girls' talk 5
テーマ:ピュアなままにV
「生まれつき…香りがするの?」
ルナはちょっと訝しそうな表情をした。
「銀の月に入隊してから、私自身、レン閣下と話す機会が何度かあったけど、こんな香りを嗅いだことなんて一度もないわよ」
あたしは少し頬を染めながら、小さく言った。
「だって触れるか触れない程度の距離にならないと、分からないもの」
途端に、ルナは脱力した表情になりボソっと言った。
「ふーん。あんたたちも最後までいってないだけで、それまではしっかりと色々やってんのね」
「る、ルナ」
「全く色々と教えようとしたあたしが馬鹿みたい」
あたしは不機嫌そうな彼女を宥めるように慌てて言った。
「でも、ルナの『恋愛講座』は、いろいろと勉強になったよ」
それは心の底からの言葉だ。
彼女は、高級クリームや蜂蜜色のカプセルといった小道具だけではなく、女らしい官能的な仕草とか、また逆に小悪魔っぽい可愛さとか天使のような純粋さとか、用途別(男別)に使い分けてるんだもの。
毎日、紅色の手帳と睨めっこして、タイプ別男の落とし方の研究している成果もあるわ。
あたしには、とても真似できないけどー。
そんなことをしみじみと感心しているあたしに、ルナは少し腑に落ちない様子で口を開いた。
「でも、この香りって、男女間の雰囲気を自然に高めてくれる効果もあるのよね~。
あんたの言うことが本当なら、そんな魅惑的な香りの持ち主でしかも相手が好きな男で、何度もそういう雰囲気があったにも関わらず最後までいかないなんて、やっぱり、おかしいと思うのよねー。
あんたの天然さを差し引いても、最後までやることに引っ掛かりがあるとしか思えない。
まさかと思うけど、あんたが以前言ってたジュンとかいう、レン閣下に似ている彼のことがまだ心の中でひきずってたりとか、する?」
ルナの艶っぽい唇から意外な言葉が飛び出して、あたしは心臓がびくんと跳ね上がった。
まさか、今の会話の流れからして純先輩の名前が出てくるとは思わなかった。
ルナも最初は冗談っぽく言ったみたいだったけど、あたしの反応を見て、少し神妙な顔をして口を開きかけた。
その時、部屋の向こうから荒々しく廊下を踏みしめる足音が聞こえ、それはちょうど部屋の前で止まった。
やがて、扉の鍵を開ける音がガチャガチャと聞こえてくる。
あたしたちは、びっくりしたようにお互いに顔を見合わせ、同時に扉の方向へと振り仰いだ。
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