春が来ることを信じて
御 教 歌
一年の くるるなげきに 引きかへて
春にちかづく よろこびもあり
生きていけば嘆き悲しむ日も多くあるが、厳しい冬から春に近づく時のような「待つ喜び」もある。
このようにお詠みの御教歌です。
ここでいう一年(ひととせ)は、人の生涯と置き換えてあります。
人の生涯において、嬉しいことも楽しいこともあれば、辛く苦しいことも起こってきます。
嬉しい・楽しい時は、一時のやすらぎのように感じますが、辛く苦しい時は、やけに長く感じるものです。
時には、もう笑える日なんて来ないんじゃないだろうか?とさえ思う時もあります。
けれども、冬が過ぎれば春が訪れてくるように、辛く苦しい日の後には笑って暮らせる日が来るものです。
それぞれの春が、人それぞれに訪れます。
たとえば、病気で苦しんでいる人の中でも、長年寝たきりの人もいれば、入院生活している人もいます。
「もう春なんて来ないんじゃないだろうか・・・」と思う日だってあるかもしれませんが、必ず春は来るものです。
「どこに春が来るのか?」・・・それは、それぞれの心の中に訪れるものです。
周囲の人の温かい言葉が妙に温かく、頑張れる気持ちになれたりします。
そのように、厳しい冬の後には必ず春が来ることを信じ、そして待ちわびたいものです。
何も病気だけのことではありません。
人間生きていけば、辛く苦しいことだらけなのかもしれません。
けれども、何時か人生の春が来ることを信じて、今の困難を乗り越えていきたいものです。
必ずや、厳しい冬の後には穏やかな春が訪れることを信じて・・・
そのことを仰せいただいた御教歌です。