1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2011-12-06 11:58:43

幽霊作家

テーマ:あるBARの超短編物語
僕は困っていた。




どうしたものか。




考えがまとまらない。




と言うよりかは何も浮かんでこない。




何でこんな「あるBARの物語」なんて小説ブログを一週間に一回更新なんて設定で始めてしまったのだろうと多少の後悔もあった。





ネタが浮かばない。





どこかにネタになるような事が落ちていたらいいのに。





思いついたことを忘れないうちに書き留めておけるように持ち歩いているメモ帳も全く出番がない。





深いため息がでる。





そんなときに店のドアが開いた気がした。










いらっしゃい…





あれ?誰もいないや、気のせいか。



これはアレだな。



考えようとするからダメなんだな。



こういうことは、ふとした時に浮かぶものなんだよな。










すると携帯電話のメール音が鳴った。





相手は、僕のブログの半分を書いてくれてる人からのメールだった。




いわゆるゴーストライターってやつだ。





メールを開くと新しい短編小説が書かれてあった。





























今回の小説はあなたが書いた小説ですか?



はい。そうです。





$あるBARの物語
2011-11-28 17:06:46

黒い夜

テーマ:あるBARの超短編物語

長い黒髪の女性だった。



身長は160㎝くらい、黒のワンピースに黒のハイヒールを履いていた。










ある夜、女性がひとりで赤いBARの扉を開く。



「ひとりなんですがいいですか?」



「大丈夫ですよ。どうぞ」




その女性はカウンターの端にゆっくりと座った。



「私、BARという場所に来るのはじめてなんです。よくこのBARの前を通りかかっていつか行ってみたいなと思っいました。」




そこまで話すと女性はおもむろに黒いハンドバッグからタバコを取り出して火をつけた。




「なんでもいんです。カクテルを下さい。少し飲んだらすぐに帰ります。あまり時間がないんです。急にこんなこと言ってすいません」




「大丈夫ですよ。」




マスターは手際よく女性にウオッカフィズを作った。




女性は一口、ウオッカフィズを飲み「美味しいです。ありがとうございます」と言った。






女性は何かを見つめるように静かにカクテルを飲む。





それから女性は二杯目のウオッカフィズを頼んだ。




「あの、猫はお好きですか?すいません急にこんなこと聞いて」




「そうですね。猫は好きですよ」




「よかった」と女性はなぜか恥ずかしそうに言った。




「どうしてですか?」




「いや。ただなんとなく聞いてみただけです。ごめんなさい」





そして女性はお会計お願いしますと言って店を後にした。








結局その女性が最後のお客になり、マスターはお店を閉める。




すべての電気を消して外に出た時にフと道の向こう側に黒猫が座っているのが見えた。







まさか…ね。

ありっちゃーありだけど、なしっちゃーなしだな。





マスターは小さく笑いながら歩きだした。







$あるBARの物語





2011-11-14 12:28:18

チョコレートの夜

テーマ:あるBARの超短編物語

君って本当に素敵だね。


こんなに魅力的な女性に出会えるなんて夢みたいだ。



彼は歯の浮くような甘い言葉を並べながら私を見つめる。


お洒落なレストランで食事をしている最中だ。


そんなに見つめられると食事しづらいじゃない、私のことばかり見ていないで、あなたも食べたら?


いや、僕はいいんだ。君の仕草を一つも見逃したくないんだ。


ちゃんと食べないなら、私、帰るわよ。


その怒ったときの目も素敵だ。


あぁ、ちゃんと食べるよ。君のことだから本当に帰りかねないからね。


私は口元を拭いてワインをひとくち飲む。





あとはメインディッシュとデザートで終わりね。


素敵なお店だけど、なんだか気取っていて居心地が悪いわ。


この男と一緒だわ。


見た目は良いけどよく喋るし落ち着かない。


まぁ、素敵だとか魅力的だとかって言われて悪い気はしないけど。


車に乗るときや降りるときはドアを開けてくれるし、ここのお店に来る前だって自分じゃ絶対に入らないようなショップでドレスや靴を買ってくれた。


君は何でも似合うねって何にも入らなさそうなクラッチバッグを手に取りショップのお姉さんに「これももらうよ」と言っていた。


訳も分からずに着替えさせられて、高級車に乗ってこの店に連れてこられて今に至る。


彼とはお見合いパーティで知り合った。


どんな男が来ているんだろう、きっと冴えないやつばかりなんだろうなと思って参加した。


悪く言えば冷やかしに行っただけ。


だけど彼と知り合った、完全に見た目と身につけているものだけで判断してしまった。


浅はかだった。選択ミスをした。


だからこうして数回食事を一緒にして、やっぱり私にあなたはもったいなさ過ぎるわと言って断ろうと考えている。


私は黙々と食事をした。


その間、彼は飽きる様子もなく私を見つめている。


すると彼の携帯が鳴った。


彼は着信の相手を見るなり舌打ちをして「ちょっとごめんね」と言って電話に出た。


私は黙って食事をする。


相手は女性かしら、きっと他にも女がいるのね。


この人にとって女って何なのかしら?身につけている時計や乗ってきた車みたいにアクセサリーと同じなのかしら。


きっとそうだわ。


だから私もこうしてわざわざ着替えさせられたんだわ。


そう考えていたら段々腹が立ってきた。




一緒にいるのにごめんね。電話なんか出ちゃって。




別に気にしてなんかいないわ。




この後だけど、もう一軒行きたいところがあるんだ。




どうせまた気取った場所なんでしょうねと思いながら、わかったわと答えた。


彼はスマートに支払いを済ませると流れるような立ち振る舞いで私を車に乗せる。


街の中心から少し離れたところに彼の行きたいところはあった。


さっきとは違う、普通のお店。


そこは小さなバーで、客は誰もいなかった。


店に入るなり「マスター、今日は無理を言って悪かったね」と彼は言う。


大丈夫だよとマスターは言うと視線を私に向け「例の彼女?」と彼に聞いた。


すると彼は照れた様子で「そう、例の彼女」と答える。


カウンターに腰掛けカクテルを注文すると、カクテルと一緒に明らかに指輪でも入っているであろう箱が一緒に出てきた。


私は彼の顔を見てどういうことなのかと聞くと、君とは真剣に付き合いたいと思っているんだと彼は言う。


私は箱を手に取り静かに開ける。


中身はやっぱり指輪だった。


しかもかなり高そうな。


君の為に選んできたんだ。


素敵。


いったいいくらするのかしら。


ねぇ、受け取って貰えるかな。


私は我に返る。


受け取っちゃ駄目よ。


ねぇ、君にぴったりだと思うんだ。


こんなもの、受け取れないわ。あなた、私のことを馬鹿にしているの?


私は彼に指輪の入った箱を返した。


すると彼は嬉しそうな顔をして「ほら、僕の言ったとおりの女性だろう?」とマスターに言った。


私は訳が分からずマスターと彼の顔を交互にみた。


君みたいな女性は本当に初めてだよ。普通だったらみんな馬鹿みたいに喜ぶんだ、こんなガラス玉の付いた指輪をもらってね。だけど君は見抜いたんだろう?これが偽物だって。


私は話が解らなかった。


君ってやっぱり素敵だよ。


いや、偽物だとかそういうことじゃなくて。


やっぱり僕には君しか考えられないよ。


え、そうじゃなくて。


君のこと、幸せにするから。


だから、そうじゃなくて。











彼の甘い夜は続いていく。


私の苦い夜も続いていく。




$あるBARの物語




Amebaおすすめキーワード

    1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
    アメーバに会員登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト