スタート開場に付いた頃の天気は曇り。なんとか持ちこたえています、という、いつ雨が降ってきてもおかしくないような曇り空だった。

スタートまであと15分となっても人はまだやんややんやとあちらこちらに散らばっていて、これから十数時間にもわたって汗水たらして死ぬ気でゴールを目指すというような緊張感は全くない。自分も自分で全然緊張を感じることはなかった。

ウェットスーツを気ていたら、お願いもしていないのに、スタッフのおじさんの一人が後ろのチャックを閉めてくれた。独りで着ている身としてはこういう人の親切がとてもありがたく感じる。


スイム

スタート時間の数分前になると、選手がわらわらと海に入っていく。いわゆるフローティングスタートってやつらしく、スタート地点が海の中でそのラインを浮かんで待っていなければならないらしい。ウェットスーツはつけているものの、立ち泳ぎは得意じゃないので、ぎりぎりになってからスタート地点へ。


このときになって、またまた首筋のウェットスーツのチャックがあたる部分がすれて痛いことに気付く。ワセリン塗ったのにちょっと足りなかったらしい。前方を確認するとちょっと痛い。


そしてスタート。


いつもの通り、変に緊張して足をつらないようにゆっくりとはじめる。オフィスでバランスディスクに座るよう

になってからというもの、あまりスイムで足がつることはなくなったけれども念のため。

後ろのほうからスタートしたものの、出場者が多いせいか、接触も多い。やんわりかわし、人の少ないところを進む。コースが湾内ということもあり、波はそれほど強くなかった。


折り返し地点が見えたときは目の錯覚でブイが大きなアヒルのおもちゃが海に浮かんで見えた。そんな遊び心のある大会が一つくらいあってもいいんじゃなかろうか。

バイク

マイペースでスイム完了。あまり疲れはなかったが左太ももの上辺りが痛み、心配。
着替えの入ったバッグをゲットし、靴を履いた後にトイレへ、その後着替え、コンタクトをつける正味10分。コンタクトは付けて泳ぐかかなり悩んだが、普段通りが一番安全だろうと思い、度入りゴーグルにすることにしたのだ。塩っけのある指で椅子もない更衣室でコンタクトをつけるのはなかなか苦労した。
ゼリーを食べ、食料を背中に入れ出発。
食料のひとつに選んだのは虎巻きという長崎名物の和菓子。長さと太さが丁度良くポケットに収まり、あんこがぎっしり詰まっていて何よりうまく、補充に最適だった。



沿道には雨空にも関わらず応援の町の人達が一杯いた。こんなに熱く応援してくれる大会は今まで経験したことがないかもしれない。ボランティアの人たちも大変温かく、気持ち良く走れた。感謝。

10キロを過ぎたあたりで本日初めての登り。車で見たよりかは随分楽で拍子抜けする。いやいや、この先にきっと度肝を抜くような坂があるんだろう、と気を抜かずにすすむ。
ただ、左足太ももの状態はお世辞にもいいとは言えず、いつつってもおかしくなかった。当然本気で踏み込むこともできない。かえって体力温存になってよかったかもしれない。
だいたい平均25キロでいけばなんとかなるという計算で、まさしくなんとか25キロで進んでいるという状況だった。

そんな中、ぽつらぽつらと雨が降りだす。小雨で収まってくれないかなという思いとは裏腹に雨はトンネルをくぐるたびに強くなる。視界は悪いし、ブレーキは効かない。何より寒い!全く雨が降ることに対する備えはしておらず、半袖半ズボンのウェアで凍えるだけ。なんで自分は休みの日に好き好んでこんな辛い目にあってるんだろう、かなりネガティブな気持ちになった。

峠のようなものは二三箇所あった。前日だれかが、五島のバイクコースを制することができれば他のロングの大会なんて簡単なんてことをいっていたので、かなり覚悟して挑んだのだが拍子抜けするものだった。人によっては降りて登っていたけれども、それほどきつい登りでもない、10分もすれば登りきれただろうか。

にしても長かった。これまで幾度も180キロ近い距離を自転車で走ることはあったけれども、こんなに長く感じたことはない。やっと1/3、やっと100キロ、あと30キロ...。バイクが終わってもまだランがあることは考えず、とにかくバイクのゴールを目指した。
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金曜日
朝起きたのは5時半くらい。
ごはんを食べ、家を出て、羽田空港に到着し、荷物を預け、飛行機に乗り、長崎に到着し、バスに乗り、大波止で降り、雨の中港近くまで歩き、チャンポン屋で皿うどんとチャンポンを食べ、さてフェリーに乗ろう、と思ったらフェリーが欠航。



次のフェリーは4時代で、時間は4時間近くある。それに乗っても五島に到着するのは夜の8時、それからレンタカーを借りて、キャンプ場まで移動し、テントを張るのはちょっと骨がおれる。
そもそもキャンプ場での宿泊なので、キャンセル料が発生するのもたかだか1000円程度。翌朝8時のフェリーならばなんとか選手登録にも間に合う。ついでに長崎に一泊すれば観光もできるので、長崎で一泊することに早々に決め、スマホで港近くのホテルを予約。
ホテルに荷物を預け、雨の長崎を観光。平和記念公園と中華街、そして長崎美術館をめぐる。




長崎美術館では五島出身の映画美術家山本二三のエキシビジョンをしていた。ジブリの名作天空の城ラピュタも担当していたらしく、もちろんそれらの絵も展示されていた。テレビを通してみるそれでは欠落している鮮明さがそこにはあり、なかなか見ごたえのある絵だった。




夜はカーボローディングと称してラーメンと寿司をたらふく食べ、早々に寝る。酒は飲まなかった。




土曜日
翌日7時に起床し、フェリーへ。8時前に登場手続き。自転車をそのまま持ってきている人も何人かいた。そのままのせることもできるらしい。自分は輪行バックで手荷物として持ち込む。今回は同様の客が多かったため、普段優先席として利用している一室を荷物置き場として解放していた。
そこの席に座って出発。ちょうどテレビではあまちゃんがやっていて、あきが東京に出発する山場のシーンを見ず知らずの人たちと一緒に固唾を飲んでみる、というなんとも滑稽な状況だった。あながち、テレビの黎明期というのはこんな雰囲気だったのかもしれない。もうちょっと人と人とコミュニケーションをとっていたかもしれないけれども。
船は思いの外揺れた。昔は船酔いすることはなかったのに、年を追うごとに船に酔いやすくなり、この日もコーヒーを飲んだ直後に気分が悪くなる。横になれればよかったのだが、生憎座席に座っていたので横にもなれず、苦しい思いをした。自由席が雑魚寝席になっている理由がなんとなくわかった。

にしてもこの8時のフェリーであっても雑魚寝席は毛布が全部出払うほどの混雑だったのだ。前日4時間待って夕方の便に乗ったらこれ以上の混雑だったのだろう。



途中気分もよくなり、気になっていたカップラーメン型のどん兵衛を食べる。西なのに味は関東だしに近い感じだった。




五島に到着し、レンタカー屋が出迎えてくれた。その横で売っていた、しまとくという商品券を買う。5000円で6000円使えるらしい。レンタカー屋でも使えるというので2万円分買う。これで4000円のお得。

借りた車は電気自動車。割高な上に電気満タンで80キロほどしか走らない。しかも充電には30分近くもかかるという、なんとも不便な自動車だった。3日で18000円。高い。




港からキャンプ場までは車で20分ほどだった。管理人は片目が白内障かなんかで白く濁った目をした、なんとも雰囲気のあるおっさんだった。

キャンプ場には先客が1名のみ。結局その後2名ほど来ただけで、合計4組だった。宿泊場にあぶれた人間がこれだけ、というのは意外だった。



自分も当初はキャンプをするつもりはさらさらなく、大会が斡旋してくれた業者を通じて、屋根とお布団のあるお宿で寝るつもりだったのだが、申し込みが一足遅かったのか、会場近くの宿は既に満席で、車で数十分かかるところしか紹介できないと言われてしまった。ならば自力で探すと断ったのだが、結局どこも一杯で、唯一空いていたキャンプ場に泊まることになった。

キャンプにはなれているし、はじめてのオリンピックディスタンスだった、うつくしまトライアスロンもキャンプだったので、特に不安とも思っていなかった。

キャンプの設営を早々にした後、飯を調達しに出掛ける。小さな町でスーパーや肉屋があった。せっかくのキャンプなので、肉を買うことに。




ぶっちゃけトライアスロンの前日に肉を食べるのはどうかと自分でも思ったのだが。商品券が1000円単位でしか使えないがため、金額を調整しようとしたらついつい買いすぎて500g近く買い込んでしまった。
酒も飲みたいと思ったが、そこはぐっと我慢して、ノンアルコールビールに。

キャンプ場で炭を買い、火を起こし、肉を食らう。ちょうど空も晴れ、一瞬だけキャンプ気分だった。案の定肉は買いすぎで、食べきれなかった。



食べ終わってから近くの温泉へ。温泉とはいっても観光向けというよりも、完全に地元のおじいちゃんたちの憩いの場、というような感じ。昔祖父に連れられてこういう銭湯に連れてこられたのを思い出した。回りは老人ばかりで、なんだか、とても嫌な臭いが漂う、幼心に嫌だった記憶。

風呂の後に軽く自転車コースの下見。何せ車が最大70キロまでしか走れないので、さわりだけ。さわりだけ走った感触でも、結構アップダウンがあり、厳しそうだなと思う。本当に完走できるのかしら。私。

キャンプ場に戻り、近くの海で夕日を愛で、早々に寝る準備。9時にはもう寝ていたと思う。

虫の声は素敵だったのだが、それ以上に近くにボイラーのような装置があるのか、それがうるさかったので耳栓をして寝る。

翌朝、目が覚めて、耳栓をはずして驚いた。聞こえてくるのは雨音。天気予報曇りだったのに!

出発する準備を整え、歩いてスイム会場へと向かう。正味30分くらいだろうか。会場は既に人でごった返していた。

つづく。














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長崎国際トライアスロン完走

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自分でも信じられないことですが初めてのロングディスタンス完走しました。びっくらこ。
タイムは制限時間の15時間ぎりぎり。
雨に降られ最悪のコンディションでしたが怪我するこもなく完走です。
詳しいことはまた後日。
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