2005-10-30

その秋は

テーマ:開かれたマド

秋雨



その秋は

週末ごとに

雨がふった。


久しぶりに訪ねる

あなたの部屋は

弱い雨の音に満たされていて


わたしは無理に

あなたの膝の上に座って

たいせつな仕事のじゃまをする。


そう

そんなふうに笑いながら

やさしく

たしなめられるのが好き。


手のかかる子供。


そんなふうに

愛されたいと思うのは

「自由」が苦手な

臆病な方のわたしだ。


それでいいよ、と

もしくは

それではだめだよ、と

どこかで見守られ


ようやく

わたしは

温まる。


ずっと

むかしから


敵意のない世界の中にいて

どうして

わたしはこんなに

不安なのだろう。


近くの公園の

濡れた土の匂いが

細く開いた窓をくぐって

入ってくる。


幾重にも重なる落ち葉の

微妙なグラデェーション。

かすかに感じる

ゆるやかな発酵。


雨が


淡い光で

何もかもを

覆うから


わたし自身も


はじめて

親密に

世界に受け入れられる。


連続する

同じ色調で


わたし自身も


誰かの記憶の

もっとも美しいシーンのように

つながっている。


世界と。


こみ上げる安堵感に

こぼれるわたしの涙を

黙って見つめる

あなたの表情までが


やさしく

あわく

煙る。




雨の日が好きです。

雨の中を歩くのが好きです。

先日、

映画「私の頭の中のけしごむ」を見ました。

俳優さん達はとても魅力的。

泣かせるシーンでは

やはり泣かされてしまったのですが

ちょっとストーリーが

強引過ぎるような気が…。

友人によると

そんなツッコミどころがあるのも

韓流映画の良いところらしいのですが。


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2005-10-22

秋夜

テーマ:シアワセのかたち


お夕飯のあとで

お茶碗をかちゃかちゃと洗っていると

あなたが誘う。


「散歩しない?」


お勝手の窓から外を覗くと

朝からの細い雨がようやく上がり

庭の濃い空気の中で

すっきりと半月が光っていた。


ふりむくと何の返事もしないうちに

あなたはもう上着をひっかけて

玄関で鼻歌をうたいながら

手持ち無沙汰に立っている。


わかったから。

少しだけまって。


洗い物で濡れた手を急いで拭いて

箪笥の引出しから木綿の靴下をとり出すと

上着のポケットに手をつっこんだままの

あなたにむかって投げつける。


ほら

あんなに

秋の虫がないている。

裸足じゃ風邪をひいちゃうよ。


子供のように頼んでも

今日は履かせてなんかあげない。

夜の風がときやすいように

わたしも髪を下ろしたいから。


かるく身支度をととのえて

あなたを追って玄関をでると

あなたはもう道に出て

明るい街灯に照らされている。


「どこに行く?」


毎日のくらしの中で

聞きなれたはずのあなたの声が

冷たい夜気をふるわすように

少しひくく

少しひびく。


あなたの行きたいところを思う。

こんな雨上がりの夜は

眼下に通勤電車の見える

あの草深い丘の上にちがいない。


人目を憚るわけではないけど

ほころぶ顔を見られるのが恥ずかしいから

2つめの信号を越えてからやっと

私はあなたにぶら下がるように

その腕に指を絡ませる。


また別の鼻歌がはじまって

それは私の大好きな歌で

鼻歌を意地になってハモらせていると

いつのまにか揃えたように

ふたりの歩調があっている。


いま

この瞬間。

当たり前にある世界。


急に

その優しさが胸にせまって

泣きだしてしまわないように

あなたのあご越しに月を仰いで

下唇をそっと噛んだ。




秋の月は美しくて。

風はやさしくて。


急に長くなった「よる」を

どんなふうにして過ごしていますか。
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2005-10-15

手、を。つなぐ

テーマ:大切なモノ

噴水の前で


ひなたの

においのする場所で


きみの

やわらかな手のひらに

ぼくの

しめった手のひらをおしつける。


まず そっと

それから つよく。


あるきながらでも

わらいながらでも

はなれないように


きみ

と、 

ぼく

を、つなぐ。


ひとさしゆびと ひとさしゆび

なかゆびと なかゆび

くすりゆびと くすりゆび

こゆびと こゆび

を、しっかりとからませて。


なぜか


ひんやりとした

きみの体温を

ひっしできおくする

ぼくのせいしん。


だって

もう

こんなに


あせばんだ

はだが

ぺたりと

みっちゃくしているから。


かたをならべ

しせんはとおく


おそるおそる

のばした先端でだけ

とけあう

ふたりのおんど。


同化する

ふたつの。いしき。


あっとうてきな

こうふく感がおしよせ

ぼくは

ぼくじしんをまひさせる。


ながい

うたたねのような

あいまいな

じかん。


ほしくなかった

めざめのあとで


ぬれたはだの

こすれるおとも

ぬるりとした

かんしょくもなしに


うしなったきみを

きみの先端を

さがして


いったい

いつから


ぼくは

ひとり


にぎったこぶしを

かたくとじて

じぶんを

とじているんだろう。


ふかんぜんな

せかいのすべてに

なぐりかかりたい衝動を

おさえて。





ふたりで

つないでいたはずの手が

ひとりでは

にぎりこぶしに。


もう一度

開かなければ

セカイを

なでることすらできません。



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2005-10-08

秋桜 COSMOS

テーマ:オ・ネ・ガ・イ

    kosumosu2

ミンナと並んで

笑っていたけれど

私だけを

見てほしかった。


いつも

おくで


そっと

触れてほしくて

やわらかく

ひらいていた。


いつか

あなたに

選ばれたくて。


そらは

あんなに高い。


つま先立って

ふくらはぎの

しなやかなきんにくを

おもいきりのばして


ただ

あなたの視線を

つかもうとしていた。


おもいえがく

しふく。


じょうきする

はだ。


オトメの意味なんて

しらない。


じいしきと

おしつぶされそうな

ふあんとの

バランスをとるために


ゆれていた。


いつだって

ふるえていた。

まだ

みたことのない

あなたへの


きたいと

おびえで。





風に揺れるコスモス。

花言葉は乙女のまごころだそうです。



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2005-10-01

抱擁

テーマ:カナシイトキ

彼岸


あなたが望むなら

名前ぐらい

いくらでも呼んであげる。


でも

瞼は開けられないよ。


あなたの汗が

剃り残しのある

細いあごを伝って


私の眼の中に

ゆっくりと

落ちてくるから。


透明なしずく。


私だって

こんなに汗ばんで

よれたシーツが背中に

張り付いている。


そむけた顔の

首筋に

あなたの唇を

感じながら


これほど近く

触れ合っていても

何も確かめられないという

あなたの苛立ちが


ふたりを

セカイに対する

残酷な衝動へ

向かわせる。





セカイがいつでも優しいなんて嘘です。


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