2006-05-25

関係

テーマ:あなたが教えてくれたこと


白バラ


けして

服従ではなかった。


何も持たないわたしは

持たないことで弱く

持たないことで強かった。


無垢なこども。


あなたから

知識とともに学んだ

知性あるヒトの

表情の奥の複雑な感情。


さわる。

そして

反応をみる。


いつも

心を砕くのは

観察するための距離。

お互いを読み取るための。


尊敬でも

感謝でもない。


あなたが本当に欲しいのは

あなた自身を

作ったときの喜び。


心も

体も

できあがっていくときの。


だから


あなたが

あの人にしたように

わたしはあなたに

逆らわなければならない。


あなたから

永遠に去ると言って

あなたを

足元にひざまずかせる。


両手で顔を覆って

涙をながすあなたを

今度はわたしが

静かに見下ろして


諭すときの口調で

ゆっくりと

話しはじめる。





一昨日、渋谷の映画館で

「アンリ・カルティエ=ブレッソン瞬間の記憶」を

見ました。


20世紀を代表する写真家で

2004年に95歳で亡くなった彼が

93歳の時、自分の写真について語った

ドキュメンタリー・フィルムです。


彼の写真は当然ですが

彼の無邪気な仕草も素敵でした。


そして

観察することと

対象との適切な距離をはかることの

大切さを改めて感じました。


人との距離のとりかたを

わたしは誰に教わったのかな。


そんなことを考えながら書きました。



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2006-05-18

テーマ:大切なモノ

      花菖蒲


雨の季節が始まる頃

わたしたちは別れた。

そんなふうに思い出を

季節とともに刻んでしまうのが

幼い頃からの私の癖だった。

朝から

細く切れ間なく

降りつづける雨。

二人の間には

すでに

一つの傘に入るのを

ためらうだけの距離があった。

ごめんね、と。

ごめんなさい、と。

とくに深く考えずに謝りあった。

雨の匂いのせいかな。

背の高いあなたの

泣き出しそうな笑顔が

濃い緑の傘を背景にして

そこにあった。

わたしはどんな顔をして

あなたを見上げていたのだろう。

あの頃お気に入りだった

花柄の傘の柄を

両手で強く握りしめながら

意地になって

あなたの顔から

目をそらさなかったのを覚えている。

泣いても良かったなと思う。

あのあと

あんなに泣いたことを思えば

あのとき

少しは泣いても良かったと思う。

あなたの大きな手が

わたしの頭の上に置かれ

そっとやさしく髪をなでたとき

本当はあのときにこそ

泣けばよかったのに

わたしはあなたが

キスをしてくれるんじゃないかと

まだ、そんなふうに考えていた。

のばしたあなたの腕に

雨の雫がかかり

あなたは服で濡れた腕をぬぐうと

もうそれからわたしには

いっさい手を触れなかった。

じゃあね、と

あなたが言って

元気でね、と

返事をする。

なぜか

そうするしかなくて。

もしもし。

もしもし。

雨の匂いまで。

長い時間をかけて忘れたはずの場面が

一瞬でよみがえる。

ぼくだよ。

反応をうかがうような

あなたの声を聞きながら

記憶の中で

最初に失われるのは

きっと声なんだと考えていた。

そうでなければ

耐えられたはずがない。

こんなに低く優しい声に

撫でられる心地よさを

永遠に失ってしまうことに。

おぼえてる?

返事ができない。

ひより?

柔らかな懐かしい抑揚。

涙が。

涙が次から次へとあふれ

わたしは

泣声をかくすために

指を噛んで息をころす。

切らないで。

そう言葉にはださずに

もう一度わたしの名前が

あなたの声で

呼ばれるのを待って

耳をすまして。





昔の恋人や友人を

思い浮かべる時に思うのですが

情景を思い出しても

どうしてもなかなか声が

思い出せないんですよね。


それなのに

突然の電話などで

懐かしいヒトの声を聞くと

すぐにその人の顔が浮かんできます。


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2006-05-10

目隠し

テーマ:大切なモノ

      緑硝子



柔らかなシフォンのスカーフを

細く

折りたたんで渡せば


鉢巻を巻くように

手前から後へと

頭に回して

あなたは

あなた自身の目を覆う。


鬼さん。こちら。

手の鳴る方へ。


あの

子供の日の夏。


放課後の校庭で

級友たちと

何度も

「目隠し鬼」をして遊んだ。


じゃんけんに弱いあなたは

たいてい鬼で

リレー用のタスキで

目隠しをすると


鬼さん、こちら。

手の鳴る方へ。


たよりなく

手を前に伸ばし

音だけを頼りに

不安定な一歩を踏み出してみる。


強い日差し。の下で。


はやしたてる

友だちの喉の白さ。

明るく響く拍手。のリズム。


どうして

あなたが

取り囲む音の中から


わたしの声を聞き分けるのか

それがずっと不思議だった。


まっすぐわたしに向かう

鬼のあなたに向かう

わたしの奥の

あたたかい感情。


汗ばんだタスキは

いつも

わたしに手渡され。


ここで


あなたは

あの頃のように

両目をスカーフで覆い


ようやくわたしは

あなたの知らないわたしを

開こうとしている。


まずは

あなたのむかいの

椅子に腰かけ


うすくまとわりつく

ストッキングから

ゆっくりと

外しはじめる。






子どもの頃

鬼ごっこで鬼に狙われる子が

少し

羨ましかったです。
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2006-05-03

痛み

テーマ:開かれたマド


刺のある花なら

バラよりも

アザミがいい。


アザミの方が

罪がないから。


あなたの言葉を

思い出しながら


閉じられた

窓の向こうの

雨の音を聞いた。


それくらい

静かな行為。


赤いバラは

握りつぶされ

シーツの上に

鮮やかに広がり


花びらは

僕とあなたの汗で

湿った肌に

はりついて


やわらかく香る。


あなたは

けして

声をもらさず


かすれた

僕の言葉は必ず


あなたの細い指が

僕の唇に触れることで

そっと

さえぎられる。


見上げる

あなたの瞳。


上から覗き込めば

泣きつかれた人のようで

静かに乾いて

明るく澄んでいる。


過ぎていく時間。

息づかいだけの。


かすかに開いた唇から

小さな言葉ひとつ

もれなくても


あなたが

僕を

憎んでいることくらい


あなたよりも

ずっと若い

僕にでもわかる。


これは

復讐なんだよね。

僕が知らない

誰かへの。


雨音。

雨音。


僕は

あなたのかわりに

泣くかもしれない。


たぶん


あなたを

満たす、ために。



アザミの花言葉は復讐だそうです。


日は次男の家庭訪問だったので

家中大掃除しました。

読んでいない本もあちこちで発見。

ゴールデンウィークに読もうかなぁ。


とは言っても

今日は

ゴールデンウィークだけど仕事です。


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