2011-02-15

トーキョーの雪

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

雪の日の玄関は

きん、と冷たく湿っている。


覚悟、みたいな

勢いをつけて

しまっておいた長靴をだした。


腕を大きくひろげ

バランスをとって

ひんやりとした靴の中に

両脚をそっといれてみると


なんだか

あの人の抱擁みたいに

ゆるすぎて

ずいぶん心もとない。


ドアの外は雪。


冷え切ったノブを回し

目を細めながら

まぶしい世界に踏み出した。


降ってくる雪が見たいから

安い透明のビニール傘をさす。


あしあと

あしあと

あしあと


いったりきたり

ぐるぐるぐるぐる

楽しいけれど

家の前から離れられない。


だって


この赤い長靴は

あの人がどこからか

買ってきたものだ。


こんな日は

想いがよみがえって

あの人がどこからか

戻ってくるような気がする。


あたたかい飲み物を

ただ一緒に飲むために。




久しぶりに東京に雪が降りました。


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2010-12-22

クリスマスデコレーション

テーマ:オ・ネ・ガ・イ


ひより軒・恋愛茶漬け-snowman2010


ちかちかと

光り続けるのは


願いをかなえる星のように

あなたを照らしたいから。


ありがとうなんて

言わないで。


急ぐあなたの足を止めて

あの人への嫉妬をごまかして


まだわたしの声が

ほんの少し

届くことを喜んでいる。


飾られる。

褒められる。


たとえ他の誰と同じに見えても


捨てられる。


季節のせいに

できるぶんだけ

あなたの負担には

ならないから


今夜は

ただ無邪気に

はしゃぐことを許してください。


微笑んで。

笑わないで。




クリスマスは

仕事が忙しくて大変です。

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2010-12-05

薄氷

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

兄のいなくなった日

庭の池に薄氷が張った。


ありきたりな景色は

白濁した膜で覆われ

美しく閉じ込められた。


けして

肌を焼かなかった兄の

白い手。


その冷たい手のひらで

両頬にそっと触れられ

瞳を覗き込まれると


誰もが

彼の言いなりになった。


たくさんの女の人と

たくさんの男の人が

兄の楽しみのために動く。


 愛が一番有効な手段だ。


それを知っていたわたしは

彼の白い手から

逃れることができたのだ。


そんなことをしたら

愛するよりも憎むと叫んで。


 憎しみのサンプルなら

 もう、他にいる。


兄の呟きが落ちた池の

薄い氷の奥を覗き込むと

彼によく似た誰かが

こちらに微笑んでいる。


何かに憑かれたような

うつろな目で。






最近

支配について考えます。


愛情を放棄しても

支配力を求める人って

なんだろうって。



11月は小説教室で

中島京子さんにお会いしました。


編集者の客観的な目と

作家の目の

両方を持っている方でした。


その二つで

自分自身の作品を見れることは

強力な武器だと思います。


きっと良いことばかりでは

ないのだと思いますが

ちょっと感動しました。




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2010-02-05

パパゲーナ

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

バレンタインの

サプライズなんて

待てない。


「僕に

チョコレートは」って

ストレートにねだる。


いつもちょっと

意地悪なあなたは

あきれたような顔で。


  くる? 


  え?


夜の街をぬけ

人ごみをぬけ

振り返らない

あなたを追った。


知らない裏道。

うすぐらい街灯。


たどりついたバーの

重い扉を開けると

あなたは親しげに

カウンターへと進んでいく。


  いい?


  うん。


マスターと笑って

カウンターの中で

袖をまくる

あなたをみた。


チョコリキュール

生クリーム

そして僕の知らないブランデー


あなたの細い腕が

シェイクをすると

グラスの中に

カフェオレ色の


  パパゲーナ。


  何?


甘くて強い

大人の味。


僕は

無邪気に笑うのをやめて

静かな

マスターを横目でうかがう。








バーテンダーの友人に教わった

パパゲーナを

今年のバレンタインは

贈りたいと思います。



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2009-12-26

帰省までに

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

あなたから

とどく手紙に

言葉はない。


思い出したように舞い込む

薄い水色の封筒には


切り取られた街の

風景写真が

何枚か入っている。


同じ季節の

知らない街の


遠くにある

あなたの視線を

たどり


並べる。


言葉に代わるものを。


思う。


そこに写っていないものを。


解読する。


伝えたかったはずの

淋しさと

乾き


あなたの甘えを。






2009年も

もうすぐ終わりです。


たくさんの方が応援してくださって

幸せです。本当に。


来年もよろしく。

よいお年を。





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2009-07-10

ヘッドフォン

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

待ち合わせまで 8分。

あなたを見ていた。


ガードレールに座って

長い手を腿において

人の多い交差点を

眺めているあなたを。


つま先で刻むリズム。


あなたを閉じて

しっかりと掴んでいるのは

両耳を覆う

銀のヘッドフォンだ。


美しい横顔。


唇は言葉のかたちに

動いている。


叫びたい。


ここから叫んで

あなたを呼びたい。


きっと聞こえないから

きっと振りむかないから


いままで

したことのない

呼び捨てで

あなたを呼びたい。


思う、だけ。


思うだけなのに

あなたはいつも顔を向ける。


わたしの方を

まっすぐに見る。


待ち合わせまで2分。


横断歩道を渡り

座ったままのあなたに

駆けよると


わたしは

もどかしい気持ちで

あなたの

ヘッドフォンをはずす。


ぬれた耳のかたち。

汗のにおい。


今したいことは

絶対に

言葉にできない。


だから

思う、だけ。


思うだけなのに


あなたは

わたしの顔を覗き込んで

笑いながら


突然

「いいよ」って言うんだね。





何でわかるの?

ということが時々あるのは

わたしがわかりやすいから、なのかな。








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2009-02-06

毛糸の。バレンタインに。

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

けばけばの

てざわり。


ふかいな

かいかん。


あなたに贈る
チョコレート色の

ながい

まふらあを


けあしのながい

毛糸で

あむ。


しなる

ほそい

あみぼう。


なみが

うちよせるときみたいに


おもてとうら

おなじリズムで

なんどもくりかえして


おもいは

ひらっべたい

かっこうに

なっていく。


いん。

あうと。


こきゅうみたいに。


かさなる

ひだ。


ひとり

ふたやくの

しばいのせりふは


ほかにだれもいない

へやのなかで

しずかに

そっと

やりとりされる。


バレンタインに


こくはくのひに


チョコレート色の

まふらあを


わたしは


わらいながら


ふんわりと

あなたの

くびに

まきつける。


あかるくも

くらくもない


ふくざつにからんだ


かすかに

ちくちくする

この

おもいを。





もうすぐバレンタイン。


チョコレート色のセーターを

編んだこともありました。


編み物には

やはり


いろいろな

思いが

こめられているように思います。



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2008-11-14

ネクタイ

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

やさしさに

においのある

ひとだった。


そう

こんなふうに。


見慣れない

スーツの

上着を脱ぐと


白いシャツ

ストライプのネクタイ


ひさしぶりの

えがおが

まぶしくて


なんだか

照れる。


恋人でも

ないのに、ね。


向かい合って

普通の

挨拶なんかなしで


こんなに長く

会わなくても

わたしたちの時間は

すぐ繋がって


ゆっくりと動き出す。


きっと

恋人にはならない。

なにもかも

さらしているから。


もっと

深いなにか


もっと

強いなにかで


わたしたちは

引き合っている。


たぶん


お互いの物語の

もっとも必要な

欠かせない

脇役として。


ずっと。








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2008-06-07

包帯

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

   
 包帯


あなたの巻いてくれた

白い包帯は

もう

こんなに汚れてしまった。


ただ毎日を

普通に

生きているだけで。


見えなくても

ここに

傷はあって


あなたの

あたたかい手当てのせいで


ここに

傷があることが

誰からも

遠くからもはっきりと見える。


そうして

思い出してくれるんだね。


わたしを

わたしに優しくすることを

あなたが

忘れないように


自分では

忘れたい痛みを

きょうもさらしながら


乾いた傷口を絞って

赤い血を流して


立ち尽くしている。


弱弱しい笑顔で。





原宿に

「シャネル・モバイル・アート」を

観に行きました。


アラーキーの出品がどうしても観たくて。


良かった。

エロくてカッコよすぎて。


まだ写真を初めてなかった頃

歌舞伎町の入り口で

すれ違ったことがありました。


今なら、絶対に声をかけるでしょう。


いつか、会えますように!


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2008-04-11

メモ

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

  
   しろくまめも
 


そのひとは

言葉を

手紙に書かない。


小さなメモに

小さな文字で

びっしりと

書き付ける。


余白はなくて

段落もなくて

いまわしい

呪文みたいで。


言葉を


わたしに

伝えることが

目的ではない、のだろう。


その証拠に

小さなメモは

角をそろえてたたまれる。


何度も


さらに小さく。


何度も


さらに小さく。


狭いわたしの

中に

収まるくらいに


何度も。


わたしの中で

溶けて

しまうくらいに


さらに。


わたしは

それが欲しい。


飲み下せなくて

苦しくて

目に

涙が浮かぶとしても


大きく

開いて

待っている。


表情をなくした

そのひとのことばを

わたしの声で

再生して


彼女のかけた

呪文を

解く

ために。

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