「予定通り仕入れられればいいんだけど」。養殖池を空けてシラスウナギの入荷を待つ宮崎県新富町の養殖業者は不安を口にした。この時期に仕入れたシラスウナギが夏の「土用の丑(うし)の日」に向けて出荷される。不漁続きで養殖業者の在庫が減って価格は年々高くなり、卸価格も昨年の倍ほどという。「消費者のウナギ離れが進むのが怖い」
宮崎県水産政策課によると、同県の2011年度のシラスウナギ漁獲量は2月8日現在で186キロ。同じ時比べると、豊漁の08年度は1.4トン。しかし、09年度は96キロ、10年度も307キロと不漁だった。不漁の原因は不明という。
一方、価格は1月20日の入札で1キロあたり222万円に。記録が残る1994年度以降の最高値は10年度の90万円だったが、1年で2.5倍ほどに跳ね上がった。シラスウナギは1キロで5千~6千匹ほどとされ、200万円なら1匹300円以上になる計算だ。小売価格にも跳ね返ってくるため、県の担当者は「この傾向が続けば、食卓への影響が出る」と心配する。
隣の鹿児島県も状況は同じだ。県水産振興課によると、1月末現在の漁獲量は121キロ。08~10年度はそれぞれ同時期で1.3トン、68キロ、226キロだった。
同県では業者が公定価格を決めて取引しているが、2月初めの価格は1キロあたり123万円と過去最高値を更新した。不漁時は入札の方が高値がつきやすく、鹿児島県で捕られたシラスウナギが不法に宮崎県で売られることも心配されているという。
日本養鰻(ようまん)漁業協同組合連合会(静岡市)によると、国内の養殖業者には毎年少なくとも20トンのシラスウナギが必要だが、2月上旬までの仕入れ量は国外産を含め8トンほど。09、10年度は同時期で9.6トン、11トンだった。「国内だけでなく、国外でも不漁が続いているのが原因」という。漁期が終わる4月までに確保できなければ、廃業も出そうだと危惧している。
福岡市博多区の老舗「吉塚うなぎ屋」の徳安憲一社長は「経験したことのない高値。異常事態だ」と話す。昨夏、仕入れ値が1キロ3千円前後に高騰し、かば焼きなどを1割値上げしたが、現在は1キロ4千円以上になり、今年も値上げは避けられないという。「全体に回す量がない。仕入れ先を確保していない店はお客さんが来てもウナギがない状態になる。食文化が消える可能性すらある」
水産庁は全国的な不漁を受け、15日に関係機関の専門家を交え、対策を話し合った
(朝日新聞)
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