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高1のころ、こんな事がありました。

地域に開かれた学校ということで、その1週間は

保護者は自由に授業を参観しても良いのです。

私は、息子の教室に行きました。

古文の時間でした。

おもむろに教室の戸をあけると、

生徒が一斉にこちらを振り向きます。

案の定、私の他には誰もいません。

息子は私の顔を見つけ、(あちゃ~、ほんとに来た。)という

顔をして前を向きます。もうその顔を何度見たことでしょう。

息子が小学生の頃は、よく学校に行っていました。

小学校2年生のころは、1時間目から給食までいたこともあります。

だってみんな「ようちゃんのおばちゃん、ようちゃんのおばちゃん、

まだずっとおってよ。」と言ってくれるのです。

しかし今や息子の同級生は高校1年生です。

だれも表情一つ変えずに何事もなかったかのように前を向きます。

一番驚いたのは、先生かもしれません。

私のために椅子が用意され、しばし見学していました。

先生の質問に対して、誰も手を挙げません。

先生が、「おーう、分かる人はいないのかぁ?」と

言われていますがクラスはシーン。

分かる人は一人もいないようです。

私は思い切って手を挙げてみました。

先生は私を見て一瞬困った顔をされましたが、

「あっ、はい、では、お母さん、どうぞ。」と言ってくれました。

私は中国の詩人である「白居易です。」と答えました。

胸をなでおろしたのは先生です。

だって飛び入り参加のお母さんが間違った答えをされたら

フォローが大変です。

私は、前年度センター試験を受けたので、これくらいは分かります。

後で息子が言うには、

「白居易くらい誰でも分かるよ。でもみんな手を挙げなかっただけよ。」でした。

 

高3の夏までテニスの部活と演劇に明け暮れた息子でしたが、

楽しかった部活も終了しました。

さあ、受験に向けて勉強しなければなりません。

あるとき、息子は東大合格のための戦略を話してくれました。

「試験は2月。僕は今まで勉強してこなかったから、

高得点で合格するのは無理だと思う。

しかし合格するには高得点である必要がなく、

ボーダーより少し上でいいんよ。

そのためにあと100点あげないといけない。

5回の模試で20点ずつあげていくと合格できるよ。」

私は、小学校の時の勢力組織図を書いて自分の立ち位置を

認識していた息子を思い出しました。

私は、合格したい、頑張ろう!などと

感情だけで言っていてはダメなのだなぁと思いました。

たしかに、受験は本番で力が発揮できるための戦いなので、

戦いには戦略が必要なのです。

きっと息子の大好きな演劇もそうで、本番に最高の劇を見せるために

綿密な練習スケジュールがなされていることでしょう。

そう考えてみると、息子はいつもそれをもたらす仕組みの方に

興味があったように思います。

おもちゃの車が動く仕組み。

あんぱん10個入りの10という数字のしくみ。

最高の演劇を出せるしくみ。合格するしくみ。

私にとっては退屈な演劇ビデオを見ている息子に

聞いたことがあります。

何でそんなに演劇が好きなの?すると息子は答えました。

「仲間感かな。」

仲間感・・・。

小学校の時の一番の思い出、遅い自分を仲間が

待っていてくれた時のうれしさなのでしょう。

つまり根底に他者や物事の関係性への興味があります。

いつもいろいろなものをつなげて考える思考癖も

関係性を大切にしているからなのでしょうか?

息子が、東京大学が受験生にだしたアドミッションポリシーの一部に、

『高等学校段階までの学習で身に着けてほしいこと」との文を

紹介してくれました。

一部抜粋しますね。

国語は、「高等学校までの知識の習得は要求するが、

むしろそれ以上に、自らの体験に基づいた主体的な

国語の運用能力を重視します。」や社会の

「一見バラバラに見える事象は相互に関連している。

細部のにわたる知識の量ではなく、知識を関連付けて分析、

思考する能力を重視する。」や数学の「定理や公式の知識や

それを用いて問題を解く技法に習熟していることとは違い、

求められるのは目の前の問題から見かけ上の枝葉を取り払って

数理としての本質を抽出する力、わなわち数学的読解力が求められる」

などのように、机上の勉強だけでは決して培われることのない

本質的な理解の要求をちゃんと明文化しているのです。

こう見ると息子のやってきたことは、

この大学のポリシーに合いそうです。

つまり一つの点を暗記するのではなく、

点と点との関係性に注目すれば、

その直線上の点も理解できるというわけです。

ほうほう、なかなか効率よいやり方ではないでしょうか?

そのうまいやり方を息子は体験から学び取り、

味をしめ、大学受験にも応用しようとしたのでしょう。

息子は戦略通り、確実に20点ずつ模試の結果を上げていきました。

 

息子が高3の9月半ば、ありえないことが起こりました。

現実はキビシ~。

なんと夫が勤めてた会社が倒産しました。

ひぇ~、マジで?

そのとき息子が言いました。

「親が倒産しようが、地震が来ようが、

放射能が危なかろうが、そんなことは一切関係ない。

自分は現役で東大に行く。落ちたら大学へは行かない。」

息子にとれば、合格するしくみ探求の真っ只中、

自分の理論の裏付け中です。

そんな外的要因で、その面白い実験を止めるわけにはいきません。

 

高3の12月、高校で3者面談がありました。

「難関大に合格した場合、燃え尽きる場合もあるようだから

気をつけなさいという先生に息子は言いました。

「僕にとって受験は通過点にすぎません。

大学に行って勉強することが真の目的です。」

私は内心よく言ったと褒めてあげたかったです。

次に先生は私にこう言いました。

「お母さん、東大というところはですね、

足きりという制度があってですね、

センター試験もおろそかにはできないんですよ。」

すると息子はすかさず、

「大丈夫です。母は身をもって知っていますから。」

と言って私の方を見てニカッと笑いました。

ユーモアも忘れません。

つづく

 

 

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