三国志の作品は小説、漫画を含めて多く出版されていますが、
そのほとんどが蜀を正統とし、
劉備を主役に曹操を悪の親玉のように描く作品がほとんどです。
この蒼天航路は、まさにその曹操孟徳を主役に据えた新しく、
そして真実に迫った作品といえるでしょう。曹操の魅力がたくさん詰まっています。
人間に興味を示した英雄
1卷の冒頭で初めて紹介される曹操孟徳は、三国志の英雄、劉備玄徳、孫権仲謀と比べ
「曹操孟徳は三人の中で最も人間に興味を示した英雄である。そのことがさらに英雄を大きくした」
とあります。確かにその後の曹操は敵であろうが有能な人材を吸収し、
巨大な勢力を築いていきます。たまに裏切られて危機的状況に追い詰められます。
強敵で曹操の命を追い詰めながら最終的に配下に収まった人物としては、
賈詡、張遼、龐徳、高覧、徐庶、許褚、張繍などでしょうか。
逃したのは関羽、劉備、呂布くらいなものです。
人の魅力を敏感に感じることで相手を承認し、
相手の力を存分に発揮できる環境を用意するのです。相手はそれに感激し曹操に力を貸します。
ビジネスの世界も同じではないでしょうか。
相手の魅力を尊重することで、相手も貴方を尊重してくれるのです。
好奇心の大きさが人間を大きくする
冒頭にある言葉です。
「人間を大きくするものは好奇心と賢さと一塊の覇気である。
そしてまず人間の魂をとらえるのは光ではなく深い闇であった」
曹操は好奇心の塊です。音楽にも通じ、
詩作にも秀でていました。剣術や武術も卓越し、
戦略や戦術はことごとく相手の意表を突くものです。
それでいて薬草などの医術にも興味を示します。
建築にも興味があったようです。もちろん女性にもです。
曹操ほどの好奇心の塊と勉強家は三国志には登場しません。
曹操の計り知れない底の深さは確実にそこが発端です。
現代に曹操が生きていたらいったいどれほどの成果をあげたでしょうか。
そして曹操は闇もまた自在に操作するのです。
その影がまた曹操の魅力を引き立てます。