パネルDジャパン | 歴史エッセイ集「今昔玉手箱」

歴史エッセイ集「今昔玉手箱」

本格的歴史エンターテイメント・エッセイ集。深くて渋い歴史的エピソード満載!! 意外性のショットガン!!

「核兵器の使用は、実定国際法上、違法とまでは
言えない」 この発言は1994年12月8日
被爆者援護法案採決の参議院厚生委員会の席上、
村山富市首相の発言である。これはこれまでの
政府見解を踏襲したもので、現在も大幅な修正
がされたとは聞いていない。日本は核兵器の使用に
関してすごぉーく寛容な国なのである。

 もちろんこの発言の裏には、最大の核保有国
アメリカに対する「政治的・外交的配慮」とかいう
ものが透けて見える。日本には一応、非核三原則
というものがある。「早い・安い・美味い」・・・
じゃなくて、「つくらず・持たず・持ち込ませず」
これにはもう1原則あって、アメリカ艦船が持ち
込んだ核ミサイルに関しては「見て見ぬふりをする
事」。 マスコミも同様に「知っているのに知らない
素振り」をする事が暗黙の了解となっている。

 アメリカという国は、メディアを押さえて情報を
操作する事の重要性を認識している。原爆投下に関して
国内向けには、「1945年9月末までに、広島・長崎
において原爆の放射能で苦しんでいる人間はいない」
と科学者たちに発表させた。また日本のマスコミに対して
は「プレスコード」を設定し、印刷物をすべて検閲し、
日本占領軍米兵の暴行事件や、原爆に関する報道の一切
を禁止した。この為広島・長崎の残留放射能による惨状
は、日本人からも忘れられてゆく事になった。
 さらに1951(昭和26)年11月から、トルーマン
大統領指令による「パネルDジャパン」という対日心理戦
が実施された。日本のあらゆるメディアを使って、反米
感情を抑える事を目的にした、洗脳的情報操作である。
ジョンMアリソン駐日大使を委員長に、映画・テレビ・
ラジオ・出版等メディア制作の補助金の名目で約180
億円の予算が投入され、PSB(心理戦略評議委員会)が
その任務を担当した。
 この作戦の全貌を調べる事は難しい。そこで50~60
年代に日本国内で放送されたアメリカのテレビ番組を
調べてみた。

○1956年~名犬ラッシー/名犬リンチンチン/スーパーマン
 ハイウェーパトロール/ローンレンジャー/モーガン警部
 ガンスモーク/ローハイド/ポパイ/ディズニーランド
○1960年~ルート66/ベンケーシー/コンバット
 ウッドペッカー/トムとジェリー/ミステリーゾーン
 ラブミー牧場/ボナンザ/サンセット77/幌馬車隊
 アンタッチャブル/保安官ワイアットアープ/逃亡者
 0011ナポレオンソロ/かわいい魔女ジェニー
 奥様は魔女/スパイ大作戦/わんぱくフリッパー
 アンディ・ウイリアムズショー/ザ・モンキーズ
 サンダーバード(英)

60年代後半から、アメリカはベトナム戦争に突入し、日本
も高度経済成長時代に突入。このプロジェクトの仕事も
自然消滅してゆく。
 番組として、知っているもの、知らないもの、いろいろ
ある。だが改めてこうして並べてみて、これが情報操作の道具
だったのかと思うと、いかにもインチキ臭い番組ばかりだ。
正しい戦争ノ「コンバット」、正義を守る保安官。明るい家族
と賢い動物。
 確かにアメリカの懸命なる情報操作の成果もあって、日本人
の多くがアメリカ文化に憧れ、あるいは心酔していった。
原爆に関しては「暗いじゃん!!」の一言で処理された。

「てゆーか、わたしミッキーさん、好きだしぃー・・・」