手塚 治虫 作品ってときどき読みたくなる。
そして膨大な著作数なので未読の作品が山のようにあるので、いつまでも永遠に(自分の中で)新作が手に取れる。
手塚治虫さんは亡くなってしまったけれど、「手塚 治虫」はずっと生きている、そんなふうに思う。
このガラスの城の記録 (手塚治虫文庫全集 BT 77)
はアンソロジーで、表題作のほかにいくつかの短編が収められている。
多作家の宿命というべきか、作品すべてが不世出の傑作というわけにはいかない。
神様と称えられる「手塚 治虫」だけど、何を読んでもおもしろいわけじゃない。
ここに収められている作品たちは、どちらかというと落ちこぼれのあつまりだ。
表題作からして未完だし、他の作品も似たり寄ったり。
どれも雑誌が廃刊したり単発(不人気)だったり。
あまつさえ、著者の手塚自身があとがきで「駄作です」と言っている。
オイオイ、著者が言うなよ、そんなこと!
たしかにひどいオチだけどさ、冒頭も無茶だったけどさ、タイトルのつけかたもなげやりなかんじするけどさ。
でも、けしてきらいじゃないよ?ばかばかしくておもしろかったよ?(「成功のあまきかおり」)
表題作の「ガラスの城の記録」なんて、まさにもう
俺たちの冒険はこれからだ!
って終わり方。
というか、え?続くよね?
ってとこでぶっつり。
これからガラスの城なのにー?!
ここから盛り上がるんじゃないのー?!
って。
たぶん劇画とか怪奇漫画とかが流行りだした時代なんだろうね。
そこできっと暗中模索していたんだろうと思う。そんな手探り巻がある一冊。
冷凍睡眠が脳細胞に与える影響とは? 人工的な延命で利殖を得ようとした“ガラス屋敷”の一家だったが、冷凍睡眠から目覚めた時に悲劇が訪れる!人間の欲と冷酷さを追究した未完の大作、ついに刊行