸国に過度な割当枠が行くので変な話になります。答弁はあまり芳しくありませんでしたが、本件は今後注視していきたいと思います。

 

 一つ気になったのは「英国は今後、WTO再加盟交渉をすることになると理解している」という点でして、「ああ、そういう事なのか。」と思いました。ゼロから再加盟交渉するのですかね。実はアフリカのフランス語圏の国は古くからGATT/WTOのメンバーですが、記憶は定かでないものの、仏連邦の一員として当初からGATTが適用されていたのではないかと思います。なので、独立後、極めて簡易な方法で入っているのではないかな、英国のケースはそれとは違うのかなと考えており、ちょっと調べてみたいと思います。

 

 後半は公文書管理関係です。これは森友学園関係での財務省の協議記録、防衛省のPKO日報との関係です。いずれも「保存期間一年未満」として廃棄されたものです。保存期間が一年未満ですと、管理簿不要、廃棄記録不要という事ですので、なんら後世に残すものがありません。

 

 まず、私から「一年未満の文書というのは『極めて軽微な内容のもの』ではないか。」と聞きました。公文書管理法等では、保存期間の定め方の中に「一年未満」というものはありません。「歴史公文書等は一年以上の保存期間とする」と書いてあるのを裏返してみれば、「歴史公文書等に当たらないと判断すれば一年未満で廃棄して構わない。」という解釈を導き出しているだけです。山本大臣は言を左右しましたが、最後は「軽微な内容である」という事を認めました。

 

 では、防衛省のPKO日報はどうなのか、財務省の協議の記録はどうなのか、という事になります。本来、防衛省の文書管理規則ではPKO業務に関するものの保存期間は3年です。国有財産関係でも重要な記録については10年です。日報や協議記録が、それらの保存期間の対象でない理由は何かという問をしています。その答弁は明確なものはありませんでした。保存期間が一年未満なものが何なのかは各省庁の判断にゆだねられています。「歴史公文書等に当たらないと自分が判断したら、そうなのだ。」というジャイアン的解釈が許容されているのです。

 

 では、協議の記録が廃棄されていたら、会計検査に際して会計検査院は困らないのかと聞いたら、なかなか答えにくそうでした。最終的には「そういう文書が残っていない事がどうなのかという事も含めて検査の対象とする。」と答弁がありました。厳しくやってほしいと思います。

 

 こうやって考えていくと、一年未満文書のあり方についても要件をきちんと定めていかないといけません。本当はこんな箸の上げ下げ的な事は好きではありませんが、やらないとPKO日報、財務省の協議の記録のように、明らかに保存期間一年未満とは思えないものが(恐らく証拠隠滅的な思惑を以て)廃棄されていくわけです。各省の文書管理規則のみならず、それにぶら下がる細則的なものも含めて内閣府公文書管理担当の方でチェックを入れる等の方策を考えてほしいと質問しました。山本大臣からは「ガイドラインの見直しを今年度内に行う」といった答弁がありました。年度内と言わず、出来るだけ早くこれは進めてほしいところです。

 

 それなりに面白い質疑になりました。毎回、全く異なるテーマを勉強するのは大変ですけど、一つ一つ勉強を進めていきたいと思います。

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【要旨】

 外務委員会でトランプ政権の通商政策を取り上げる。「公正な貿易」を追求するツールとしてのスーパー301条、アンチダンピングについて質問。特にアンチダンピングについては、地元の電磁鋼板へのAD課税を例として。

 

【本文】

 昨日、外務委員会で質疑に立ちました。その中でトランプ政権の通商政策アンチダンピング(特に電磁鋼板)について取り上げました。映像はそれぞれのリンクを見ていただければと思います。

 

 まず、トランプ政権の通商政策について、WTOドーハラウンド交渉を推進すべきではないか、日本は「あらゆる形態の保護主義」と対抗しているのかといった質問をしました。答弁の際、よく出てくる表現として「自由で『公正な』貿易」というものがありました。この「公正な」という言葉が曲者なのです。たしかに「公正」であることはとても大事ですが、ともすれば、自分に不利益な事態が生じたら「不公正だ」と言いがかりを付けてくるキーワードに転換されてしまうのです。

 

 その一つのツールが、スーパー301条です。スーパー301条的アプローチは、不公正な貿易があると思われる国を名指しして調査を始め、その結果不公正な貿易があると判断されたら制裁を打つというような内容のもので、1980-90年代日本が苦しんできました。こういうものは絶対に受け入れるべきではないですし、そもそも論として違法な制裁をちらつかせながら調査を掛ける事自体が問題だと思うのです。

 

 外務省は「違法な制裁が打たれたら、WTO提訴も含めて考えたい」という答弁でしたが、それだと不十分なのです。何故なら、違法な制裁は基本的に打たれないのです。その前の脅しの段階で、調査の対象になった国はビビッてしまってアメリカに配慮するからです。今の姿勢だと、結局、日本としてスーパー301条による脅しを容認することになりかねません。かつて、クリントン大統領時代、大統領令でスーパー301条的なアプローチが採用されたこともあり(つまり法律が無くてもやれるという事)、すぐにでもこういう話が出てきかねませんので、この点はもっとよく議論をしていく必要があります。

 

 次に、「公正な貿易」を確保するツールとしてのアンチダンピング(AD)について取り上げました。特に私の地元である新日鐵住金八幡製鐵所の主力の一つである電磁鋼板へのAD税を取り上げました。私の質疑は鉄鋼新聞に取り上げていただきました。

 

 アメリカが課しているAD税は、そもそも論として、廉価販売による損害の算定、そのプロセス等について問題が多いのです。簡単に損害が認定されたり、手続きに付いてこれなかったら不利なデータで算定されてしまったりと、もうやりたい放題です。その一つの例が無方向性電磁鋼板へのAD課税です。無方向性電磁鋼板というのは、モーターとかに使われる鉄鋼です。

 

 米国において無方向性電磁鋼板がAD課税されたのは、2014年です。ただ、2010年(日本からの輸出は2万トン強)くらいからAD課税直前の2013年(14,464トン)まで減ってきており、日本の輸出が廉価販売でアメリカの鉄鋼産業に不当な損害を与えているという事実はないと思います。しかし、日本、中国、韓国、台湾、ドイツ、スウェーデン全体でAD調査が行われ、日本の輸出減は考慮されることなく、最終的には日本の無方向性電磁鋼板には135.59-204.79%の課税がされてしまいました。いわばとばっちりみたいなものです。

 

 その一方で、韓国の無方向性電磁鋼板に課せられたAD税は6.88%。日本産へのAD税と比較すると、最高200%弱の差があります。では、日本は韓国と比べて200%分も廉価販売をしているのか、ということになるわけですが、いくら韓国の方が安く生産していたとしてもそんな差にはなりません。実はロビーイングの差だという見解があります。日本はこのロビーイングに人、モノを投じ切れていないように思うので、その点はきちんと促しました。


 そもそも、アメリカのAD課税には長期のものが多い事を私は問題視してきました。1978年以来課されているPC鋼より線、1987年以来課されたままの溶接管継手等が代表的です。本当は、一定期間たったら見直すこととなっている「サンセット・レビュー」という仕組みがありますが、アメリカは「見直した結果、継続することにしました」としれっと言うだけです。米鉄鋼メーカー、電磁鋼板について言えばAKスチールからのアプローチを受けた連邦議会議員が暗躍しているのでしょう。しかも、TPPにおけるアンチダンピング関連部分は殆ど何の成果も得られていません。今後の日米交渉では、きちんとこのAD部分はきちんと主張してきてほしいと伝えました。

 

 あと、電磁鋼板へのAD税と言えば、対中国でも存在しています。日本が中国に輸出する方向性電磁鋼板には平成27年7月23日付で39.0-45.7%のAD課税がなされています。ちなみに韓国37.3%、EU46.3%です。

 

 方向性電磁鋼板とは変圧器等に使われます。実は方向性電磁鋼板については、新日鉄住金八幡製鐵所からこの技術が韓国ポスコに漏洩し、その技術が宝山鋼鉄(宝鋼集団傘下)に漏洩しています。当初ポスコは「独自技術だ」と言っていましたが、ポスコ→宝鋼集団への漏洩に関する韓国国内の裁判で、元々は新日鐵住金八幡製鐵所からポスコに漏洩したことも明らかになりました

 

 という事は、宝鋼集団が方向性電磁鋼板の生産で使っている技術の少なくとも一部は日本からの漏洩のはずです。そういう技術を使いながら方向性電磁鋼板を作っている中国が、本家本元である日本からの輸出を廉価販売と主張してAD課税をするのは奇妙ですよね。地元で頑張っている皆様の中に納得する人は一人もいないと思います。

 

 AD課税の関係は、経済産業省の参考人の答弁が「当事者意識あるのかな?」と思うようなものであった一方で、中川経済産業大臣政務官はかなり真剣に問題意識を受け止めていました。質問後少し話したら、「面白い内容だった。この件はしっかりやるから。」と言っていました。期待したいと思います。

 

 総じてテクニカルな内容ですけども、一つ一つが日本、特に我が地元での雇用に影響するような内容です。しっかりとした目線を持って、こういうテーマを追い続けていきます。

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【要旨】

日米経済関係の観点から、保護主義、いわゆるスーパー301条、国境税(と日本の制度の関係)について質問主意書を提出。それなりに示唆的な答弁が得られた。

 

【本文】

 今国会、日米経済関係が今度どうなっていくのかについて、色々な疑問が提起されています。そういう中、まだどういう協議がなされるかも分かりませんので、少し変わったアプローチで政府に質問主意書を出しました。決してこの主意書答弁で全体像が見えるわけではありませんが、示唆的な所があるのでご紹介いたします。

 

 まずは、保護主義に関する質問主意書です。これまで、G20の財務大臣・中央銀行総裁会合後の声明では必ず「我々は、あらゆる形態の保護主義に対抗する。」という表現が入っていましたが、直近の会合後の声明ではこれが落ちました。麻生大臣は「『毎回同じこと言うな』って言って、次のとき言わなかったら『なんで言わないんだ』という程度のもの」と言っているようなので、政府の認識を2点問いました。

 

 答弁書では、日本の苦悩が見え隠れしました。私の「現在、日本はあらゆる形態の保護主義と対抗しているか。」という問に対して、答弁は「我が国としては、現在も自由貿易の推進に取り組んでいる。 」というものでした。別にいいじゃないかと思われる事でしょう。しかし、アメリカは、トランプ政権になっても「自由貿易」を標榜しているのです。しかし、その「自由」の中に「公正な」という言葉を強く含めます。「公正でない貿易は、そもそも自由貿易の基盤になり得ない。」、これ自体は正しい部分がありますが、それはともすれば偽装された保護主義になりかねません。だから、「あらゆる保護主義と対抗する」という言葉が必要なのです。

 

 麻生大臣の言うように「毎回同じこと言うな」となっていない事はご理解いただけると思います。日本とて、アメリカの意向を忖度するがあまり、これまでのポジションと同じ事(「あらゆる形態の保護主義と対抗」)と言わなくなっているのです。正直、ここは「アメリカに気を使いすぎ」だと思いました。

 

 その「公正」な貿易を推進するためのツールとして、最近、時折、聞こえてくるのが「スーパー301条の復活」です(他にもアンチダンピング課税の濫用等ありますが、これは稿を改めます。)。スーパー301条というのは、大まかに言うと、貿易相手国の不公正な取引慣行に対して当該国と協議することを義務づけ、問題が解決しない場合の制裁について定めた条項を指します。アメリカが、ある国との貿易が不公正だと目を付けたらその国と協議を求め、アメリカの希望するような解決策が出なかったら制裁措置を打つという、国際貿易ルールを順守する意識のかけらもないようなものです。

 

 WTOルール上は、必ずしも違法とまでは言えないという判断になっていますが、それはこれまで一度も制裁措置に至っていないからです。違法な制裁措置をネタに圧力を掛け解決を求める行為自体が私は間違っていると思いますが、その制裁が無い以上、判断しようがないという事もあるのでしょう。

 

 ただ、かつて日本はこのスーパー301条に対して非常に厳しい姿勢を貫いてきました。日米貿易摩擦の中で、極めて毅然と戦った日本の通産省、外務省等は立派だと思います。その時の古文書をひっくり返しながら、現政権の姿勢を問ういわゆる「スーパー301条」に関する質問主意書を提出しました。

 

(何故、こうやって古文書を引用したアプローチなのかというと、そうしないと単に「スーパー301条に日本は反対するのか?」と聞いても、「現在、そのようなものは存在しない」と言われるだけだからです。隔靴掻痒なのですが、昨今の答弁書の傾向からはこのやり方以外では答弁が返ってこないのです。)

 

 答弁書は、質問の性質上、過去の立場を再確認するものが多いのですが、ただ、スーパー301条的なアプローチに厳しい姿勢を取りたいとする政府の姿勢は見えて来ました。そうあってほしいと思います。ここは経済産業省や外務省の先人がこれまで築き上げてきた、通商ルール順守の正統派の気骨を見せてほしいと思う所です。

 

【なお、以下は極めてテクニカルです。途中まで読んで分からなくなった方は飛ばしてください。】

 最後に、トランプ政権が「国境税」を提唱している事との関係で気になった事がありました(なお、現在、共和党幹部が「国境税」ではなく、法人税をベースにした「国境調整措置」を検討している事は重々承知しています。)。というのも、「関税」ではなく、「国境税」と呼んでいる事です。ある産品がアメリカ国内に入ってくる時に徴収する関税ではなく、国境を越えた後に内国税として徴収するような意味合いがあるのではないか、それは関税ではなく内国税の問題なのでGATT違反ではない、と言うのではないか、という気がしたのです。

 

 実は、内国税であっても、輸入品だけに課税するのは内国民待遇(National Treatment)に反するのですが、それとの関係で、日本でも輸入品だけから徴収される「マークアップ」は国際ルール上大丈夫なのかなという問題意識が出て来ました。コメ、小麦、大麦、乳製品等を国家貿易で輸入する際に徴収するマークアップは、輸入品だけから取ります。普通に考えれば内国民待遇に反するのではないかという批判があってもおかしくはありません。つまり、トランプ大統領が提唱する国境税がそのまま導入されたとして、それを日本が批判したら、「おまえだって似たような事をやっているではないか。」とミラーアタックが返ってきてはたまらないという思いです。

 

 なので、GATTの諸規定に関する質問主意書を提出しました。上記の問題意識を過不足なく、問として立てています。答弁書はちょっと驚きでして、マークアップは関税、課徴金、内国税、内国課徴金といったいずれでもなく、全く別カテゴリーの「輸入差益」という位置付けでした。まあ、理屈としては分からなくもないですが、それにしても、「関税、課徴金、内国税、内国課徴金のいずれでもない何か」の存在というのは、本当に真正面から議論して、国際的に通用するのかなとちょっと疑問になる所はあります。

【テクニカルな部分はここで終了。】

 

 「枝葉末節だ。」という批判は甘受します。ただ、こういう所の積み上げなのです。その他にも上記に書いたアンチダンピング制度の正当性はどう見たらいいのか、米共和党が言っている国境調整措置は輸出補助金なのか、それとも法人税の仕向け地原則適用に過ぎないのか、といった色々なテーマがある事は知っています。そういった通なテーマを、通な気持ちで政府とやり取りしていきながら、変な方向に日本の通商政策が流れていかないように野党の立場から厳しくチェックしていきたいと思います。

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