少女地獄 (角川文庫)/角川書店(角川グループパブリッシング)
¥540
Amazon.co.jp

狂気そのものな文章の名手、(と思います)夢野久作先生の作品です。
表題作はオムニバス3作品。
少女たちの作り出した、あるいは関わって出来上がってしまった「地獄」とも言うべき狂気。

虚構に生き、虚構に死ぬ。
愛に生き、愛に死ぬ。
復讐に生き、復讐に死ぬ。

3つのそれぞれの女性たちの狂気が強烈です。
このうち「何でもない」と「火星の女」が好きです。

「何でもない」は息を吐くように嘘をつく女性。
これが一番底知れない恐怖があります。
優秀な看護師である彼女のどうしようもない「癖」が彼女自身を追いつめます。

「火星の女」は長身と醜貌で周囲から嗤われてきた少女が、
立派な仁徳者と言われる校長の悪行を知り、悪行に巻き込まれ、命を懸けた復讐に至る。
夢野先生にしてはシンプルな話ですが、
「いけ!やれ!」と力んで読んでしまう楽しさがありました。怖いですが;
 
この独特の狂気、それこそクセになります・・・オホホホホホホ。

他「童貞」「煙を吐かぬ煙突」「女杭主」3編。
かく十数ページほどという短さですが、とことん濃い内容です。