ペナントレース再考 前編

「最高」ではなく、も一回考えてみたら?という「再考」。

なぜかというと、ぶっちゃけペナントレースは盛り上がりに欠けていておもしろくない。

今日は、まずどういう点においておもしろくないのか?なぜ盛り上がらないのかという理由を書く。

僕が考えるのは大きく分けて3つ。


ひとつめ。日本人メジャーリーガー。

全米はもちろん世界の野球ファンを驚かせたトルネード旋風。その野茂を筆頭に、日本の野球が世界に通用することを、その扉を開いた選手は枚挙に暇がない。クローザーとして新人王を獲得した佐々木主浩。いわずもがなのイチロー(こちらも新人王)。デビューの年に即2ケタ勝利を挙げた石井和久。膝の故障と闘いながら、チームの主軸として活躍する松井秀樹。かつては長谷川。期待はずれと言われながらも松坂。

水が合わなかったり、所詮力が足りなかったり、何しろ峠を過ぎていて通用しなかったりという例はあるものの、彼らの殆どはチームの主力選手だ。チームの顔であり、大きな戦力だったはず。その彼らがいなくなるのだから、ペナントレースの魅力が薄れるのは当たり前の話。チームの勝敗を抜きにしても、松井のホームランやイチローのレーザービームをペナントで見ることはかなわない。

メジャー挑戦が悪いと言っているわけではない。もうひとつ上のステージで自分を試したい、挑戦したいという選手個々の考えは尊重されるべきで、世界の舞台で活躍する日本人が増えることは歓迎してよいと思う。

チームの主力が抜けるということは、出場機会が与えられなかった選手たちのチャンスでもあるわけで、そこにまた競争原理が働いてチームが活性化する。そこに頭角を現す選手の出現は楽しみにもなる。ただし抜けた穴を完全に埋めるまでには「相当の期間を要する」という問題は残ると言える。

まとめると、チームの顔が抜けることでお目当ての選手のプレーは見れなくなり、見る側の魅力が半減する。その穴を埋める新たなヒーローはいずれ現れるが、浸透するまでには時間がかかり、その間退屈してしまう。


ふたつめ。長いということ。

140試合という長丁場のせいで、ペナントレースのひと試合が軽いのだ。WBCにしろ、終わったばかりの日本シリーズにしろ、その前のクライマックス(シリーズ)にしろ、ひとつの勝ちとひとつの負けはその後を大きく左右する。高校野球がどうしてあれほどの感動と熱狂を誘うのか?ひとつ負けたら終わりという、毎試合が絶体絶命に追い詰まっているからだ。もちろんプロ野球は12球団しかないわけで、ひとつ負けたら、というわけにはいかない。サッカー日本代表のキャッチコピーはみなさんご存知の「絶対負けられない戦いがそこにはある」だが、「絶対負けられない」というのは誇張であって、「状況によっては負けられる戦い」も実はある。それはみんな知っているが、「絶対負けられない」というコピーがなんらのクレームもなく通用するほどに負けられないのも事実。だからこそあれだけ熱くなれる。そういう場面を何度となく体験すると、ペナントレースにおいては熱狂的なファンでない限りやすやすと熱くはなれない。実に軽いのだ。

ひいきのチームが7連勝を記録したとする。その時点で「よっしゃ!やったぞ!このまま勝ち進め!」とは思う。しかし、連勝すると、その反動で連敗があるのもまた過去から学んでいる。試合数をなお残していることから、「やたらと連勝してくれてもなぁ。まだまだ勝負は先だから。」と冷静になった頭は考える。第一、あんまり他チームを引き離して勝率を伸ばされると、「金にあかせて補強しているから勝って当たり前」とか「よその主力を札束で強奪して勝ちまくっておもしろいか」なんていう批判が出てくる。

逆に7連敗した場合でも、「まぁそういう悪い時期もあるさ。何せ先は長いから」などと悠長に構えて、もちろん負けが込むとファンとしてはおもしろくないが、実際にそれで終わったわけではないから「過去は水に流して前を向こう」とばかりに「次のカードはどことやるのかな?」なんて話に切り替える。それができる。

これは長い長いペナントだから。これがCSや日本シリーズなら、「あの場面でなぜ投手を交代させなかったのか?」とか「あそこで出す代打は○○でなくて△△だろ」とか勝てなかった原因なんかを必死に分析したりする。コアなファンならそういう議論をペナントでもやっているだろうし、勝利目前で逆転サヨナラを喫したりすればスポーツ紙もなんやかや騒ぎ立てる。が、それも一日で終わる。無様な負けの翌日にはどういう形であれ勝利さえすればもう帳消し。連敗した場合は「またか!」の文字が躍って、で、3連勝したらとたんに『復活ののろし』だ。

「まぁそういうもんだろうなぁ、ペナントレースというものは。」

なにせ長いからそんなもんかなとも思うが、そういう戦いを見ていても正直ちっともおもしろくない。血は沸かないし肉も踊らない。


みっつめ。テレビ(地上波)で中継されない。

僕の住まいは長崎県の地方で、子供の頃の巨人戦というのはヤクルト戦か中日戦だった、ような記憶がある。もちろんビジター。つまり、フジ系列とTBS系列の局しか民放局がなかったのだ。後楽園の巨人戦を見た記憶はあまりない。巨人が出ない試合はなく、ナイターでは必ず巨人が出ていたから選手の顔も巨人サイドしか記憶しない。よって巨人ファンになるのは自然の摂理。より身近に感じるからだ。

現在は民放も東京ローカル(テレビ東京)以外は受信できるから、日本テレビのコンテンツもちゃんと見れる。が、視聴率が取れないからやってくれない。

選手のプレーが見れないとなると、新聞やテレビのニュースで状況を知ることになるが、それは自然に「結果を見るだけ」ということになる。野球というスポーツは、試合終了までのプロセスを踏まえた上でないと盛り上がりに欠けるというもの。「試合を決めたのはあの選手のあの1打」だとしても、その選手の前の打席はどうだったか?最初の打席はどうだったのか?また、その選手は守備でどういう働きをその試合でしたのか?の情報があるのとないのでは全く違う。だから夜のスポーツニュースや翌日のテレビ・新聞で結果を見たとしても、勝ち越し点のシーンだけの情報では本当に面白みに欠けるのだ。

サッカー日本代表の試合を観戦するときに、テレビの前で応援する場合でもジャパンブルーのユニホームに着替えてという事がある。やはりそれは、一緒に戦っているんだという気持ちなのだ。熱烈なタイガースファンの場合だと、やはりトラのハッピを着てメガホンを持ってテレビに向かって六甲おろしを歌うはずで、そのような「場の共有」というものがないと熱も入らない。近頃の野球を熱心に見れないのはそういう事情もあるのだ。


では、どういう風になったらペナントがおもしろくなるのか?

こういう風に変えたら盛り上がるんでは?という私案を次回は書きます。


ペナントレース再考 後編(完結)


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