1年前の6月9日
玲は1度退院しています。

この頃は、腎芽種のプロトコールに従って
治療していました。

まだ治療は残っていたけど、
抗がん剤の投与間隔の空く6月から
外来で治療しようと退院させてもらいました。

この日から3ヶ月間
2週に1回、外来に通って
抗がん剤の治療をしました。

この3ヶ月の間、
玲はとってもとっても元気でした。

ただ、まだ治療中で
免疫も低い状態だったし
腎臓を1つ取って間もなかったので
なるべく負担をかけないよう
汗をかかせない生活を心がけて
人混みを避け、
ほとんどどこにも連れて行かず
お家ですごしました。

8月末、最後の外来での抗がん剤を終え、
フォローアップ外来に移行する予定でした。

約半年の辛い抗がん剤と
放射線に耐えてくれた玲に

「玲がんばったから
  もうお薬しなくていんだよ!」

「もうずっとお家にいれるんだよ!」

そうたくさんたくさん言いました。

玲も「がんばったからだね!」
と誇らしげに喜んでいました。

それなのに、9月8日。
治療を終えてたった2週間後
最初の外来で
肝臓と肺に腫瘍が見つかりました。

このまま元気になると思っていたのに…
やっと普通の生活が戻ってくると
思っていたのに…

これから玲がどうなるのか。
玲の体で何が起きているのか。

不安と恐怖で
息が止まりそうな
そんな瞬間でした。

また治療が始まる…。
もっともっと強くて長い治療を
しなければいけない…。
どんなことをしても玲を助けなきゃ…。

そんなことをずっと考えていました。

そして、治療中とはいえ
元気に家にいれた3ヶ月、
もっといろんな所に連れていけたのに…。

こんなことになるなら我慢させずに
何でもさせてあげればよかった…。

そんな後悔だらけでした。


公園もプールも旅行も
玲はどれもやりたがったけど

「治療終わったら全部行けるから!」

そう言って全部我慢させました。


ときどき飲み薬を飲むのをグズったり
マスクを嫌がったりしたときには

「ちゃんとお薬飲まないと
   また入院しなきゃいけなくなるよー!」

「ちゃんとマスクつけないと
   また入院なっちゃうよー」

そう言って説得しました。


たまにグズることはあっても
玲はちゃんと飲み薬もマスクも
私の言うことを守ってくれたのに
入院することになってしまった。

治療が終わったら全部行けると
我慢させたのに、約束を果たせないまま
入院することになってしまった。

「もうお薬も入院しなくていいよ!」
「玲、元気になったんだよ!」

たくさんの嘘をついてしまった。
こんなことになるなら
言わなきゃよかった。

たくさんの後悔と
これからの不安で
胸が張り裂けそうでした。


その後始まる8ヶ月の治療中も
この後悔は消えることは
ありませんでした。

今でも

あの夏にディズニーに行ってれば
元気に走り回れたかな…

あの3ヶ月、大嫌いなカテーテルもない玲を
プールや温泉に連れて行ってればな…

そう思う場面は何度も何度もあります。


でも、あの時は治ると思っていたから。

ラブドイドと分かっていたら
あまりの予後の悪さに再発を覚悟して、
何でもさせていただろうけど…

あの時は絶対に治ると
大人になる玲を想像して
玲の未来を信じて
生活していたので

どれも、あのとき あの状況の玲を
最大限に想ってさせた我慢でした。

分かっていても
玲がいなくなった今となっては
あの3ヶ月が
元気な玲とお家にいれた
宝物のような日々でした。

今、日常に戻るに連れて
その3ヶ月のことを
思い出す場面がたくさんあります。

凛を学校に送り出して
帰ってくるまで
2人ですごした毎日が…。


朝、洗濯物をベランダで干す間
汗をかかないように
ベランダに面した寝室の
ベッドの上で遊びながら
ベランダの私におどけた顔で
手を振ってくれる玲。

プールができないので、
昼間お家のお風呂で
2人で水遊びをしたこと。

夕方涼しくなってから
玲はベビーカー、
凛は自転車でお散歩をしたこと。

自分で冷凍庫に大好きなアイスを
取りに行くとき、玲は必ず2つ取ってきて
何も言わず私に1つくれていたこと。

どの場面を思い出しても
私のことが大好きで
いつも笑顔だった玲が思い浮かびます。

あのとき、玲が病気になって
大変なオペに治療をして
充分、命の大切さや
当たり前のありがたさを
分かっていたつもりだったけど…

こんなことになるなら
もっともっとあの日々を噛み締めて
元気な玲を目に焼き付けて
過ごせばよかったと
思ってしまいます。

あの3ヶ月家にいた玲と
最後の1ヶ月家にいた玲が
状態も状況もかけ離れていて

家にいると、
元気な玲が思い出されたり
最後の1ヶ月の弱々しくなってしまった
玲が思い出されたり…

玲の影ばかり追ってしまいます。

他のことを考えていないと
涙が溢れる毎日です。

ただただ会いたくて。

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唯一、いくつかお出かけしたときの写真。
花火が大好きな玲に見せたくて
人混みを避けた橋から花火見ました。

来年は普通の子と同じように
出店にも行けますように。
そう思いながら撮った1枚。

玲は何回も何回も
「玲、またここ来たい!」
と言いました。

近所のスーパーやコンビニでさえ
「玲またここに来る!」
と必ず言っていました。

やっぱり何か分かっていたのかなー
って思ってしまいます。

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1年前、確かに玲はここにいました。


玲、今日もいい天気だね!
さやお洗濯物干すから
ベランダ覗いてよね。
今日も大好きだよー。