ふじとうさくしゅうのブログ

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村は、『考堂』と34の山荘で構成されています。
考堂は昭和55年に竣工し、設立のコンセプトは
「自然の中に人間の生き方を考える」

ロケーションからして、世間からの孤立感があり、しかも割合アカデミックな香りのするところです。



考堂にはレストラン&喫茶室があり、おもてなしランチ700円(前日予約要、中でも豆腐ハンバーグがお奨めですので指定できるか訊いてみてください!)
他に焼きおむすびset等


挽きたてのコーヒーをキレイなおねえさんがいれてくれる。
村内にある『狸狐庵窯』で焼いたお洒落なcupを選べるのがうれしい。


考堂から太平洋を望む





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みなさんは『桃源郷』ってどんなイメージを持っているだろうか?僕の中にある『桃源郷』のイメージを具現化してみたいと思う。
場所と時代は昔の中国内陸部。広い中国のことだから、現在でもそれを再現できる地方はあるかもしれないが、現在の中国ではどうしてもそれに重ならない。
感覚的には百年以上、つまり日清戦争以前に遡るかもしれない。『桃源郷』が存在するには、封建制にしろ或いは共産主義であるにしろ、どうしても中央政府が悪者でなければならない。そういう意味では現在の中国でも充分にその資格はあるのかもしれない。どちらにしろ周りが悪でなければ『桃源郷』が引き立たないのである。ここでは、仮に時代は不明としておこう。
更に細かく言えば、場所は広々と開けた平野部ではなく、周りをなだらかな山に囲まれ適当な広さをもった谷あいの村。
そのほぼ中央付近に、日照りのときでも水を枯らすことのないきれいな小川が流れている。
そして人口もそこそこ。鬱陶しい程多くもなく、寂しいほど少なくもない。では何人なのか。何人が最も適当なのか。500人では少し多いような気がするし、100人ではチョッと寂しい。中を採って、ここでは仮におおよそ300人くらいかな、としておく。
因みに、断っておくが、僕の中での『桃源郷』を語るにあたって、この「適当な・・・・」「・・・そこそこ」「おおよそ・・・」「・・・くらい」などの'曖昧さ'を表現することばがとても大切な意味を持つわけで、これはひいては僕自身のあらゆる事象に対するスタンスでありポリシーであると言える。なんて大仰なことを言ってるが、実はこれ量子論の、いわゆるミクロの世界を支配する'曖昧さ'を引っ張り出し、これを我々のマクロの世界にも適用することによって、生来の自分のいい加減な性格を正当化しようとする、僕の狡い一面が見え隠れする。
話を『桃源郷』に戻そう。
適当な広さのなだらかな山の谷あいには、『桃源郷』からくるイメージとして文字どおりの桃李の林があり、一年を通じて結構長い期間に亘ってその花が咲き誇っている。そして勿論それは大きくて甘い実を付ける。肥沃な田んぼには善良そうな農夫がいて、農耕用の牛に犂(すき)を引かせている。

ちょっと待って下さいよー。
今、狸狐庵窯の工房の裏で、
「ひやー!やられた、やられた!」と叫ぶ妻の大きな声がする。
デッキでこのブログを書いていた僕は、急遽それを中断せざるを得ない。緊急事態が発生した!のだろう。
工房裏に駆けつけてみると、「遂にやられた!」そう言いながら妻はケンケンをし、片方の足の先を両手でつかんでいる。
誰にやられたのか、事情の解らない僕はただオロオロとしていた。
「ムカデに・・・、やられた」
妻はいつになく、ゆっくりと圧し殺したような声で言う。時代劇の立ち回りで、刀で切られたかの体だ。
僕はすかさず周りを見回してみた。やっぱり、いた!いた!、結構大きなムカデが足をさざ波のように揺らしながら、罪の意識からかそこら辺を右往左往している。
妻は大のムカデ嫌いだ。ひょっとしたらムカデは、彼女が世の中で一番忌み嫌っている生き物なのかも知れない。よりによってその相手に咬まれたのである。彼女にしてみれば、嫌いなマトンを無理矢理食べさせられるよりも更なる悲劇に違いない。
一方僕としてはムカデに対するそれほどの嫌悪感がある訳でもない。蛇よりはずっとずっとましである。少し可哀想ではあるが、立場上殺さなければ男としての面子が立たぬわい、とばかりに適当な木切れを拾って闇雲にムカデを叩き続けた。ムカデは苦しそうにひっくり返り悶えていたが、やがて息絶えたようだ。それでも止め(とどめ)を刺すようにして叩いていると、ムカデはとうとう真っ二つに切れてしまった。
「ゴムヒモみたなもの、ない?とりあえず縛らなきゃ」
ムカデに刺されたのは左足の人差し指の先だった。
僕が台所から持ってきた輪ゴムを三重くらいにして足の指に巻きつけ、そして彼女は風呂に行ってシャワーで足を冷やしだした。ここでも僕は、どうしていいのか判らず、またしても風呂の前でオロオロとする。

Emergency

 妻は、彼女にとっての大敵であるムカデに足を刺された。彼女はその事態を『自然界の洗礼を受けた』と表現し、僕は彼女に、山奥に潜伏する隠れキリシタンの姿を重ね合わせた。それは、彼女が若い頃エホバの証人だったという事実をずっと以前に彼女の口から聞いたことがあったためかもしれない。
彼女は風呂場で、刺された方の足に一生懸命にシャワーで水を掛け、患部を冷やし続けていた。
「どうすりゃいいのかねえ。ネットで見てみようか『ムカデに刺されたら』って」
「そうだね、お願い」
『ムカデに刺されたら』と入力すると、ネットからは早速詳しくて親切な、しかも写真や挿絵入りの丁寧な回答をくれた。便利すぎる。こんなもの使ってたら人間が駄目になる。僕としては、強い反感を持ちながらもやはり見てしまう。なければないで何とかなるだろうけど、やはりあれば使ってしまう。それが利器というものだろう。
意外なことが書いてあった。
『43~46゜C の熱湯で患部を温める。火傷しないギリギリの温度のシャワーで(溜め湯に浸けるのでは駄目)5分程度、それでも痛みのとれない場合は最長20分位まで。同時にシャンプーで患部をよく洗うこと。冷すのは厳禁!毒の絞り出し、吸出しはお奨めしない』とある。
僕の受け売りで、早速に妻は冷すのをストップし、温水に切り換えてシャンプーで洗い出した。
ふたりともまだ半信半疑だが、手遅れになったら大変だから取り敢えずは素直に従う。
『ムカデの毒はたんぱく質性の酵素毒だから熱に弱く、42゜C を越えると熱変性を起こし失活する。また刺咬傷口に毒は注入されておらず、皮膚の表面に吹き付けられているだけだから、洗剤で毒を洗い落とせば傷口より侵入することはない。皮膚に付着している毒をそのままにし、その部分を冷したりすると痛みは倍増し、最悪の場合には皮膚の細胞が腐ったりする』
理由を聞いて全ては納得できた。全くもってその完璧なメカニズムには驚きである。ムカデの、いや神の仕組んだ罠だ。普通は冷やすだろう。
その罠に2割程度引っ掛かったわけだ。
風呂で屈むようにして熱湯を掛け続ける彼女に、風呂の入口で僕はそれを読んで聞かせた。
看護師だった彼女も全く知らなかったようで、感嘆しきりである。
「まー、何てことだろうねえ。知らないってことは恐ろしいわねえ。全く反対のことをやってたわけだ」
「冷やしたり、絞り出したりねえ。あのまま続けてたら大変なことになってたねえ。どう?まだ痛い?」
僕としては、少しでも彼女のお役に立てたことが嬉しかった。なんともいじらしいではないか。
彼女の足は、熱湯のせいか或いは毒のせいか、赤く腫れたようにみえる。
「ウーン、ちょっとジンジンするねえ。でも、我慢出来ないような感じじゃない」
その後も彼女は制限時間の20分位まで熱湯を掛け続けた。彼女は気の済むまでとことんやるタイプだ。中途半端で止めたりはしない。何事もそうだ。だからやり過ぎて火傷をしたりもする。彼女の生きざまを象徴するような景色だと思った。
「ねえ、もういいんやないの。20分以上経ったよ。低温火傷ってこともあるし、暫く様子を見てみたら?」
「そうね」
彼女はシャワーを止め、赤くなった自分の足をしげしげと観察していた。
居間の回転椅子に移っても足を観察し続ける彼女に
「どう?痛い?」
「ウーン、まだちょっとジンジンする」
二人は、同じような会話を何度も繰り返す。
僕はtabに例の『ムカデに刺されたら』のサイトを開き、これをじっくり読んどいたらと、妻に手渡す。
彼女も、そうねえとやけに素直だ。
その後彼女の足はみるみる快方に向かい、さすがの僕もネットの威力を認めざるを得なかった。
こうして、山荘を揺るがせたムカデ騒動は大事に至ることなく無事落着となった。
ネット関係者の皆さん、お陰様で助かりました。
誠に有り難うございました。

 それから2日くらいして、妻と町に出て外食する機会があり、その席でのこと
「あれからまたブログを書くのにネットでムカデのところを見たんだけどねえ」
「うん」
彼女のムカデに刺されたところはもうすっかり治癒し、もはや懐かしいことのような余裕の表情になっている。
「君は靴下の上から刺されたよねえ。ムカデは咬んだところから毒を注入するんじゃなくて、咬んでからその周りの皮膚に毒を吹き付ける、或いは爪でかいてその周りに吹き付けるとか、らしい」
「そんなこと書いてあったねえ」
「てことは、毒は靴下の上から吹き付けられたことになるよねえ」
「と言うことは、毒はほとんど掛かってないということ?ムカデに咬まれるのって火箸を押し付けられたような痛さだって言うもんねえ。私の場合、最初は,チクってしたぐらいで、何か、針金かなにかが引っ掛かかったのかなあぐらいの程度だったものねえ。折角ムカデの恐怖を克服したと思ったのに。対処法も判ったし」
「いやまあ、靴下の上からも多少は掛かるだろうし、それに君は咬まれたときに靴下の上から指で押さえつけたり、絞り出したりしたから結構傷口から毒が侵入したかも知れない。どちらにしろムカデに咬まれたときの対処法が判ったから、今後は大丈夫」
ここで彼女を弱気にさせるのは得策ではない。
「そうそう」
妻の得意の「そうそう」が出たから多分大丈夫だ。
少し安心した。
        
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