かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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2008年から認可されたニキビ特攻薬の『ディフェリンゲル』について最近まとめましたが、

ディフェリンゲルについて


実は今年2015年から新たに認可されたニキビ特効薬があるそうです。


http://www.maruho.co.jp/medical/products/bepio/rvcck40000005miv-att/1503bepio_an.pdf より



それが『ベピオゲル』です。

ヒルドイド軟膏を作っているマルホ製薬さんの開発した新薬ですね。



最近多くのブログに取り上げられていて「ディフェリンより良い!」的なことをあちこちで言われていますが、

さてこちらの薬は一体どういうものなのでしょうか。

読者の皆様からのリクエストが多いネタだったので早速調べてみました。




◎ベピオゲル=殺菌×ピーリングの薬!?


マルホ株式会社の公開しているベピオゲルのインタビューフォームを参考にすると、

ベピオゲルの有効成分は『過酸化ベンゾイル』という成分で

これは英名Benzoyl Peroxideから『BPO』と呼ばれているものです。


薬品名の『ベピオ』はこのBPOをもじったものということだそうです。



そしてこの文書の『薬理作用』の項を読むと以下のように書いてあります。


(1)作用部位・作用機序

抗菌作用 13)~15)
過酸化ベンゾイルは強力な酸化剤であり、分解により生じたフリーラジカル(酸化ベンゾイルラジカルやフェニルラジカルなど)が P. acnes や Staphylococcus epidermidis(以下 S. epidermidis)など細菌の膜構造、DNA・代謝などを直接障害して、抗菌作用を示す。

角層剥離作用 13)16)
閉塞した毛漏斗部において、過酸化ベンゾイルの分解により生じたフリーラジカルが、角層中コルネオデスモソームの構成タンパク質を変性させることにより、角質細胞同士の結合が弛み、角層剥離が促進される。


http://www.maruho.co.jp/medical/products/bepio/rvcck40000004msm-att/bepiogel_if.pdf より


抗菌作用とはつまり殺菌効果、角質剥離作用とはピーリング作用を指します。



ニキビの基本的な生成メカニズムは2つあり、

①過剰に製造された角質(角栓)により毛穴が詰まり皮脂詰まりが起こる。

②毛穴内部でアクネ菌が過剰増殖して化膿を起こす。




これまではある程度重度のニキビ治療には

殺菌は殺菌剤、角質剥離はピ-リング剤(ディフェリンなど)…

という風に2種の薬を併用する必要がありましたが、


ベピオゲルは殺菌とピーリング効果を持つため

この2つの機構に1つの薬剤で対応可能な薬ということになります。



◎ディフェリンより良い?


ウェブ上ではこの2種の効果を持っている点から「ディフェリンよりベピオ!」という声が大きいようです。

確かに即効性の効果としてはディフェリンよりベピオの方が有効と言えます。


またベピオゲルは抗生物質では無いので耐性菌を作らないということも高く評価されるポイントです。


加えて副作用の発症率も43%程度と8割近いディフェリンと比較するとマシと言えます。
(それでも高い方ですけどね^^;)




◎過酸化ベンゾイルは強力な酸化剤


ただかずのすけ的には「より有効だから良い!」というのは安直過ぎるかなぁという気がします。


まず有効成分の過酸化ベンゾイルはとても強力な『酸化剤』です。

「酸化」と「還元」について



僕程度の化学屋でも名前を見れば「とんでもない酸化剤だな~」と分かっちゃうくらいなのですが^^;

とにかく「過酸化」というのがついている化学物質は強力な酸化剤です。


どのくらい強力なのかというと、

色の付いた衣服につけば脱色されてしまうくらい強力です。


実際にクリーニングの漂白剤にも使われている成分です。



実は過酸化ベンゾイルはアメリカなどでは何十年も前から使用されてきた薬です。(アメリカ版プロアクティブの有効成分もこれです)

しかし日本ではこの薬はずっと許されませんでした。


日本でこの成分が長いこと医薬品として認可を受けていなかったのは、

皮膚の弱い日本人にとってこの強力な酸化力は脅威だと考えられていたからに他なりません。




とはいえアメリカでは5%とか10%とかの濃度で使われているものを

マルホさんは日本人用に2.5%に調整したのがベピオゲルなのですが。



◎「耐性菌が生まれないから良い」とは言えない


ベピオの有効効果である「殺菌」と「ピーリング」はどちらもその強い酸化作用によって得られる効果です。


酸化剤は相手にエネルギーを無理矢理分け与えて

その相手の化学構造を破壊する力を持ちます。


小さい生き物であれば構造が壊れれば死にますし、

皮膚の組織のタンパク質を破壊して剥離を促します。


無理矢理化学構造を破壊する殺菌剤には菌類も耐性を持つことは出来ないので、

この成分を使って殺菌した場合は抗生物質を使った時のような耐性菌が発生しません。

(抗生物質は細菌の生体システムを阻害するいわゆる細菌専門の『毒薬』。)



人間もウイルスや毒物には耐性が生まれますが、

身体を燃やしつくす炎に耐性をつくることは出来ません。

それと同じです。


(実際に『燃焼』は酸化反応の最もポピュラーな一例です。)



しかしそれは

その場に存在する細菌類を根こそぎ死滅させてしまう可能性をより大きく秘めているという意味でもあります。



ただでさえ角質剥離を引き起こしてしまうほどの強力な酸化剤です。

殺菌効果も並では無いと言えるでしょう。


皮膚には皮膚を守る常在菌も沢山住んでいますし、そもそもニキビの原因菌である「アクネ菌」も本来は皮膚を守る常在菌の一種。

全部根こそぎ殺すのは正しい対策とは言えません。


もちろん上手に使えば適量残すことも可能だとは思いますが、

強い薬ということはそれだけ常在菌も減らしやすい薬ということです。


常在菌を減らし尽くせばどうなるか…

というのは当ブログでも何度も注意喚起しています。

使いすぎは禁物!殺菌剤の効果と注意点



◎刺激を与えて剥がす薬


さらにもうひとつの有効効果である『ピーリング作用』ですが、

これはレチノイド作用という生体反応によって得られるディフェリンと異なり、


強力な酸化作用によって皮膚角層の接着物質(デスモソーム)を無理矢理破壊するのがベピオゲルです。


その作用機序を考えるならばより過激なのはどう考えてもベピオです。



ディフェリンも皮膚を薄くするので肌を危険に晒す薬ですが、

単純な刺激性という意味ではベピオも十分にリスキーな薬と言えます。



特に敏感肌やアトピーの方は殺菌やピーリングとかの効果を得る前に

薬の刺激に耐えられない人も少なくないと思います。


「塗ったら真っ赤に腫れて使い物にならなかった!」という声も多いようです。

ただでさえニキビに弱っている肌ですから、

生まれつき肌が弱い人の使用には注意が要ります。



◎結局「その場しのぎの薬」ということは変わらない



確かに『効果』という話で言えば殺菌とピーリングを一緒にしてくれるベピオはある意味最強のニキビ薬です。

ディフェリンを含めこれまでのどの薬よりもニキビを鎮める効果が見込めるでしょう。


しかしディフェリンゲルの記事でも説明したように、

このような対症療法薬に頼ったところでニキビが消せるのは一時だけです。


きちんとニキビを消すなら大元の原因を取り払うことが重要です。

対症療法でその場しのぎを続けたところで決して完治するわけではありません。




また効果の強い薬であればそれだけ後々に引きずるような後遺症が残ることもあります。

殺菌効果を持つ薬であれば尚更その懸念も強いと思います。




ディフェリンゲルは皮膚の刺激などは確かに強いですが、

殺菌剤の慢性使用による後遺症(常在菌の不足による肌荒れ)のリスクが無いだけある意味マシです。


ですがベピオはその懸念も大きく皮膚への刺激もある。


「効果が強いものはその分副作用も強い」

とは昔から言っていますが、


今回題材にした薬はそういったリスクを大きく内包しているように感じますね。




なんにせよ、

美肌を目指すなら薬を使って殺菌して剥がしてニキビを消すのは近道のように見えて大きな遠回りだと思います(^_^;)



参考サイト:
http://www.maruho.co.jp/medical/products/bepio/rvcck40000005miv-att/1503bepio_an.pdf
http://www.maruho.co.jp/medical/products/bepio/rvcck40000004msm-att/bepiogel_te.pdf
http://jetoc.or.jp/safe/doc/J94-36-0.pdf
http://for-guests.com/benzoyl-5549




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