2005-07-28

たび

テーマ:約束

 素足浜

 

ドキドキしながら待つのがイヤで

わざと時間に遅れていった。


家からずっと遠い駅。

朝のまだ早い時間。


通勤の大人たちの流れに

逆らって進んでいけば

そのホームから出る列車は

海へと向かっている。


 ふたりきりで。


白い麻のワンピースに

ベージュの日傘をさして

いつもの制服より

大人っぽく決めたつもり。


どうせ洋服のことなんか

あなたは1度も

誉めてくれたことがないけれど。


おおい。おおい。


あなたの

笑顔が見えた。


Tシャツとジーンズの

普段着のあなたに

かかとの高いサンダルで

転ばないように駆け寄ると


気合をいれたオシャレを

誉められるどころか

荷物が大きすぎる、と笑われる。


ほんの1泊、だけだよ。


でも。

はじめての。


改札口を通る

見知らぬ人たちにも

見つめられているようで

うつむいてしまう。


ほら、手。


子供のように手を引かれ

改札を抜け

特急列車に乗り込んで

2人掛けのシートに座った。


ほどいた手のひらが

汗ばんでいる。


窓際は

オマエがすわっていいよ。


あなたは。


動き出した景色に

はしゃいだ声をあげたり

私の作ったお弁当の中身ばかりを

気にしていたのに


鼓動のような列車の振動にあやされ

いつのまにか

私の肩に頭をあずけて

かすかな寝息をたてている。


まだ潮風は

届かない。


本当は重いけど

我慢してあげる、ね。


このまま。

あなたを寝かせたままで。


遠くに青く海が見えるまで。





宮古島に行ってきました。

東京の地震も台風も知らず

のんびりと過ごしてきました。

気持ちよかった…。


だから

海へ向かう旅の風景を、ちょっと書いてみました。

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2005-07-21

バニラアイス

テーマ:オモイデの輪郭

ひまわり


蝉の声をききながら

クーラーのない

あなたの部屋で


私の大好きなバニラアイス。


光る銀色のスプーンで

山盛りにすくったら


あなたに

見せびらかしてから

すばやく

唇に滑り込ませる。


誘惑に負けて

舌で押しつぶさないように

のどの奥に落とせば


その冷たく大きなかたまりが

喉元からおなかの中へ

ゆっくりと

私の内側をなぞっていく。


とけながら

こすられる

その冷たい感触。


今日は見ているだけ?


真夏の

蒸し暑い部屋のなかで

真冬の

冷え切ったあの日のことを思う。


たった半年前なのに。ね。


寒さにかじかんだ

あなたの手が

喉元から中心へ

ゆっくりと

私の外側をなぞっていった、日。


窓の外は粉雪で。


あれは

私の大好きなバニラアイス。

白い結晶が舞うのを

あなたの肩越しに眺めながら


あなたの感触を。


冷たい指の。


甘くとけながら。





アイスクリームはお好きですか?

私はシュークリームやケーキの方が好きなので

たまにアイスクリームを食べると

あの体の内側をこすられる感覚にいつも驚かされます。

それに口の周りがベタベタするのがちょっと苦手。


アイスクリームを食べていたら

ココロは冬に…なんて、アイスのCMみたい…。

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2005-07-13

君にさわりたい

テーマ:告白

「君にさわりたい」


久しぶりに帰る町は子どもの頃の

なつかしい夏の光の中にあった。

きらきらと輝いてぎらぎらと照り付けて

ここちよく僕を疲労させる。


ただいま。とうさん。

ただいま。かあさん。


まだ陽の高い午後。


畳の上に仰向けになって

首を振る扇風機に、ゆるくあたりながら

もう一度、君に会うための理由を

ぼんやりと考えていた。


降りしきる蝉の声が。

誰かが交わす、

暑いですねぇ、の挨拶が。


いつのまにか眠り込んで汗だくで目覚めると

もう、どうでもいいような

すっきりした気持ちになって

急な思い付きみたいなふりをして

君の家へ電話をかけた。


うん。うん。そう。

うん。わかった。


-君に会える。


待ち合わせは駅前のちいさな本屋。

こどもの頃から変わらない引き戸の店先に

大好きな回転するスチールの本棚が

記憶のままの形で置かれていた。


買う気のない幼児向け絵本を

くるくると回しながら

 くる。こない。

 くる。こない。

不安な気持ちで君を待つ。


原色の背表紙が回転して

 くる。くる。

 くる。くる。

不思議な色に混ざるのを眺めていた。


突然、後ろから

Tシャツの裾がひっぱられ。


あ、ひさしぶり。うん。

元気だった。うん。


名前を呼ぶのが恥ずかしいのは

おたがいさま。で。


もう、とっくに日は暮れている。


あてもなく川沿いの道を歩き出した。

幼かった君と僕の。

ふざけあった君と僕の。

学校への。かよった道。

その同じ道を

大人になった僕たちが歩く。

手探りの会話にくすぐられながら。


ずいぶん長い君の髪の

洗いたての甘い匂い。


ショートヘアーであごを上げて歩いていた

無邪気さの残るオンナノコは

風に髪を細くなびかせながら

優しい大人の横顔を隠している。


僕の隣で。


ほら遠く暗い道の先に

僕たちの高校が近づいてくる。


それでね。うん。

それでね。うん。

そう。そう。それから。ね。


暗い道。川音。


怖がりだった君に腕を貸すこともできずに

急に会話は途切れてしまう。


君の表情が見えない。


だから少しでも君を笑わせるために

かっこ悪い僕の秘密にしていた

始まらなかった恋の話をしたんだ。


それは、ずっと昔。昔。


ショートヘアーの勝気なオンナノコと。

幼なじみの気の弱いオトコノコの。昔。昔。はなし。


君は笑って聞いているはず。


それから、ようやく立ち止まる。

暗い道。川音。


まっすぐな君の髪に指を通して

そっと両頬を包むようにさわって

うつむく君の顔を

はじめて正面からじっと見つめる。


かわったね。     。


きれいになったね。    え?







夏休みっぽいものを書きたくなって

書いてみたら

こんなふうになりました。

…それにしても

ブログに全然アクセスできません。

泣きそうです。


私は

今月末、夏休みに入ったら数日だけ

例年通りに宮古島に行ってきます。


それがとても楽しみです。

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2005-07-06

初夏

テーマ:開かれたマド

    初夏・緑



空が青くって

雲が白くって

風が強くって


汗がにじむ。

そんな日。


うんざりなんかしたくない。


あなたにも。

自分にも。


色あせた壁紙になった

あなたを置いて

裸足で部屋を飛び出したけれど


道は

焼けて

こまかい破片だらけで


危険。だけど。

だから、そうしたかった。


いつもの自分で

いたくない日もある。


汗ばんだTシャツを

肌から引き剥がすように


時々は


着心地の悪くなった

自分をはがして

違う、自分に着替えたい。


どれが

本当、でも

嘘、でもなく


選ぶのは

私で


嘆くのは

あなたで


なげやりに。

イジワルに。

挑発的に。


君らしくない、という

あなたのコトバを

軽く笑い飛ばして。


―ショカ。




「君らしい」と言われる時は

誉められている時が多いから気にならないのに

「君らしくない」と言われる時は

非難されている時が多いから

「らしい、って何よぅ!これもワタシ!」と

反発してしまいます。


どんな「あなた」だって、あなたらしい。そう感じます。


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