屍者の帝国/河出書房新社
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死者の身体に技術的に魂を与え、労働力として使用することができるようになった社会。
大英帝国の医学博士、ジョン・ワトソンはウォルシンガム、M(マイクロトフ・ホームズ)とヴァン・ヘルシング教授の命を受けある特務につくことになる。

文字通り行ける屍である「屍者」を、生者のように動かし、また暴走をもさせる
新たな技術の存在がほのめかされた。
彼はある山へとたどりつく、そこはアレクセイ・カラマーゾフが率いる屍者の帝国で…。

ここまでストーリーを書いてみたところで、ご想像がつきますね。
あらゆる名作の登場人物や実在の人物が入り乱れ、
屍者蘇生の技術から人間の魂、もしくは意思の本質という「内側」へと広がっていきます。

なぜ生物のなかでヒトだけが「言葉」を持っているのか。
ここに出てくる仮説、あるいは結論には驚きました。

アクションあり、陰謀ありですが、本質は間違いなくSFです。
読みにくい文章のわけではないのですが、正直かなり時間がかかり、難しかったです。
ですがエピローグまで来て、感動と切なさがこみあげてきます。

ワトソンに付き従う屍者が、ロビンソン・クルーソーが英語を与えた人物と同じ「フライデー」なところも
著者の意図が感じられました。

亡くなった伊藤先生へ、物語を引き継いだ円城先生からのメッセージという方もおられましたが。
それもあったんだろうなと思います。





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