かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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アミノ酸系洗剤は環境に優しい


とよく言われます。



これはなぜかと言うと

洗浄剤の親水基にアミノ酸を用いており、


アミノ酸は天然物質にも多く含まれる成分であることから

微生物からの分解を受けやすいのです。



そのため

アミノ酸系洗剤は非常に生分解性が高く

中にはセッケンクラスの生分解性を示す洗剤もあります。





一般的には

生分解性が高い=環境負荷が小さい


と考えられるため、


安直に考えると

アミノ酸系洗剤=環境に優しい

と考えてもまぁ仕方はありません。



しかし



例えば今あるシャンプー類の洗剤が

全てアミノ酸系洗剤で代替わりされた場合、



海や湖沼の環境は一気に悪化すると考えられます。


本当のことを言えば、


「アミノ酸系洗剤」は、環境に悪い洗剤なのです。





◎「アミノ酸系洗剤」は環境に悪い?



アミノ酸系洗剤が原因で環境が悪化する、

というよりも


アミノ酸系洗剤が生分解を受けて出来る


「窒素化合物」


が原因となり環境に大きな負担を与えることが考えられます。


「窒素化合物」という言い方をすると

化学の基礎知識に乏しい人は

なんとなく危険な物質をイメージしてしまうかもしれません。


しかし窒素化合物は我々の生活のいたるところに存在し、

例えば僕たちを取り巻く

空気

の実に80%窒素になります。


なので窒素という物質自体が危険なものというわけではありません。




「アミノ酸」


アミノ基(NH
2)とカルボキシル基(COOH)を同一分子内に持つ物質です。


「アミノ酸」が美容に良い?~「アミノ酸」とは~



このうちの「アミノ基」には必ず窒素原子(N)が含まれているため、


アミノ酸系洗剤を分解すると、

必ず窒素化合物が生成します。



◎肥料の三大要素



なぜアミノ酸系洗剤が分解されて生じる窒素化合物が

結果的に環境汚染につながるか…



それは窒素化合物が、

植物にとって栄養素となる

「肥料の三大要素」

のうちの一つだからです。



肥料の三大要素とは

「窒素」 「リン酸」 「カリウム」

のことです。



植物が育つ為にはこれらの栄養素を外部から取り入れる必要があり、

逆にこれらの物質を外部から積極的に与えることで

植物は効率的に成長することができます。



これだけの話を聞けば、

アミノ酸系洗剤は植物を育てる効果があるかのようにも捉えらるでしょう。


ですが実際には、

このように栄養価が高すぎる物質の湖沼への流入は


湖沼の「富栄養化」

を引き起こす危険性があるため

避けられなければならないものなのです。



◎湖沼の「富栄養化」


「富栄養化」という言葉を聞いたことがあるかと思います。



これは平成14年の竹島海岸の写真だそうです。


湖沼に窒素やリン酸などの栄養価が高い物質が流入すると、

植物性の海藻やプランクトンが大量発生してしまうことがあります。


上はアオサと呼ばれる海藻の大量発生ですが、



植物プランクトンが大量発生するとこのように

「赤潮」

と呼ばれる状態を引き起こすこともあります。



どちらにしてもこの後大量の死骸が発生して

それらの死骸が湖沼に沈殿、

最終的には死骸の分解の為に大量の酸素が使用されることで

水域全体が酸素欠乏状態になります。


(http://gc.sfc.keio.ac.jp/class/2008_25326/slides/07/12.htmlより)



この状態の水域では、

魚などの生物はほとんど生息できない悪環境となってしまいます。



つまり

窒素やリン酸、カリウムなどの栄養価の高い物質の過剰流入は、

環境を破壊するということになるのです。




◎リン酸含有洗剤は使用自粛中


洗濯洗剤で「無リン」という表記がされたものがありますね。





これは数年前に起こった富栄養化現象の原因として、

当時洗濯洗剤やシャンプー等に広く活用されていた


アルキルモノリン酸塩

やビルダー(安定剤)としてのリン酸塩

などが挙げられたためです。



現在では多くの企業がこれらのリン酸含有洗剤を使用しないようにしています。


実際アルキルモノリン酸塩などは

ラウリル硫酸Naやアルキルベンゼンスルホン酸塩よりも

手肌に優しい洗剤として当時活用されていましたが、


現在は利用されなくなっています。



アミノ酸系洗剤も、

当時問題を起こしてしまった

リン酸含有洗剤とほぼ同様の問題を抱えており、


もしこの洗剤が大量に使用されることになれば


リン酸含有洗剤と同様に

水棲環境を大きく破壊する可能性を秘めているのです。



ちなみにセッケンでいう「カリ石鹸」(カリウムを用いたセッケン)

も同様に富栄養化のリスクがあると言えます。




◎今後アミノ酸系洗剤がメジャー化することはない


以上の理屈を考えると、

どれだけアミノ酸系洗剤が手肌に優しく、

かつ洗剤として優れたものであったとしても、


大企業が作る大衆用のシャンプーの基剤として

メジャー化する可能性は極めて低いです。





現状サロン専売品などの基剤として利用されることはありますが、

とは言ってもこの洗剤の使用率は全体の10%程度と言えます。


基本的には高級アルコール系などの

微妙な生分解性のものがほとんどの洗剤の基剤を占めているので


今の使用率であれば大きな環境問題に発展することはないでしょう。


裏を返せば

生分解性があまり高くない洗剤の方が環境負荷は小さく、


アミノ酸系洗剤やカリセッケンのように

生分解性が高すぎる洗剤というのは時として環境破壊につながります。



もちろん低すぎる分解性でも

ABS洗剤の発泡問題のように大きな環境問題に発展する場合もあります。


結局のところは

使いすぎにはご用心を!


という話になってくるのですね。




なんにせよ


「アミノ酸系洗剤は環境に優しいです!」


というように謳っているメーカーが

現状たっくさんありますが、


実際のところは一概に言えたもんでもない…

というわけです。




地球や環境に優しいなんて、

そうそう簡単に言えることではないのです。




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