モトカレ | ひより軒・恋愛茶漬け

モトカレ

   

   お台場 夕焼け 夕暮れ
   

もう

2どと

見ることはない


と思った景色。


となりには

あなたがいて。


秋の海のゆらぎ。


ささやきの延長の

自然な沈黙。


並んで座るふたりの

微妙な距離が

別々の時間の

長さをしめす。


変わらないね、というあなたに

あなたも、と返す嘘が


どこか

負け惜しみのように響く。


あのころ

いつもいらだって


誰かを否定することだけで

いきていた人。


そんなあなたが

今は

やさしく微笑んで

遠い空を眺めている。


あなたを変えた

彼女は

どんなひとなんだろう。


わたしにも

新しい人がいて


だから


もう

忘れてたはずのあなたの

きにならないはずのあなたの


きいたことのない

穏やかな

包み込むような声に


わけもなく嫉妬する。


夕暮れ。