治大国若烹小鮮 おがた林太郎ブログ

衆議院議員おがた林太郎(福岡9区)が、日々の思いを徒然なるままに書き綴ります。題は「大国を治むるは小鮮を烹るがごとし」と読みます。

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 2日の金曜日、IR法案(いわゆるカジノ法案)について衆議院内閣委で質疑に立ちました。どうも採決の際のゴタゴタばかりがTVに映るので、それしかやっていないのではないかと思われる方も居られるでしょう。私が質問した内容を少し説明したいと思います。なお、映像はココです。

 

 冒頭、委員長に苦情めいた事を言ったり、提案者と業界の関係について質問していますが、まあ、その部分は映像を見ていただければ分かります。特に難しい事は何も言っていません。2日の短い審議で採決に至った経緯についても細かく書きたくはありますが、あまり書くと色々な人間関係を損ねますので、一言「非常に残念なプロセスだった」とだけ書いておきます。あと、提案者と業界との関係については、今後、徐々に明らかになってくるでしょう。

 

 中身的に重視したのは、賭博罪の違法性阻却の話です。カジノは刑法第185条における賭博です。ただ、別法で認める事で、刑法第35条における正当行為として罰せられなくなります。これが違法性阻却です。この違法性阻却については、法務省が着目点として、以下のような8つの点を挙げています。少し長い答弁ですが、重要ですのでそのまま引用します。

 

【平成25年11月20日衆議院内閣委員会】

○平口大臣政務官 お答えをいたします。(略)
そこで、お尋ねのカジノにつきましては、一般論として申し上げますと、刑法に、賭博罪、また賭博場開張等図利罪、こういうものがございまして、これらが成立し得る、このように考えております。

(略)
他方、特別法を制定いたしまして、賭博罪が設けられた趣旨に反しない制度が構築され、その範囲内で実施される、こういうふうな場合には、カジノに係る行為について刑法上違法とされないこともあり得る、このように承知をいたしております。
そもそも、刑法が賭博を犯罪と規定した趣旨は、賭博行為が、勤労その他正当な原因によらず、偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものでございまして、一つは、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するということ、もう一つは、副次的犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるということ、こういったようなことにあるわけでございます。
そのため、法務省といたしましては、これまでも、刑法を所管する立場から、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止、こういったような点に着目し、賭博に関する立法について意見を申し述べてきたところでございます。
これからも、賭博に関する特別法が検討される場合には、このような観点から協力したい、このように考えております。

【引用終わり】

 

 私の質問は単純でして、今回の基本法でこの8項目は漏れなく対応されているかという事でした。あれこれと答弁がありましたが、結局、すべてに対応しているという力強い答弁はありませんでした。ここにきちんと対応しきれていなければ、違法性阻却がきちんとなされるのかが分からないという最重要ポイントです。

 

 その上で幾つかの項目について聞きました。まずは公益性です。今回のIR法案の何処に公益性があるのか、と質問しています。色々答えていますが、その中に「財政に貢献」という事がありました。しかし、財政に貢献するためには、IR事業者から納付金を徴収しなければなりません。法律に書いてあるのは「徴収できる」です。してもしなくてもいいのです。これでは財政に貢献できない可能性を残すではないか、と聞いたら、最後には「IR事業者が払う税金」みたいな事を言っていました。それで公益性があるのなら、すべての株式会社は公益事業をやっている事になります。答弁として成立していません。

 

 「提出者としては納付金は徴収するとの理解」と言っていましたが、それなら法律で義務規定で書くべきであり、そういう提出者の「祈り」を答弁で開陳したからOKという事にはなりません。逆にそれでいいのなら、基本法では「カジノを認めます」と一行書いて、その後に提出者の祈りを滔々と開陳する場を設けてしまえばOKという事にすらなりかねません。法律の基本がなっていないと思います。

 

 そして、ここは質問できませんでしたが、この法律では、仮に納付金を徴収したとしても、それが例えば依存症対策や反社会勢力の排除といった事業に使われる事や、公益性のある事業に振り向けられる事が一切担保されていないのです。それらに使われて、かつ財政に貢献するのであれば、納付金の水準は以下のようにならないとおかしいはずです。

 

(納付金)>(カジノ導入に伴う様々な対策)+(公益性のある事業への支出)

 

 こういう担保はこの法律の中には一切書かれていません。

 

 そして、上記の8要件に「収益の扱い」という項目がありますので、「仮に収益の中で公益性のある事業に全くお金が振り向けられない場合でも違法性は阻却され得るか。」と法務副大臣に聞きました。ビックリしたのは、ここで「総合的判断」という言葉で逃げを打った事です。さすがに収益の内、一部が公益性のある事業に振り向けられないのであれば違法性は阻却出来ないと思っていたのですが、ここで定型の逃げ答弁をしたのは問題だと思います。

 

 その後、射幸心の話を聞いていますが、これは風営法と賭博の関係についてかなり深く聞いています。非常に「言葉遊び」の要素が強い部分で分かりにくいので、別途稿を立てます。なお、言葉遊びをしているのは私ではありません。これまでの政府答弁です。

 

 なお、よく「IRの中でカジノが占める面積は3%」という言い方をします。しかし、世界のIRの中には「収益の8割がカジノ」という場所もあります。安倍政権によくありがちな「都合のいい数字」です。面積が狭いからいいという理屈を振り回すのは、国民を欺く行為であり止めるべきです。

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 質問主意書(1回目2回目)について、フォローアップも兼ねて、法務省、警察庁から説明を聞きました。

 

 まず、以下の答弁についてです。

 

【1回目主意書の答弁書(抜粋)】

① 六について

客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している。

 

② 七について

ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。

【引用終わり】

 

 私が書いたとおり、①と②との間には何の連関性も無く、単に①については売却の事実があると承知している事だけでして、②では①も含めて賭博罪に当たらないと言っているわけではないとの事でした。②は「ぱちんこをして、それで賞品を得る遊技」は、それが風営法に従う限りは賭博罪に当たらないと言っているだけです。つまり、これらの答弁は如何なる意味においても「三店方式はOK」、「換金はOK」と言ったわけではありません。

 

 そして、①と②を組み合わせて質問したことについては、既存の以下のやり取りになります。ここは面白くもおかしくもない内容です。

 

【2本目の主意書と答弁書(抜粋)】

(質問) 答弁書の「六について」及び「七について」に関し、客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却した結果、風営法に基づく必要な規制の範囲を逸脱し、それが刑法第百八十五条に規定する罪に該当する事はあり得るか。ある場合、どのような状況下でそれが起こるかを答弁ありたい。

 

(答弁) ぱちんこ屋の営業者以外の第三者が、ぱちんこ屋の営業者がその営業に関し客に提供した賞品を買い取ることは、直ちに風営法第二十三条第一項第二号違反となるものではないと考えている。もっとも、当該第三者が当該営業者と実質的に同一であると認められる場合には、同号違反となるほか、刑法第百八十五条に規定する罪に当たることがあると考えている。

【引用終わり】

 

 なお、「当該第三者が当該営業者と実質的に同一であると認められる場合」については、風営法違反、刑法(賭博罪)違反双方の可能性がありうることについては要注意です。

 

 そして、ちょっと驚いたのは、ぱちんこは如何なる意味において賭博罪の適用がないのかという問いです。質問と答弁は以下のようなものです。

 

【2本目の主意書と答弁(抜粋)】

(質問) 答弁書の「七について」において、「ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。」とある。これは以下のいずれを意味しているか。

(ア)ぱちんこは、刑法第百八十五条に規定される「賭博」ではない。

(イ)ぱちんこは、刑法第百八十五条に規定される「賭博」であるが、同条の「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる」ものである。

(ウ)ぱちんこは、刑法第三十五条における「正当行為」に当たり、これにより同法第百八十五条に規定される「賭博」の違法性が阻却されている。

 

(答弁)風営法の規制の範囲内で行われるぱちんこ屋については、関係法令の規定に基づいて適切に行われるものであって、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。

【引用終わり】

 

 私はてっきり(ア)が答えで返ってくると思っていました。しかし、答えで示唆されているのは(ウ)ではない、という事だけです。フォローアップで聞いたところ、(ア)と(イ)のどちらかについては「一概には言えない。」との事でした。つまり、「賭博でないぱちんこ」もあれば、「賭博だけども、『一時の娯楽に供する物を駆けたにとどまる』ぱちんこ」も存在しているという事を示唆しており、ここは驚きでした。

 

 しかし、私が一番驚いたのは、実はここではありません。以下はちょっと思考回路が複雑なので、よく読んでください。まずは、関係する答弁を列挙します。

 

【1回目の答弁書(抜粋)】

風営法第二条第一項第四号の「射幸心」とは、偶然に財産的利益を得ようとする欲心をいう。

 

【2回目の答弁書(抜粋)】

先の答弁書(平成二十八年十一月十八日内閣衆質一九二第一二三号。以下「前回答弁書」という。)二及び三についてでお答えした「財産的利益」とは、経済的価値のある利得を意味する一般的な用語であり、この「財産的利益」は、御指摘の「現金や金(きん)」を含むものであると考えており、お尋ねの競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)等の「財産上の利益」と同様の内容であると考えている。また、前回答弁書二及び三についてでお答えした「欲心」については、一般的に、「ほしがる心。むさぼる心。欲念。(出典広辞苑)」を意味しているものと承知している。

【引用終わり】

 

 ここで述べられている事を若干つまみながら、風営法第二条第一項第四号の「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」にすべて代入してみたいと思います。

 

「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に偶然に現金を得ようとほしがる(又はむさぼる)心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」

 

 衝撃的な表現が出て来ました。評価は各位にお任せいたします。今回の2回の主意書のやり取りで一番驚いた部分でした。

 

 その他、もう少し興味深い所がありますが、私が明らかにしたいと思った部分は概ね明らかになりました。この辺りで質問主意書は打ち止めにしたいと思います。

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 風営法に関する質問主意書と答弁を踏まえて、再質問主意書を提出しておりましたが、今日の閣議決定を経て答弁書が返ってきました。そのまま載せておきます。

 

 あまり中身には入りませんが、正直なところ、「想像していた答弁と違っていたので驚いた。」、「役所の答弁はかなりキツそう。」という感想だけ述べさせていただきます。先の質問主意書よりも、私的にはこちらの方が更に画期的な感じがします。あとはもう少し色々と検討してみたいと思います。

 

【質問】

衆議院議員緒方林太郎君提出風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する質問に対する答弁書に関し、次の通り質問する。

 

一 答弁書の「二及び三について」において、「風営法第二条第一項第四号の「射幸心」とは、偶然に財産的利益を得ようとする欲心をいう。」とある。

(ア)「財産的利益」という用語が使われている法令は存在せず、過去の主意書答弁でもほとんど使われていないところ、何を指すのか。現金や金(きん)は含まれるか。

(イ)「財産的利益」とは、例えば、競馬法、自転車競技法、小型自動車競走法、モーターボート競走法、スポーツ振興投票の実施等に関する法律に規定のある「財産上の利益」とは異なる概念か。異なる場合、その違いは何か。

(ウ)「欲心」という用語が使われている法令は存在せず、過去の主意書答弁でも使われていないところ、何を指すのか。

 

二 答弁書の「四及び五について」において、「すなわち、「射幸心を助長」するまでに至らないものであっても、「射幸心をそそるおそれのある」ものに該当し得ると考えられる。」とある。この答弁の中にある「射幸心」とは、いずれも風営法第二条第一項第四号の「射幸心」を指しているか。

 

三 答弁書の「七について」において、「ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。」とある。これは以下のいずれを意味しているか。

(ア)ぱちんこは、刑法第百八十五条に規定される「賭博」ではない。

(イ)ぱちんこは、刑法第百八十五条に規定される「賭博」であるが、同条の「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる」ものである。

(ウ)ぱちんこは、刑法第三十五条における「正当行為」に当たり、これにより同法第百八十五条に規定される「賭博」の違法性が阻却されている。

 

四 答弁書の「六について」及び「七について」に関し、客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却した結果、風営法に基づく必要な規制の範囲を逸脱し、それが刑法第百八十五条に規定する罪に該当する事はあり得るか。ある場合、どのような状況下でそれが起こるかを答弁ありたい。

 

右質問する。

 

【答弁】

一について

先の答弁書(平成二十八年十一月十八日内閣衆質一九二第一二三号。以下「前回答弁書」という。)二及び三についてでお答えした「財産的利益」とは、経済的価値のある利得を意味する一般的な用語であり、この「財産的利益」は、御指摘の「現金や金(きん)」を含むものであると考えており、お尋ねの競馬法(昭和二十三年法律第百五十八号)等の「財産上の利益」と同様の内容であると考えている。また、前回答弁書二及び三についてでお答えした「欲心」については、一般的に、「ほしがる心。むさぼる心。欲念。(出典広辞苑)」を意味しているものと承知している。

 

二について

前回答弁書四及び五についてでお答えした「射幸心を助長」の「射幸心」は一般的な用語として用いたものであり、「射幸心をそそるおそれのある」の「射幸心」は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号。以下「風営法」という。)第二条第一項第四号の「射幸心」を指すものであるが、両者は同様の内容であると考えている。

 

三について

風営法の規制の範囲内で行われるぱちんこ屋については、関係法令の規定に基づいて適切に行われるものであって、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。

 

四について
ぱちんこ屋の営業者以外の第三者が、ぱちんこ屋の営業者がその営業に関し客に提供した賞品を買い取ることは、直ちに風営法第二十三条第一項第二号違反となるものではないと考えている。もっとも、当該第三者が当該営業者と実質的に同一であると認められる場合には、同号違反となるほか、刑法第百八十五条に規定する罪に当たることがあると考えている。

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 アメリカ大統領選挙において、トランプ候補よりクリントン候補の方が200万票多かった事が話題になっています。日本の感覚では分からないかもしれませんが、私はこれがアメリカの良い所だと思います。

 

 こんな事が何故起きるかと言えば、選挙人という制度を取っているからです。そして、その選挙人の数は、上院議員の数+下院議員の数となっている事が今回のような事態の背景にあります。上院議員100人(2人×50州)+下院議員435人+コロンビア特別区3人で538人です。なので、過半数は270人です。

 

 アメリカでは、下院は厳格に人口比で議席を配分します。何故なら国民(人口)を代表するからです。一方、上院は州を代表しています。正に「United States」を体現していると言えるかもしれません。どんなに人口が少ない州でも上院議員は2名です。なので、人口の少ないワイオミング(56万人)などは上院議員2名、下院議員1名ですので選挙人は3人です。一方、人口が最大のカリフォルニア州(3725万人)は55名(上院2、下院53)です。

 

 人口比で行くと、カリフォルニアとワイオミングの差は66.5倍(3725/56)です。しかし、選挙人数で行くと18.3倍(55/3)です。上院議員が一律に2名割り振られている事の結果として、こういう違いが出てきます。結果として、人口が少なく(人口比では)過剰代表気味の中西部や南部で勝ったトランプ候補が、得票数が少なくても勝ったのです。

 

 上院は州(国土)を代表し、下院は国民を代表するという理念系がこういう影響を及ぼすという事ですが、これはアメリカだけではありません。フランスでもとても似た制度になっています。

 

 フランス憲法第24条には以下のような事が書いてあります。

 

【抜粋】

Les députés à l'Assemblée nationale, dont le nombre ne peut excéder cinq cent soixante-dix-sept, sont élus au suffrage direct.

Le Sénat, dont le nombre de membres ne peut excéder trois cent quarante-huit, est élu au suffrage indirect. Il assure la représentation des collectivités territoriales de la République.

 

 簡単に言うと、国民議会議員(下院)は上限を577人とし、直接選挙で選ばれると書いてあります。逆に元老院(上院)は上限を348人とし、間接選挙で選ばれるとなっています。そして、元老院については、共和国の地方自治体(collectivites territoriales)を代表するとなっています。フランスの上院は市町村長+選ばれた議員による投票ですが、フランスはとても地方自治体の数が多く、人口100人くらいの市町村がたくさんあります。そういう市町村でも1票必ず持っています。結果として、小さな市町村の声が強くなります。

 

 アメリカも、フランスも手法の違いこそあれ、国土(州、地方自治体)を代表するという役割を議会制度の中で上院に担わせているという事になります。そこでは一票の格差は問題になりません。代表しているのが人口ではないからです。

 

 私は日本という国家を考える時に、こういう国土を代表する議員の存在というのがあってもいいのではないかと思います。美しい国土、自然、大地を代表する議員という事です。ワイオミング州は確かに人口が少ないですが、ロッキー山脈、グレートプレーンズ、イエローストーン国立公園を始めとする素晴らしい国土はアメリカ人の貴重なアイデンティティを成しているでしょう。

 

 勿論、過疎地、農村地が人口比では過剰代表になります。私は昔から(若干の誇張を加えて)、日本人が出会うアメリカ人の大半は東海岸、西海岸、五大湖周辺出身なので、そのステレオタイプに影響されやすい、しかし、アメリカの本質はこういうディープな地域にある、政治分野においてその砦となっているのが上院であると言ってきました。上院ではそういうディープな地域が、人口に比すれば過剰代表となっているわけです。フランスでも同じです。上院は農村地域が人口に比すれば過剰代表となるので、フランスの農政が非常に既得権保持に傾きがちとよく言われます。

 

 しかし、そういう現象をそもそも「過剰代表」と思わず、そういうものなのだ、何故なら国土を代表しているからだ、と思うように出来ないかという事です。国家の要素は国土、国民、主権とされます。その国土を代表制の中に盛り込む事は日本の国のあり方としてむしろ当然ではないかという事です。

 

 このアイデアは、生臭い話をすると我が党には全体として不利なアイデアになると思います。それは分かっています。ただ、今の衆議院、参議院は共に同じもの(人口)を代表しています。それは実は世界の憲法体制の中では決してスタンダードではありません。

 

 いずれにせよ、その辺りの理念系をはっきりさせる事はとても意味のある事だと思います。

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 私が提出し、答弁が戻ってきた風営法に関する質問主意書について、どうも世間に「読み違い」が流布しているようです。これは「霞が関文学」の最たるものでして、読み違えることは仕方ありません。本件はもう少し情報が揃ってから思いをまとめる予定でしたが、誤解を放置しておくと良くないと思いますので、ここで投稿しておきます。

 

 まず、答弁書の中で注目されているのはこの2つです。

 

【答弁書】

① 六について

客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している。

 

② 七について

ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。

 

 これを受けて、世間では「ぱちんこの換金を政府が認めた。」、「三店方式にOKを出した。」といった評価になっているようです。しかし、よく読んでみると、そんな事は何処にも書いてありません。

 

 まず、①ですが、これは景品の換金行為がなされている事を承知していると書いてあるだけです。それに対する法的な評価はありません。そして、②について、まず、冒頭の「ぱちんこ屋」が何を指しているかですが、これは風営法上の「遊技」としてのぱちんこを指しています。つまり、遊技をさせて景品を渡す、これだけです。なので、そういう遊技であるぱちんこは賭博に当たらないという、いわば当たり前の事を当たり前に書いているだけです。

 

 ①と②が並んで書いてあるのでどうしても誤解したくなりますが、それぞれの答弁をよく読むと何処にも「換金行為がOK」、「三店方式がOK」などということが読める内容ではありません。

 

 つまり、答弁のこの部分だけでは、そこまでの驚きはないはずなのです。重要なのは、①と②を結びつけた時の判断です。換金行為があった時に賭博行為に当たる事例は無いのか、という事になるでしょう。

 

 なので、私は再質問主意書を提出しています。色々な事を書いていますが、その問四で以下のような質問をしています。

 

【再質問主意書(抜粋)】

答弁書の「六について」及び「七について」に関し、客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却した結果、風営法に基づく必要な規制の範囲を逸脱し、それが刑法第百八十五条に規定する罪に該当する事はあり得るか。ある場合、どのような状況下でそれが起こるかを答弁ありたい。

 

 霞が関文学というのは、一語一語をよく追わないと読み間違えますので要注意という好事例でした。

 

 ただ、それを差し引いたとしても、先の質問主意書答弁については「画期的」な部分があると思っています。なお、何度も言いますが、私は遊技産業に対する特段の感情はありません。また、一連の主意書は誰かの働きかけを受けてやっているものでもありません。あくまでも法的論点の詰めをやっているだけです。

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 日露の北方領土交渉において、よく出てくる「法的立場」という言葉ですが、意外に深いものがあります。見逃しがちなポイントです。

 

 例えば、日本固有の領土である北方領土の現状はどうかと言うと、「日本の立場」は害されています。これは言うまでもありません。では、日本政府は何を留意しているかというと「法的立場」を害しないようにしてきました。これは何かと言うと、ソ連やロシアの主権を認めないという事です。

 

 なので、主権行為であるビザを取得しての渡航とか、ロシアの管轄権(主権)に服するかたちでの北方四島や二百カイリ水域での漁業等とかは、非常に苦労しながらも避けてきています。例えば、「北方四島周辺水域操業枠組協定」については操業をしている漁船に対する取締りに関する規定をすべて落として、それぞれの国が自主的に行う事で纏めています。ある意味、画期的な協定でして、よく言われているのは「あれは1990年代後半のロシアが弱体化した時代だったから可能だったもの。今、やろうとしても無理。」とされる日露の合意です。

 

 今回の交渉でも、北方領土でも共同経済活動が議題になっているようですが、ここがポイントになります。例えば、経済活動の根拠法はロシア法としないとか、経済活動に対する徴税権を認めないとか、経済活動に必要な物品や経済活動の成果である物品の日本から又は日本への持ち込みについてはロシアの許可を得なくても可とするとか、そういう「法的立場」を丁寧に守っていけるのであれば可能ということでしょう。なかなか、これが難しいのです。落としどころは「すべて両国の自主的措置でやる」という事なのですが、そこまでロシアを下ろすのは至難の業です。

 

 ニュースを読んでいると、聞き落としがちなこの「法的立場」、非常にその意味するところは深いのですね。

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 先週、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する質問主意書」を提出しておりました。本日、閣議決定を経て答弁書が返ってきました。そのまま掲載します。あまりコメントは加えませんが、結構、画期的な事が書いてあるような気がします。


【質問】

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条第一項第四号において、風俗営業の一類型として「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」と規定されている。

 

これを踏まえ、次の通り質問する。

 

一 まあじやん屋、ぱちんこ屋以外に何が含まれるか。

二 射幸心とは、何を意味するのか。

三 射幸心の「幸」には、直接的又は間接的に金銭的利益を得る幸せは含まれるか。

四 平成二十六年六月十八日の衆議院内閣委員会で、政府参考人が次のように答弁している。

「刑法上賭博等が犯罪とされておりますのは、賭博行為が、勤労その他の正当な原因によらず、単なる偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものであり、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあることから、社会の風俗を害する行為として処罰することとされているものと承知しております。」

ここで言う「射幸心」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第二条第一項第四号の「射幸心」と同義か。

五 「そそる」の有無を判断する基準は何か。また、上記答弁の「助長」との違いは何か。

六 ぱちんこ屋で景品を得た後、その景品を金銭に交換している現実を政府として把握しているか。

七 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定されるぱちんこ屋は、刑法第二編第二十三章における罪の違法性を阻却する必要はないのか。

 

右質問する。

 

【答弁書】

一について

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号。以下「風営法」という。)第二条第一項第四号の「営業」には、御指摘の「まあじやん屋、ぱちんこ屋」のほかにアレンジボール遊技機、じやん球遊技機等を設置して客に遊技をさせる営業で、当該遊技の結果に応じ賞品を提供して営むもの等が含まれる。

 

二及び三について

風営法第二条第一項第四号の「射幸心」とは、偶然に財産的利益を得ようとする欲心をいう。

 

四及び五について

御指摘の答弁中の「射幸心」は、風営法第二条第一項第四号の「射幸心」について述べたものではなく、一般的な用語として用いたものである。また、同号の「射幸心をそそるおそれのある遊技」に該当するかは、当該遊技が偶然に財産的利益を得ようとする欲心を起こさせるおそれがあるか否かによって判断することとなる。すなわち、「射幸心を助長」するまでに至らないものであっても、「射幸心をそそるおそれのある」ものに該当し得ると考えられる。

 

六について

客がぱちんこ屋の営業者からその営業に関し賞品の提供を受けた後、ぱちんこ屋の営業者以外の第三者に当該賞品を売却することもあると承知している。

 

七について

ぱちんこ屋については、客の射幸心をそそるおそれがあることから、風営法に基づき必要な規制が行われているところであり、当該規制の範囲内で行われる営業については、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百八十五条に規定する罪に該当しないと考えている。


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 最近、あまり追っていないのですが、直感的に思っていることを書き残しておきます。ただ、私の読みはあまり当たりません。

 

 右派は、現時点ではサルコジ前大統領とジュペ元首相との間で候補者争いをしています。フィヨン元首相も名乗りを上げていますが、現時点では力が弱いです。トランプ的マッチョの要素を持つサルコジ元大統領と、かつてはテクノクラート臭さがあったものの最近は円熟味を増したジュペ元首相、さてどちらが選ばれるかですが、それぞれに弱点があるように思います。

 

 サルコジは右側に手を伸ばそうとすると、そこには極右国民戦線のマリーヌ・ル・ペンが居ます。政治的な立ち位置としてちょっと窮屈感があります。あまり過激な事を言うと、国民戦線と同一視されてしまいます。かと言って、今回は中道側に手を伸ばそうとするとジュペ元首相が居ます。逆に、ジュペ元首相は、20年以上前に首相を務めていることからさすがに古株感を醸し出しており、年齢的にも71歳というのは弱点でしょう。ただ、私は現時点ではジュペ元首相の方に若干の分があるように見えます。

 

 与党左派ですが、オランド大統領が2期目を目指すのかについてはフランス国内でも疑問視する声が強いです。国内的には、批判されているというよりも、既にバカにされている感があります。むしろ、今のヴァルス首相の方が良いのではないかという声が強いです。正直、オランド大統領ではマリーヌ・ル・ペンに第一回選挙で排除されてしまう可能性が極めて高いです。ヴァルス首相だったら大丈夫かと聞かれると自信はありませんが、若くて、エネルギーに満ち溢れ、かつ右派にも食い込める(党内最右派です)という事でより、オランド大統領よりは可能性が上がってきます。

 

 さて、国民戦線ですが、マリーヌ・ル・ペンが出てくるでしょう。フランス大統領選挙では、第一回投票では20%弱取れれば決選投票に行けますので、かなり可能性が高いです。2002年の大統領選挙では、第一回投票でシラク大統領と(父の)ジャン・マリー・ル・ペンが上位2位となりましたが、その再来があるのではないかと見られています。マリーヌ・ル・ペン的に最もやりやすい相手はサルコジです。仮に決選投票にサルコジとマリーヌ・ル・ペンが残る時、左派の支持者は、マリーヌ・ル・ペンを排除するためであってもサルコジには票を入れたくないと思うでしょう。一方、中道色のするジュペであれば「まあ、仕方ないか」という気になるはずです。

 

 さて、国民戦線の票の出方ですが、第一回投票で20%前後を叩き出す力が付いてきているように思います。2002年の時は、第一回投票と決選投票でジャン・マリー・ルペンが取った票は殆ど差がありませんでした。全く伸びなかったという事です。そういうトレンドは、昨年末の地方議会選挙でも同じでした。第一回投票で40%近く取った地方でも、結局、決選投票で全く伸びず、過半数まで行きませんでした。つまり、国民戦線に票を投じない人は、何があろうと(例:自分の支持している候補が第一回投票で落選した後の決選投票)票を投じないという事でした。

 

 簡単に纏めると、①国民戦線の地力は確実に上がっている、②ただ、決選投票において第一回投票からの上積みがない、これが「これまでの選挙」の中で明らかになっていると思います。さて、この②の状況が来年の大統領選挙でも続くのか、それとも、第一回投票では別の候補に投じたけど、決選投票ではマリーヌ・ル・ペンに入れようとするフランス国民がどの程度出てくるのか、という事が最も重要なテーマになります。

 

 私は「ある程度」そういう国民が出てきているように思います。決選投票で30%くらいまで行けるんじゃないかなと思っています。仮にサルコジが相手であれば、左派が棄権に回る可能性が高まるため、相対的にマリーヌ・ルペンの得票率が上がるという事もありうるかなと思っています。同じく、左派(オランド or ヴァルス)が残る時は、現時点で右派の中には「左派には投票しない」という強い意見もありますが、特に党内最右派のヴァルスである場合は、なんだかんだで右派支持者はヴァルスに投票する向きが強くなると思います。一番纏まりが良さそうに見えるのはジュペ元首相でして、決選投票で広く票を集めそうな感じがします。ジュペ元首相が勝つなら、その後の政権は左派の一部を取り込んだ連立になりそうな気がします。

 

 いずれにせよ、現時点でフランス大統領選挙でマリーヌ・ル・ペンが勝ち上がる可能性は現時点ではまずあり得ません。ただ、決選投票に上がってくる事は大いにあり得ると思います。2002年の時にジャン・マリー・ルペンが決選投票に残った時は「seisme politique(政治的激震)」と言われましたが、段々「(国民戦線の伸長に対する)慣れ」が出てくるのかなという感じがしています。この「慣れ」が怖いと思います。

 

 さて、これがどの程度国際政治に影響するかですが、あれこれ書いた割には大した結論になりませんが「誰が勝とうと大転換は無いだろう。」というふうに思います。

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 日印原子力協定の、核実験に関する公文について、その法的ステータスについては、先のブログに書きました。これを読んだ多くの記者さんから照会がありました。

 

 その際に常にお話しているのですが、「この公文には影の主役が居ますよね。」と私は思います。それは「パキスタン」です。

 

 インドの2008年9月5日のムカルジー外相(当時)ステートメントで、自発的かつ一方的な核実験モラトリアムを宣言しています。私はそのモラトリアムが守られる事を信じたいと思います。しかし、一つだけ例外があります。それは「パキスタンが核実験をした時」です。その時は間違いなく、インドもやるでしょう。

 

 ただ、インドがどういう言い訳をするかは既に予想が付きます。恐らく「自分(インド)は今でもモラトリアムを遵守する意図を持っている。しかし、今回はパキスタンがやらかしたから、安全保障上の要請でうちも核実験をせざるを得なかった。自分に責がない話で、何故、日印原子力協定に基づく協力を止められ、それに対して補償を求めたら異議を唱えられなくてはならないのだ。非難されるべきはパキスタンではないか。」という説明が返ってくることは必定です。ビリー・ジョエルの曲ではありませんが「We didn't start the fire」という事です。

 

 「パキスタンが核実験をやらかした結果、インドも核実験をやった時、それはモラトリアムからの逸脱か。その時、この公文で日本が言い放っている協力停止、補償への異議申し立ては発動するのか。」、外交的にも、実務的にも、この公文の本質ではないかと思っています。国会でチャンスがあったら聞いてみたいポイントです。

 

 なお、この公文の構図については先のブログで説明したつもりですが、ちょっと分かりにくかったみたいです。簡単に言うと、私と奥様との間の会話で、私から「お小遣い上げてほしい。上げてくれないなら、仕事も辞めるし、家出する。それによって家計に穴が開いたとしても知らない。」と言い放ち、それに対して、奥様が「お小遣いのアップは昔、ルールを決めたでしょ。」と言い放つ、その会話をすべて記録に留めた、という事です。分かっていただけると思いますが、私の主張に奥様は何らの評価もしていませんし、お小遣い額についての合意もありません。

 

 という事で、出来るだけ分かりやすく説明させていただきました。

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 題がちょっとショッキングですね。今日、安全保障委員会で質疑に立ちました(映像はココ)。一部、徹底的に役所の言葉遊びに付き合い、そして、それを詰めた部分があります。私が積極的に言葉遊びを展開したわけではありません。

 

● リスク論

 まずは、自衛隊の南スーダン派遣に対する「リスク論」。正直、何度話しても、政府側のリスク論は情緒的で、検証に耐え得るものではありません。私はリスクの定義である「危害の大きさ(hazard)」×「起こりやすさ(likelihood)」をベースに議論をしています。危害が大きくても、起こりやすさが低ければリスクは小さいでしょうし、逆も然りです。

 

 森羅万象には常に「危害の大きさ」があります。なので、当然駆け付け警護という業務に伴う「危害の大きさ」が出てきます。さすがに「起こりやすさ」がゼロという事はないので、オン・トップで乗ってくるリスクはあるはずです(ゼロで計算するのであれば新規リスクはゼロですが、それこそ安全神話です。)。それを否定することは出来ません。

 

 仮に稲田大臣答弁のように、共同防護のような業務をやる事で既存業務のリスクが低減するのなら、それでいいのです。駆け付け警護で新規に乗ってくるリスクと、既存業務のリスク低減を比較してみて、それで南スーダンPKO全体でリスクが下がるのなら、胸を張ってそう言えばいいのです。しかし、そうではなさそうでした。

 

 私が怖いのは、このリスク論を曖昧にしているところです。答弁を聞きながら、時折、情緒的なものを感じることがあります。先の大戦でのインパール作戦では、食料調達のリスクがありました。司令官であった牟田口中将は牛に運送をやらせて、牛がなくなったらそれを食するという「ジンギスカン作戦」という荒唐無稽な案を考え出し、食料調達のリスクを眼前から消し去りました。結果は御承知の通りです。それと同じレベルの事をやろうとしていると言うつもりは毛頭ないのですが、発想の根本において似たものを感じるのです。

 

 「リスクは高まる。しかし、しっかりと対応する。」、こういう姿勢を何故見せないのかと疑問でなりません。「一+一+一=三のような考え方は取っていない。」、それは私もそうです。だからといって、客観性をすべて反故にしていいわけではありません。

 

● 武力紛争と戦闘行為

 ここが「徹底的な言葉遊び」です。ただ、元々は私がやり始めた言葉遊びではありません。

 

 政府は「戦闘行為」の定義として「国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」を採用しています。その結果として、南スーダンでは「キール大統領とマシャール元副大統領との戦いは国際的な武力紛争ではない。なので、戦闘行為は無い。なので、PKO五原則は崩れていない。」と言っています。これが端緒です。

 

 一方で、10月25日付の内閣官房、内閣府、外務省、防衛省による「派遣継続に関する基本的考え方」の6に以下のような記述があります。

 

「他方、PKO参加五原則については、憲法に合致した活動であることを担保するものである。この場合、議論すべきは、我が国における、法的な意味における「武力紛争」が発生しているか、であり、
具体的には「国家又は国家に準ずる組織の間で行われるものである戦闘行為」が発生しているかである。(これは憲法との関係であり、その意味において我が国独自の問題である。)」

 

 ここでは武力紛争の具体的な定義が「国家又は国家に準ずる組織の間で行われるものである戦闘行為」とされています。

 

 ここで上記の「戦闘行為」の定義を代入してみると、武力紛争の定義は「国家又は国家に準ずる組織の間で行われるものである、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為」となり全く意味をなしません。簡潔に言うと「Aを説明する時にBという用語を使い、Bを説明する時にAという用語を使ってしまうと、全体として定義がループのようになってしまい、意味が分からなくなる。」という事です。

 

 「言葉遊び」に徹底的に付き合った結果として、政府の論理が崩壊しているでしょ、これだと意味が通じないでしょ、という事を聞いていたのですが、最後の最後まで稲田大臣は理解しませんでした。終いには、当方に「質問が混乱している」と言っていましたが、同僚議員は全員「聞かんとしていることはよく分かった。」と言っていました。自分が詰まったら人を誹謗中傷するのは止めた方がいいですね。

 

 「戦闘行為という言葉を使わずに、武力紛争を定義ありたい。」という質問主意書を出したいと思います。それはさすがに政府に課せられた義務でしょう。

 

● 戦闘行為

 上記の論理の流れだと、最後の最後は「What is 戦闘行為?」というのが分からなくなるのです。なので、私からは「では、戦闘行為の英訳は何か。」と問い質しました。予想通り、「combat」だと返ってきました。

 

 しかし、国連の文書等を見ていると、南スーダンの状況を説明するのに「combat」という表現は何度も出てきます。つまり、ここで明らかになるのは、日本の「戦闘行為」と国際社会の「combat」との間には乖離があるという事です。もっと言うと、日本は色々な事を正当化するために、「戦闘行為」という概念に国際的に通用しないものを詰め過ぎてしまっています。日本の概念はある意味ガラパゴス化しているという事です。

 

● 武力紛争

 上記の「戦闘行為」と同じです。「武力紛争」は英語では「armed conflict」です。しかし、国連安保理決議を始めとするありとあらゆる文書で、南スーダンの状況を説明するのに「armed conflict」は出てきます。

 

 「戦闘行為」の所では詰め切れませんでしたが、「武力紛争」の所では「英語で言うarmed conflictと、日本の法制度で言う『武力紛争』とは同一ではない。」という答弁が返ってきました。論理的にはそうならざるを得ないわけですが、そういうガラパゴス化は一度よく見直した方がいいと思います。

 

● 南スーダンの現状

 今年7月に生じた暴力(violence)に関する独立特別調査のサマリーを読んでみたら、色々と衝撃的な表現が出て来ます。
- 危機が生じた(crisis)
- 集中的な戦闘(intense fighting)
- 多くの民間人及び2名のPKO要員の死(death of many civilians, two peace keepers)
- 脆弱な和平合意の崩壊(collapse of the fragile peace agreement)
- 危機は無制限の暴力を首都にもたらした(crisis brought unrestrained violence)
- 戦闘員は破壊と苦悩の痕跡を残した(participating fighters left a trail of destruction and suffering in their wake)
- 国連要員、援助関係者、ローカル・スタッフは、武装兵に奪われ、打ちのめされ、レイプされ、殺された(UN personnel, aid workers and local staff were robbed, beaten, raped and killed by armed soldiers)

 

 これでも武力紛争は無いのかと聞いたら、稲田大臣は「マシャール派は系統だっておらず、支配地域もないので武力紛争は無い。」と答弁します。なので、私から「系統立たず、支配地域を持たない組織が引き起こす危機の度合いが極限まで上がっても、武力紛争は無いという事か。」と聞いたら、答えは「武力紛争ではない」という事でした。爾後、フォローとしてお役所に「大量虐殺が起きていても武力紛争は認定しないという事か。」と聞いたら、答えは「武力紛争ではない。」とのことでした。

 

 言葉遊びからスタートしていますが、我々が普通に解する言葉の意味と大きく異なる事は理解していただけると思います。

 

● 提案(最後にやりたかったこと)

 時間不足でやれませんでしたが、本当は最後に一つ提案をしたかったのです。それは、国連PKOの今後についてです。

 

 「国連PKOの将来」と題する国連事務総長報告において、国連PKOの任務の多用化や複雑化、対処すべき紛争の拡大や激化により、メンバー国の結束が揺らぎ、状況の変化に対処する事が困難になっているといった趣旨のことが言われています。国連の文書を読んでいると、there is little or no peace to keepといった状況での対処の困難性を述べるものもありました。国連のPKO部局の魂の叫びをそこに見て取りました。

 

 安保理非常任理事国はそろそろ終わりますが、日本が主導すべきは、何でもかんでもPKO任せにするのではなく、PKOのスコープをもう一度絞り込み、PKOで対応すべきもの、そうでないものを分ける作業を主導する事ではないかと思うのです。質疑で取り上げた色々な用語の矛盾も、無理に無理を重ねざるを得ないミッションが増えてきているからです。

 

 そういう改革を進めていけば、戦闘行為にしても、武力紛争にしても、通常の理解と大きく異なるような言葉遊びをしなくても済むようになるはずです。そういう思いを述べたかったのですが、時間配分を誤りました。

 

 読んでみて、「所詮言葉遊びじゃないか。」というご批判が多いと思います。その通りです。しかし、その言葉遊びの裏に色々な無理が潜んでいるという事を少しでもご理解いただければと思います。

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