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2004-12-31

1月1日 はれ

テーマ:開かれたマド
「1月1日 はれ」

オトコは
1人で社宅の部屋にいた。
5年ぶりの日本の大晦日を
コタツに横になって過ごすことに決めると
テレビの音を低くして、ずっとつけたままにした。
テレビに出てくるタレントは知らない顔ばかりだったが
それなりに新鮮に思えた。
雑誌をパラパラ見て
面白そうな映画や本をチェックした。

窓の外には激しく雪が舞っている。
最近までの南の島での生活が、もうはるか遠くに思えた。
冷蔵庫には食べものが十分すぎるほどある。
すぐ正月ということもあって
おいしい日本酒も何銘柄か買い込んでいた。
そして知らないうちに、うとうとと
コタツで眠り込んでいた。
除夜の鐘の音に目を覚ますまで。


オンナは
1人で自分の部屋にいた。
大晦日はいつも実家で
両親と、同居する兄夫婦と一緒に
大掃除を手伝い夕食をご馳走になって終わる。
それから今、自分の部屋に帰ってきたところだった。
ラベンダーの香りのバスオイルをバスタブにいれ
熱い湯を注ぐ。
リビングにまで野原のような
おだやかな香りがこぼれてきた。

浴槽からあがると、もう雪はやんでいた。
テレビをつけると紅白歌合戦が終わって
赤組が勝ち、と司会者がさけんでいた。
濡れた髪を乾かしながら
ぼんやりテレビを見ていると
ゆく年くる年の各地の中継がはじまり
余韻の残る除夜の鐘の音を
スピーカーから聞いた。


オトコとオンナは
別々の部屋で
全く正反対の方角を向いたまま
同じテレビ映像を見ていた。
同じ除夜の鐘を無意識に数えながら。

映像が幾度か切り替わり
突然、2人に見覚えのある場所が映る。
それは2人が一緒に働いていた会社の近くにある
やや小さな神社だった。

オトコとオンナは
新年らしいことがしたくなる。
ソコに行くことを思い立つ。
場所はよく知っているし。
2人では参拝したことのない神社。
なんの思い出もない場所。
だから、なのか、なのに、なのか。
お互いのことを思いもせず
まったく違うことを考えながら
パジャマを脱いで
服を着替えて
コートを羽織って
別々の夜の道を
その神社に行くために2人は急いだ。

もう1度、出会うために。

まだ暗い参道の人ごみの中で
2人はもう1度出会う。
無視できないほど近くでお互いに気づく。

あっ。
えっ。
久しぶり。だね。
意外。こんなところで。
ひとりなの?
そう。ひとり?
うん。海外に行っているって聞いていたけど?
帰ってきたばかりなんだ。
でも。結婚したんだよね。
いろいろあって。別れちゃって。
そう。
そう。

オトコとオンナは思い出している。
途切れがちな会話を
当り障りなく、すべらせながら。
2人の中で思い出が猛スピードで
巻き戻され、再生され。
巻き戻され。
再生され。
人ごみに押され、肩をふれあって
ようやく最前列に並んで立つオトコとオンナ。
賽銭を投げ両手を合わせ
2人は同時に同じ願い事を
すばやく頭に思い浮かべる。

カミサマ アナタノ イトヲ オシエテ クダサイ。
コノ グウゼン ノ イミハ 

シアワセ ニ ツヅイテ イマスカ?

ざわざわした人ごみの中から
その時2人に届くのは
ぐずっている小さな子供と若い両親の声。

ぼくが抱いてるよ。肩車がいいか。
おなかが、すいたのかしらね。
食いしん坊なんだから。
誰かに似て。

夫婦の声にオトコとオンナの声が重なって聞こえる。
自分達でも気づかないほど
ほんの1瞬だけ
2人に浮かぶオトコとオンナの。未来の。
家族の。カット。

パンパンとカシワデ。

暖かいものに包まれながら
2人はまた並んで参道を引き返す。

「日の出を見に行かない?」

おわりが、はじまりに。

あたらしく
うごきはじめる。

そして

未来に続く時間を暖めあうために
オトコとオンナは
なつかしいお互いの名前を
呼び合うタイミングをさがす。

露店の灯りに柔らかく、てらされながら。

      - おわり -





さいごまでジタバタと…間に合いません。
お笑い見てました。歌合戦もちらちら見てました。
少し追加します。

***********************


年が明けました。
あけましておめでとうございます。

追加の文章が、遅くなってごめんなさい。
12月29日から実際の天気にそって
4日連続で話が続いています。

初詣、まだ暗いうちに行ってきました。
おみくじは「吉」でした。

今年も、いい年でありますように。
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2004-12-30

12月31日 ゆき

テーマ:開かれたマド
「12月31日 ゆき」

東京が白く覆われていく。
うすく。あわく。

昼前に目覚めると
世界があまりにも静かなのに気づいた。
カーテンを開けると
雪がくるくると風にゆられながら
次々と降りてくるのが見えた。

おとといの雨も、午前中には雪に変わったというのに
そのときワタシはベッドの中で
夢にかるくうなされていた。

もうずっと遠い昔を思い出させる夢。

ダマシタンジャナイ ユメヲ ミセテアゲタ ダケ。

新入社員のワタシが惹かれたのは
サイタイシャの上司だった。

大人に見えた。
彼の巧みさに逆らえなかった。
どんどん深みにはまっていった。
ぎりぎりのシアワセとフシアワセ。
心の何かが摩滅していくようなセイカツ。

4年間もそうしたレンアイが続き
何度も終わろうとしたのに
何度も引き止められ。

ユカ。
ボクガ ワカレ サセル。
ボクニ ツイテ クレバ キット。

ワタシの不倫を知って
煮え切らない私の手を
強く引いてくれたのは同僚のツヨシだった。
同じ部署のツヨシが
ワタシと恋人宣言をしたために
彼も黙ってワタシから遠ざかっていった。

キミノ タメ ト イウ ホシン。
ヒキョウ ナ オトコ。

ツヨシがいなかったら、
彼と別れる事はできなかったはず。
なのに。
ワタシはツヨシを心のどこかで
ずっと恨んでいたのだ。

激しくと頼んでおいて、その愛し方を嫌い
退屈さを隠さずにツヨシの動揺を眺めた。

アイツ ガ ワタシ ニ シタ ヨウニ。

「ごめん。」

何で謝らなかったのかな。
ワタシはツヨシに1度も謝らなかった。

1年後、
別れたはずの
不倫の彼と待ち合わせしているのを
見つかったときも。

別れ話をした夜の舗道で
ツヨシが
顔をあげたまま
静かに涙を流したときも。

そして泣きながら
「ユカを幸せにできなくて、ごめん。」と
ふるえる声で謝られたときも。


雪が降っている。

みんな昔のことだ。
不倫のオトコとも続かなかった。
すぐにワタシは他の会社に転職した。
ツヨシは結婚して海外に赴任したと
誰かに聞いた。

雪が降り続いている。

目覚めた時に消えていた、
おとといの雪は
思い出をワタシの夢の中に積もらせた。

やさしく降りつづける
今日の雪は
新しい期待をワタシの胸の中に積もらせていく。

新しいページのように
世界を白くかえて。

この1年の最後の日に。



    ― つづく ―




今年は私自身が、
とても変わった1年でした。
写真を撮りはじめ
ネットでの人とのコミュニケーションをはじめ
文章を書きはじめた1年。

たくさんのことを
たくさんの人に教えてもらったんです。
そして今日も
新しいことを誰かが教えてくれる。

1度も会ったことがないのに
とても近くに感じる人もたくさんいます。
励ましてくれる友人もいます。

どんなに感謝しても足りないくらい。

ありがとうございました。

これからも
私のココロのそばに、いてください。

           ひより

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2004-12-29

12月30日 はれ

テーマ:開かれたマド
「12月30日 はれ」


久しぶりの日本は寒い。
寒さがこたえた。

暖冬、暖冬と騒いでいたが
昨日は雨が雪に変わり
東京に初雪が降った。

気づかぬうちに体は
南の島の気候にすっかり慣れていたのだろう。
半月前、日本に帰国するなり
1週間も風邪で寝込んでしまった。

どうせ前任者からの仕事の引継ぎが済めば
年内は得意先に帰国の挨拶をするぐらいで
その分、気が楽だった。

昨日は仕事納め。
仕事が始まる4日までの5日間を
どう過ごすか考えながら
年末の人ごみの中、銀座の街を歩いた。

映画でも見ようか、と思ったのに
映画館の隣の喫茶店が目に付いて
何となく中に入ってしまう。

ここは別れた妻ヨウコと、よく待ち合わせた喫茶店だ。
知り合ったばかりの頃のヨウコは、
よく笑う健康的な女性だった

「ツヨシさん。海外赴任。もう決まったことなんですよね。」
「大丈夫。僕が約束するから。心配はいらないよ。」

ヤクソク スルッテ イッタ 。
デモ ナニヲ トハ イッテナイ。

海外赴任が決まってから
ヨウコと知り合った。

ヨウコが好きだし結婚したかったし彼女もオーケーで
仕事も順調で

ワスレタイコト モ アッテ。

あわただしく結婚し
あわただしく荷物をまとめ
南の島に2人で旅立った。

何の約束か分からない
僕の約束をたよりに
ついてきたヨウコを愛せると思っていた。

彼女はよく頑張ったと思う。
なれない土地で言葉もろくにできず
家事はお手伝いさんがいるので、することもなく
外出は雇いの運転手と車で行くしかない。

広い部屋の中、
いい景色だけを眺めて
僕を待つことしかなかった。

「ツヨシさん。私、子供が欲しいの。」

育児がしたい、という。
母親会に入りたい、という。
慣れない仕事と人間関係でクタクタの僕の気持ちと
ヨウコの追いつめられた気持ちは
どんどん擦れ違っていく。

「聞いて。聞いて。聞いて。聞いて。聞いて。」

結局、子供もできず
僕たちは3年で別れることになった。
仕事の都合で僕はそのまま2年現地で働き
ようやく東京本社勤務の辞令がおりた。

「ブレンドです。」
注文した珈琲が
懐かしい窓際の席に運ばれてきた。

香ばしい香りをかぎながら
そっと口をつけると
体が内側からゆっくりと温まっていく。

気持ちに少し余裕ができると
かつてココに座っていた
まだとても若く不安顔のヨウコを思い出す。

彼女への男としての後ろめたさに気をとられているうちに
楽しみにしていた
映画の上映時間は、もうとっくに過ぎていた。

          ― つづく ―





ツヨシ。バツイチで続きます。


昨日は東京に雪が降りました。
嬉しくて新しい雪用の長靴を履いてみました。
ぜんぜん積もってないのに…。

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2004-12-28

12月29日 あめ

テーマ:開かれたマド
「12月29日 あめ」

雨の音で目が覚めた。
冷たい朝の空気の中に起きだして
カーテンを開けなくちゃ、と思う。
そうすれば
大きな3Fの窓から
ベッドにいても
少しだけ空が見えるはずだから。

掛け布団を無理やり体に巻きつけて
窓までの、ほんの7歩の遠さに尻込みする。
着地したフローリングの冷たさに
爪先立ちで窓際までたどり着くと
ごそごそと布団から手を出して
さっとカーテンをまくった。

冬の雨が薄く視界をぼやけさせている。
凍えていたのに
かすかな雨音を飽きるまで
そこで聴いてしまう。
こんな日だ。
思い出がどこからか染み出してくるのは。

ユカ。
ボクガ アイツ ヲ ワスレ サセル。

ツヨシが叫んでいた。激しい雨音。
傘を落とすほど
強くつかまれた手首。の痛み。
抱きしめられても
お互いの肌の冷たさしか
感じなかったワタシ。

ユカ。ヤクソク スルカラ。
ボクガ。シアワセ ニ。 

とまどっていた。

どうしたらいいのだろう。
このツヨシの想いを。
ツヨシの思うシアワセは
たぶんワタシの思うシアワセとはちがう。のに。

ツメタイ ナ。
コンナ コト レイセイ ニ カンガエテ。
ワタシ ト イウ オンナ。

ツメタイ。

自分が信じられなかったから
何の約束もできなかった。
あの後も
ワタシはツヨシを
たしかもう1度だけ泣かせた。


休日の朝、
こんな風にツヨシを思い出すことが
最近は珍しくない。

もう5年も経っているのに。

自分の身勝手さが
恥ずかしく
自嘲的に笑いながら
ようやく
ワタシは暖かいベッドへともどった。

       -つづくー




今日は銀座のブックファーストに行きました。
今は家にたくさん読んでいない本があるので
立ち読みでガマン。

それと築地でお正月用品の下見。
ブラブラするだけでも活気があって楽しかった。
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2004-12-27

キス+

テーマ:オ・ネ・ガ・イ
「キス+」

かるく。
噛んでみないとわかりません。
わたしの。
くちびるの。
やわらかさ。

まず。
ぬらしてから。



今日は、短さに挑戦です。

(追記)23:59:59ってスゴイ!
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2004-12-26

マリーナの恋

テーマ:シアワセのかたち
「マリ―ナの恋」

あなたの隣に腰をおろすと
それだけで、あたたかい。

近くで見る
あなたの笑顔は
南の。私の。国の。
におい。

あなたは

私のヘタな日本語を
いつも優しく 直してくれる。

「タシカメル」 ト 
「タシナメル」 ノ チガイ ヲ
アナタニ タシカメル。

それから
私はお返しに

あなたのヘタな愛しかたを
少し優しく タシナメル。

正しい 愛しかたを
教えてあげるから
はやく
私で タシカメテ。





昨日コメントをくださった
両国の隠居さまのお話をヒントに書いてみました。
勝手にこんなことして、ごめんなさい。
良いお話だったので。


今日は家族でテニスに行きました。
もう実力では
すっかりチョーナンに負けています。
悔しい…。
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2004-12-25

初ケンカ

テーマ:カナシイトキ
「初ケンカ」

ヒロシとはじめてケンカした。

だけど、ひどい。
ぶつことないじゃない。

待ち合わせに遅れたのは
私がいけないけど

ヒロシだって
遅れることもあるし
お互い様だよ。

ちがう。かな?

だいたい
最近、ヒロシはおかしい。

デートのときの服だけじゃなくて
制服まで
スカートが短すぎるとか
上着がぴったりしすぎてるとか

アナタハ ワタシノ オトウサン?

少し息苦しいよ。
ヒロシのこと大好きだけど。

だから

昔、片思いだったテニス部の先輩と
今日、偶然に2人で
部室に残っちゃったとき

待ち合わせの時間が
過ぎているの分かっていたけど
携帯の着信サインも気がついたけど

なんとなく無視しちゃって。
話し込んじゃって。

言い訳かな。

それでも急いで
先輩より先に部室を出たんだよ。

そうしたら、げた箱のところに
ヒロシがいたからビックリした。

見たことないくらい怖い顔だったから
何にもいえなくて。

2人で黙って校門を出たとたん
誰かが見ていたかもしれないのに
ヒロシが私をぶった。
私の頬を。強く。

私にできたのは
悲しくなって
走って逃げることだけ。

熱い頬を押さえて
駅まで1度も振り返らずに
ただ走って逃げた。

悲しかった。

私をぶった直後の
ヒロシの澄んだ目に
涙がぐっと
盛り上がってくるのが
見えてしまったから。





今年のクリスマスは、
嬉しいことがイロイロありました。
たくさんの人に
ありがとうと言いたいです…!

今日は高校生の「ナオ」と「ヒロシ」の話を
シリーズ化、というわけではありませんが書いてみました。
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2004-12-24

オラトリオ

テーマ:コトバにできない
「オラトリオ」

クリスマス前に届いた
あなたからの小包みは
バッハのオラトリオのCD。

すこし前から
探していた。
毎年きく。
お気に入りの。

茶色の包み紙に
そっけない
手書きの文字。

去年、
一緒に暮らした
あなたの部屋に
置いてきたことさえ
すっかり
忘れていた。

メッセージのない
宛名だけの包みを見ても
あなたの顔が
思い出せない。

そんな自分に満足して
プレーヤーに
そっとCDをかける。

ボリュームは
しぼらない。

私は
「自由」という聴衆と
心躍らせながら
そのすばらしい第1部に耳を傾ける。



今日、以前もらった
写真に音楽をつけたりして編集するソフトの
体験版を発見!

クリスマスの今夜、
これでかなり遊べそうです。

楽しそう…。
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2004-12-23

メリークリスマス!

テーマ:シアワセのかたち
ひとりの願いが
ひとつの星になる。ヨル。

イヴ。

たくさんの星が 連なって
大きなメリーゴーランドが
ヒトビトの頭上で
ゆっくりと 美しく回転をする。

目を とじて。

あなたの願いが
祝福という色に
まぶしく輝きながら

大きな夜空を 
ぐるぐる ぐるぐる
回っているのが 見えるから。



メリークリスマス!
すてきな冬を。
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2004-12-22

空に憧れるヒトは。

テーマ:喪失

「空に憧れるヒトを」

空に憧れるヒトを
愛することは

ワタシを見ない
遠い視線を
追いかけること

けして
ぶら下がらないこと

けして
繋がらないこと

そして
その日がきたら

見ること
あのヒトの目になって

見おろすこと
悦びに震えながら
世界を
そのすみずみまで

彼の目を通して。

あのヒトが飛び去った
この場所に
とどまったまま

並んで見上げた
青く高い場所から
あのヒトが

下にいる

ワタシに気がつくように
力の限り
手を振ること。




今日はエア・メールでクリスマスカードが
届きました。

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