『ノルウェイの森』

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「好みが分かれるけどね」なんて言われて読んでみたのだが、『ノルウェイの森』はちょっと重すぎた。

読んでいて、どっと疲れた。

最近、ご主人を亡くした親戚がいたせいか、学生運動など社会にうっぷんが溜まっている状況が、なんだか今のように思えてしまうのか、読んでいる間に自分も病むんじゃないのかと思ってしまった。


主人公のワタナベが何人もの人の死を経験し、その人が死ぬまでに共有した時間を振り返るように、時間は進んだり戻ったりする。彼は、色々なことを自分のこととして捉え、真剣に受け止めようとするあまり、いわゆる「普通の人」は悩まないようなことをたくさん引きずって行く。そして、彼を取り巻く人々も皆、非常に個性が強く、その人々の人生と寄り添うように生きたり、あるいは斜に構えていたり。でも、誰に対しても冷たくなく、そしてその多くから好かれる。青春時代特有の悩みが強く描かれている作品。性であったり、アイデンティティーであったり。


正直、ワタナベくんのように生きたら、発狂しそうだと思った。青春時代に多くの同世代(友達)を亡くすのだが、それが皆自殺である。しかも、それらの人の死は前触れなく突然起こる。元気に見えたのに、幸せを掴んだかに思えたのに死んでしまう。そして、その人たちの死と向き合って生きていく。そんな強さは私は持っていない。

実際に、恵まれた環境で育ったし、人の死の経験も少ない(同世代の知り合いの死は経験したことすらない)。ただ、数少ない詩と対面した経験を通して、「死は生の対極にあるのではない」というくだりはすごくしっくり感じた。突然の死は悲しいし、心のやり場にも困ってしまうが、私たちは皆いつかは死にゆく運命のもとで、1日1日とそこへ向かって行っているのだと思う。


小説や音楽やこの作品に出てくる様々なものが時代を感じさせた。昨日、ビートルズの曲をたくさん聞いたせいかもしれないが、読みながら結構色々なビートルズの曲が頭の中を渦巻いていた。

ひとつだけ恥ずかしい告白をすると、実は『ノルウェイの森』がビートルズの歌のことだということを知らなかった。しかも、『ノルウェイの森』の曲を聴いたら知ってる曲で、タイトルを把握していなかっただけだったということにショックを受けた。


重い重いと感じながらも、読むことをやめられなかった。上巻を読み終えたとたん、下巻を読み始めた私がいた。そこにこの小説のすごさがあるんだと思う。

また別の機会に読んだら、また別の何かを感じるような気がする。



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