追記あり:外務省からのレポートより | 国際結婚の行く末: 在アメリカ 国際離婚とハーグ条約

国際結婚の行く末: 在アメリカ 国際離婚とハーグ条約

国際結婚をする前に、国際離婚についての知識があればよかったと思います。あったら、してなかった。

外務省が、ハーグ条約についてレポートを発表していました。

ここでは、「ハーグ条約」という言葉ではなく、「子どもの奪取条約」と外務省はよんでいました。

どっちが奪い取る?ということを言いたいんでしょうかね。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2010pdf/20100801120.pdf



このレポートの最後の「おわりに」から。

ハーグ条約に関しては;

1.日本国内から海外へ子供が連れ去られた場合も、日本国内で問題になっており、なんらかの対応が必要である。

いったい、この子供たちはどれぐらいいるのでしょうか。ハーグ加盟国・非加盟国別にもわけて知りたいものです。

ハーグ非加盟国が多いのであれば、ハーグが使えない。


2.ハーグ条約は、もといた国に子供を戻すことが、子供のにとって一番良いことであるという観点からつくられた条約であること。

だから、連れ去られた国(例えば日本)で裁判をしなおすのでしょう。連れ去られたとしても、元の国(例えばアメリカ)に戻すことが、子供にとって良くなければ、実行されない。


3.したがって、その後の監護権の在り方等の実体上の問題については当該国の法規(例えば日本)に基づいて裁判等の場で判断されることになり。が、手続上の問題と実体上の問題とは切り離して考えなければならない。

これにおいては、現在でも、日本国内ですでに裁判が行われています。ここに判例をのせました。
http://www.geocities.jp/gender_law/hanr/rikon/rikon5_9.html

実際、「アメリカに戻るように」という判決もでました。

日本国内で誘拐犯になっている母親はみな、裁判による虐待から逃げるために日本に帰ってきます。「子どもが18歳になるまでの」裁判です。逃げ帰っても、日本の最高裁で判決がでるまで続きます。

現状でも実行されてます。


4.現在、我が国が子どもの奪取条約に加盟していないため関係機関による協力が十分に得られず、我が国に連れ去られた子どもの居場所等の情報の入手は非常に困難で
あり


日本には戸籍、住民票という制度があります。私の知っていうる国際離婚経験者のなかで、海外にいる配偶者が子どもの居場所を知らないというケースはありません。一緒に住んでいないかもしれませんが、実家の場所はわかっているはず。

「非常に困難であり」と書いてあるのが不思議です。これは、日本国内に住む日本人同士でもいえるのではないでしょうか。妻が子どもをつれて、どこかに引っ越してしまう。これも、同じことでしょう。

それとも、外務省が、外国人である配偶者のために、戸籍や住民票を取ってあげるのでしょうか?


5.少なくとも現状のような状況が改善されることが望ましく、日本が子どもの奪取条約の加盟国から「子どもの奪取者のサンクチュアリ」とみられるような事態は避けたい。


ああ、ためいきがでます。

日本ですね。「世間体」というんでしょうか。「こんなふうに他人から思われたくない!」ということですか。

日本国籍の子どもの福祉を最も適うために、この条約にがある、といいましたよね?でも、世間体が悪い?諸外国に、こう思われては困る、ということですね。「外交上」で。


6.また、我が国が子どもの奪取条約に加盟しないままであれば、子どもの監護権をめぐる問題で外国に住む日本人が不利な立場に立たされるかもしれないという指摘もある。


福岡の事件はそうですよね。日本人女性が、「子どもがだんだんアメリカ人らしくなっていくわ」とメールに書いただけで、接近禁止令がだされた。アメリカにすめば、日本人同士の子どもでも、駐在員の子どもでも、アメリカ人らしくなることでしょう。

しかし。

日本だけではありません。

ハーグ加盟国同士でも同じことです。不利な立場です。

アメリカは、州外に出れない子どもがたくさんいます。ニューヨークとロス間とかです。行けない子供たち、そして、出身州が別のところであるために監護権で不利になるケースはたくさんあります。


加盟したところで、状況がわかる?不利なままです。私は思いません。



7.逆に、子どもが国内から海外に連れ去られた場合、相手国に対して子どもの奪取条約への加盟を要求することができるようになる外交上の利点も大きいと思われる。

また、外交上の利点ですか。

さて、これは統計をだしてみてください。この統計は見たことがないrです。

いったい、何人の子どもが海外に連れ去られているのか。

そのうち、相手国は、ハーグ未加盟国なのか。それとも、加盟国なのか。

相手国がアメリカだとしても、アメリカ国内で裁判を行ってその判決によって、日本に戻る・戻らないが決まるんですから。

誰が弁護士代を払うんでしょう。百万・何千万円単位ですね。

誰が、子どもの場所を見つけるんですか。この国では普通は探偵をやといます。警察も動いてくれません。

加盟しても同じです。

未加盟の現在でも、同じ判例がアメリカででてます。
http://www.japantoday.com/category/national/view/nebraska-court-rules-japan-has-jurisdiction-in-child-custody-case

子どもは日本に戻ってきました。

「外交上の利点」だけのように思えますね。


8.そして、日本国内の親権・監護権について、もっと議論をすることが必要。日本の民法改正の検討。

これについては私は知識がないですが、アメリカのような親権・監護権に変えるべきといっているのでしょうかね。

そうであれば、共同親権・共同監護の「現実」を知ってほしいと思います。

理想と現実は違いますし、国内での議論を見ていると、「共同親権=子どもに会える」と思っているかたがたくさんいます。

アメリカでは「単独親権でも子どもに会える」のです。

どこを改正すべきなのか議論が必要でしょう。


9.日本は、子どもの奪取条約に加盟するために解決すべき問題は多い。

「外交上」ね。日本国民のためではなさそうですね。現状でも、判例がでてるんです。「解決」というのはなんですか?「加盟=解決」?

10.早期加盟に向けて検討すべき。

「外交上」ね。




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外務省の意向がわかる興味深いレポートでした。

外務省は現在、日本人母子に帰ってほしくないと思っているようです。これ以上、日本に帰ってこられたら困る。また、諸外国からバッシングが増えると。

日本大使館・領事館に相談したばかりに、もっと悪い状況になったという話しをよく聞きます。もちろん、相談をしてしまったので、もう、日本に帰れません。パスポートを発行してもらえないし、かといって何かしてくれるわけでもない。



国際結婚をして海を渡る場合は、昔の戦争花嫁のように、日本を捨てるつもりでないと苦労しますよ。覚悟してください。




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追記:

他の国とアメリカ間でのこういったケースを考えるときに、最近ブラジルからアメリカに帰ってきた子どものケースが一番に浮かぶ。

アメリカ側が、「子どもを返さないと経済制裁をするぞ」とおどしました。ブラジルは特定のものは、関税フリーでアメリカに輸出できます。

その条約を結ぼうとしているさいに、「この子どもがまだブラジルに誘拐されたばかりでまだ帰ってきてないから、ちょっと考えたい」としたわけです。

http://ameblo.jp/rikon07/entry-10456137096.html


ブラジル国家の問題に発展しました。もし、この条約が結ばれなかったら、ブラジルに莫大な損失が。

ブラジルはこの家族を説得して、子どもはアメリカに戻ってきました。


結局、「外交上」の問題ですね。


子どもがアメリカに戻る前は、ブラジルは「ハーグ条約に加盟しているのに、実際に機能していない。子どもがアメリカに帰ってきていない」と批判されてました。

これは、日本の将来にもあてはめることができるのでは。



日本がハーグに加盟しただけでは、この圧力は終わらない。

「実際に」子どもが帰ってこないと。



しかし、これが、「子どもの最善の利益」ですか?やはり「外交上」の問題にみえます。

たとえ、日本国内で、「子どもは日本に住むべきだ」という判決がでたとしても、再び、ブラジルと同じように「ハーグ条約に加盟しているのに、実際に機能していない。子どもがアメリカに帰ってきていない」と圧力がかけられるのでしょう。



そして、離婚ではないですが、アメリカとキューバ間の問題も思い浮かび、衝撃的な写真が忘れられません。
http://ameblo.jp/rikon07/entry-10105187377.html


日本は、「外交上」困るので、強制的に子どもを諸外国に送り返すのでしょうか。「子どもの最善の利益」とはまったく思えません。



前の記事にも書いたとおり、日本は三権分立の国のはずです。

それぞれが、バランスよくハーグ条約にかんして、検討してもらいたいです。