2005-06-28

テーマ:あなたが教えてくれたこと

波2人


オトコはね、というのが

口癖の人だった。

はじめて

オトコの人のことを

教えてくれた人だった。


まだ泳ぐには冷たい海の

柔らかく

夕陽に染まった波打ち際の

振り返れば続く

2人の足跡の。


新調したワンピースは

あなたの好みどおり。

ストレートの髪は

胸までの長さ。


私はとても素直な生徒だった。


不安で。


寄せる波から逃げて

逃げる波を追って

はしゃいだ歓声を上げた。


転びそうになって

あなたにしがみつく。


オトコの人の

厚い胸板の

泣きたくなるような

日に焼けた肌の匂い。


 だけど。

不安で。


たぶん「かけひき」というコトバのせいだ。


潮風に乱される

私の髪を撫でながら

オトコはね、と

あなたは言った。


愛しすぎては、ダメなんだよ。

追いかけすぎては、ダメなんだよ。


 こんなにも好きなのに?


想いは深くしまいこんで。

 

私はとても素直な生徒だった。

あなたはとてもずるい先生だった。


波のように

2人のかけひきは

いつまでも

繰り返されるはずだったのに


不器用に逃げる私を

追いかけるはずの波は

気がつけば

もう二度と

私の脚を濡らさなかった。


そうして


オトコの人を

信じなくなった時

私は誰よりも

あなたの好きな

「かけひき」が上手になった。






「かけひき」が好きだという

オトコの人がいました。


その人がそういう時

私は黙って聞いていたけれど

心の奥では怒っていたんだと思います。


その人が本当に好きだったから。


怒って

必要以上に

その人を傷つけて


こんなものが欲しいの?と

声に出さずに聞いていたのかもしれません。


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2005-06-21

かわり

テーマ:カナシイトキ

不在


あなたのため

なんて嘘。


もういない

そのヒトが

そんなにも

大切なヒトなら


私が

その人になりたくて

なんでも真似た。


髪型も

しぐさも

言葉遣いも


せいいっぱい

背伸びをして。


「オマエって本当にバカだな。」


わかっていたはず。だよね。


そのヒトと同じ

香水をつけた日に

初めて私を抱いた

あなたには。


私への

あわれみなのか

そのヒトへの

追憶なのか

知らない。


とても丁寧なアイシカタだった。


「オマエがアイツの代わりになんかなれない。」


笑われるのも怒られるのも怖くて

ぎゅっと、つぶっていた目を

ベッドの上で

オソルオソル開くと


あなたは

笑っても怒ってもいなくて

ただ

声を殺して泣いていた。


小さく震える背中を

私にさらして。






あのヒトの愛している人になりたい。

その人を真似れば

私が愛してもらえるかも…なんて

単純なことを

未熟なココロで考えていたこともあります。


そんなことをすれば相手が傷つくことに

思いが至らなかったりするんですよね…。



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2005-06-13

紫陽花

テーマ:オモイデの輪郭

紫陽花

幼かったから

想いは

軽かったのだろうか。


「お兄ちゃんのお嫁さんになる。」


幼かったけど

願いは

確かにあった。


時々訪ねた

この優しく話すヒトのそばに

ずっといたいという願いが。


「紫陽花を見たい?」


お兄ちゃんとなら

なんだって見たいよ。


縁側から

サンダルを突っかけて

雨の庭におりると


手をつないだ

まだ小さい私が濡れないように


お兄ちゃんは腰をかがめて

一つしかない赤い傘を

そっと、

私の上にさしかけてくれる。


つま先を濡らして

庭の奥に導かれれば


大きな紫陽花が

明るい色を放ちながら

幾つも咲き誇っていた。


「きれいだね。」


雨は細く降り続いていて

お兄ちゃんと私は

そこにしゃがみこんで

赤い傘の下でピタリと寄り添って。


お母さん達のおしゃべりは

ずっと遠い。

もう聞こえない。


半袖から伸びた

汗ばんだ二の腕が

触れ合っている。


土の匂いが

緑の匂いと混ざる。


「お兄ちゃんのお嫁さんになりたい。」


足元の水溜りに目を落として

そう言うと


お兄ちゃんは

腰に下げた植木バサミをとって

ぱちんと

ピンクの紫陽花を切った。


両手で受け取る

ピンクのブーケ。


「本当のお嫁さんみたい。」


嬉しくて

微笑みながら見上げると

笑い返すお兄ちゃんの肌が

あまりにも白くて

ドキドキする。


幼くて


儚い(はかない)というコトバは

知らなかったけれど

消えゆくものの美しさは分かった。


そっと交わされた誓いのキス。


それから

お兄ちゃんは

会えないところへ行ってしまい


守られなかった誓いの記憶だけが

今年も

雨の景色の中で

鮮やかな花をつける。




雨の日の散歩が好きです。



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2005-06-08

あたらしい暮らし

テーマ:シアワセのかたち


       くらしとひざし

いってらっしゃい、のキスは

あなたをマンションの廊下に

送り出してから


私をふりかえる

スーツ姿の

その笑顔に向けて

おおげさに投げつける。


だれもいないのを

確認して。


見えないはずの

緩やかなカーブを描いて

飛んでいく


キスキスキス。


あなたはといえば

受けそこなったり

ありえない場所で受け取ったりと


お約束どおりのしぐさで

私を笑わせながら

エレベーターへと消えていく。


―イッテラッシャイ。


カチャリと玄関のドアを閉めても

暖かなキモチは

まだ笑顔となって

わたしに張り付いている。


言い出さないから

きっとシゴトのことだ。


ずっと寝たふりをしていたけれど

きのうの寝返りの多さで

あなたがあまり眠れなかったことを

知っているから


他愛のないやりとりが

あなたのキモチを

少しでも長く

暖めていますように。



明るい日差しに誘われ

ベランダに出る。


朝の空気はいつも

ぴかぴかで

きらきらで


風にはためく洗濯物の下

こぼれ落ちる日の光を

全身で吸い込んで


爪まで黒く汚しながら

丁寧に

あなたの靴を

磨こう。


こうして2人のものを

洗ったり

磨いたり




あたらしい暮らしの

あたらしい役目は

これから続く

日常の日々を



いつまでも くすまないように

洗ったり

磨いたり

していくことなのだろう。



朝の空気のように

ぴかぴかと

きらきらと


ココロまで。





sakiさんの新しい暮らしをお祝いして。


最近

天気のいい日は

ベランダで靴を磨くのが好きになりました




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