伊藤計劃project第二弾。
今回は完全に管理された思いやりのディストピアの世界。


かつて幸福を強いる社会を憎悪して逃避した3人の少女。
その一人、御冷ミァハは望み通り死に、「しくじった」2人は生き残る。

十数年後、螺旋監察官となり戦場の監視者となっていた霧慧トァンは
禁止された酒や煙草など「旧世界の遺物」を裏取引し、
本国日本への謹慎を言い渡される。
哀しみもなく苦しみもなく病も老いもない、いやな感情すら起こさせないよう
「watch me」という管理機械を埋め込まれ、すべてを管理された人々。
その息苦しい社会に連れ戻されたトァンは、かつて御冷ミァハとともに自殺を試みた零下堂キアンに再会する。

管理社会にすっかり順応したかに見えたキアンは、トァンとミァハへの思いを語り合うが、
キアンはその時、突然ナイフを首に突き刺し、命を絶つ。
同時期、多くの人々がキアンと同様自死を図っていた。

トァンはその事態の先に、御冷ミァハの気配と
人の意識をコントロールする「ハーモニー・プロジェクト」の存在を知る。


幸せとはどういう状態をいうのか?
人で無くならないと、人はすべて幸せにはならないのか?

原作は読んでいましたが、今回も考えさせられました。
極端な管理社会に順応して同一色となり、優しさと思いやりに満ち溢れたこの作品の日本。
マイナンバーが始まった今だからこそ新たに考えることも多かったですが…。
もしこの作品に描かれているほどに管理されるなら、
その事への恐怖や違和感は否定できない。
それでもいつか慣れてしまいそうな自分もいる。

でも、主人公たちが最後にたどり着いたのは
管理されることを嫌とすら感じることもできない世界。
自由も不自由も選ぶ必要もない、人が人でなくなる世界でした。

ミァハの選択はどの神様よりも優しいかもしれないです。
まさしく全人類を見捨てない。
しかし同時にどの神様よりも迷惑ですね。
逃がしてはくれないのだから。

幸福と不幸の分かれ目は選択肢もあると思います・・・。

アニメ作品としては。
御冷ミァハ役の上田麗奈さん、いい仕事してます。
ずっと静かなささやき声なんですが、不思議と感情のすきまに入り込んでくる感じ。
この声を聴くためにもう一度見てもいいかもしれないです。

あれ?洗脳されてる?

映像は美しかったですね。
ちょっと眼の描き方が平面で、せっかくの映像なのに奥行きがあまりなかったのが残念でしたが。

そして原作通りなのですが、映像で見ると思ったより百合がきつかった・・・。
とても少女的耽美世界でもありました。

ラスト、この物語の前史とされる「虐殺器官」ですが・・・


…公開延期だそうです。これが一番楽しみなのに・・・。


【伊藤計劃project 過去感想】
 屍者の帝国



人気ブログランキングへ

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村