虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)/伊藤 計劃
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後進諸国で突如起こり始めた大量虐殺事件。

その事件が起こる国には、必ず一人の人物が関係していた。
米軍の暗殺専門の部隊、クラヴィス・パーカーは謎の男、ジョン・ポールを追うが…。


命が紙の様にひきちぎられていくあまりにも理不尽な暴力の世界。

なぜ彼らは自国民を虐殺してしまったのか?


彼らは一様に言います。「なぜこうなった?」と。


面白かったです!!


とにかく殺伐として残虐で専門用語もあるのに

相性が良かったのかとても読みやすかったです。


徐々に「虐殺が何故起こるか?」から「何故それができる?」に、そして「何故虐殺を起こす?」へと

疑問が変わっていき…衝撃の結末が待っていました。


クラヴィスが最後に起こした「コト」ははっきり言って最悪です。

でもその選択に虫唾が走らないほどには毒されます。


命を守るために命を消し続ける矛盾と傲慢。

実行できてしまう虐殺のための器官。


ありえない、と言えない狂気を想像させます。


9・11以来の憎悪と恐怖は

確かに人間をを他人への暴力へと駆り立てているのですから。


著者は夭折されたとのことで…非常に残念です…。