料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。
それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。
マディラワインで作ったソースがある。
「ソース・マディラ」
ここに、トリュッフジュースと少しの(沢山でもいいけれど)
トリュッフが入ると黄金の(色ではない)ソースが出来上がる。
「ソース・トリュッフ」
フランス語のオーダーが通る、フランス語のルセットが張って
ある喫茶店!?で働いていた二十代半ば頃・・・。
籐の網カゴに包まれた平べったい瓶の酒を煮詰めソースにして
いた。
勿論チーフをはじめ、仏蘭西帰りの料理人達は、意味を知って
いて、僕だけが知らなかったのだけれど・・・。
理屈抜きに美味しかった。
そりゃトリュッフが入れば、鬼に金棒!?だったけれど・・・。
入らなくても十分に旨い!
でも、今は作らない。(^_^;)
巴里郊外のキャフェで働いたことがある。
フランス人達から(お客さんを含めて)「CHEF」と呼ばれてた。
(まぁ、僕しか料理人がいなかったから)(笑)
そこで、肉料理にソースマディラを作ろうと思ったけれど厨房
にマディラ酒がなくて、オーナーに注文した。
「マディラ酒が欲しい。旨いソースを作るから・・・」
オーナーは「フンフン」とうなずきながら「私はマディラが嫌
いだ」と言った。
「はぁ?あなたがマディラが嫌いか好きか聞いてないっ!」と
思っていたら、カウンターからポルトを持ってきて、「これじゃ
駄目か」と聞かれた。
「ソース・ポルト」
確かに似たように甘めのソースが出来るけれど・・・。
何でマディラが嫌いなのだろう?
尋ねる前に、そのポルト酒を使って解った。
マディラには樽臭や、キャラメル臭、焦げたような香りがある。
それに比べポルトは葡萄のフルーティーさが際だっていた。
そしてよくチーフが「ソース・マディラが煮詰まると醤油だ」
と言っていた言葉を思い出した。
日本人がマディラソースを好きなのは、この樽臭や焦げた香り
が醤油に近いものを感じさせるからだろう。
それに比べ、ポルトは軽快だ。
軽すぎて、旨味のないポルトもあるけれど・・・。(^_^;)
その時から僕は、ソース・マディラよりソース・ポルトをよく
作るようになった。
そしてそれはりあんの料理教室でも顕著に現れて、受講される
殆どの方が、ポルト酒をご自宅で使いこなしている。
もしかしたら、お飲みになっているかも知れないけれど。(笑)
赤ワインは抜栓すると味の変化が顕著で、結局は劣化してしま
うから、余りワインを飲まない方、滅多にワインを料理に使わ
ない方は、一本開けるのが少々もったいない気がする。
でも、ポルトならアルコール度数が高いから抜栓後もそんなに
傷まずに使い続けられる。
勿論風味はどんどん失われるけれど、煮詰めて使うには差し支
えないから・・・。
また、眠れない夜や冷える夜にお猪口に一杯ってのも、ほんの
り甘くて飲みやすい。
更に、真夏の暑い日に氷で冷やしてメロンと一緒にスープ状態
で飲んでしまう。いや食べてしまう、メロン・オウ・ポルトは、
パリジャン達に今でも好評だし・・・。
僕が作ったのは、メロンの皮と種を綺麗に除いて一口大に切り
冷えたスープ皿に盛り付けポルト酒を振りかけたけれど、一昔
風にするなら、半割りの種を除いたくぼみに、ポルトを注げば
出来上がりだった。
りあんの「牛ホホのとろとろ煮込み」ってメッチャ(笑)美味
しいのですが、やはりこのポルトを使っているから。
それに、赤ワインソースの秘密にもこのポルトが・・・。
余り詳しく書くと教室の方に申し訳ないので、ここら辺までで
すが、もしも、赤ワインの酸味が気になるようなら、一度この
ポルト酒を試されてもよいのでは?
飲めなければソースに・・・。
例えばカレーやビーフシチューに煮詰めて入れると、格別の味
に仕上がるし・・・。
煮詰めればアルコールも飛ぶので、苺や赤い果物のソースにも
アイスクリームのソースにだって出来る。
だから、今ないと困ってしまうなぁ~。
マディラ酒が嫌いだと、ポルトを教えてくれたあのオーナーは、
どうしているだろう?
もうあのキャフェを止めてしまっただろうか?
早朝から夕方まで、いや毎日日本語を一言もしゃべらなかった
日々。
結局疲れすぎて、嫌になって逃げるように辞めてしまったのだ
けれど・・・。
日本語を忘れるくらい、フランス語でものを考えていた。
たった半年だったけれど、あれが一年、二年と続いたらもっと
フランス語が解るようになれたのに・・・・。
自分で「箱」を作り、その中に入ってしまった。
毎日三十人?ものランチが終わると、山と積まれた皿とナイフ
とフォークがあった。
黙って洗えた日が終わり、いつの間にか「こんな洗い物をしに
フランスまで来たのではない」と叫んでいた。
オーナーが市場から仕入れてきた野菜達を、愛おしげに冷蔵庫
へしまっていた日が終わり、ただひたすら機械的に押し込んだ。
「こんな雑用をしている暇はない!」と自分を欺いた。
結構苦い思い出だけれど、忘れられない。
懐かし過ぎるけれど、美しくはない。
ただ、あの店に行かなければポルト酒にここまで思い入れを持
つ事はなかった。
その瞬間は、それで目一杯で不安を脹らませたり、堂々巡りし
てしまうけれども・・・。
多分一本ぐらい、つかめる糸があるはず。
あの時、僕はポルトという糸を掴んだ・・・。
そして、それが僕の味を支えている確かなひとつの糸になって
いる。
久しぶりに「中島みゆき」さん。(笑)(またか~!?って?)
僕の大切な人が、この曲を大好きだって教えてくれて、それから
もう一度、二度、三度、それ以上、聴き続けている曲だから。(^_^;)
→ http://www.youtube.com/watch?v=cdySJNbBL7s
=中島みゆき=「糸」 byYouTube
今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v
そして・・・
いつも 「ありがとう」
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