先週の土曜日(18日)、ハバナから帰ってきました。
東京も寒いけど、ハバナもかなりの寒さで、セーターが手放せませんでした・・・コートを着込んだ日もあったくらいで、こんな寒かったハバナの12月は初めて!
さて、さっそく本題に入りましょう。
まず今回の映画祭(第32回新ラテンアメリカ国際映画祭)の報告として、ワタシ的に一番に報告したいのは、“続・低開発の記憶”とも言うべき、『Memorias del desarrollo 』(ミゲル・コユーラ監督)の上映に立ち会えたこと。シネ・インファンタにて11日夕方5時半からの上映でした。
ミニ・シアターではありますが、5時少し前に行ったら、もうほぼ満員!
幸い空いていた席に座り、ほっとしていると、まもなくコユーラ監督の両親とマリア・ロサ(写真左端/エドムンド・デスノエスの最初の妻で、故ネストール・アルメンドロスの姉)が来場。
てっきり彼らには予約席があると思っていたのですが、通路に座るよう指示されていたので、慌ててマリア・ロサに席を譲り、私はコユーラ両親と床へ。(その後、運び込まれた椅子に私だけ座らせてもらえました)。
映画が始まる頃には、両通路のほか、座席前のスペースまで観客で埋まっていました。
『Mermorias del desarrollo』は、ミゲルにもらったDVDで1度見たきりで、スクリーンで観るのは初めて。
流れが断片的だし、予備知識がないと分かりにくい内容なのに、途中で席を立つ人はごくわずか.。
(ミゲルいわく、「政治的に正しくない」と言って退出した女性がいたとか。)
マリエル事件のシーンでは、泣いている人もいました。
(最初にこのシーンを観たとき、マリア・ロサは目まいを起こしたとミゲルから聞きました・・・)
映画が終わると、たくさんの拍手が起こり、その反応を直接体験できて本当にラッキー!
尚、この上映後の写真が、ウェブ紙に載りました。
向かって左の両手を挙げて話している髭面の青年が、ミゲル・コユーラ監督。
対面で目をむいているオジサンは、著名な画家のManuel L ó pez Oliva 氏。
写真だけ見ると、まるで口論しているようですが、実際にはLopez Oliva氏がミゲルに感動を伝えているのです!
(あとからミゲルの父親に届いたメールを読ませていただきましたが、もう絶賛!)
一方、このときワタシはLopez氏が誰かも知らず、写真を撮ろうとウロウロしていました。
→
元記事の筆者、Orlando Luis Pardo Lazoは、「Boring Home」という現代キューバの若者像を活写した短編を書いているほか、写真ブログ↓もやっています。
http://vocescubanas.com/boringhomeutopics/
元記事はコチラ↓
http://www.diariodecuba.com/cultura/2191-la-historia-al-estilo-de-un-comic
上記事のうち、ほとんどがミゲル・コユーラ監督自身の談話で、時間ができたら、要点だけでも日本語にして紹介したいと思っていますが・・・
『Memorias del desarrollo』は、コンペ作品でもないし、主要な映画館では上映されませんでしたが、最初に12y23で2回上映
されたほか、シネ・アカプルコで1回(たぶん)、インファンタでも2回、その後、新しくできた文化会館のような施設でもトーク付きで上映会がありました。(私は欠席)
来年2月の“今注目の”La Muestra de Jovenes Realizadores (新人上映会)でも上映されるので、ミゲルはそれまでハバナに滞在の予定。ちなみに新人とは35歳までを指すのだそうで、ミゲルにとって“最後のチャンス”と言ってました。
上映アナウンスは地味でも、反響はアチコチに出ました。でも、グランマ紙に映画評が出たのにはミゲル本人もビックリ!しかもマズマズ好意的?
http://www.granma.cubaweb.cu/2010/12/08/cultura/artic02.html
映画祭での『Memorias del desarrollo』の取り扱いについては、色々意見もあるようですが、2010年にハバナで上映されたことがなにより快挙だし、グランマでも取り上げられるなど、タブーが薄れている傾向を実感しました。
個人的には、『低開発の記憶(Memorias del subdesarrollo:メモリアスⅠ)』から『Memorias del desarrollo(メモリアスⅡ)』を繋ぐことを目標にブログを書いてきたので、これでハバナ(映画祭)詣では一段落した感あり。
今回は書籍等の収穫もあったので、今後は集めた資料をきちんと読んで、映画を見て、時代背景も頭に入れて、ブログを書くのが目標。
来年もヨロシクお願いします。
Crítica de Memorias del desarrollo, por Frank Padrón
追記:
この記事をアップした直後、ハバナに居るミゲルから新しい映画評が届きました。
評者は、キューバ映画批評界の若手で最も有名なフランク・パドロン!
画像をクリックして、スペイン語を読んでください。
革命後に生まれた世代の意識変化が感じ取れるのではないでしょうか。
今回のハバナ映画祭では、“キューバ映画”のカテゴリーには入っていなかった『Memorias del desarrollo(メモリアスⅡ)』。
でもキューバ人批評家のコメントを読む限り、「キューバ映画として積極的に評価し、位置づけている」点がフェアで好ましく思われます。
1月にアメリカのサンダンスでスタートした『メモリアスⅡ』の世界をめぐる映画祭行脚。
思いがけず最後をハバナで迎えられ、私もキューバの人々と一緒にスクリーンで観られて本当に満足。