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AmebaGG Christmas PROJECT

東京中目黒で14年間Bistrotと料理教室を開いております。その14年間とそれ以前3年間。料理セミナーの講師を務めてます。、そのセミナーには、17年間ずっと通われている方がいらっしゃる。という「知る人ぞ知る」魅惑的な内容です。その一部をあなたにも・・・。

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料理講師という仕事 Vol.957

2010-02-10 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。


それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。



  夕べ、今月の料理教室が始まった。

  始まるまでの準備期間は約一週間・・・。
  その間に、新しい料理を考え、解析してルセットを起こす。
  試作して、ほぼ同じように作れることを確認する。
  出来上がった料理の撮影をしておく。
  勿論、その間に試食を数回・・・。\(^_^ )/!?


  この試食の時に声をかけて欲しい方が結構いらっしゃる・・・。

  のですが(^_^;)・・・。

  難しい。


  いきなりだから。
  どうにも、予定してこれらの作業を行えないのが・・・。

  思いつきと、勝手に身体が動き始めるのを待つしかなくて・・・。
  その時が、一番まともな料理を作れるから、無理にスケジュールを
  作らないようにする。


  その為、この一週間は・・・。
  深呼吸を続けている感じで、ある瞬間「うっ」と息を止めて作って
  しまう。


  その時、「これから息止めます」って・・・。
  残念だけれど、言えないの。(笑)

  誰も解らないから、飯坂でもいつ作ったのか知らないことが多い。

  まぁ、出来上がればワインをセレクトしてもらうから、こんなのが
  できたとか、これを使うよとかは、伝えるけれども・・・。(笑)



  講義と食事が終わると皆様かなりよい気持ちになっていて・・・。
  旨い料理で(旨い酒を飲まれた方も)心地よい満腹を感じているの
  ですから、気持ちも明るく頭も結構冴えていて、講義中に浮かばな
  かった質問が出たりする。(笑)

 
  その為、僕は、食事が終わった頃に必ず皆様のお席に伺う。
  そして、「はい質問、ご意見を受け付けます」って・・・。(笑)


  大きな教室じゃここで手をあげて発言する方も少ないけれど、一回
  数名のクラスでは多くの方が自然に質問や希望を僕に投げ掛ける。


  食事の最中に皆様うち解けてしまっているから余計に・・・。
  だからお一方の質問に、すぐに「おひれ」がついたり・・・。(笑)

  僕の知識と想像力を、ここで毎回試されることになる。

  もろ、ライブです。(爆)


  そして、僕の言葉に注意しているから・・・。
  実は、講義中よりこの時の方が数倍怖い。(笑)

  講義中は、日々のお疲れで「スヤスヤ」って・・・。(^_^;)


  幸いなことにここで今までの時間(人生)が、僕を助けてくれる。
  テクニックだけなら、二十年前に殆ど覚えてしまった事ばかり。
  でもそのテクニックの裏付け・・・。

  そのテクニックを支える何かを感じるためにその後の二十年が必要
  だった。


  その間に煮詰まって・・・。
  その何かには深みと艶が出てきている。


  それは今も続いているけれど・・・。


  僕は、約二十年間もセミナー講師をやってこられたから、常に自分
  の知識を強制的に深め、確かめざるを得なかった。

  だから、講義より難しい「質疑応答」の時間が苦ではなく・・・。
  楽しめる様になったのだと思う。


  
  夕べは、デミグラスソースが話題になった。
  今では名店と呼ばれる洋食屋さんでしか作っていないかも・・・
  そこそこのレストランでも(フレンチではなく洋食)裏口には(笑)
  デミグラスソースの空き缶が結構おかれていたり・・・。(^_^;)


  デミグラスのデミは半分。
  デミタスのデミと同じ。
  タスは、カップの事だから、半分のカップ。
  グラスは光り輝くほど煮詰まった肉汁のこと。
  
  半分まで(理論値でなく)・・・。
  その位に詰めるという感じなのだけれど・・・。

  煮詰めると、その肉汁の表面がトロリと光り輝いてくる。
  これは、やってみると解るけれどフォン(出汁)の色が変わる。

  色にコクがでる。色に奥行きが出る。
  色が立体的になる。

  それが、デミグラス。
  
  洋食屋さんは、これに命をかけている。
  より美味しくするために、ただの肉汁ではなくて、トマトが入った
  肉汁(ソース・エスパニョール)を作って煮詰めている。

  それが、デミグラス。
  

  あの褐色は、トマトや野菜や肉の筋や骨を焦がした色。
  缶詰めの場合は、焦がした小麦粉・・・。!?(笑)
  だから冷やしたときの固さが全く違う。
  前者はゼラチン分が多いので指でさしてもへっこまないほど・・・。
  後者は・・・。いわずもがな。


  現代フランス料理では、デミグラスよりフォンドヴォーをひく時
  にトマトを入れてそれを煮つめたものを使っている。

  色も味も軽い。

  ただゼラチン分が多いので口のまわりがネットリする。
  これは、好みがあるかも・・・。


  僕はあまりにゼラチン分が多いのは、ちょっと苦手だから・・・。
  多分和食あがりだからか?
  適当なところで煮詰めるのを止めて、水溶き片栗粉でトロミを
  つけてしまう。(笑)


  邪道か?

  でも、かえってこの加減が今の料理には・・・。
  少なくともりあんの料理教室に何年も通って下さる方々には、
  好まれているような気がする。(のは僕だけか!?)


  「料理自由自在」と言っていたのは道場氏だっけ?
  修業時代、いつかそうなるのかと思っていた。
  やってもやっても、そうはならなかった。


  そりゃ、腕が上がったと思ったことは何度もある。
  でも、自由自在になったかというと、まだまだ知らないことが
  多すぎると少しへこんだ。


  自分一人で職人仕事をしていたら、こんなにも沢山の疑問を
  解決して来なかったろう。
  怠けるのが常だから。
  楽をしたいのが常だから。


  講師というのは、何とありがたい職業なのだろう。
  怠けたいとか楽をしたいと思っても、ちゃんと問題が提示される。
  それを一つずつ、真面目に答えてきただけなのに・・・。


  解ることを、他の誰でもない「あなた」が解るように伝える。
  解らないこともあるけれど、それは必ず調べ直すから・・・。


  僕は、プロの料理人であり、料理講師だから・・・。





P.S. 今日、長女は高校入試初日・・・。
  今朝も僕がこのメルマガを書いているとき僕の後ろで復習をして
  いた。


  去年の五月。

  僕は彼女の成績に愕然として(笑)・・・。
  受験勉強を手伝うことを決めた。

  毎朝、五時半から一時間半。
  出来ないと言われたけれど、何とかやり抜いた。


  寝坊をした日の方が多かったかも知れない。
  五月は、何度かベットからひき吊りおろした。
  一時間しか出来なかった日の方が多いと思う。


  でも、ひと月が過ぎた頃から習慣になりつつあった。
  夏には、僕が起こされる日さえ出始めた。(笑)


  数学の復習にみ月、理科の復習にふた月・・・・。
  英語、国語、社会それぞれひと月。
  先月ギリギリでリスニングを終えた。


  あの勉強嫌いの長女がよくついてきてくれたと思う。
  この先、僕が彼女と一緒に勉強することはもうないだろう。
  勉強の仕方・・・。
  彼女なりの勉強とは?が少しわかってくれたなら・・・。

  

  今、試験会場に向かう彼女の背中を見送った。
  不覚にも目頭が熱くなった。
  
  情けねぇ父親だな(笑)(^_^;)・・・・。
  そう思った後に、



  「頑張れ!」とつぶやいていた。



今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v


そして・・・

いつも 「ありがとう」


メールマガジン「愛される料理」
発行システム :『まぐまぐ!』さん→
http://www.mag2.com/
発行者    :料理教室&BistrotRIANT-りあん-川名克典
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「ポルト」という「糸」 Vol.956

2010-02-09 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

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それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。




  マディラワインで作ったソースがある。
  「ソース・マディラ」

  ここに、トリュッフジュースと少しの(沢山でもいいけれど)
  トリュッフが入ると黄金の(色ではない)ソースが出来上がる。

  「ソース・トリュッフ」


  フランス語のオーダーが通る、フランス語のルセットが張って
  ある喫茶店!?で働いていた二十代半ば頃・・・。

  籐の網カゴに包まれた平べったい瓶の酒を煮詰めソースにして
  いた。

  勿論チーフをはじめ、仏蘭西帰りの料理人達は、意味を知って
  いて、僕だけが知らなかったのだけれど・・・。

  理屈抜きに美味しかった。


  そりゃトリュッフが入れば、鬼に金棒!?だったけれど・・・。
  入らなくても十分に旨い!

  でも、今は作らない。(^_^;)



  巴里郊外のキャフェで働いたことがある。
  フランス人達から(お客さんを含めて)「CHEF」と呼ばれてた。
  (まぁ、僕しか料理人がいなかったから)(笑)


  そこで、肉料理にソースマディラを作ろうと思ったけれど厨房
  にマディラ酒がなくて、オーナーに注文した。


  「マディラ酒が欲しい。旨いソースを作るから・・・」
  オーナーは「フンフン」とうなずきながら「私はマディラが嫌
  いだ」と言った。



  「はぁ?あなたがマディラが嫌いか好きか聞いてないっ!」と
  思っていたら、カウンターからポルトを持ってきて、「これじゃ
  駄目か」と聞かれた。


  「ソース・ポルト」


  確かに似たように甘めのソースが出来るけれど・・・。
  何でマディラが嫌いなのだろう?


  尋ねる前に、そのポルト酒を使って解った。
  マディラには樽臭や、キャラメル臭、焦げたような香りがある。
  それに比べポルトは葡萄のフルーティーさが際だっていた。


  そしてよくチーフが「ソース・マディラが煮詰まると醤油だ」
  と言っていた言葉を思い出した。

  日本人がマディラソースを好きなのは、この樽臭や焦げた香り
  が醤油に近いものを感じさせるからだろう。


  それに比べ、ポルトは軽快だ。
  軽すぎて、旨味のないポルトもあるけれど・・・。(^_^;)

  その時から僕は、ソース・マディラよりソース・ポルトをよく
  作るようになった。


  そしてそれはりあんの料理教室でも顕著に現れて、受講される
  殆どの方が、ポルト酒をご自宅で使いこなしている。

  もしかしたら、お飲みになっているかも知れないけれど。(笑)


  赤ワインは抜栓すると味の変化が顕著で、結局は劣化してしま
  うから、余りワインを飲まない方、滅多にワインを料理に使わ
  ない方は、一本開けるのが少々もったいない気がする。
 
  でも、ポルトならアルコール度数が高いから抜栓後もそんなに
  傷まずに使い続けられる。
  勿論風味はどんどん失われるけれど、煮詰めて使うには差し支
  えないから・・・。



  また、眠れない夜や冷える夜にお猪口に一杯ってのも、ほんの
  り甘くて飲みやすい。

  更に、真夏の暑い日に氷で冷やしてメロンと一緒にスープ状態
  で飲んでしまう。いや食べてしまう、メロン・オウ・ポルトは、
  パリジャン達に今でも好評だし・・・。


  僕が作ったのは、メロンの皮と種を綺麗に除いて一口大に切り
  冷えたスープ皿に盛り付けポルト酒を振りかけたけれど、一昔
  風にするなら、半割りの種を除いたくぼみに、ポルトを注げば
  出来上がりだった。



  りあんの「牛ホホのとろとろ煮込み」ってメッチャ(笑)美味
  しいのですが、やはりこのポルトを使っているから。
  それに、赤ワインソースの秘密にもこのポルトが・・・。


  余り詳しく書くと教室の方に申し訳ないので、ここら辺までで
  すが、もしも、赤ワインの酸味が気になるようなら、一度この
  ポルト酒を試されてもよいのでは?


  飲めなければソースに・・・。
  例えばカレーやビーフシチューに煮詰めて入れると、格別の味
  に仕上がるし・・・。
  煮詰めればアルコールも飛ぶので、苺や赤い果物のソースにも
  アイスクリームのソースにだって出来る。



  だから、今ないと困ってしまうなぁ~。



  マディラ酒が嫌いだと、ポルトを教えてくれたあのオーナーは、
  どうしているだろう?
  もうあのキャフェを止めてしまっただろうか?


  早朝から夕方まで、いや毎日日本語を一言もしゃべらなかった
  日々。
  結局疲れすぎて、嫌になって逃げるように辞めてしまったのだ
  けれど・・・。


  日本語を忘れるくらい、フランス語でものを考えていた。
  たった半年だったけれど、あれが一年、二年と続いたらもっと
  フランス語が解るようになれたのに・・・・。


  自分で「箱」を作り、その中に入ってしまった。


  毎日三十人?ものランチが終わると、山と積まれた皿とナイフ
  とフォークがあった。

  黙って洗えた日が終わり、いつの間にか「こんな洗い物をしに
  フランスまで来たのではない」と叫んでいた。


  オーナーが市場から仕入れてきた野菜達を、愛おしげに冷蔵庫
  へしまっていた日が終わり、ただひたすら機械的に押し込んだ。



  「こんな雑用をしている暇はない!」と自分を欺いた。


  結構苦い思い出だけれど、忘れられない。
  懐かし過ぎるけれど、美しくはない。
  
  ただ、あの店に行かなければポルト酒にここまで思い入れを持
  つ事はなかった。


  その瞬間は、それで目一杯で不安を脹らませたり、堂々巡りし
  てしまうけれども・・・。

  多分一本ぐらい、つかめる糸があるはず。

  あの時、僕はポルトという糸を掴んだ・・・。

  そして、それが僕の味を支えている確かなひとつの糸になって
  いる。

  


  久しぶりに「中島みゆき」さん。(笑)(またか~!?って?)
  僕の大切な人が、この曲を大好きだって教えてくれて、それから
  もう一度、二度、三度、それ以上、聴き続けている曲だから。(^_^;)

  → http://www.youtube.com/watch?v=cdySJNbBL7s
               =中島みゆき=「糸」 byYouTube   



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白ワインソース Vol.955

2010-02-08 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

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技術の裏に隠されているものを書いています。


それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。




  昨日、ソース・ブールブランの話をしたから・・・。
  似ているソースに「ソース・ヴァンブラン」がある。


  ヴァンブランはVin blanc。白ワインの事。
  だから直訳すれば白ワインソース。


  ヴァンルージュはVin rouge。赤ワイン。
  ね、わかっちゃった?
  Vin(ヴァン)はワインのこと。
 

  白ワインソースは、基本的に魚料理にしか使わない。
  何故なら、煮詰めた白ワインに魚のダシが入るから。
  そして生クリームを注ぐ。


  僕などは一人で、しかも小さな家庭用のキッチンで作業している
  のでどうしても、汎用性のある仕事を基本にするから・・・。
  この魚料理専用のソースは作ることがない。


  さらに、赤ワインソースと違って、魚のダシが入るので二、三日
  でフレッシュさが失われてしまう。
  作り置きの出来ないソース。
  昔、働いた調理場では、強引に作り置いていたけれど・・・。(笑)



  魚のダシは・・・。
  以外と魚料理を沢山食べる日本人でも、魚のダシを取ることが
  ない。


  少し真面目な方で、「鰹だし」を取るくらい。
  鰹は赤身の魚だから、このダシに生クリームは今一相性がよく
  なくて・・・。クリームを加えられるベースにはなりにくい。


  魚のダシは・・・。
  教科書的な基本で言えば、舌平目のアラ(中骨等)をよく水に
  さらして、血合いやくさみを流し取って、よく炒める所から始
  める。


  勿論日本の「潮汁」のように水からゆっくりと煮出し味を引き
  出す術もあるけれど、これは余程鮮度の良い魚からダシを取る
  場合のこと。


  炒めた方が魚臭さをとばせるから・・・。
  一般的には、どうしてもこちらの方が使われる。
  
  舌平目や平目、鯛等白身の魚の中骨を炒めると、骨とそぼろに
  なる。
  水分が飛んで焦げそうになったなら、白ワインを注ぎ煮詰める。

  ここにトマトやサフランがはいると、南仏風の「魚のスープ」
  そしてそれは「ブイヤベース」のダシになる。 
  

  白ワインを入れようとした時・・・。
  フランスで八年も星つきレストランばかり渡り歩いたAさんが
  言った。


  「ムージャンはさ、そこでノワイリーを一本入れちゃうんだよ」
  ※ムージャン;ムーランドムージャン、南仏の超有名料亭
  ※ノワイリー;フランス産ドライベルモット
  
  だから丸一本ではなかったけれども、たっぷり入れて作って
  みた。
  もの凄く、旨いダシが取れた。
  びっくりした。そんなこと教科書に書いていないもの。(^_^;)



  「次元の違う味には必ず知らない訳がある。」(笑)

  

  僕が働く為に渡仏する前の年・・・。八十七年?の秋。
  AさんとB君と三人で三ツ星の食べ歩きツアーに出かけた。
  十日間ほど、レンタカーで走り回った。

  勿論僕が運転手だった。
  困ったのは、角を曲がると右車線(対向車線)に勝手に入って
  しまうこと。(^_^;)

  慣れというものは怖いものです。
  幸いフランスの田舎道、対向車もなくて事故は起こさなかった
  けれど・・・。(笑)


  パリ、ランス、アルザス、ディジョン、マコン、リヨン・・・。
  ヴァランス、ニース、カンヌ・・・。
  最後は、Aさんの修業先(ポール・ボキューズ)で一緒に働い
  ていた友達の実家のホテルレストランがあったバスク地方へ。
  
  前述したムージャン(カンヌ)に到着したとき、アクシデント
  が起きた。
  予約が取れていなかった。
  いいや、正確には「リコンファーム」がされていなかった。


  Aさんは、全てのレストランの予約をアルザスの三ツ星料亭
  オーベルジュ・ド・リルの若旦那に任せていた。
  (多分そんなことのできる人は、あの当時いなかったはず)
  それで、リコンファーム無しでいいと思っていたわけ。
  実際、そこ以外は全部OKだったから・・・。


  でも、予約が取れていない。

  フランス語が理解出来なかった僕でも、カウンターで何かトラ
  ぶっているのを感じられた。

  Aさんは、何度もマーク(前述の若旦那)の名前を出していた
  けれど、受付は予約無しの一点張り。


  彼は困ってしまって、しばらく目を閉じて何か考えていた。
  そしてカウンターのまわりを見回した。
  次の瞬間「おっ」と声を出すとカウンターの後ろに飾られた
  一枚のポスターを指さした。


  「そのポスターを見てくれ。」
  「そのポスターの前列に一人の日本人が写っている。」
  「それは、誰だ?」


  カウンターのスタッフは怪訝な顔をして、ポスターを見た。
  そして「エッ!」と声をあげたかとおもうと振り返りAさんの
  顔をもう一度見て、またポスターに写った日本人を見た。

  そして、言った。

  「セ・ヴー?(あなたですか?)」
  
  「エヴィダマン!(勿論!)」(笑)


  その時、当時オーナー・シェフだったロジェ・ヴェルジェ氏が
  厨房から、なにやらもめている受付の方へやって来た。
  カウンターのスタッフは早口で状況を説明した。
  そしてポスターを指さし、驚愕の声で「ここに彼が写っている」
  と言った。


  ヴェルジェ氏は微笑み、そして大きく手を広げAさんの両肩を
  抱くと「シェフ!」と大きく声を出した。
  (パフォーマンスではあるだろうけれど・・・)(笑)

  そしてすぐに別室を用意させ、僕たちを招いた。


  特別サービスの先付けが来て、予算より全く豪華な食事だった。
  (信じられないほど覚えていないけれど・・・。)(笑)
  

  日本に帰ってきてから、あの話はとても盛り上がった。

  「ポスターがあって良かった」と彼は言ったけれど・・・。
  スタッフ全員を写した店のポスターを作る日が決まっていたわけ
  じゃないし、日本人は限りなくあの店で修行しているし・・・。
  ヴェルジェ氏が現れたのも奇跡的なタイミングだった。



  白ワインソースのことから離れてしまったけれど・・・。  

  誰の料理にも、それは母の料理にも、祖母の料理にも・・・。
  みんな沢山の思い出がつまっている。


  食事って、料理だけを食べているんじゃないと思う。

  もし、本当に「気」と言うエネルギーがあるのなら・・・。
  (僕は勿論あると思っている)

  料理の中に、自然にその「気」が入っている。
  決して成分分析表にはのらない。


  だから・・・。
  作り手に愛された料理と、そうでない料理が存在する。
  表面的な味は、大量の調味料で作れてしまうから・・・。


  僕だって、市販のジャンクフードも旨いと思うし・・・。
  コンビニのおにぎりだって、素直にすごいなと思う。
  添加物も、現代では仕方が無いのかなとも思う。


  でも、食べ続けない。

  理由は、料理を作るときの「気」を知っているから。
  無味乾燥した機械化された場所で出来たものには味があっても
  大切なものがない。

  満腹感や、エネルギー補給は満ち足りても、心までは届かない。


  料理人が修行しながら・・・。
  母が子供を育てながら・・・。
  妻が仕事をしながら・・・。

  作り続けた料理には、全く次元の違う味がある。


  殆どの人は、それを知らない。
  いや、知ろうとしないだけか・・・。




  僕が目指す場所は・・・。



今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
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・・・だったから。Vol.954

2010-02-07 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

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技術の裏に隠されているものを書いています。


それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。




  「赤ワインソース(ソース・ヴァンルージュ)」って・・・。


  フランス料理において無限にあるソースの中で、王様に当たるの
  ではないかしら・・・。


  代表的なワインの産地や、その個別の地域名(ワイン名)をその
  まま使うこともある。


  ソース・ボルドレーズ

  ソース・エルミタージュ
  ソース・カオール
  ソース・マルゴー
  

  ただ、ソース・ボージョレは余り作らない。
  何故なら、赤ワインソースに期待するコクと色を出すのに、何本も
  必要となってしまい、結局期待値に達する費用が何倍もかかってし
  まうから・・・。


  昔、ワイン屋さんがスポンサー?
  ソムリエがオーナーの店で働いたことがある。
  その時、その銘柄のワインでソースを作るのですが・・・。


  例えば、ボージョレの中のジュリエナのハーフボトルを抜栓して、
  いきなり煮詰めてソースを作る。
  ムーラン・ナ・ヴァンを一本煮詰めてソースを作る。


  皿の中の主素材より完全にソースの原価の方が高いのです。(笑)
  これを、一般的な料金でお出しすると完全な赤字です。
  だって、普通の店はマグナム(倍量)のテーブルワインで作るの
  ですから・・・。


  だから、安くしざるを得ない・・・。
  だんだん、現実出来なくなる。


  でも、赤ワインソースを作るときにたっぷり使う習慣が出来て。
  だから、僕の作る赤ワインソースは旨いっす。(笑)
  

  
  ワイン好きにとって・・・。
  また今まさにそのワインを飲んでいる最中なら、その香りのソース
  は世界一相性のよい状態・・・。
  ワイン好きなら誰しも一度は、試してみたい組合せでしょう。

  
  僕が今使う銘柄は・・・。
  ワインの個別の銘柄ではなく、葡萄の品種で選びます。
  

  カベルネ・ソーヴィニオンと言う葡萄から出来ているワインが僕
  の赤ワインソースの秘密(笑)

  

  実にコクのあるソースが出来る。
  とてもいい色に仕上がる。

  作り方は何通りもあるけれど基本は同じ。
  

  たっぷりの赤ワインを煮詰める。
  ワインの直接的な酸味が角を落として、決して焦がさない程度に
  なったらフォン(出汁)を入れる。
  

  殆どの場合それは「フォン・ド・ヴォー」(仔牛の出汁)なのだ
  けれど、それを鶏や牛や「ブイヨン」に変えたり、フュメ・ド・
  ポワソンと呼ばれる白身魚の出汁を使ったり、そして、バターを
  溶かし混ぜてゆく。


  バターは、赤ワインの酸味と渋みがコクとまろみと旨味に代わる
  まで、加えるのが理想だけれど。(笑)
  カロリーを考えると・・・少しセーブするのが殆ど。

  

  その時、出汁がなければ、または意図的に水に代えたりもする。
  水の場合は、「ブール・ルージュ(赤ワインバター)」って特別
  な名前がつくけれど・・・。

  

  元々は、ソースブール・ブランと言う格別のソースがあって・・・。
  それは、エシャロットの微塵切りを入れた白ワインを煮詰めた
  ところにバターを溶かし込んでゆくだけ。

  

  このバターソースがメチャ旨い。
 
  元々はナント、アンジュ地方(巴里の南西部)で魚料理を美味し
  く食べるために生まれたらしいから、そっちの白ワインを使う
  のが王道。

  

  フランスにいるときに、このソースを食べにナントまで行った。

  ガイドブックはない。
  街を適当に歩いて鼻を利かせたけれど、解らない。
  

  そこで、一軒の花屋に入った。

  

  「こんにちは、僕は東京からソース・ブールブランを食べに来
   たのですが、そのソースの旨い店をご存知ですか?」って尋
  ねた。


  案の定花屋はレストランに詳しくて、スタッフ同士で喧々囂々
  (ワープロだからかける漢字だぁ!)したあげくに、一軒の店
  を教えてくれた。


  いやぁ、旨かったっす。

  で、また、同じように「このソースを食べに・・・」って言っ
  たら、ソーシエール(ほら日本だとカレーのルーが入っている
  シルバーで出来たソース入れね)になみなみとおかわりを持っ
  て来てくれて(^_^;)・・・。


  どうやって、ソースだけ食べろというんだい。(笑)
  パンのおかわりをもらって、つけて堪能しました。
  それにしても、配合の殆どはバターですからねぇ・・・。

  もの凄いカロリー(笑)


  もうお店の所在地は忘れてしまったのですが、このやり方なら
  何処でも通じるはず・・・。
  
  因みに南仏に行ったときは、街中の駐車場のおじさんに聞いた。
  「ブイヤベースの旨い店は何処かしってますか?」って(笑)


  日本の駐車場のおじさんなら、無理だったかも知れないけれど、
  彼は、実によく街を知っていた。

  やはり、観光で暮らしていることをきちんと理解しているんだ。
  とも思ったけれど、きっと違う・・・。

   

  あの花屋さんだったから・・・。
  あの管理人だったから・・・。

 
  だから、こんな話を思い出した。

  

  「三人の労働者がビルの建設現場で働いていると、
   通行人が近づいて来ました。
   最初の労働者は、汚れて汗まみれで仏頂面をして
   いました。

  

   通行人が「あなたは何をしているのですか?」と
   尋ねると労働者は、「煉瓦を積んでいるのでさぁ」
   と答えました。

  

   二番目の労働者も汚れて汗まみれで、同じように
   仏頂面をしていました。
  

   通行人が「何をしているのですか?」と尋ねると、
   彼は「時給二ドルで働いているんでさぁ」と答え
   ました

  

   通行人は三番目の労働者にも「何をしているの
   ですか?」と尋ねました。
   すると彼は・・・・・・・。
   「大聖堂を建てているのでさぁ」と答えました。」

        =ケン・ブランチャード=「ザ・ビジョン」



  誰かが僕に聞いたなら・・・。
  「あなたは何をしているんですか?」

  

  僕は、答える。
  「疲れた人が癒される、もっと元気になる料理と教室と
   メルマガを作り続けてるんでさぁ」




  明日、誰かの心に、


  「りあんだったから・・・」



今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v


そして・・・

いつも 「ありがとう」


メールマガジン「愛される料理」
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発行者    :料理教室&BistrotRIANT-りあん-川名克典
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料理教室の意味 Vol.953

2010-02-06 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。


それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。



  「平目のデュグレレ風・・・」


  僕が生まれて初めて、「おお、フランス料理じゃん」と自分で
  作りながら感じることのできた料理。


  簡単に言えば、蓋の出来る浅鍋に(フライパン可能)バターを
  塗って、エシャロットの微塵切りとマッシュルームのスライス
  を散らして、塩、胡椒、パプリカをまぶした平目を置いたら、
  小さなサイコロ状にしたトマトと、パセリの微塵切り。


  それから・・・。
  白ワインを振りかけて、蓋をして数分間蒸し上げる。


  ちょっと半生に火の入った平目を取り出して、保温しておく。
  鍋に残った煮汁を煮詰めたら生クリームを注ぐ。

  温めたお皿で保温している間に「自分の熱で火の入った」平目
  を盛り付けて、ホイッパーでかき立てて少し泡立ったソースを
  回しかける。


  ここで多分多くの料理人はバターを入れるかも知れないけれど、
  僕は、余程じゃないと入れない。

  生クリームで十分な動物性脂肪をとっているから・・・。


  りあんの料理教室は両方を重ねることは殆どない。
  バターの量もクリームの量も、一人分を決めて置いて・・・。
  (この位なら食べてもいいっしょ(札幌弁かぁ?)っていう
   程度の分量)


  前菜、メイン、デザートの何処かで使う。
  と言うことは、前菜で使うとメインには使えないから・・・。


  デザートは「別腹」と仰って下さるお客様が殆どだから(!?)
  デザートでもう一度生クリームを少し使うことがあるけれど。
  

  何年も・・・。
  長い方は僕の作る料理を、十五年以上!?も毎月欠かさず召し上
  がって下さっているのですが、理由としてこの動物性脂肪の使用
  量に、自ら制限を付けているのがあるから?と思う。


  フランス料理が好きだけれど僕は胃腸が強い方ではなく、無制限
  に脂肪分を摂れないジレンマがあります。

  味見していて、もういいって身体が言い出すから・・・。


  よく、「フランス料理を作っていて太りませんね」と言われます。
  確かに太った料理人ではない。
  でも太った料理人の料理の方が美味しそうだとも言われます。(^_^;)


  ただ、身体がもう欲しくないと言い出すから・・・。
  たまたま、そんな自分だから料理教室で創り出す料理の方向が決
  まり、それが喜ばれ、その喜びが繰り返されただけのこと。


  強じんな胃袋を持っていたら、動物性脂肪の量など全く気にする
  こともなく、ルセットを作り料理教室で講義したでしょう。


  そしたら、今の「りあん」も「りあんの料理教室」も存在しなかった。
  

  
  閑話休題・・・。


  つけ合わせは、ポンム・ヴァプールとか、ポンム・アングレーズ。

  前者はただ茹でただけ、蒸しただけ。
  後者は茹でてバターでからめている。


  他に茹で野菜やヌイユという日本で言うところの「きしめん」の
  様な平打ち緬を添えたりする。


  更に、サバイヨンという卵黄をかき立てたムースをソースに混ぜ
  込みそれを回しかけサラマンドル(扉のない上火だけのオーブン)
  でグラタンにする。


  こうなると名前が変わって「平目のボンファム、パプリカ風味」
  になる。 


  ヌイユがつけ合わせでボンファムにすると・・・。
  「平目のヌイユグラタン」って確かポールボキューズの古い献立
  にあったはず・・・。
  
  ただ、三ツ星クラスになると、もっと美味しくするために・・・。
  白ワイン以外にノイリー酒(ドライベルモット)を使ったりする。

  
  せっかく月に一度、お忙しい時間を割いてりあんまで来て下さる
  から、北海道や九州からもdvdセミナーを希望されて見て下さる
  から・・・。


  僕が学んだ事は、全部お伝えしようとおもうから・・・。


  多岐にわたるので、「こんがらがってしまう」とお言葉を頂いた
  事もあるから、なるべく具体的に、ゆっくりお話しよう。

  

  今月は、酢味噌ソース(笑)

  道場さんのお店で、散々酢味噌を作らされたから・・・。(笑)
  和風フレンチ・・・。
  いや、基本をフレンチで押さえた和風。


  専門的な職人やグルメたちからは、否定されそうな料理ジャンル
  ではあるけれど、僕の生い立ちが自然にそれを作らせる。


  手は抜いていないし、でたらめではない。
  どうあがいても、基本は僕の身体に染みついている。
  なにも知らないで、道場氏のお店にお世話になったのが、本当に
  幸いしている。


  だから、りあんの料理教室も基本ははずさない。
  通って下さった方々が、遠い将来振り返った時、りあんで学んだ
  事を「よかった」と感じて下さる為に・・・。

  そうじゃなければ僕が、ここで料理教室をやっている意味がない。


  そうして生まれてきた料理は、それは現代の日本の食卓にマッチ
  する。
  プチゴージャスって教室に長く通って下さる方が命名して下さっ
  たのですが・・・。


  いつも追いかけている。





今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v


そして・・・

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やめないでよかった Vol.952

2010-02-05 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

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それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。




  やはり昨日(立春)から冷え込んでいる。
  北国の人に言ったら笑われるけれど、中目黒の早朝は寒い。
  東京の少し古くなった一軒家は本当に寒い。
  隙間だらけだから・・・。(笑)


  隙間と言えば、りあんに泥棒が入る気配があったらしい(笑)
  気がつかなかったんだな。
  お店の裏側の窓ガラスが七枚もいきなり割れていた。
  中にワイヤーが入っているヤツ。


  硝子屋さんに聞いたら、「このタイプは自然に割れないよ」
  「大きい声じゃ言えないが泥棒の可能性もあるんじゃないか」・・。


  とりあえず報告として警察に電話したら、夕方現場検証が始ま
  った。
  いわゆる「被害届」を出す状況。
  


  北国では見かけない窓が、ここら辺にはあります。
  ブラインドのように、長細い板ガラスが、ほぼ九十度だけ開く
  タイプです。
  
  これは圧力をかけて割ると、簡単に外れてしまうから・・・。
  裏で気がつかなかったって言うのも、間が抜けてます。

  幸いなことに、窓の内側にはステレオセットとCDがびっしり
  本箱状に置いてあったので、入ることを諦めたのでしょうか?

  鍵を壊されたり、窓ガラスを割られたりしたら日本の少し古い
  家屋は泥棒にとってもはやセキュリティは持ちません。


  何といっても日本の「美しい文化」には、適当な大きさの
  「半紙をぺたりと貼る鍵」があるのですから・・・。


  「エッなにそれ?」


  それは、泥棒に入ろうとする人の「心にかける」鍵
  紙は一度破いてしまうと元に戻せないから・・・。
  
  でも、それを全く意に介さない人々が増えればもうおしまい。
  最強の鍵は、心ない人にとって「鴨が葱しょってやって来た」
  状態です。


  そうなると、鍵を増やし、扉を鋼鉄にし、窓には鉄格子を・・。
  殆ど巴里やNYの住居みたい。


  鍵と言えば、NYのレストランは夜の営業が終わると冷蔵庫に
  鍵がしまるようになっていた。


  二十四時間営業ではないけれど・・・。
  朝食、昼食、夕食と営業するから・・・。
  料理人は、朝から夕方までと、夕方から深夜までの二交代。
  クリスマスと元旦をのぞいた連日営業だから、掃除する時間が
  ない。


  そこで深夜から早番が来るまでの数時間に、掃除人が来る。
  毎晩、数人の若者が・・・。いわゆるヒスパニック系のかなり
  陽気な若者たちがやって来た。


  これでは、冷蔵庫は空にしておくか、鍵をするしかないのか。
  一人がひとつ食べたとしても、毎晩食べられたら・・・。


  鍵が必要だ・・・。

  料理人にとって、初めて見た時は(鍵をかけるシーンを)少し
  複雑な思いが・・。
  なれれば当然だし、なんともなくなったのですが。


  僕が働いた調理場は皆幸せだった。(笑)
  仕事はきついところも多々あったけれど・・・。
  鍵が「ガシャン」「ガシャン」とおろされる調理場はNYだけ・・・。
  いずれ、日本もそうなる日が・・・。


  NYで作った料理で面白かったのは、アイダホポテトで作った
  皿ほど大きなチップス。


  彼らは本当にチップスが好きなんだな。
  アイダホポテトをスライサーで薄くスライスして、浅いバットに
  重ねながらお皿くらいの大きさを作り、蒸し器に入れる。


  少し蒸すと、粘りが出て、重ねた所がつながって大きな円盤に
  なるから、それをフライヤーであげるのだけれど・・・。


  日本人である僕が作ると、ピッタリお皿の内周の大きさになって、
  まん丸に作るものだから、思い切りおだてられる。(笑)

  悪い気がしないで、いつも残業して翌日の分まで作る。
  僕が辞めた後、チップスが間に合わなくて大変だったらしい。


  すぐにNYを去らなかったから、遊びに行ったときにシェフが教
  えてくれた。

  日本に帰ったら作ろうと思っていたけれど、無理だった。

  ミート皿ごと何枚も入るような蒸し器もフライヤーもないから。
  NYの調理場の道具たちは大きかった。

  多分日本でもセントラルキッチンやホテルにはあるんだろう。
  そして、非常にシステム化されていた。

  道具も、人も、料理も・・・。

  日本もこういった店が増えるのだろうと思った。


  僕は、どうするだろうと考えた。
  きっと、適度に背を向けるだろうと思った。

  案の定、ひとつひとつ考えて対応する仕事をしている。


  時々、ただ足踏みしているようで・・・。
  時々、これでいいのかなと自問している・・・。
  そして、不安を感じ、手探りで生きている。

  
  そんなとき、まだ見ぬ料理を思う。
  毎月、そうして作ってきたじゃないかと振り返る。

  料理も、メルマガも・・・。
  明日はわからない。


  もう止めようかと思う日もある。

  でも書き終えて読むと、生まれたての言葉がいる。
  でも作り終えてみると、生まれたての料理がいる。

  黙ってみていると、生んでくれて「ありがとう」と聞こえる。
  それを聞くと、やめないでよかったと思う。


  自分を思う。


  システマチックに生きられない自分が見える。
  同じ様なことで、悩んだり悲しんだり喜んだりしている。
  そして、嬉しくて飛び跳ねている。
  そして、不安と疲労で逃げ出したくなっている。


  でも、「やめないでよかった」と言う気持ちが生まれるなら・・・
  きっと、もう少し歩くと彼がやって来ると思っている限り・・・

  「こうして生きて行くんだろう」と言っている。


  時々見失うんだけれど・・・。

  「彼が必ずいるから」とつぶやいてる。


  そんな自分が見える気がしてる。




今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
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いとしいから・・・Vol.951

2010-02-04 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

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それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。



  春分の日まで、後もう一息・・・。
  春が目を覚まし始める。
  ちょっと早すぎたと、もう一度眠ってしまうこともあるけれど。


  きっと子供たちの雄叫びと、飛んできた豆で目を覚ましたこと
  だろう。



  フレンチで豆を使った料理は多い。
  甘い煮豆ばかり食べさせられた日本人にとっては、少し驚きが
  あるかも知れない。


  全部素っ気ないほどの塩味なのだ。
  せいぜい生ハムの切れっ端や、ベーコンや塩豚がちょっと入っ
  ているくらい。
  
  カスレみたいに、肉料理か豆料理かわからないほど渾然一体と
  豆のでんぷんで表面に膜が張るほど煮あげられた(オーブンで
  焼かれるのだけれど)地方料理もある。


  一番よく見かけるのは、ランティーユ・ヴェール(緑レンズ豆)
  いや、単に僕の目がそれを探すからか・・・。(笑)


  スープに、サラダに、煮豆に、つけ合わせにと何でもござれ。
  前菜のテリーヌに仕立て上げたシェフもいたっけ・・・。

  ブイヨンや肉の切れ端と一緒に柔らかく煮たレンズ豆にゼラチン
  を加えて、型に流し入れるのだけれど・・・。


  その時の肉の切れ端が豚足や豚耳や・・・。
  いわゆるゼラチン分が多ければ、そんなにゼラチンを入れなく
  てもいい塩梅に固まる。


  こういうのは、大抵ヴィネグレットソース(フレンチドレッシング)
  で食べることが多い。


  ラヴィゴットって言うソースもあるけれど・・・。
  それとて、ベースはヴィネグレットだから。
  (ヴィネグレットにケッパーや玉葱の微塵切り(生)を加えた
   もの、時に、ゆで卵の微塵切りを入れる事もあるようだけれど。
   僕はゆで卵を入れたソースが余り得意じゃなくて、りあんでは
   殆ど作らない)(^_^;)


  茹でたレンズ豆は、ヴィネグレットと最高にいい相性です。
  好みもあるけれど、サラダ好きには喜ばれるんじゃないかな?
  滋養を取りながらダイエットしたい方にこのサラダはよいと思う。



  飛び込みで働かせてもらった最初の二つ星で、初めて食べた。
  ボールにいっぱい茹であげたランティーユがあって・・・。
  そこにヴィネグレットをかけるだけ。


  枯れ草色と言うか・・・。
  色落ちした緑のカーキ色?みたいで、はっきり言って食欲は減退
  する。(笑)

  日本料理では決して使わない彩りだけれど・・・。
  一口食べて、ひっくり返るほど旨かった。(笑)


  もう一つその店でひっくり返るほど旨かったのは、ロックフォール
  で作ったビィネグレット。
  思わず沢山つくって持って帰ったほど(笑)

  決してキャビアやトリュッフやフォアグラじゃない所がいい。


  葉っぱだけじゃ(特に現代は)食物繊維が少し取れて・・・。
  市販のドレッシングじゃそこに書いてあるカロリーが摂取できる
  程度でしょう?

  もし、ノンオイルのドレッシングだったら・・・。
  カロリーも取れない。(^_^;)

  「油断大敵」って、言葉があるもの。
  ドクターストップがかかっているならいざ知らず、油は必要。
    

  レンズ豆はブイヨンに入れても美味しい。
  それから、肉や魚料理のつけ合わせにも旨い。
  小さな豆だし、昔と違って新しい豆が流通しているから水に戻さ
  なくても使えるし、二、三十分で煮えるからお米を炊くことを考
  えれば、同じ手間。面倒はない。
  
  デザートだけは・・・。
  日本のあんこや羊羹はお豆から出来ているけれど・・・。

  何人かの付き合ったフランス人達は、みんな口を揃えて豆に砂糖
  を入れるなんて!信じられない!ですって・・・・。(笑)

  と、デザートで食べる気はない様子。(笑)
  お米なら、プリンにしてしまうくせに・・・。(^_^;)



  巴里に行って、一番良かったのはこんな見た目が日本人の感性で
  は(特に和食あがりの僕には)美味しそうに思えないものを、食
  べる機会に恵まれたこと・・・。


  そしてそれらは、何故か愛しい。
  部分ではなく、そのもの全てがそのまま愛しく思う。
  分析など必要なく、ただ、あるがままでいいと思った。
  

  日本からわざわざ飛行機代を使って食べにゆくものではないから。
  でも、もしゆく機会があったなら是非触れて欲しい。


  日本に来ない、安いハウスワイン(地酒)
  日本に来ない、安いシードル。何十種類ものチーズ。

  横丁のビストロの大盛り一皿。(笑)


  美しい三ツ星の料理に憧れて、巴里に行ってもみたけれど・・・。
  僕は、料理の美しさより、そんな愛しさに心惹かれた。


  焼きすぎたりんごのタルト。
  崩れるほど強引に作ったババロア。
  ひとつひとつが勝手な向きで、そして違う大きさのまま煮あげら
  れた洋なしのコンポート。


  売れ残りのりんごのタルトの上にクレーム・シブーストを塗り上
  げて作ったんじゃないかと思えるようなタルト・シブースト(笑)


  炭のように真っ黒けに焼き上げたタルト・オゥ・フロマージュ

  バケツで運ばれてくる生クリーム。
  薄い木枠で作られた樽に入った五キログラムはあろうかという
  バター。


  不衛生かも知れないけれど、パン屋のおばさんが素手で触った
  バゲット。(もうそんなことないか?)(笑)


  毛皮のまま、店先に吊された兎や鴨や猪・・・。(^_^;)
  その向かいには、日本人がいっぱい入っていたブランドショップが
  そして、確か四百年!?もたっている教会が平気でそこにいる。


  知らなければ・・・。
  いや、知っただけじゃ同じ事。
  愛しく思ったから・・・。感じられた。



  人は殆どの場合、知識という一面でしかものを見ないでいる。
  でももし、それが愛しさに変わったら・・・。
  全く違う思いをする自分に気がついてゆく。



  その為に生きていたいって・・・。
  思うこともある。
    
  僕は、これからいくつのことを、愛しく思うだろう?
  

  P.S.久しぶりのB.G.M
  → 
http://www.youtube.com/watch?v=qluY01dkGuo   
                   =松任谷由実=「夕闇をひとり」



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職人修行 Vol.950

2010-02-03 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

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  暦の上では春になろうとする今が一番寒い。
  夜明け前が一番暗いのと同じか・・・。


  人生の夜明け前は、長すぎないか?(笑)
  人生の夜明けっていつだ?


  職人修行をしていて、よく思うことがある。
  迷宮なのだ。


  いつから修行を始めたっけ?
  いつ終わったっけ?


  えっ、終わってるの?
  えっ、続いているの?
  えっ、また始まったの?


  とりあえず、自分で線を引くしかなくて・・・。
  僕は巴里から帰ってきたとき「修行は終わった」と心に決めた。
  

  卒業試験があるわけじゃない。
  卒業論文があるわけじゃない。
  証明書が発行されるわけじゃない。


  自分で、決める。

  その時、頼る人はいないと決めた。
  自分の元から出てゆく全ての料理に責任を持つ。
  それは勿論、スタッフによる料理だろうがアルバイトだろうが。


  たったそれだけの事。

  そして、夜が明けたのか?


  修行は終わったと思った後の一年は、修行していた三年にも
  当たるほど真剣だったことに気がつき・・・。
  独立自営した後の一年は、修行していた十年にも当たるほど。


  それって・・・。

    
  「再修行?」(爆)
  
  人生は死ぬまで勉強と初めて口にした人は誰だろう?


  いつの間にか、自分はもう修行が終わったとか・・・。
  いつの間にか、腕がいいとか・・・。
  いつの間にか、充分頑張っているとか・・・。


  そう思った頃を目指して、試練が不意に飛んでくる。

  何処から?

  きっと神様なのだろうけれど・・・。
  僕はつい叫んでしまう。


  「何故ぇぇぇぇぇぇぇぇ~?」



  そして、嘆く様に尋ねる。
  僕は、「こんなに頑張っているのですよ。見えませんか?」


  勿論神様は、黙っているから・・・。
  その訳を自分で探す。

  ・・・。


  その時気がつく。
  「何故?」と尋ねた、その答えを自分で作っている。

  もしこの答えが違ったら・・・。


  自分は、明日どうするのだろう?
  明後日、どうするのだろう?
  そして、その先はどうなるのだろう?



  修行中はよかった、何人もの先輩がいたから・・・。

  こっちへ曲がると叩かれ、
  あっちへ曲がると押され、
  そっちへ曲がると蹴飛ばされ、
  常に軌道修正された・・・。


  再修行は・・・・。


  ああ、解った。そんな先輩達がいないから、難題、試練が代わり
  にやって来るわけね。(笑)   


  そしてふと思う・・・。
  修行中は夜だったのか?
  修行中は冬だったのか?


  そしてふと答える・・・。
  夜だったのかも知れない。
  冬だったのかも知れない。


  でも・・・。


  「そうだとは思っていなかった・・・。」


  なんだ・・・。

  そんな簡単なこと。
  線を引かなければいいんだ。
  修行が終わったなんて思わなければいいんだ。

  人生死ぬまで修行と言われていることを忘れなければいいんだ。



  夜明け前が一番暗いって・・・。
  もうすぐ夜が明けるから、待ち遠しい気持ちがそう感じさせる。


  今頃が一番寒いって・・・。
  もうすぐ春だから、その暖かさを思うからそう感じてしまう。

  

  僕の料理人生が始まったあの最初の日。
  「ここで着替えろよ」と白衣を渡され、ろくさん亭の調理場に
  初めて足を踏み入れて、既に山と積まれた洗い物を前にして・・・。
  ため息をついたっけ?
  
  洗っても洗っても洗い物が下げられたあの日・・・。
  こんなにやっているのにと嘆いたっけ?
  

  比較する日がなかったあの日は・・・。
  線を引いていなかったあの日は・・・。
  あの日の気持ちがどんなに素晴らしいか知らなかった。



  だから、僕はもう比べることを止めよう。
  比べれば、口にしたくない言葉が生まれてしまうから。
  そんな言葉を生むために、僕は生まれてきたのではない。



  今日は、僕の人生初めての日。
  この料理は、僕の初めての料理。


  比べることはない。
  何故なら僕の身体の中には黙っていても三十年の技術が蓄積され
  ているから。


  比べるのではない。
  その場所から・・・。
  今日から今日の僕を始めるのだから。



  そして、「あの日に帰りたい」と思うのではない。

  今日、未来の僕がふりかえる「あの日」を作るのだから・・・。




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ローストは祈りの料理 Vol.949

2010-02-02 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

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  中目黒は雪の朝。


  夕べの雨は雪に変わり、一時深々と降り続いていたけれど・・・。
  今朝はもう、駐車した車のボンネットや、道路の隅や家々の間に
  「雪が降ったんです」と夢じゃないことを教えてくれるだけ。(^_^;)


  道路は、真っ暗なうちから長距離トラックが溶けた雪をはね飛ば
  して走っている。  


  「今日の仕事が終わったら、洗車しなくちゃいけねぇな」って・・・。
  思っているだろうか?


  僕がトラック野郎だったときは、そう思っていた。(笑)
  



  ROTI(ロチ/ローストのこと)は、最高の調理方法らしい。
  ある決められた一定の火力で、ほぼ全面から加熱する。

  理想を言えば、しょっちゅう下に落ちる脂を回しかけたい。
  ただ、オーブンの温度が下がってしまうから、時々だけれど。

  
  元々は、暖炉や戸外で火を起こし、串に刺さった肉塊をグルグル
  と回転させながらこんがり焼いてゆく、あれです。

  回転させた時に、溶けだした脂が自分に回しかけられる自然。


  今でも、暖炉のあるレストラン(代官山のパッションとか)では
  そうして焼いているそうですが・・・。
  一種のプレゼンテーションになっているのでしょう。



  だから本来のローストは、蒸気が飛んでかなりカリッとなるので
  すが、オーブンの中では若干しっとり目にあがります。
  これは、これで素晴らしいロチです。


  僕はその恩恵を喜ぶタイプで、一般的には余りやらない低温で
  ゆっくりと、蝦夷ジカも仔羊も焼きます。

  殆ど例外なく綺麗なピンク。蝦夷ジカは真紅に焼き上がります。
  一見生のように見えますが、肉はしっかり温まって・・・。


  オーブンに二十分以上入っているのですから。



  低い温度で加熱する為に、することがあります。
  それは、表面に塩をふって焼くこと。薄い膜を作っておくこと。
  表面を軽く焼きしめて置くことです。


  これをしないと、低温のオーブンでは余り脂が出てこないから
  乾燥が始まってしまう。


  焼き始めたら最後、キッチリ目標とするキュイソン(焼き加減)
  まで焼いてあげる。
  さもないと、肉の中に年輪のような層が出来てしまう。


  基本的には同じ温度で最後まで焼けばいいけれど・・・。
  お出しする時間によっては、温度を上げ下げして、五~十分間
  くらいなら微調整(早目、遅めに仕上げる)ことが出来ます。

  
  初めてオーブンを使ったのは、高校生の頃。
  祖母と一緒にスポンジを焼いたとき。
 
  確か祖母は一度、伊達巻きもオーブンでやっていたような・・・。
  結構柔らかな思考を持っていたのだと思います。


  今考えれば不思議ですが・・・。
  やはり高校生の男子が、オーブンでスポンジを焼くなど普通じゃ
  なかったのかも・・・。(^_^;)


  多分、食い気よりスポンジがスポンジになる科学に興味を持った
  のだと思います。

  スポンジは卵を脹らませて焼くのでまだ理解出来ましたが・・・。
  シュー生地は、何とも不思議でした。

  泡立てた卵でも、ふくらし粉でも、酵母でもないのですから・・・。
  (^_^;)


  僕がいま、教室で自然に料理の裏側で起こっている科学を、お話
  するのは、多分この頃に養われた・・・。!?(^_^;)


  実践として火口の少ない調理場では、オーブンは欠かせない存在。
  本来フライパンで焼き切る、チキンソテーやハンバーグなんかも、
  そのままオーブンに入れてしまう。(^_^;)


  そうしないと五分や十分間は火口をひとつ占領してしまうから。
  次のオーダーがつまってしまう。
  と言うように必要に迫られて、使い始めるのですが・・・。


  例えば・・・。

  ハンバーグをいつも焦がしてしまう方は、裏と表を焼いたらパイ
  皿に移してロチしてあげるといい。


  ロチとは言えないけれど、ビーフシチューとかカレー等の煮込み
  料理、直火にかけておくと焦げやすいものを鍋ごとオーブンに入
  れる事もあります。(取っ手や蓋が耐熱じゃなければ駄目)

  
  料理を始める前学校(多摩美)に行かず陶芸をやっていた僕は・・・。
  作った器を窯に入れるのに似ているから、入れる時に何やら念じ
  てしまう。(笑)


  美味しくできます様に・・・。
  ピッタリの焼き加減であります様に・・・。
  オーブンの火が消えません様に・・・。(笑)あり得ない!?
  よい驚きがあります様に・・・。

  
 オーブンの中は見えないから・・・
  窯の中と同じ。
  そこは不思議の国。
  だから、僕は祈ってしまう。


  人は皆、毎朝不思議の国の扉を開ける。
  そして、入る。
  一日が終わると、扉から出てくる。
  


  今日が良い一日であります様に・・・。
  身の丈ピッタリの思いと実践が出来ます様に・・・。
  元気で過ごせます様に・・・。
  素敵な発見があります様に・・・。


  あなたと・・・。


  僕のために、今祈ってる・・・。





今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v


そして・・・

いつも 「ありがとう」


メールマガジン「愛される料理」
発行システム :『まぐまぐ!』さん→
http://www.mag2.com/
発行者    :料理教室&BistrotRIANT-りあん-川名克典
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バックナンバー:http://ameblo.jp/riant/
chefの独り言 :http://riant.cocolog-nifty.com/blog/


たかが料理教室、されど料理教室 Vol.948

2010-02-01 10:00:00 テーマ:愛される料理(メルマガ版)バックナンバー

料理教室&BistrotRIANTのメールマガジンです。
料理人・川名克典の料理セミナーでは伝えきれない
技術の裏に隠されているものを書いています。


それは、料理と人生をおいしくする秘密そのもの・・・。





  レデュイール(REDUIRE;煮詰める、減少させる、還元する等)


  ソースを作る上で、必ず必要となる作業。
  フランス料理は、レデュイールなくては成り立たない。
  もし、これがなければ・・・。
  現代イタリア料理との差は殆ど感じられないんじゃないか?


  昔「料理の鉄人」で、惜しくも鉄人に負けてしまった、仏人
  シェフが、負けた理由として語っていた。


  「フランス料理は煮詰める料理だから時間が足りなかった」



  本当にそうだと思った。
  フランス人だからこそ、フランス料理にこだわったからこそ。
  時間が足りなくて・・・。
  彼はかの有名なポール・ボキューズ氏のお弟子さんだった。


  何故、その日のその番組を見ることが出来たのか不思議だけれ
  ど大晦日しかTVを観ないのに・・・。
  ご縁と言うものだろう。

  たまたま、その言葉を発しているときに観てしまった。
  だからその時に、作った料理は知らない・・・。(笑)(^_^;)



  日本料理は、真逆。(笑)
  如何に上手く(旨く)薄めるか?


  おみそ汁は、お味噌を薄めている。
  お吸い物は、薄口を薄めている。
  鰹出汁は、鰹節を薄めている。
  
  それも全部「インスタント」に!
  これが日本料理のすごさ!

  フランス人にとって、あの鰹出汁は魔法以外の何ものでもない
  けれど、所作だけ見ると「マギー」「クノール」と変わりない。
  (笑)


  勿論、製造過程の違い、味の違い、風味の違いは、はっきりと
  解るから大丈夫。(それなりの料理人には・・・)(笑)
  

  日本料理のフォン(基本、出汁・・・)は専門家が作っている。
  鰹節も、昆布も、醤油、味噌、味醂・・・。

  フランス料理は・・・。


  勿論ワインや塩を作る訳じゃないけれど、骨や筋を八時間以上
  コトコト煮続けて、フォンドヴォーを作ったり・・・。

  そうして作ったブイヨン(牛や鶏のフォン)に野菜や挽肉を混
  ぜて、コンソメに仕立てたり・・・。


  鰹出汁をひく数秒。醤油を垂らす一瞬、味噌を溶かす間・・・。
  からすれば、永遠にも思える様な長い時間をかけて作ってゆく
  一杯のスープ、一匙のたれ(ソース)。


  それがフランス料理だったし、それに憧れた。



  家庭で、ワインを日本酒の様に使っている方が多い。
  僕も日本料理からフランス料理に移った頃、同じようにした。

  日本酒は、料理の途中で素材にふりかけたり注いだり出来るけ
  れどワインは・・・。


  勿論出来なくはないし、意図的にやることもあるけれど・・・。
  基本的にはしない。出来ない・・・。

  酸味と渋みが味に出てしまうから。


  あの酸味と渋みを旨味(コク)に変える方法は、ゆっくり煮詰
  めること。そして見合うバター(油脂)を合わせること。


  日本料理で四合の酒を煮詰めてタレにする事は殆どないけれど、
  フランス料理なら一本の赤ワインを煮詰めることはザラにある。


  日本語とフランス語の成り立ちが違うように・・・。
  日本画と油絵の成り立ちが違うように・・・。
  日本料理とフランス料理の成り立ちが違う。



  料理教室でそれを僕はすり寄せる。
  両方を伝えながら・・・。
  そして、今の時代とその料理を作られるだろう方の環境を
  考えて調理方法を最適化する。


  僕のやっていることは、「今」への最適化。
  そうして十五年間料理が変わった。



  進化している?
  いや退化しているのかも知れないけれど・・・。(爆)
  人の身体の作りだって同じ事。


  今、一番美味しく、そして手軽に・・・。
  理論もテクニックもあるし必要だけれども、それよりなにより
  一番大切な事を・・・。

  僕は、ただひたすら求め続ける。



  「今、作りたい・・・」
  「今、作ってあげたい・・・」


  「IMA TABETAI・・・」


  その思いを、形にするための術を・・・。  
  優しさを感じるルセット(レシピ)を・・・。
  僕は作り続ける。


  あなたが「この料理を知ってよかったぁ!」と思えるように。




  もう二度とない二月が、今日始まる。
  



今日も、新しいインスピレーションを求めて・・・。
引き寄せる一日でありますように。 (^ー^)v


そして・・・

いつも 「ありがとう」


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